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放置された戦争孤児という、戦争に関わる重い記憶    2015 年7月28日
《三ノ宮駅近くの焼け跡に壊れた大きな金庫があった。数人の仲間と寝泊まりした。冬場は寒さをしのぐため、汽車に無賃乗車して、行き先もわからぬ車内で 眠った。「狩り込み」と呼ばれる取り締まりで捕まったこともある。悪臭がする浮浪児を職員は「一匹、二匹」と数え、裸にしてホースで水をかけた。「ばい菌 の塊」「野良犬と同じ」と言われた。なぜ浮浪児になったか、わかっているはずなのに。母の顔を思い出し、涙がこぼれた。
残飯にあたり、自らも含め数人が腹痛で転げ回ったこともある。栄養失調による衰弱死や凍死も含め「地下道で子どもが死ぬのは珍しいことではなかった」。名 古屋から来た少年が地下道で命を落とした。死の間際、「母ちゃん、母ちゃん」と小さな声で呼んでいたのが忘れられない。
 本当に混乱した状況では自分と家族を守るので精いっぱい。子ども一人で焼け跡に取り残されていても誰も目を向けない。戦時の人の心の冷たさが今も胸に刻 ま れている。
 「戦争は心をゆがめる。生き残った子どもにも生涯消えない傷を残す」。「野良犬」と呼ばれながら生き抜いた一人の戦争孤児の思いだ。》
「国の孤児救済策は形だけはあったが、実際はほとんど機能しなかった。施設不足も深刻で食糧事情や待遇も劣悪。多くの孤児に公的支援は届かなかった」「自 己責任で生きることを強いられ、犯罪まがいの行為に手を染めるしかなかった孤児もいた」(立教大 前田一夫教授)









ポツダム宣言前日    2015 年7月27日
アラモゴードでの原子爆弾実験成功が7月16日、アメリカ大統領トルーマンはそれをスターリンに隠してポツダム会談を行い、日本の無条件降伏とソ連の対日 参戦を約したポツダム宣言が26日、トルーマンはその前日25日に原子爆弾の日本の都市への投下を命令している。この日をドイツ市民が記憶し、わたしたち 日本人が忘れているのを恥じる。




よみがえる最前線~神戸と核と日米同盟   2015 年7月27日
初沢克利さんのFB投稿からシェアさせていただく。神戸に住むものとして人ごとではあり得ない。内容がすごい。
核兵器製造工場や原発、ミサイル基地を建設する米国ベクテル社が提起した神戸の医療産業都市構想。その先の低迷する神戸空港。これらは米軍の戦略と一体化 して「戦場で傷ついた米兵を空輸して高度医療につなげる軍事利用化」「神戸港への米艦船の寄港」(池田神戸松蔭女子大教授)「戦時中の神戸への原爆投下の 検討」「戦後神戸への核持込み」という指摘。
入港する外国籍軍艦に核兵器を搭載していない証明書の提出を義務化した「非核神戸方式」(1975)後、米国軍艦の神戸入港が途絶えたこと。しかし岩国 市、高知県など同様の方式を検討した自治体に政府が干渉しその実現を阻んだこと。最終的に唯一その方式を維持し続ける神戸が各地の希望の星でありかつ「困 難な事態」が今後予想されるであろうことなど。大変教えられることが多い。
よみがえる最前線〜神戸と核と日米同盟https://www.facebook.com/MBS.eizou
映像はこちら。http://www.dailymotion.com/video/x2zdx32
神戸はかつて日米同盟の最前線だった。戦後すぐに米軍基地が作られ、朝鮮戦争やベトナム戦争では核を搭載した空母が寄港した。
だが、40年前に神戸市会が平和な港への願いを込めて議決した非核神戸方式により、その後は米艦船は入港していない。しかし戦後70年を迎える今、神戸は 岐路を迎えた。
日米両政府が軍事的な結びつきを強める中、潜水艦の製造拠点や掃海活動を担う自衛隊基地がある神戸が、後方支援拠点になる可能性は否定できない。
今後日本はどこへむかうのか、核に翻弄される神戸から検証する。
神戸は再び日米同盟の最前線になるのか。
戦後70年を迎えたいま、日本は岐路に立たされている。安倍総理は国のあり方を決める憲法解釈を変更し、日米の軍事的な一体化を推し進めようとしている。 国会で大きな論争が起きる中、このさき市民生活はどうなるのか。私たちは地元に根ざしたローカル局として港町・神戸から検証した。



「戦争のできる国」への転換   2015 年7月26日
「戦争のできる国」への転換は「武器生産と輸出ができる国、稼ぐ国」への転換とパラレルだ。この記事に出ている日本唯一の神戸市の潜水艦製造工場は買い物 客・観光客で賑わうハーバーランドの目と鼻の先にある。
「お金を稼ぐのが会社。顧客は多い方がいい。造船事業が厳しく、潜水艦技術の強みを生かさない手はない」
「日本が武器を海外に売らなくても他国の武器が流れるから」
「輸出で技術が応用されるようになり、よいものができる」


