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2022年 2月28日
「ロシアを全滅させようとする者がいるなら、それに応じる法的な権利が我々にはある。確かにそれは、人類と世界にとって大惨事だ。しかし私はロシアの市民で、国家元首だ。ロシアのない世界など、なぜ必要なのか」2018年
「われわれの国と国民に脅威をあたえようとするものにはロシアが即座に対応することを知らせなければならない。現代のロシアは、ソビエトが崩壊した後も、最強の核保有国の1つだ。最新鋭の兵器についても一定の優位性を持っている。ロシアへの直接攻撃は、潜在的な侵略者にとって、敗北と壊滅的な結果をもたらすことは間違いない」2月24日
「あのテレビ演説で、プーチンはクレムリンの支配者ではなく、地球の支配者のように振る舞っていた。派手な車のオーナーが、指でキーをくるくる回して見せびらかすのと同じで、プーチンは核のボタンをくるくる見せびらかしていた。彼はもう何度も繰り返している。『ロシアがないなら、地球に何の用がある?』と。誰も気にも留めなかった。しかし、これは脅しだ。自分が望むような扱いをロシアが受けないなら、何もかも破壊してやるという脅しだ」ノーベル平和賞受賞者ドミトリー・ムラトフ氏
「プーチン大統領は27日、北大西洋条約機構(NATO)主要国からのロシアに対する「攻撃的発言」を理由に、戦略核を運用する部隊を「特別態勢」に置き、警戒を強化するようショイグ国防相らに命じた。ーーロシア国防省は28日、大陸間弾道ミサイルや戦略爆撃機を運用する部隊、太平洋艦隊などが「特別態勢」に入ったとショイグ氏がプーチン氏に報告したと発表した」ロシア戦略核部隊が「特別態勢」北国新聞 https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/672262
 世界の運命が、スパイに憧れてソ連KGBの一員となりソ連崩壊後ロシア首相、大統領として祖国の栄光復活に固執し続ける69歳の男の手に握られている。
 ロシアとウクライナは一体という理由でロシア軍をウクライナに侵攻させ、4日間で子ども14人を含むウクライナ民間人の死者352人、負傷者1684人( https://www.tokyo-np.co.jp/article/162850 )の惨劇を招いた矛盾を自覚しないものは、自らの核先制攻撃による応酬で自国そして世界が壊滅的な結果を招いても気にしないということ。
 膨大な核戦力で民主的な国に理不尽な要求を通そうとするこうした手合いに対して「核抑止力」は机上の空論に過ぎない。「ロシアのない世界など、なぜ必要なのか」は世界を壊滅させる思考。核拡散ではなく核兵器の違法化と廃絶こそが、21世紀の人類の最大の課題だ。
《まず最初に、打ち明けておきたいことがある。私はもう何度も、「まさかプーチンがそんなことをするわけがない」と思ってきた。
「まさかクリミアを併合するなんて。そんなことするわけがない」。そう思ったが、併合した。
「まさかドンバスで戦争を始めるなんて。そんなことするわけがない」。始めた。
「ウクライナの全面侵攻なんてするわけがない」。侵攻した。
「するわけがない」というのは、ウラジーミル・プーチン氏には当てはまらない。そう結論するしかない。
だとすると、居心地の悪い疑問が浮かび上がる。
「まさか自分から先に、核のボタンを押すわけがない。どうかな?」
これは机上の空論ではない。ロシアの指導者は、自軍の核抑止部隊に「特別警戒」を命令したばかりだ。ウクライナ侵攻をめぐり北大西洋条約機構(NATO)がロシアに「攻撃的発言」をしたことを、理由に。
これまでプーチン大統領が何を言ってきたか、よく聞き直す必要がある。24日にテレビで「特別軍事作戦」を発表した時(これは実際にはウクライナ全面侵攻のことだった)、彼はぞっとするような警告をした。
「外部から介入を考える全員に告げる。もしそんなことをしたら、今まで歴史上見てきたどんなことよりひどい結果に直面することになる」と。
「プーチンの言葉は核戦争そのものの脅しに聞こえる」。ロシアの独立派新聞「ノーヴァヤ・ガゼータ」編集長で、ノーベル平和賞受賞者のドミトリー・ムラトフ氏はこう言う。
「あのテレビ演説で、プーチンはクレムリンの支配者ではなく、地球の支配者のように振る舞っていた。派手な車のオーナーが、指でキーをくるくる回して見せびらかすのと同じで、プーチンは核のボタンをくるくる見せびらかしていた。彼はもう何度も繰り返している。『ロシアがないなら、地球に何の用がある?』と。誰も気にも留めなかった。しかし、これは脅しだ。自分が望むような扱いをロシアが受けないなら、何もかも破壊してやるという脅しだ」
2018年のドキュメンタリーでプーチン大統領は、「ロシアを全滅させようとする者がいるなら、それに応じる法的な権利が我々にはある。確かにそれは、人類と世界にとって大惨事だ。しかし私はロシアの市民で、国家元首だ。ロシアのない世界など、なぜ必要なのか」と発言した。
2022年まで早送りしよう。プーチン氏はウクライナに全面戦争を仕掛けたが、ウクライナ軍は強硬に抵抗している。西側諸国は(ロシア政府の意表を突いて)たちまち団結し、ロシア経済に大打撃を与えかねない経済・金融制裁の発動を決めた。プーチン体制の存続そのものに、疑問符がついたかもしれない。
「プーチンは厳しい立場に置かれている」と、モスクワを拠点とする防衛アナリスト、パヴェル・フェルゲンハウアー氏は言う。「西側が実際にロシア中央銀行の資産を凍結して、ロシアの金融体制が実際に内部崩壊したら、彼の選択肢はあまり残っていない。そうすればプーチン体制は機能しなくなる」。
「欧州への天然ガス供給を打ち切ることで、欧州の態度軟化を期待するという手はある。あるいは、イギリスとデンマークの間の北極海のどこかで核兵器を爆発させて、様子見をするという選択肢もある」
