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国旗・国歌訴訟4


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中・高スポーツ地区・都大会で国旗・国歌指導の異常  2015 年6月26日
これは決して「おすすめ」できる記事ではない。私は退職前まで8年ほど実技はできないがバドミントン部の顧問もしていて、その定時制都大会や全国大会に引 率して(というか、実際は生徒に連れて行ってもらって)いたのだが、この報道には驚きと憤りを禁じ得ない。



これらの大会の主催者は全国高等学校(中学校)体育連盟及びこれに所属する各体育連盟であり、学校設置者ではない。従って選手の出場に関わる経費(旅費・ 宿泊費等)は生徒の自己負担(学校でカンパなどが行われることも多い)であり、引率教員のみ公費が支給されるが、例えば夏休みに部員や同級生などを連れて 応援に行く場合も引率以外の教員は顧問であっても年休扱いとなる。
ところで、この自民党山崎一輝都議とは江東区選出42歳、父親は元都議で現江東区長でその私設秘書から親の地盤・看板(ついでに地元企業からの献金も)を 引き継いで当選した地方版2世議員であり、かつ日本会議地方議員連盟に所属する右派議員である。この議員は現在都議会文教委員会に所属しその副委員長なの だが、20日の原告団からの報告メールによれば、この17日の一般質問の後19日の文教委員会において、5月25日の再雇用拒否撤回を求める第2次訴訟東 京地裁判決(都側敗訴)に対する都の控訴を批判・反対する共産党、生活者ネットの委員の発言中、副委員長席から執拗に恫喝的なヤジを飛ばし続けていた人物 である。以下引用。
《「恫喝するような自民党の野次 都議会セクハラ野次の反省はどこへ」
続いて、控訴に反対する立場から里吉ゆみ文教委員会副委員長(共産党・世田谷区)が質疑・討論にたちました。共産党の発言が始まると自民党の議員がにわか に活性化し、終始野次が続きました。自民党の親分の安倍総裁も野次が国会で問題になっていますが、都議会自民党もセクハラ野次で「自粛」どころか親分に負 けずにひどいものです。特に目立ったのは、Y文教委員会副委員長(江東区)。委員長席の隣で小竹委員長と里吉ゆみ都議、小松久子文教委員会理事(里吉さん の次に発言 生活者ネット・杉並区)の発言中恫喝するようなヤジを続けていました。
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会 東京「君が代」裁判原告団》
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このY副委員長が山崎都議なのだが、都議会自民党の「ヤジ四天王」のひとりで昨年の都議会でのいわゆるセクハラヤジで最初の「結婚しないのか」を認め自民 党会派離脱した都議以外でその場で続けて愚劣なヤジを飛ばしていた疑いを持たれている人物である。次は都議会一般質問から抜粋。
2015年都議会第2回定例会 一般質問 
〇六十七番(山崎一輝君)
「オリンピック等の国際大会の開会式や表彰式においては、国旗掲揚、国歌斉唱が行われます。・・・二〇二〇年大会開催に向けて、国際交流がますます盛んに なります。今後、学校では、さまざまな機会を捉えて、我が国のみならず、ほかの国や、その国民に敬意を表する態度を児童生徒に育成していくことが必要で す。・・・そこで、二〇二〇年大会が開催されることを踏まえ、例えば中学校や高等学校の部活動の大会などにおいても、国旗及び国歌の指導を行う必要がある と考えますが、見解を伺います。」
〇教育長(中井敬三君)
「二〇二〇年に向けて諸外国と交流する機会がますますふえることから、国際社会においては、国と国とが互いの主権を尊重して成り立っていることを、児童生 徒が理解することは極めて重要であります。
 このため、学校においては、我が国と同様に諸外国の国旗と国歌の意義を児童生徒に理解させるとともに、これを尊重する態度を育て、国際社会において尊敬 され、信頼される人間を育成してまいります。
 さらに、学校以外においても、学校教育との関連を図り、児童生徒の理解が深められるよう、中学生や高校生のスポーツ大会における国旗・国歌の指導の充実 に向け、東京都の中学校や高等学校の体育連盟などに働きかけを行ってまいります。」
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このやりとりでは一応「諸外国の国旗・国歌の意義」「諸外国、国民に敬意を表する態度」などに触れてはいるが、要するに中高生の部活動の対外試合に日の丸 を掲揚し君が代を斉唱するよう「要請」するというものだ。これら大会は学校教育の範疇に属さず、そもそも「国旗・国歌の指導」の対象ではない。部活動は生 徒の自主的活動=課外活動であり、教育課程(教科、 特別活動、 総合的な学習の時間の 三 領域)に含まれず、現行学習指導要領では総則第五の5の(13)で「教育課程との関連が図られるよう留意」との規定は存するが、学習指導要領の掲げる「国 旗・国歌の指導」は特別活動に含まれる「入学式や卒業式など」についての規定であり、この特別活動に部活動は含まれない。まして中学生・高校生の各県の地 区大会や県大会で「国旗・国歌の指導」を行うとの規定などどこにも存在しない。