殺すな、殺されないために!   2015 年7月26日
先月京都で行われたSEALs関西によるデモのスピーチ集。関西在住の若者たちの言葉がどれも素晴らしい。

《今 は ま だ 、 武 力 が 最 終 的 な 解 決 手 段 に な り 得 る と 信 じ て い る 、 愚 か で古 い 人 た ち が 幅 を き か せ て る か も し れ な い 。 今 は ま だ 、 過 去 の 過 ち を 正当 化 す る こ と で し か 自 分 の 国 を 誇 れ な い 虚 し い 人 々 が 、 こ の 国 の ト ッ プに 立 っ て い る か も し れ な い 。
ネ ッ ト 上 で は 、恐 怖 に 縛 ら れ た 不 自 由 な 人 た ち が 叫 ん で い る 。「 殺 せ !殺 さ れ る 前 に ! 」 と 。 だ け ど 、 そ ん な 時 代 は こ こ で 終 わ り に し ま す 。 いや 、 70 年 前 に 終 わ っ た の で す 。
私 た ち は 平 和 憲 法 に 根 ざ し た 、 新 し い 安 全 保 障 の 原 則 を こ こ に 打 ち 立て よ う 。
「 殺 す な 、 殺 さ れ な い た め に ! 」》
《戦 場 へ 行 か れ た 方 々 の 声 に 耳 を 傾 け る と 、 戦 争 は 誰 も が 持 っ て い る 優し い 心 を 容 赦 な く 踏 み に じ り 、 一 生 に わ た っ て 心 を む し ば ん で い く も のだ と 改 め て 気 づ か さ れ ま す 。
災 害 派 遣 は 本 来 の 自 衛 隊 の 任 務 で は な い も の の 、 私 の 友 人 は 、 3 ・ 11の 際 に 自 衛 隊 の 方 々 が レ ス キ ュ ー を さ れ て い る 映 像 を 観 て 、「 自 分 も 人を 助 け た い 」 と 思 い 自 衛 隊 に 入 り ま し た 。
自 衛 隊 の 方 々 の 中 に は 、 他 に も 、 貧 困 な ど 家 庭 の 状 況 、 就 職 難 な ど でや む な く 入 隊 す る 方 も お ら れ ま す 。
こ の よ う に 、 私 と な ん ら 変 わ り な い 同 世 代 の 人 た ち が 、 平 和 を 求 め る人 た ち が 、 戦 地 へ 赴 き 、「 自 分 の 手 で 人 を 殺 め る 」 と い う こ と の 精 神 的苦 痛 に 思 い を 馳 せ て み た 時 、 私 は 心 が 張 り 裂 け そ う に な り ま す 。》
《武 力 と 武 力 が ぶ つ か れ ば 、 待 っ て い る の は 戦 争 だ け で す 。 そ ん な も ので 平 和 な ん て 訪 れ な い こ と は 子 ど も で も わ か る は ず な ん で す 。
こ の ま ま だ と 僕 の 知 っ て る 日 本 じ ゃ な く な る 気 が す る ん で す 。
安 倍 さ ん の 言 う 平 和 じ ゃ い け な い ん で す 。武 力 で 威 嚇 し て 、 武 力 で 黙 ら し て 、 武 力 で 平 和 を 作 ろ う と す る 間 違 った や り 方 で 守 ら れ た い と は 僕 は 全 く 思 い ま せ ん 。》
《戦 争 の 悲 し み も 3 ・ 11 の 悲 し み も 沖 縄 で の 悲 し み も 僕 た ち は 決 し て 忘れ ま せ ん 。 絶 対 に 忘 れ ま せ ん 。
当 た り 前 の 日 常 と 平 和 の た め に 僕 た ち は 声 を 上 げ 続 け ま す 。 2 度 と 戦争 を 起 こ さ な い よ う に 。 70 年 間 た く さ ん の 人 が 守 っ て き た 憲 法 を 僕 は 守り た い 。
戦 争 を し な い 、 戦 争 に 加 担 し な い 日 本 を 子 ど も 達 に 見 せ て あ げ た い 。》
《集 団 的 自 衛 権 の 行 使 容 認 を 含 め た 安 保 法 制 と 基 地 建 設 。 こ の 軍 事 化 でも ろ に 影 響 を 受 け る の は … … 安 倍 さ ん 、 あ な た た ち じ ゃ な い ! ! !私 た ち 学 生 、 若 者 を 含 め た 一 般 市 民 で す 。
一 人 ひ と り の 命 を 軽 く 見 す ぎ な い で く だ さ い 。
70 年 前 の 戦 争 で 私 た ち は 何 を 学 ん だ ん で し ょ う か ? 死 ぬ の が 怖 く なく な る 、 人 を 殺 す の も 怖 く な く な る 。 大 切 な 家 族 の 命 ま で 、 自 分 の 手 で絞 め つ け な き ゃ い け な く な る 。 そ し て 、 人 が 人 じ ゃ な く な る 。 2 度 と 同じ よ う な こ と を 繰 り 返 し て は い け な い 。 70 年 前 、 沖 縄 戦 を 体 験 し た お じぃ お ば ぁ が 話 し て き た こ と で す 。 結 局 、 武 力 で は な に も 解 決 で き な い 、こ れ が 歴 史 の 教 訓 で す ! !》
《10 年 後 、 20 年 後 、 100 年 後 の 未 来 の 子 ど も た ち に 、 わ た し た ち は 、 どん な 社 会 を 残 し て い く の で し ょ う か ? 軍 事 化 し た 社 会 を こ ど も た ち に受 け 継 が さ な け れ ば な ら な い の で し ょ う か ?
私 を 動 か す も の 、 そ れ は 、 お じ ぃ お ば ぁ か ら 聞 い て き た 話 や 、 想 い と言 葉 を 無 駄 に し た く な い と い う 想 い と 、 あ と で 後 悔 し た く な い と い う 気持 ち で す 。》     などなど。「週刊金曜日」監修。無料、PDF版も見れる。