もしもプーチン氏が実際に核の選択肢を選んだ場合、考え直すよう説得しようとする側近はいるのだろうか。あるいはやめさせようとする者は。
「ロシアの政治エリートは決して、国民の側には立たない。連中は常に支配者の側に立つ」と、ムラトフ編集長は言う。
そしてプーチン氏のロシアでは、支配者は全能だ。この国には、権力の均衡と抑制の仕組みはほとんどない。すべてを決めるのはクレムリンだ。
「プーチンに立ち向かおうという者はいない」と、フェルゲンハウアー氏は言う。「危険な状態だ」。
ウクライナの戦争は、プーチン氏の戦争だ。もし彼が軍事目標を達成すれば、ウクライナの主権国家としての未来は危うい。もしロシアの作戦がうまくいかず、ロシア軍が甚大な被害を受けるようなことになれば、ロシア政府はさらに必死の一手を打ってくるかもしれない。
「まさかそんなことをするはずは」という期待が、もはや適用されない場合は、なおのことだ。
(英語記事 Ukraine invasion: Would Putin press the nuclear button?)》

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2022年 2月28日
ささやかながら、支援金を振り込ませて頂いた。
 


2022年 2月28
ロシアのウクライナ侵攻に接し怒りに震えています。
侵攻は事実上の開戦ではないでしょうか。真珠湾奇襲攻撃が思い出されます。
国土を廃墟(はいきょ)とした戦争、そして広島・長崎への原爆投下。
被爆者として許せないことは、プーチン大統領が核兵器国であることを誇示し、核兵器で威嚇していることです。
5歳被爆の記憶でも、閃光(せんこう)と爆風で何もかも無くなった黒い街、道に転がり川に積み重なった死体、水を求める人の姿を忘れることはできません。ロシアの行為は、広島・長崎を繰り返し「ふたたび被爆者をつくる」ことそのものです。
日本被団協は結成宣言で、被爆者は「自らを救うとともに、私たちの体験をとおして人類の危機を救おうという決意」を誓い、今日まで核兵器のない世界を実現するために生きてきました。
今回のロシアの侵攻は、被爆者の願いを踏みにじり、人類を危険にさらす行為です。即刻、やめることを求めます。(日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の木戸季市事務局長が25日に出した談話)
ロシア連邦大統領 ウラジーミル・プーチン殿
1、 全世界の市民と政府の抗議にもかかわらず、貴職はウクライナ東部の二つ の地域の「独立」承認とロシア軍派兵を強行し、24日にはキエフをはじめウ クライナ各地への軍事攻撃を開始しました。これは、明白な侵略行為であり、 重ねて抗議するものです。
 いかなる理由にせよ、主権国家にたいする一方的な軍事攻撃は国連憲章に反 する重大な犯罪行為であり、軍事作戦の即時中止とロシア軍の撤退を強く求め ます。
2、 貴職は、ウクライナへの軍事侵攻開始にあたって「現在のロシアは、今や 世界で最も強力な核保有国の一つだ」「ロシアへの直接攻撃は侵略者の壊滅と 悲惨な結果につながる」と述べ、核兵器による威嚇をおこないました。 核兵器の使用がもたらすものは、広島と長崎への原爆投下が示しているよう に、大量破壊と非人道的な破滅的結末しかありません。貴職の発言は、人類と 世界に対する挑戦であり、貴国自身が調印した「核戦争に勝者はなく、決して 戦ってはならない」との五大国共同声明にも反するものです。被爆国の運動と して断固抗議し、核兵器の全面的廃絶のために行動するよう強く要求します。
2022年2月25日 原水爆禁止日本協議会
「現代のロシアは、ソビエトが崩壊した後も、最強の核保有国の1つだ。最新鋭の兵器についても一定の優位性を持っている。ロシアへの直接攻撃は、潜在的な侵略者にとって、敗北と壊滅的な結果をもたらすことは間違いない」(プーチン24日ロシア国民向けのテレビ演説)
「(プーチン氏は)基本的な不信感を米国に対して持っている。「NATOを拡大しないはずだったのにどんどん拡大し、ポーランドにはTHAADミサイルまで配備をしているではないか」と。その基本的な不信感の中で、プーチンとしては領土的野心ということではなく、ロシアの防衛、安全の確保という観点から行動を起こしているということだろう」「「敵基地攻撃」という言葉にこだわらないほうがいい。彼らの軍事中枢自体を狙っていく。軍事をつかさどるインフラを破壊していく。基地である必要は全然ない。むしろそういう反撃力だ」「核の問題は、NATOでも例えば、ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリアは核シェアリング(核共有)をしている。自国に米国の核を置き、それを(航空機で)落としに行くのはそれぞれの国だ。これは、恐らく多くの日本の国民の皆さんも御存じないだろう。日本はもちろんNPTの締約国で、非核三原則があるが、世界はどのように安全が守られているか、という現実について議論していくことをタブー視してはならない」(安倍晋三元首相27日フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」)
「(ソ連の書記長を務めた)ゴルバチョフ氏と米国の指導者との交渉についての資料が公開されていますが、この点についてのはっきりした公式な約束や条約はありません。当時は1980年代の終わりで、まだ(冷戦時代で)鉄のカーテンがあり、ソ連が存在し、中欧の国はソ連と密接につながっていました。そんな国々がNATOに加盟するなどというのは、当時は裏切り行為に当たります。ですから、当時は誰もNATOがそうした国々に拡大するなんて考えてもいませんでした」フランスでNATOの東方拡大を研究する国際政治学者、アメリ・ジマ氏 https://digital.asahi.com/art.../ASQ2G7F2QQ2FUHBI01P.html...