そもそも、オリンピックで行われるのは「国旗掲揚」や「国歌斉唱」ではない。オリンピック憲章から引用する。
第 1 章 オリンピック ・ ムーブメント
6 オリンピック競技大会
1. オリンピック競技大会は、 個人種目または団体種目での選手間の競争であり、 国家間の競争ではない。
第 2 章 国際オリンピック委員会 (IOC)
15 法的地位
IOC は国際的な非政府の非営利団体である。
第 4 章 国内オリンピック委員会 (NOC)
4. 政府もしくはその他の公共機関はいかなるNOC のメンバーをも指名してはならない。しかし、NOC は、自らの裁量でこのような機関の代表をメンバーとして選出する旨決定することはできる。
第5章 オリンピック競技大会
W .プロトコル (儀礼上の約束事)
56 表彰式、 メダルと賞状の授与式
表彰式、 メダルと賞状の授与式は IOC プロトコルガイドに忠実に従い催されるものとする。
57 入賞者名簿
IOC と OCOG は国ごとの世界ランキングを作成してはならない。
付属規則
1 表彰式
1位、2位、3位の競技者が、公式の服装もしくは競技用の服装で貴賓席に面した表彰台上のそれぞれの位置に立つ。---彼らの名前、および他の入賞者の名 前が読みあげられる。優勝者の所属する派遣団の旗がセントラル・ポールに掲揚され、---優勝者の所属する派遣団の歌(短縮したもの)が演奏される間は、 メダル受賞者たちは旗の方向を向いていなければならない。
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これらの規定は近代オリンピックがその理念において国家間の競争、過度なナショナリズムを排除し五大陸の融和を目標とすることから導かれる。派遣団の歌の 「短縮したもの」の規定は1952年からおよそ20年間IOC委員長を務めたアベリー・ブランテージの時代に導入されたものだが、ブランテージは上記理念 に基づいて一貫して表彰式における「国旗・国歌」廃止の提案を行い続けている。その努力の結果1965年にはIOC総会に正式に提案、IOC委員の過半数 の賛成(賛成34、反対22)を得たが規約改正に必要な3分の2に至らず実現しなかった。遺産として残ったのが国別ランキングの禁止と歌の短縮、「団体 旗」「団体歌」である。この辺は「IOCにおける国歌国旗廃止案の審議過程(1953-1968)−アベリー・ブランデージ会長期を中心に−」
https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/…/1/sportsk0310000390.pdf…'
が詳しい。
都議や教育長が国際理解を謳うなら、まずこうしたオリンピックの基本理念を正確に自身が理解すべきではないか。自ら範を示すのならまず議会での威圧的、傲 慢なヤジをやめることだ。部活動に参加する生徒一人一人は多様な各人の想いから活動している。その中に国際的なアスリートを目指す生徒がいるのも結構なこ とである。しかし、オリンピックに便乗していたずらに「国旗・国歌」の生徒への刷り込みを画策するのは如何なものか。それはオリンピックの理念、原則に反 している。
オリンピズムの根本原則

3. オリンピック ・ ムーブメントは、 オリンピズムの価値に鼓舞された個人と団体による、 協調の取れた組織的、普遍的、恒久的活動である。
4. スポーツをすることは人権の 1 つである。 すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。
6. 人種、 宗教、 政治、 性別、 その他の理由による、 国または個人に関する差別はいかなる形態であれ、 オリンピック ・ ムーブメントと相容れない。
オリンピック憲章には開催地に関する次の規定もある。
36 責任−オリンピック競技大会の組織運営の取り消し
2. NOC、 OCOG あるいは開催都市によるオリンピック憲章違反、 IOC の規則や指示の不履行、または義務違反があった場合、 IOC は開催都市、 OCOG、 NOC によるオリンピック競技大会の組織運営を取り消す権限を有する。 この取り消しはいつでも行うことができ、 即時有効となる。
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東京・新大久保などでの在日韓国人等へのヘイトスピーチの容認はこの観点からも問題だが、中高生の競技大会に「国旗・国歌」の実施を「要請」することも過 剰なナショナリズムとして憲章に抵触する。もし若者に国家や社会への愛着を持つことを願うなら、それに値するものに国や社会を形成していくことにつきる。 オリンピックへの便乗と政治利用はやめるべきである。







    








                                                                                                                                                                 
  
     





























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