検 索していて遅ればせながらたどり着いた   2015 年6月 28日
ニュー ヨークタイムス4月3日の記事から。傾聴すべき 言葉。
訳文は日本語のサイト(LITERA)と【 地平線の彼方に再び姿を現した戦争の予感と、元ゼロ戦パイロットの取り組み 】から引用させていただく。
《原田要(かなめ)さんはかつて、空を飛んでくるサム ライとして恐れられていました。
第二次世界大戦(太平洋戦争)中、原田さんは日本の伝 説的なゼロ戦のパイロットとして19機の連合国の航空機を撃墜しました。
現在、98歳になったかつての空の英雄は健康を害して いますが、自らが最後の任務と名づけた取り組みを行っています。
再び戦争への道を歩み出そうとしている祖国に、自らの 戦争体験に基づいて警告を発することです。》
「戦争ほど恐ろしいものはありません」
「私は、あなたたちに私自身の戦争体験を伝えたい。若 い世代に、私と同じ恐怖を体験させないために」
「私は零戦のコックピットから戦争を見ました。いまだ に私が殺した兵士たちの顔はよく覚えています」
「戦場でのかつての敵兵もまた、私たちと同じように父 であり、息子なのです。彼らを憎んだり、知りもしないでいることはできません」
「戦争は人間から人間性を奪うのです。全くの他人を殺 すか、殺されることを選ばざるをえない状況に置かれることによって」
「私は気がつきました。戦争が、私を人殺しへと変えて しまった。私はそうありたかったわけではないのに」
「安倍首相は必死で日本の戦争放棄を取り消そうとした がっているように見える」
「戦後の長い平和がひとつの達成であったということを 忘れているように思えてならない」
「安倍首相ら最近の政治家は戦後生まれだから、どんな 犠牲を払ってでも戦争を避けなければならないということを理解していないのです」
「その点で彼らは戦前の指導者たちと似ているんです」
「私は死ぬまで、私が見てきたものについて語りたいと 思う」
「決して忘れないことが子どもたち、そして子どもたち の子どもたちを戦争の恐怖から守る最良の手段なんです」




今回の出来事でこの人物の良心、知性、品性、知識でさえも「永 遠の0」であることがよく分かった   2015 年6月 27日
いや、誤った認識を溜め込んでいて、知識は「マイナ ス」 か。
「講演で言ったのではなく、講演後の出席議員との雑談 のなかでポロッと出た軽口だった。冗談のつもりで、本意ではない」
「反日とか売国とか、日本をおとしめる目的で書いてい るとしか思えない記事が多い」
「沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん」
「左翼は沖縄に基地があるから、米兵が沖縄の女の子を 強姦(ごうかん)すると批判するが、データ的にいうとひどいウソだ。米兵が犯したレイプ犯罪よりも、 沖縄県全体で沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い」


講話後の講師と参加者のやり取りは講話 を補完するもの で、単なる雑談ではない。言い訳は見苦しい。
とくに米兵と沖縄を比較する発言は極めて悪質だ。
「沖縄に基地があるから---ひどいウソ---はるか に率が高い」この発言は沖縄の基地問題の悪意あるすり替えだ。前段の部分は沖縄の基地の存在による米 兵の性犯罪を批判するものであり、そもそも「率」とは無関係である。「率」の問題ではなく、軍隊と基地の存在によって地域住民が受ける「被害」の問題であ る。これは以前からネット上で反沖縄キャンペーンのようにいわゆるネトウヨの間で言われていたものだが、沖縄県と県民に対するいわれなき悪罵にほかならな い。
まず、警察庁の犯罪統計資料によれば性犯罪の認知件数 (2006~10年の平均値)の比較で全国最多なのは、 この人物の出身である大阪府(人口一万人あた り1.57件)、次が東京都(人口一万人あたり1.40件)であり、沖縄は中ほどの下(人口一万人あたり0.76件)だ。そもそも性犯罪は親告罪で、実態 をそのまま反映するものではないが、都市部に多いという傾向がある。
また、その「データ」とされるものは兵士など米軍関係 者の米軍施設外での警察による性犯罪検挙人数を兵士の家族を含めた総数で割ったものだが、日米地位協 定などにより「公務中」等として現地警察による身柄拘束ができないケース、二次被害を恐れて被害者が告訴を取りさげたケースなどが多く、被害の実態を反映 していない。
つぎに、米兵士が基地の外にいる時間はその生活の一部 に過ぎない。米国防総省の統計では、近年増加する米軍女性兵士に対する主に上官による性被害が増加 し、2011年に米軍全てで3192件の報告があったとされる。これは届出のない被害を含まず、国防総省は同年で年間計1万9千件と推定している。詳しく は次の資料を参照。
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin3/index.php?page=article&storyid=49
「イラ ク、アフガニスタン駐留女性兵士の3割が性被害」という報道もあり、この数字すら控えめだが、これを全米軍兵士数(150万人)で割ると人口一万人あたり 127件、報告件数のみの場合でも人口一万人あたり21.3件で、これは家族を含まないから仮に全ての米兵が5人家族としても、それぞれ5分の一になり相 変わらず高い数値である。