「NATOの軍勢は脅威となる活動を展開してはいない。だからウクライナをめぐる状況は、ロシアを含む国々が国内の勢力(エリート)のために人為的につくりだされた、打算的な性格のものである」「全ロシア将校協会」レオニード・イワショフ退役大将 https://globe.asahi.com/article/14550085...
 プーチンによる相手国の主権も国連憲章などの国際法も公然と無視し、更には核兵器の使用にまで言及し世界に向けて恫喝を加えながらのウクライナへの軍事侵攻について、唯一の戦争被爆国であるこの国の被爆者がその侵略行為と核による威嚇に心からの抗議と軍事行動の即時停止を呼びかけているときに、その唯一の被爆国であり憲法による戦力の不保持と交戦権の否認を定め、そして非核三原則を国是とする国の元首相が、ウクライナに侵攻を続け市民に多大な犠牲を強いるプーチンを批判することなく、日本の核共有(シェアリング)の検討を促し、さらに「敵基地攻撃」として今まさにウクライナでロシア軍が行っている、市民を巻き添えにした基地やインフラ、軍事中枢への攻撃を行う能力をこの国も検討すべしと発言する。無知、無責任と時代錯誤も甚だしい。
 ロシアの退役大将や西欧の研究者が述べるように、プーチンが侵攻の理由に掲げる「NATOを拡大しないという約束」やそれに反するNATOの東方拡大とウクライナの加盟がロシアの安全を脅かすという主張は虚偽でしかない。
「ウクライナがNATOに加盟するなどというのはフェイクニュースのようなものです。2008年にNATOは、ウクライナとジョージアが将来加盟する可能性を話し合いましたが、具体化はされませんでした。具体的な加盟プランはウクライナに与えられなかったのです。あたかもウクライナがNATOに加盟する計画があるかのようなロシアの語り口は、フェイクニュースなのですーーロシアが恐れるのは、EUの魅力が強すぎる状況です」(アメリ・ジマ氏)
 かつてロシアのクリミア侵攻への制裁に後ろ向きのまま、2019年の交渉で「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう、ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆けて、駆け抜けようではありませんか」とまったく的外れな発言をした責任をこの愚かしい政治家はどう捉えているのか。「ウクライナ市民に連帯を表明」するよりも、単身クレムリンに乗り込んでそのウラジーミルとやらにウクライナ侵攻と核による威嚇の即時停止を「ゴールまで」話し込んだらどうか。
 核保有国指導者の誰もが常に、理性的で合理的な判断ができるという保証などどこにもない。今回のロシア軍のウクライナ侵攻は、米露などの核戦力保有が国際秩序の不安定化を促進し、ウクライナのような平和で民主的な国を特定の核保有大国が侵略することを招いたことを示している。核保有国が非保有国を侵略する、これに対して他の核保有国は核による威嚇か、通常兵器での参戦か、または義勇軍を組織して送るか、経済制裁を伴う経済的支援かしかできず、前の三つは世界戦争か核戦争を誘発する。
 核兵器をめぐっていま必要なことは、核を保持しない圧倒的多数の諸国の安全を世界がどう保障するか真摯に検討し適切な制度を創設すること、そして何より核兵器の所有や威嚇そして行使を絶対に許さない世界的な枠組みを構築することであり、そのためにもロシアの侵略行為に対してその政治指導者の犯罪行為を国連と国際司法裁判所などが厳正に対処すること、核兵器禁止条約に日本が率先して参加し核保有五大国などに核軍縮と廃絶に取り組むプロセスを始めさせることだ。
《日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の木戸季市(すえいち)事務局長(82)は25日、ロシア軍によるウクライナ侵攻について「プーチン大統領が核兵器国であることを誇示し、核兵器で威嚇している」などと抗議する談話を公表した。在日ロシア大使館にもファクスで送ったという。
 木戸事務局長は談話で、「ロシアの侵攻に接し怒りに震えている」と非難。「人類を危険にさらす行為。即刻、やめることを求めます」などとした。
 ロシアが核保有国であることを念頭に、木戸事務局長は「私たち被爆者にとって、核兵器は絶対に二度と使われてはならない」と話した。【春増翔太】》



2022年 2月27日
「全体として、戦略的安定性は維持されており、核兵器は安全に管理されており、NATO軍は増強しておらず、脅迫的な活動をしていない」
「ソ連崩壊の結果ウクライナは独立国になり、国連加盟国になった。そして、国連憲章51条によって、個別的自衛権、集団的自衛権を有する。つまり、ウクライナにはNATOに加盟する権利があるのだ」
「ロシアの国家モデルと権力システムが魅力的なものである必要があった。しかし、ロシアは魅力的なシステムを作ることができなかったので、ウクライナは、欧米に行ってしまった」
「世界のほとんどの国がクリミアを今もウクライナ領と認識している。このことは、ロシア外交と内政の失敗をはっきりと示している」
「ロシアは間違いなく平和と国際安全保障を脅かす国のカテゴリーに分類され、最も厳しい制裁の対象となり、国際社会で孤立し、おそらく独立国家の地位を奪われるだろう」
「戦争は、しばらくの期間、反国家的権力と、国民から盗んだ富を守るための手段だ」
「今日、人類は戦争の前夜に生きている。戦争は巨大な悪、犯罪だが、ロシアは、迫りくるこの破局の中心にいる。外からの脅威はもちろんあるが、今、それは危機的ではなく、ロシア国家の存在や死活的国益を損なうものではない。NATOの軍勢は脅威となる活動を展開してはいない。だからウクライナをめぐる状況は、ロシアを含む国々が国内の勢力(エリート)のために人為的につくりだされた、打算的な性格のものである」