背景には絶え間ない米国の各地での戦闘に参加すること による負傷、恐怖、心的外傷ストレス(PTSD)や帰還後の自殺などの増加という米軍兵士の置かれた 状況がある。これは軍隊、とくに常に戦闘にさらされる軍隊の持つ問題と言える。もし「データ」を使うならこうした米軍施設内での数字、米軍の状況をふまえ るべきである。沖縄の基地問題をなんら正視せず、逆に沖縄を愚弄するこうした発言はけして「雑談」や「冗談」で済む問題ではない。この講演を主催しそこに 同席しながらこれを聞き流した、または同感した自民党議員もだが、きちんと発言を撤回し、沖縄県民に真摯に謝罪すべきである。



こ れは決して「おすすめ」できる記事ではない   2015年6月 26日
私は退職前まで8年ほど実技はできないがバドミントン 部の顧問もしていて、その定時制都大会や全国大会に引 率して(というか、実際は生徒に連れて行ってもらって)いたのだが、この報道には驚きと憤りを禁じ得ない。



これら の大会の主催者 は全国高等学校(中学校)体育連盟及びこれに所属する各体育連盟であり、学 校設置者で はない。従って選手の出場 に関わる経費(旅費・ 宿泊費等)は生徒の自己負担(学校でカンパなどが行われることも多い)であり、引率教員のみ公費が支給されるが、例えば夏休みに部員や同級生などを連れて 応援に行く場合も引率以外の教員は顧問であっても年休扱いとなる。
ところで、この自民党山崎一輝都議とは江東区選出42歳、父親は元都議で現江東区長でその私設秘書から親の地盤・看板(ついでに地元企業からの献金も)を 引き継いで当選した地方版2世議員であり、かつ日本会議地方議員連盟に所属する右派議員である。この議員は現在都議会文教委員会に所属しその副委員長なの だが、20日の原告団からの報告メールによれば、この17日の一般質問の後19日の文教委員会において、5月25日の再雇用拒否撤回を求める第2次訴訟東 京地裁判決(都側敗訴)に対する都の控訴を批判・反対する共産党、生活者ネットの委員の発言中、副委員長席から執拗に恫喝的なヤジを飛ばし続けていた人物 である。以下引用。
《「恫喝するような自民党の野次 都議会セクハラ野次の反省はどこへ」
続いて、控訴に反対する立場から里吉ゆみ文教委員会副委員長(共産党・世田谷区)が質疑・討論にたちました。共産党の発言が始まると自民党の議員がにわか に活性化し、終始野次が続きました。自民党の親分の安倍総裁も野次が国会で問題になっていますが、都議会自民党もセクハラ野次で「自粛」どころか親分に負 けずにひどいものです。特に目立ったのは、Y文教委員会副委員長(江東区)。委員長席の隣で小竹委員長と里吉ゆみ都議、小松久子文教委員会理事(里吉さん の次に発言 生活者ネット・杉並区)の発言中恫喝するようなヤジを続けていました。
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会 東京「君が代」裁判原告団》
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このY副委員長が山崎都議なのだが、都議会自民党の「ヤジ四天王」のひとりで昨年の都議会でのいわゆるセクハラヤジで最初の「結婚しないのか」を認め自民 党会派離脱した都議以外でその場で続けて愚劣なヤジを飛ばしていた疑いを持たれている人物である。次は都議会一般質問から抜粋。
2015年都議会第2回定例会 一般質問 
〇六十七番(山崎一輝君)
「オリンピック等の国際大会の開会式や表彰式においては、国旗掲揚、国歌斉唱が行われます。・・・二〇二〇年大会開催に向けて、国際交流がますます盛んに なります。今後、学校では、さまざまな機会を捉えて、我が国のみならず、ほかの国や、その国民に敬意を表する態度を児童生徒に育成していくことが必要で す。・・・そこで、二〇二〇年大会が開催されることを踏まえ、例えば中学校や高等学校の部活動の大会などにおいても、国旗及び国歌の指導を行う必要がある と考えますが、見解を伺います。」

〇教育長(中井敬三君)
「二〇二〇年に向けて諸外国と交流する機会がますますふえることから、国際社会においては、国と国とが互いの主権を尊重して成り立っていることを、児童生 徒が理解することは極めて重要であります。
 このため、学校においては、我が国と同様に諸外国の国旗と国歌の意義を児童生徒に理解させるとともに、これを尊重する態度を育て、国際社会において尊敬 され、信頼される人間を育成してまいります。
 さらに、学校以外においても、学校教育との関連を図り、児童生徒の理解が深められるよう、中学生や高校生のスポーツ大会における国旗・国歌の指導の充実 に向け、東京都の中学校や高等学校の体育連盟などに働きかけを行ってまいります。」

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このやりとりでは一応「諸外国の国旗・国歌の意義」「諸外国、国民に敬意を表する態度」などに触れてはいるが、要するに中高生の部活動の対外試合に日の丸 を掲揚し君が代を斉唱するよう「要請」するというものだ。これら大会は学校教育の範疇に属さず、そもそも「国旗・国歌の指導」の対象ではない。部活動は生 徒の自主的活動=課外活動であり、教育課程(教科、 特別活動、 総合的な学習の時間の 三 領域)に含まれず、現行学習指導要領では総則第五の5の(13)で「教育課程との関連が図られるよう留意」との規定は存するが、学習指導要領の掲げる「国 旗・国歌の指導」は特別活動に含まれる「入学式や卒業式など」についての規定であり、この特別活動に部活動は含まれない。まして中学生・高校生の各県の地 区大会や県大会で「国旗・国歌の指導」を行うとの規定などどこにも存在しない。
そもそも、オリンピックで行われるのは「国旗掲揚」や「国歌斉唱」ではない。オリンピック憲章から引用する。

第 1 章 オリンピック ・ ムーブメント
6 オリンピック競技大会
1. オリンピック競技大会は、 個人種目または団体種目での選手間の競争であり、 国家間の競争ではない。
第 2 章 国際オリンピック委員会 (IOC)
15 法的地位
IOC は国際的な非政府の非営利団体である。
第 4 章 国内オリンピック委員会 (NOC)

4. 政府もしくはその他の公共機関はいかなるNOC のメンバーをも指名してはならない。しかし、NOC は、自らの裁量でこのような機関の代表をメンバーとして選出する旨決定することはできる。
第5章 オリンピック競技大会
iv .プロトコル (儀礼上の約束事)
56 表彰式、 メダルと賞状の授与式
表彰式、 メダルと賞状の授与式は IOC プロトコルガイドに忠実に従い催されるものとする。
57 入賞者名簿
IOC と OCOG は国ごとの世界ランキングを作成してはならない。
付属規則
1 表彰式
1位、2位、3位の競技者が、公式の服装もしくは競技 用の服装で貴賓席に面した表彰台上のそれぞれの位置に立つ。---彼らの名前、および他の入賞者の名 前が読みあげられる。優勝者の所属する派遣団の旗がセントラル・ポールに掲揚され、---優勝者の所属する派遣団の歌(短縮したもの)が演奏される間は、 メダル受賞者たちは旗の方向を向いていなければならない。
-----------------------------------

これらの規定は近代オリンピックがその理念 において国家間の競争、過度なナショナリズムを排除し五大陸の融和を目標とすることから 導かれる。派遣団の歌の 「短縮したもの」の規定は1952年からおよそ20年間IOC委員長を務めたアベリー・ブランテージの時代に導入されたものだが、ブランテージは上記理念 に基づいて一貫して表彰式における「国旗・国歌」廃止の提案を行い続けている。その努力の結果1965年にはIOC総会に正式に提案、IOC委員の過半数 の賛成(賛成34、反対22)を得たが規約改正に必要な3分の2に至らず実現しなかった。遺産として残ったのが国別ランキングの禁止と歌の短縮、「団体 旗」「団体歌」である。この辺「IOC における国歌国旗廃止案の審議過程(1953-1968)−アベリー・ブランデージ会長期を中心に−」が詳しい。
都議や教育長が国際理解を謳うなら、まずこうしたオリ ンピックの基本理念を正確に自身が理解すべきではないか。自ら範を示すのならまず議会での威圧的、傲 慢なヤジをやめることだ。部活動に参加する生徒一人一人は多様な各人の想いから活動している。その中に国際的なアスリートを目指す生徒がいるのも結構なこ とである。しかし、オリンピックに便乗していたずらに「国旗・国歌」の生徒への刷り込みを画策するのは如何なものか。それはオリンピックの理念、原則に反 している。
オリンピズムの根本原則
3. オリンピック ・ ムーブメントは、 オリンピズムの価値に鼓舞された個人と団体による、 協調の取れた組織的、普遍的、恒久的活動である。
4. スポーツをすることは人権の 1 つである。 すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。
6. 人種、 宗教、 政治、 性別、 その他の理由による、 国または個人に関する差別はいかなる形態であれ、 オリンピック ・ ムーブメントと相容れない。
オリンピック憲章には開催地に関する次の規定もある。
36 責任−オリンピック競技大会の組織運営の取り消し
2. NOC、 OCOG あるいは開催都市によるオリンピック憲章違反、 IOC の規則や指示の不履行、または義務違反があった場合、 IOC は開催都市、 OCOG、 NOC によるオリンピック競技大会の組織運営を取り消す権限を有する。 この取り消しはいつでも行うことができ、 即時有効となる。
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東京・新大久保などでの在日韓国人等へのヘイトスピーチの容認はこの観点からも問題だが、中高生の競技大会に「国旗・国歌」の実施を「要請」することも過 剰なナショナリズムとして憲章に抵触する。もし若者に国家や社会への愛着を持つことを願うなら、それに値するものに国や社会を形成していくことにつきる。 オリンピックへの便乗と政治利用はやめるべきである。



じつは「国際法」に疎く「日本国憲法」 も等閑にし、「交渉」 「外交」の力で諸問題を解決する能力も気概もない者たちが「武力行使」への参加、すなわち自衛 隊員、若者の「血」で自らの立場を強めようとする    2014 年 6月26日
(集団的自衛権)陰で動いた外務省 旧条約局出身者、与党協議に影響力      朝日新聞デジタル www.asahi.com
他国への攻撃に自 衛隊が反撃する集団的自衛権の行使を 認めることで、自民、公明両党が大筋合意した。背後には、自衛隊...