「対ウクライナ戦争が起きれば、1)ロシアの国家的存立に疑問符がつく2)ロシアとウクライナは永遠に絶対的な敵となってしまう3)両国で、千人単位(万単位)の若者が死ぬ」
「戦争は自らの反民族的な権力を保ち、国民から奪った財産を守るための手段である。我々ロシアの将校は大統領に対し、戦争を挑発し、結果的に結束した西側の軍に対抗して孤立するような犯罪的な政策を止めるよう求める。(国民主権を定めた)憲法3条にのっとり、辞任を求める。退役軍人、予備役、ロシア市民に、プロパガンダや開戦に反対する声を積極的にあげるよう、呼びかける」
(1月31日「全ロシア将校協会」HPに公開の「ウクライナ侵攻をやめること」と「プーチン辞任」を要求する「公開書簡」)
「誰よりも、戦争を欲しないのは将軍だ、ということを強調したい。ウクライナとの戦争が起きれば、数万人の健康で若い兵士が死ぬでしょう。私は母親のなげく声を聞きたくないのです。もし、我々(ロシア軍)がウクライナのどこか、たとえば、キエフを占領したら、そこから退去できなくなる。何年にもわたって駐留せざるをえない。なぜなら必ず、ウクライナでパルチザンが組織されるからです。(ロシア軍が)秩序を維持する必要が出てくる。そのために何万人ものロシアの若者をウクライナに送るのは愚かです」ラジオ局「モスクワのこだま」に出演したレオニード・イワショフ退役大将(78)
 1月31日「全ロシア将校協会」がHPに公開したロシア軍のウクライナ侵攻の回避とプーチンの辞任を求める公開書簡を、モスクワ在住の国際関係アナリストとモスクワ留学経験のあるジャーナリストが伝える二つの記事。
 書簡を書きラジオで語っているのは、ユーゴスラビア問題でNATO軍将軍らとの交渉を担当したロシア国防省国際軍事協力局長などを歴任したレオニード・イワショフ退役大将(78)。
 1990年の東西ドイツ統一と1991年のソ連崩壊以後、1999年東欧のチェコ=スロバキア、ハンガリー、ポーランド、2004年ルーマニア、ブルガリア、スロベニアそしてバルト三国のリトアニア、エストニア、ラトビアがNATOに加盟したが、例えばヨーロッパで最初の成文憲法を持ったポーランド・リトアニア共和国はエカチェリーナ2世のロシアなどにより1772年から三回の分割で滅亡、第二次大戦時1939年独ソにより全国土を分割占領されてポーランド第二共和国は滅亡、1918年リトアニアはロシア革命の最中に独立を宣言しリトアニア第一共和国となったが、1940年ソ連の侵攻によってソ連邦に編入された歴史を持つ。
 これらの東欧、バルト諸国はロシア帝国とソ連などによる侵略と併合の歴史を経て現在の独立を得たのであり、ソ連崩壊後のロシアがチェチェン戦争(1999~2009)やロシア・グルジア戦争(2008)そしてクリミア侵攻(2014)など武力行使を繰り返して核兵器と軍備を削減せず増強する現実を前に、NATO加盟を選んだということでしかない。
 ロシア軍の退役大将が「ロシアは魅力的なシステムを作ることができなかったので、ウクライナは、欧米に行ってしまった」「戦争は自らの反民族的な権力を保ち、国民から奪った財産を守るための手段」と語るのはまさに真実を突いている。
 NATOの東方拡大はロシアとくにプーチンの自業自得でしかない。キエフ大公国にルーツを有するウクライナは、モンゴル帝国による侵攻とポーランド、オーストリアそしてロシアによる支配を受けたが、ロシア革命時の1918年ウクライナ人民共和国を建国し、1920年赤軍の侵攻によってソ連邦に編入された。
 現在のウクライナの国旗と国家はこの共和国から受け継いだものであり、ウクライナとその政府を「国粋主義者」「ナチス」呼ばわりするプーチンによるウクライナ侵攻が、プーチンという愚かで冷酷な人物の最悪の侵略戦争であることは明らか。多くの市民と兵士たちの犠牲の上にウクライナをそしてロシアをも衰退させ世界を不安定化するこの戦争を一刻も早く終わらせることが、唯一の解決策だ。
《世界の目は現在、ロシアとウクライナに注がれている。
 10万人規模のロシア軍が、昨年11月からウクライナの東部国境付近にとどまっている。ウクライナの北の隣国ベラルーシでは現在、ロシア軍とベラルーシ軍の合同軍事演習が行われている。南を見ると、黒海にロシア艦隊が展開している。
 ロシア軍は、ウクライナを北南東、三方から包囲し、侵攻の準備が完了しつつあるように見える。
 プーチンの要求は、「ウクライナをNATOに加盟させない法的保証」だ。米国もNATOも、「この要求を受け入れることはできない」とロシア側に回答した。しかし、その後も侵攻回避のための交渉が続けられている。
 そんな中、ロシアでは、将校をまとめる団体、「全ロシア将校協会」が「プーチン辞任」を求める公開書簡を発表したーー



2022年 2月 6日
今日は大きな音で目が覚めたよ。それが戦争だって。死にたくない。
 24日ロシア軍の侵攻でウクライナ東部ドネツク州マリウポリの塹壕に避難した子供の声。伝えられるニュースの中で最も心を揺さぶられる。
 「ロシアとウクライナは一つ」「そのナチス化を防ぐため」と称する戦争が、なんの罪もない市民や子供たちに甚大な死と恐怖を強いる。
 侵攻から二日の26日ウクライナ保健相は子ども3人を含む少なくとも198人が死亡、負傷者は1115人で、うち子どもは33人と告げている。
 ロシア軍は今すぐに武器を納め、ウクライナから撤収せよ。




2022年 2月25日
「プーチン氏は政治改革も進めず、物価も高くなる一方で、今のロシアには希望もない。プーチン氏の行動を止めなければならない」ニューヨークの国連本部前でデモに参加したロシア人のアルトゥール・シャウフドニノフさん(28)
「何をすればいいか分からないし、とても怖いです。でも恐怖とは別に、自国当局がやっていることが恐ろしいし、恥ずかしいといった感情があります。周りの友人たちも同じ気持ちです」モスクワでBBCの取材に応じた若い男性