公共放送NHKはなぜつくられたのか   2015 年5月1日
大学のちょつと後輩だった下川くん(卒業は何故かおなじだった?)。こういう見識と気概を持った人物が公共放送の第一線を退く のは残念でならない。時代は同じような状況を迎えている。
「公共放送NHKはなぜつくられたのか。その使命は「健全な民主主義の発展と文化の向上に寄与する」ことにあります。そして、健全な民主主義の発展のため にNHKがなすべきこととして書かれているのは、正確で公平・公正な情報を伝えることです。そして、そのために必要となるのが不偏不党の立場です。この基 本姿勢、そして放送の自主・自律の堅持が公共放送の生命線であるという認識は、戦前のNHKのあり方への根本的反省から生まれています。戦前の日本放送協 会は実質“国営”放送でした。自主・自律、不偏不党の精神を持たず、政府が右と言っても左という勇気を持ちませんでした。人々に真実を伝えず悲惨な戦争へ 突入するお先棒をかついだわけです。」
「良質と並んで「豊かな」と書かれていることの意味は、ぜいたくな、豪華なという意味ではありません。多様性に富んだということだと考えます。これもまた 戦前のNHKがモノトーンの価値観を押しつけることで多様な意見の存在を排除し、人々を戦争に駆り立ててしまったことの痛切な反省から来ています。さまざ まな価値観が共有・共存することこそが豊かな社会の基礎であり、健全な民主主義の基礎ではないでしょうか。世界には独自の価値観を持った多様な人々が生き ていること、そして、社会には多様な価値観が存在すること、それを示すこともまた公共放送の大切な使命だと思います。」




離 任の言葉   2013年 4月10日
この3月、教職を退職しました。3月25日終業式にお ける離任の言葉を記憶の薄れないうちに書き留めます。

本校で3年間世界史を担当しましたが、60歳となり定 年で退職します。この3年間で経験した人生で一番の出来事は、君たちも同じかもしれませんが、2年前 の3・11東日本大震災と福島第一原子力発電所事故です。授業でも触れましたが、人類最古の文明とされるメソポタミアにおけるシュメール人の都市国家ウル ク第一王朝の5代目の王、紀元前2700年ころのギルガメッシュについての叙事詩があります。このギルガメッシュ叙事詩はシュメール語、アッカド語、バビ ロニア語、ヒッタイト語、アッシリア語で粘度版に記録され続けてきたものですが、この物語の白眉、中心的なテーマになっているのが古代メソポタミアを襲っ た大洪水です。ギルガメッシュは様々な冒険譚の最後に洪水で滅んだ都市シュルッパクで唯一方舟を作り生き延びて神となったウトナピシュティムを訪ね、大洪 水の有様を聞きます。じつはわたしは不勉強な教員でこの叙事詩をきちんと読んだのは3年前本校の一人の生徒が総合学習でこの叙事詩をテーマとして取り上 げ、私も付き合いで読んだのです。その後東日本大震災があり、その津波の映像をみてあらためてこの叙事詩を読みかえすと、この大洪水に「大地は壷のように 破壊された」とか、洪水が退く過程で「大洋は静まった」のように地震、津波の要素があることに気づきました。さらに、シュメールの神々は大洪水で人々が粘 土に返ってしまったことを嘆き、愛の女神イシュタルはラピスラズリという宝石を掲げ、「私はこれらの日々をけっして忘れない」と誓います。この叙事詩は大 規模自然災害への警鐘という意味もこめて、その後の様々な民族の文化に千年以上も継承されていったと思われます。

さらに時代は千年ほど下りますが、アムル人によるバビ ロン第一王朝の紀元前1700年頃の六代目の王ハンムラビによるハンムラビ法典があります、こちらの 方が有名ですね。その玄武岩に刻まれた282条の条文のなかに、「もし津波が農地を襲い、収穫がなかったとき、その農民に負債があれば、その年その返済は 猶予される」という規定があります。
このように人類は有史以来大規模自然災害に対する社会 的な備えを築こうとして来たとも言えるのですね。
また、昨年は日中関係、日韓関係におおきな問題がおこ り、いまもそれらは解決していません。現在日本の安倍首相は「未来志向」ということを述べています。 悪くはないとおもいます。ただ、おとなりの韓国の初の女性大統領である朴大統領は「過去を直視してこその未来」というように釘を刺しています。その言葉は 第二次大戦後40年を記念し、ナチスの暴力、犯罪をドイツ国民に戒めるために当時西ドイツ大統領だったワイツゼッカーが述べた言葉、「過去に目を閉ざす者 は未来に対しても盲目となる」という言葉をふまえたものです。戦前戦中のドイツと日本に幾らか違いもあるかもしれません。また戦後70年近く経過して、私 もですが君たち戦後生まれの日本人に直接戦前、戦中の責任はありません。ただ、歴史は個人をこえてその社会や集団に問われるという側面もあると思われま す。

70年前といわず、わずか2年前の大震 災についても、 私もですが日々の記憶から失われつつあり、とくに福島原発事故については「なかったこと」にする動き すら現在生じているように思われます。 

先ほ ど「未来」という言葉を使いましたが、ワイツゼッカーさんは現在92歳で存 命です が、日本の首相も韓国 の大統領も、そして私も50代後半から60代で あり、私たち中高年にはそれほど「未来」はありません。未来があるのは言うまでもなく、若い君たち生徒諸君です。現在様々な問題が日本と世界にあります が、なかには大変難しい問題もありますが、どうか過去から学んで新しい未来を築いていってほしいと思います。また、近い未来というか来年再来年の近未来に ついても、本校を卒業し進学でも就職でも自らの進路を切り開いていってください。
私が在職した学校は4部制でしたので、昼の終業式の後、夜の終業式もあり、つぎのように述べました。 世界史と4部4組の担任とバド部顧問をしていました。最後にお詫びしたいのですが、世界史の授業で自分はジョニー・デップに似ているとずっと言ってきまし たが、決して大それた意図はありません。彼はアメリカ先住民であるチェロキー族の血を受け継いでおり、アメリカ大陸の先住民は2万年前までにベーリング海 峡が陸橋だったときにユーラシアからアメリカへ渡った人々の子孫であり、つまり私たちと同じアジアンであると言いたかった訳なのです。
ところで19世紀半ばチェロキー族はチェロキーネーションという国家 を形成し、ジョン・ロスという首長、選挙で選ばれた首長がいたのですが、このジョン・ ロスにはチェロキーの血は8分の1しかありませんでした。彼の曾おばあさんがチェロキーの娘でスコットランド系の男性と結婚し、その娘がまたスコットラン ド系の男性と結婚、その子のひとりがまたスコットランド系の男性と結婚して生まれた子の一人がジョン・ロスでした。 
この家族がユニークなのは、生まれて きた子 供たちにチェロキーの言語や文化、習慣とスコットランドの言語、文化、習慣をひとしく教 えて育てたということで す。その結果、ジョン・ロスはチェロキー族の首長となり、かれらと運命をともにすることになります。19世紀半ばチェロキー族は東部ジョージア州から中西 部オクラホマへの強制移住、いわゆる「涙の道」を強いられるのです。こういうことを授業では扱ったのですが、きちんと伝えられたでしょうか?
ところでこのジョン・ロスの家族のあり方は19世紀の アメリカ合衆国以上に現在の日本、世界でより大切なモデルを示していると思います。自己の言語、歴 史、文化とともに相手の言語、歴史、文化にも深い理解がもてるということほど、いま重要なことはありません。そして日常の中で多様性を学べるという本校の 君たち生徒の状況や、教職員もけっこう多様だという特色も本校ならではです。是非これからも多様性のなかで様々なことを学び、卒業していってください。
昼の式の後、世界史の授業を受けていた生徒たちから社 会科室で花束を いただきました。22日 の卒業式の日は部活の生徒諸君から大きな花束をいただきました が、翌日テレビで日本銀行総裁の白川氏の離任に際し花束を受け取る模様が報道されていました。その花束は私がいただいたものより遥かに小さかったと職員へ の離任の挨拶で自慢しておきました。

    


「天罰」知事が4選、福島原発事故はレ ベル7 2011年 4月14日
私は学生時代から東京都に住んでいるのですが、このた びの震災での東京電力福島第一原子力発電所の事故、都知事の「津波は天罰」発言、都民による生活物資 の買い占めという出来事のなかで、このひと月テレビと新聞がつたえる被災地の状況に釘付けの日々でした。仕事柄高木仁三郎さんの著作や広瀬隆一郎さんの チェルノブイリ原発事故のレポートにも日頃接していたのですが、現実に起こっていることに驚きと悲嘆の気持ちを禁じ得ません。以下は古代シュメールの「大 洪水」神話に関して都知事の「天罰」発言にたいして新聞に投稿した文書。1週間経っても何ら返信なし、です。このブログに掲載することにしました。
            古代シュメール神話の「大洪 水」は「天罰」などではない
『その時がやってきた。
暁が輝き始めたとき、天の基から黒雲が立ち上った。
アダド神(天候を司る神)は雲の中から吼え、シャラト 神とハニシュ神(嵐の布告使)がその先駆けとなった。
エルラガル神(冥界の神)が方舟の留め柱を引き抜き、 ニヌルタ神(戦闘の神)が堰を切った。アヌンナキ(神々の集団)は松明を掲げ大地を燃やそうとした。
アダドの沈黙により全地が暗くなると、続く雄叫びで全 地は壺のように破壊された。終日暴風が吹き荒れ、大洪水が大地を覆った。
戦争のように、人々の上に破滅が走った。彼らは互いに 見分けもつかなかった。 六日六夜、大洪水と暴風が大地を拭った。
七日目、暴風と大洪水は戦いを終わらせた。大洋は静ま り、悪風は治まり、洪水は退いた。光が地上に射した。沈黙があたりを支配していた。
全人類は粘土に戻ってしまっていた。
私(ウトナピシュティム)はそれを見て、泣いた。』
 これはシュメール神話を起源としアッカド語、バビロ ニア語、ヒッタイト語、アッシリア語などで伝承されてきた「ギルガメッシュ叙事詩」12板中の第11 板「大洪水」の記述である。(月元昭男訳 岩波書店 一部省略また簡略化した)
 ギルガメッシュは紀元前2600年頃古代メソポタミ アの都市ウルク第一王朝5番目の実在した王と推定され、そのさまざまな冒険譚の最後に盟友エンキドゥ の死により自ら死すべきものと悟ったギルガメッシュが永遠の生命を求めて彷徨い、かつて都市シュルッパクの洪水を方舟を造り生き延びてそれを手に入れて神 となったウトナピシュティムを訪ね、彼がギルガメッシュに語るのがこの「大洪水」物語である。私はこれまでこの「大洪水」はユーフラテス川下流域のメソポ タミアで源流地の雪解け水によって毎年繰り返される河川の氾濫の大規模なものとして理解していたが、今回の大震災を受けてもう一度読み返し、以前は気に留 めなかった「全地は壷のように破壊」「大洋は静まり」に注目し、この「大洪水」に地震と大津波の要素も含まれていることにおくればせながら気づいた。ま た、この描写の、簡潔ながら大規模自然災害のリアリティに満ちていることにも思い至った。しかしそれだけではない。この物語は次のように続いて語られる。 なんと古代シュメールの神々は大洪水を起こしたエンリル神(嵐の神・地の男神)に抗議し、人々の死を嘆き泣くのである。
『神々も大洪水を恐れ、アヌ神(天空の神)の天に昇っ てしまった。神々はうずくまった。イシュタル(愛の女神)は絶叫し、嘆いた。
「いにしえの日が、粘土と化してしまったとは!私が神 々の集いで禍事を口にしたからか!どうして禍事を口にしてしまったのか!