「1日中泣いていました。ウクライナの人々が死んでいきます。子供たちも、戦っている男たちも死んでいきます。それからどうなるんです? 私たちのような、ロシアの19歳や20歳の男も戦場に送られるんですか?」「(抗議に参加するのは怖くなかったのかと質問に)いいえ、怖くはなかったです。ウクライナや国境で起きていることこそ恐ろしい。私たちがここでしていることなど、何でもない」モスクワ中心部のプーシキン広場で
「「ショックを受けた」 ウクライナ侵攻、ロシア国民の反応を取材」BBC NEWS https://www.bbc.com/japanese/60518841
「ウクライナのNATO加盟を保証する用意がある国はどこなのか。率直に言って、どの国も怖がっている。全てのパートナー国に対して我々を支持してくれるかと聞いたところ、支持するという答えだった。だが、我々を同盟に迎え入れる用意は彼らにはない」ゼレンスキー大統領24日   https://www.cnn.co.jp/world/35184028.html
「同胞市民!人々(ナロード)により選ばれた我々は、無条件に、ロシア軍のウクライナ攻撃を非難する。これは前例のない悪行であり、決して正当化することなどできない。
攻撃の決断はプーチンが個人的に行ったものである。我々は、ロシア市民は彼にそのような権限は渡していないと信じている。
ウクライナとの戦争は、破滅的な結果をもたらすだろう。何千もの人々が死に、けがをし、壊され、その土地の、ロシア人にとって大切な都市が破壊されるだろう。我が国に待ち受けているのは、国際社会からの非難と、孤立、物価上昇、そして貧困である。ロシアでのよい生活への希望は目の前で崩壊する。
我々はあなた方に、この攻撃に参加したりそれを是認したりしないよう呼びかける。どうか沈黙しないで。人々の群をなした非難のみが、戦争を止めることができる」
「ロシアの地方自治体議員ら100人以上が署名した、戦争反対のオープンレター」仮訳したTaro Tsurumi 鶴見太郎氏のツイートから  https://twitter.com/taro.../status/1496787921998778378...
 プーチンによるロシア軍ウクライナ侵攻に抗議する人びとがモスクワやサンクト・ペテルブルクなどロシアの50以上の都市で静かに、しかし決然と行われ1600人以上が拘束されたことを報じる毎日と英BBC記事。テレビではBS世界のニュースでスペインTVEがモスクワの通りで抗議の声をあげ警察車両に連れて行かれる若者たちの姿を伝えていた。
 国内のツイートでは、ロシアの地方自治体議員ら100人以上が署名した戦争反対の意見表明が仮訳として提示されている。ロシアは決して一枚岩ではなく、抗議行動があったサンクト・ペテルブルクは「ウクライナのナチス化を防ぐ」と言いながら自らがまさにナチス張りの独裁者であるプーチンの出身地。キエフ公国とロシア帝国の歴史と文化を共有する隣国に、残忍な軍事侵攻を行う為政者に声をあげるロシアの人びとの勇気に敬服する。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は24日未明にロシアの侵攻が始まって以降、暫定的な集計で少なくとも兵士137人が死亡、316人が負傷したと述べている。ウクライナの兵士も市民もそしてロシア兵と市民も、ロシア大統領の著しく国際法と人道に背反した行為の犠牲者だ。ウクライナそしてロシアさらに世界から、非難と批判の声を上げ続けることが、この無謀な戦争を「止めることができる」と信じたい。
《ロシアのウクライナ侵攻に対する抗議デモが24日、ロシア各地で相次いだ。地元人権団体によると、50以上の都市でデモが敢行された。当局は厳しく取り締まり、現地時間の24日夜時点で1600人以上が拘束されたという。
 米メディアによると、モスクワでは若者を中心に大勢の市民がデモに参加し「戦争をやめろ」と叫びながら行進。警官隊が相次いで市民を拘束した。
 デモは米国、フランス、リトアニアなど世界各地でも相次いだ。米ニューヨークではウクライナ国旗や「血に飢えたプーチン(大統領)を止めろ」などと書いたプラカードを持った人々が軍事作戦の中止を訴えた。
 祖母がウクライナ西部テルノピリに暮らしているというオヤ・ボイチツカさん(23)は「電話で(祖母と)話したが、これから何が起きるのか分からず怖がっていた。無力だけど、連帯を示したい」と話した。
「血に飢えたプーチンを止めろ」と書かれたプラカードを持ち、国連本部前に立つウクライナ人の女性=米ニューヨークで2022年2月24日、隅俊之撮影
 ニューヨークの国連本部前でデモに参加したロシア人のアルトゥール・シャウフドニノフさん(28)は「プーチン氏は政治改革も進めず、物価も高くなる一方で、今のロシアには希望もない。プーチン氏の行動を止めなければならない」と話した。【ニューヨーク隅俊之、モスクワ前谷宏】》


2022年 2月25日
{この戦争に抗議して逮捕されると知っているロシア人の息をのむ勇敢さ。
ほら、他の場所だよ! TikTokでフォローしてください} : www.tiktok.com/@mhdksafa



2022年 2月24日
「ロシアに助けを求めている。これに関連して特別な軍事作戦を実施することにした。ウクライナ政府によって8年間、虐げられてきた人々を保護するためだ。われわれの目的はウクライナ政府によって虐殺された人を保護することであり、そのためにウクライナの非武装化をはかることだ。ウクライナ領土の占領については計画にない」
「われわれの国と国民に脅威をあたえようとするものにはロシアが即座に対応することを知らせなければならない。現代のロシアは、ソビエトが崩壊した後も、最強の核保有国の1つだ。最新鋭の兵器についても一定の優位性を持っている。ロシアへの直接攻撃は、潜在的な侵略者にとって、敗北と壊滅的な結果をもたらすことは間違いない」プーチン24日ロシア国民向けのテレビ演説
「ロシアの武装勢力は24日午前5時、東部にある我々の部隊への集中砲撃を開始した」ウクライナ軍参謀本部公式フェイスブック
「朝を迎えたウクライナの首都キエフではサイレンが鳴り響いた。国防相は、ウクライナ東部の部隊や軍司令部、飛行場がロシアからの激しい砲撃を受けていると明らかにした」キエフ 24日 ロイター
 自らが関与し連携する「独立勢力」による擬似国家の「承認」とそのウクライナによる「市民虐殺」という嘘と捏造を根拠に、「住民保護」を掲げて核の脅威さえ使って隣国に巨大な軍事力で土足で踏み入り蹂躙する核保有軍事大国の残忍で劣悪極まる元KGBロシア大統領。
 2014年2月のクリミア侵攻でもまったく同じ手法を使ってウクライナからクリミアを簒奪したが、今回さらにウクライナ全土に拡大侵攻する。
 2014年の侵攻について、国連総会は2014年3月27日「ウクライナの領土保全」の決議68/262.で、「武力の威嚇または使用若しくは他の違法な方法を通したウクライナの国境を変更するいかなる試みを含む、ウクライナの国民的統一および領土保全の部分的または全体的破壊を目的とした行動を、止めまた自制すること」「正当性を有していない、2014 年3月 16 日にクリミア自治共和国およびセバストポリ市で行われた住民投票は、クリミア自治共和国またはセバストポリ市の地位の変更の基礎を形作ることはできないこと」を決議し、国連UNHCRは2015年9月「ウクライナ政府によって登録された国内避難民の数は倍以上に増え、146万人となった」「ウクライナ東部では 2014 年 4 月中旬から 2015 年 8 月中旬の間に少なくとも7,883 人(軍人および市民)が死亡し、17,610 名が負傷した。また政府支配地域および非政府支配地域の両方紛争地域において、地雷や不発弾による死傷者も出ていると報告されている」と報告し、現在までの同地域の死者は2014年7月マレーシア航空旅客機がドネツク州上空で親ロシア派により撃墜され、乗客乗員298人が死亡する事件を含め1万4000人に達するとされている。ロシアの侵攻によって迫害や避難を強いられているのはウクライナ市民である。
 日本の安倍政権はロシアとの領土問題を抱えてロシアに対する制裁に及び腰で、クリミア侵攻へのロシアに対する諸国の制裁が続くなか、2019年9月5日ウラジオストックでの日露首脳会談で「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう、ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆けて、駆け抜けようではありませんか」とまで述べてプーチンに擦り寄った。こうした陳腐で醜悪な宥和策は二島返還さえ実現せずロシアのいまのウクライナ侵攻に繋がった。
 日本は憲法で平和主義を掲げ戦力の不保持・戦争放棄を定めているが、世界のいずれの国も他国に対し武力による威嚇・武力の行使、況んや核兵器使用の脅迫によって「非武装化を図る」ことなど出来はしない。1991年ソ連解体により東西冷戦が終わって30年、ロシアが隣国の非武装化を求めるなら、まず自らから率先して核兵器を含め軍縮と軍備撤廃を行うべきだろう。1月3日米国、英国、フランス、中国、ロシアの核保有5大国は「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」と声明を出したが、それをゴミ箱に捨てるこうした愚かな指導者のもとに莫大な核兵器が弄ばれようとする今こそ、世界はロシアのウクライナへの侵攻停止とともに、核兵器の廃絶を真摯に実現すべく努めなければならない。
《ロシアのプーチン大統領は24日、国民向けのテレビ演説で、ウクライナ東部の住民を保護するためとして特別な軍事作戦を実施することを明らかにしました。
軍事作戦の具体的な内容は明らかにしていませんが「ウクライナ領土の占領については計画にない」と述べました。
ロシアの国営テレビは24日朝、日本時間の24日正午前、プーチン大統領の国民向けのテレビ演説を放送しました。
このなかでプーチン大統領は、ウクライナ東部2州の親ロシア派が事実上、支配している地域を念頭に「ロシアに助けを求めている。これに関連して特別な軍事作戦を実施することにした。ウクライナ政府によって8年間、虐げられてきた人々を保護するためだ」と述べ、ロシアが軍事作戦に乗り出すことを明らかにしました。
またプーチン大統領は「われわれの目的はウクライナ政府によって虐殺された人を保護することであり、そのためにウクライナの非武装化をはかることだ」としましたが「ウクライナ領土の占領については計画にない」と述べました。
さらに「われわれの国と国民に脅威をあたえようとするものにはロシアが即座に対応することを知らせなければならない」と述べ、NATO=北大西洋条約機構の加盟を目指しアメリカなどとの軍事協力を進めるウクライナを非難しました。
そして「現代のロシアは、ソビエトが崩壊した後も、最強の核保有国の1つだ。最新鋭の兵器についても一定の優位性を持っている。ロシアへの直接攻撃は、潜在的な侵略者にとって、敗北と壊滅的な結果をもたらすことは間違いない」とアメリカなどをけん制しました。
プーチン大統領は、21日、ウクライナ東部の親ロシア派が事実上、支配している地域について独立国家として一方的に承認する大統領令に署名し、国防省に対して「平和維持」を名目として、軍の部隊を派遣することを指示していました。
また23日になってロシア大統領府は、ウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力からプーチン大統領に軍事的な支援の要請があったと明らかにしていてアメリカは「いつでも攻撃できる状態にある」と述べ、強い警戒感を示していました。ーーー


2022年 2月22