人間を滅ぼすために戦争を命じてしまっ たのか!私が生 んだ、わが人間たちが、稚魚のように海面を満たす---」
アヌンナキも彼女とともに泣いた。神々は嘆き、食物さ えとらなかった。
大女神(イシュタル)が首飾りを掲げて言った。

「神々よ、私はこのラピスラズリを決して忘れない。こ れらの日々を心に 留め、決して忘れない。
神々よ供物に集え。だがエンリルは来てはならぬ。彼は 熟慮なく大洪水を起こし、わが人間たちを破局に引き渡したからだ」
エンリル神は遅れて来たが、方舟を見ると怒って言っ た。「何らかの生命が破局を逃れたのか。人間は生き延びてはならなかったのに」エア神 (知恵と水の男神) がエンリルに言った。
「あなたは英雄、神々の賢者。どうして熟慮なく洪水を もたらしたのか。
罪人にはその罪を負わせよ、咎人にはその咎を負わせ よ。それで赦せ、それで我慢せよ。彼とて抹消されてはならない。
洪水をもたらす代わりに、ライオンを放ち人間の数を減 らせばよかったのだ」』
 エンリルがなぜ大洪水を起こしたか、またイシュタル の口にした禍事 とは何か、この散逸の多 い叙事詩では明らかではない。エンリル はシュメール神話の主神 とされているが、神々の父はアヌ神であり、エンリルもその子にすぎない。このように不明な点もあるが、この「大洪水」神話は単なる架空の物語ではなく、古 の人々が経験した大規模災害を神々に仮託して語り伝える伝承という側面があったのではないか。この物語において、シュメールの神々はエンリルを除いて大洪 水の被害者・被災者である人間の側にたち身を寄せ、災いを嘆き悲しみ、「粘土のように」失われた人々にかわって心に留めることを誓うのであるから。
 このようにギルガメッシュ叙事詩は古代の人々の死生 観、信仰そして大洪水の有様とそれによる神々の悲嘆などを生き生きと記す。しかしそのはるかのち紀元 前537年頃ペルシャ王キュロスによりバビロン捕囚から解放され、イェルサレムに帰還した作者たちが記す旧約聖書「創世記」はこの古代世界に広く伝えられ た物語を、絶対的な唯一神ヤハウェへの服従を説く物語に変換させる。ノアの物語には洪水で被災する人々への視点は全くと言ってよいほど欠落している。この たびの大地震と大津波の被災者、放射能汚染被害に苦しむ人々を尻目に、東京電力福島第一原発が供給する電力の最大消費地たる東京都の知事は「津波は天罰。 我欲を洗い流せ」と述べのちに撤回したが、被災者の側にたち悲嘆しまた自責の念を表白するシュメールの神々のなんと倫理的・人間的であることか。



東日本大震災から三週間   2011年 3月31日
このたびの東日 本大震災で被災された方々に心からお見 舞いを申し上げます。
私事多忙につきこのブログも一年近く更新していません でしたが、再度ゆっくり始めようと思い至りました。
この数年撮りためていた近所の梅の写真をまとめて掲載 しました。
今回の災害は戦後最大あるいは人類が経験した自然災害 のなかでも最大のものではないでしょうか。旧約聖書のノアの物語やそのルーツである古代シュメールの ギルガメッシュ叙事詩の大洪水の物語が、人類が太古から経験してきた大規模自然災害への警鐘であったということをはじめて実感しています。
少年期を過ごした西宮が16年前の阪神淡路大震災で被 災、後に訪れたとき町は大きく変貌していました。肉親、友人を亡くされたかたがたの嘆き悲しみは容易 く癒えることはないでしょうし、今回の災害は東北関東に限らず日本社会の復興にどれだけの時間と努力がひつようかわかりませんが、自然の驚異に備えながら 多少の、いやかなりの不便はあっても自然と共存するより安全で安心なシステムをこれから構築していかなければならないと感じています。  







                                                                                                                                                                 
  
     





























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