「特定の障害がある人などを一律に『不良』であると断定すること自体、非人道的で、個人の尊重という憲法の基本理念に照らし容認できない。子を産み育てるかどうか意思決定する自由を侵害し、明らかな憲法違反だ。国が障害者に対する差別・偏見を正当化し、助長してきたとみられ、原告は訴訟を起こすための情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあった。除斥期間の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する」「同意のないまま不妊手術を受けさせられ、生命をつなぐという人としての根源的な願いを絶たれた。旧優生保護法のもと、一方的に『不良』との認定を受けたに等しく、非人道的で差別的ならく印ともいうべき状態で、権利の侵害は平成8年に法律が改正されるまで続いた」22日大阪高等裁判所太田晃詳裁判長
「訴えが認められたことはうれしく思っているが、手術を受けさせられた悲しみは今も続いています。こうした判決が続くように、これからも闘っていきたいし、同様の被害にあわれた人たちが報われてほしいと思う」原告70代の妻
「裁判の闘いは長かったが、うれしい判決が出たと思う。高齢なので、国が上告すれば判決まで待てるか不安なので、上告しないでほしい」原告80代の夫
「最初に聞いたときは驚きました。これまで賠償は認められていなかったので、いい判決が出てよかったです。私たちには20年の除斥期間なんて関係ありません。これまで苦しい思いをしてきたので、仙台高裁も大阪と同様に賠償を認めてほしいです」仙台高裁原告70代の女性
 22日大阪高裁の旧優生保護法による強制不妊手術をめぐる損害賠償請求訴訟判決。
 国による不妊手術強制という極めて非人道的な行為について、70年が経過してようやくこの国でも「時効」「除斥期間」の縛りを超えてその著しく正義と人間性に背反した違法性を認定し、被害者に賠償を命じる判決が出た。
 政府が「不良」と見なした人々に不妊を強制する行為は、かつてナチスドイツが「断種法」によりドイツ国内で40万人、現在中国が新疆ウイグル自治区で10万人に行なっていることとおなじ国家による重大犯罪。旧「優生保護法」による違法な手術に対して「強制不妊救済法」が制定されたのは、同法成立(1948年)から71年後、その廃止(1996年)から23年後の2019年。同救済法は国の責任を明確にせず、さらにあまりにも遅い杜撰なものと言わざるを得ない。
 立法・行政の行為により国民が被った甚大な被害についてこのように長く放置してきたのは、この旧優生保護法による被害だけではない。広島・長崎の原爆放射線被曝や水俣病をはじめとする公害被害も長く放置し続け、そして福島原発事故による青少年の甲状腺癌多発についてもいまだにこの国の政府はその責任を認めようとしない。この大阪高裁判決を政府は漫然と上告するのではなく速やかに判決を受け入れ、「救済法」に国の責任を明記し、低額な一時金を是正して甚大な被害を受けた人々に対して誠意ある賠償をするべきだ。
《旧優生保護法のもとで不妊手術を強制された人たちが国を訴えた裁判で、大阪高等裁判所は、この法律が憲法に違反すると判断したうえで、国に賠償を命じる初めての判決を言い渡しました。
訴えを起こしていたのは、関西に住む、聴覚障害のある80代の夫と70代の妻の夫婦と、病気の後遺症による知的障害のある70代の女性の、3人です。
昭和40年代に旧優生保護法に基づく不妊手術を強制され、子どもを産み育てる権利を奪われたとして、国に合わせて5500万円の賠償を求めていました。
1審はおととし、不法行為を受けたあと賠償請求できる権利のある20年の「除斥期間」が提訴の時点で経過していたとして、訴えを退けていました。
22日の2審の判決で、大阪高等裁判所の太田晃詳裁判長は、旧優生保護法について「特定の障害がある人などを一律に『不良』であると断定すること自体、非人道的で、個人の尊重という憲法の基本理念に照らし容認できない。子を産み育てるかどうか意思決定する自由を侵害し、明らかな憲法違反だ」と述べました。
そして「国が障害者に対する差別・偏見を正当化し、助長してきたとみられ、原告は訴訟を起こすための情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあった。除斥期間の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する」として、1審の判決を取り消し、国に合わせて2750万円の賠償を命じました。
全国で起こされている一連の裁判で、国の賠償責任を認めた判決は初めてです。
今回の判決は、不妊手術を強制された人たちが受けた被害について「子をもうける身体機能の喪失にとどまらず、一方的に『不良』とのらく印を押し、個人の尊厳を著しく損ねる状態が、平成8年の法改正まで続いた」として、国が支払うべき慰謝料は1人当たり1300万円が相当だと認定しました。
国の救済策での一時金320万円を大きく上回る金額で、救済策の在り方を批判してきた原告たちの声を、裁判所が受け止めた形になりました。
22日の2審の判決で、大阪高等裁判所の太田晃詳裁判長は「旧優生保護法は、子を産み育てるかどうか意思決定する自由などを侵害し、明らかに憲法に反する。非人道的で差別的であり、人権侵害の程度は強い」と指摘しました。
そのうえで「国が障害者に対する差別・偏見を正当化し、助長してきたとみられ、原告らは訴訟を起こすための情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあった。除斥期間の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する」として、1審の判決を取り消し、国に合わせて2750万円の賠償を命じました。
全国で起こされている同様の裁判で、これまでに言い渡された判決はすべて訴えを退けていて、国の賠償責任を認定した司法判断は初めてです。
原告「国が上告すれば判決まで待てるか不安」
判決が言い渡されると、法廷では、原告の夫婦が代理人の弁護士と笑顔で握手をしたり、手話でうれしさを表現したりしていました。
傍聴席に集まった原告の支援者たちも、笑顔で万歳をするなどして喜んでいました。
判決のあと、原告で聴覚障害のある夫婦が手話通訳を介して会見を行いました。
この中で、70代の妻は「訴えが認められたことはうれしく思っているが、手術を受けさせられた悲しみは今も続いています。こうした判決が続くように、これからも闘っていきたいし、同様の被害にあわれた人たちが報われてほしいと思う」と話しました。
また、80代の夫は「裁判の闘いは長かったが、うれしい判決が出たと思う。高齢なので、国が上告すれば判決まで待てるか不安なので、上告しないでほしい」と話しました。
弁護団長の辻川圭乃弁護士は「今回の判決は人権擁護の最後のとりでとして原告を救済していて、裁判所が核心的な役割を果たしたと高く評価できる。原告の無念の思いが裁判官の心に届いて、山を動かした瞬間だ」と話していました。
後藤厚生労働相「大変厳しい判決」
後藤厚生労働大臣は記者団に対し「今回の判決は、国の主張が認められなかったものであり、国にとっては大変厳しい判決であると受け止めている。今後の対応については、判決の内容を精査し、関係省庁と協議したうえで適切に対応していきたい」と述べました。
松野官房長官「上告するかどうか含め 関係省庁で検討」
松野官房長官は、午後の記者会見で「国の主張が認められなかったものと認識している。上告するかどうかも含め、関係省庁で検討する」と述べました。
そのうえで、平成8年まで施行された旧優生保護法については「多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術などを受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことに、政府として真摯(しんし)に反省し、心から深くおわび申し上げる。このような事態を二度と繰り返さないよう、最大限の努力を尽くしていく」と述べました。
これまでの各地の裁判の判決は
旧優生保護法のもとで不妊手術を受けさせられたとして国に賠償を求める裁判は、原告側の弁護団によりますと、全国の9か所の裁判所に起こされています。
このうち、2審の判決は、今回の大阪高等裁判所が初めてです。
これまでに、仙台、東京、大阪、札幌、神戸で合わせて6件の判決が言い渡され、このうち4件は旧優生保護法を憲法違反とする判断を示しました。
しかし、この4件も含め6件すべてが原告の訴えを退けています。
このうち5件は、改正前の民法に規定されていた「除斥期間」を適用しています。
除斥期間とは、相手の不法行為から20年を経過すると裁判で賠償を求める権利が消滅するという規定で、原告が訴えを起こした時点で20年間を過ぎているという判断でした。
また、1件は旧優生保護法に基づいた強制的な不妊手術が実施されたとは認められないとしました。
「時間の壁」を破る司法判断
司法による救済を求める旧優生保護法の被害者たちに大きく立ちはだかってきたのが「時間の壁」です。
今回の裁判の1審やほかの判決の多くは、相手の不法行為から20年が経過すると裁判で賠償を求める権利が消滅するという、改正前の民法に規定されていた「除斥期間」を適用して訴えを退けてきました。
今回の2審でも大きな争点となり、国側は「20年の起算点は不妊手術が行われた昭和40年代とすべきで、提訴時点で20年を過ぎているため、賠償請求はできない」と主張していました。
「除斥期間」の適用は民事裁判では大原則とされていますが、過去には例外的に適用しなかったケースもあります。
昭和27年に生後5か月で国の政策による予防接種を受け、副作用で重い障害が残った男性が、22年後に国に賠償を求めた裁判で、最高裁判所が「男性は障害の影響などで長年、裁判を起こせなかった。その原因を作った加害者が賠償を免れる結果は、著しく正義、公平の理念に反する」として、予防接種から20年を過ぎたあとでの賠償請求を認めました。
原告側はこうしたケースを引き合いに「国が法律によって障害者への差別や偏見を生み出し、浸透させてきたことで、長年、裁判を起こせなかった」として「除斥期間」を適用すべきではないと訴えていました。
22日の判決で、大阪高裁は「除斥期間」の起算点は旧優生保護法が改正された平成8年だとして、訴えを起こした時点では20年を経過しているとしました。
その一方で「人権侵害が強度であり、憲法を踏まえた施策を推進していくべき国が、障害者に対する差別や偏見を助長し、原告は訴訟の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境だった」と原告側の主張を認めました。
そして「除斥期間の適用をそのまま認めることは、著しく正義・公平の理念に反する」と結論づけ、時間の壁を破って被害者の救済を図る判断を示しました。
1人1300万円の慰謝料が相当と判断
大阪高裁は22日の判決で、不妊手術を強制された原告の女性2人に対して、1人当たり1300万円の慰謝料を認めるのが相当だと判断しました。
判決では「同意のないまま不妊手術を受けさせられ、生命をつなぐという人としての根源的な願いを絶たれた。旧優生保護法のもと、一方的に『不良』との認定を受けたに等しく、非人道的で差別的ならく印ともいうべき状態で、権利の侵害は平成8年に法律が改正されるまで続いた」と指摘しました。
1人1300万円の慰謝料は、3年前に作られた救済法に盛り込まれたおわびや一時金として支払われる一律320万円を大きく上回る額で、今後、国は救済制度の見直しを迫られる可能性もあります。
救済法の対象となる人はおよそ2万5000人とされていますが、厚生労働省によりますと、申請件数は今月6日時点で1138件にとどまっているということです。
40年以上前に非人道的な手術を受けさせられ苦しんできた人の多くが高齢化し、一刻も早い救済が求められる中で、今回の司法判断に対して、国側がどのような態度を示すのか注目されます。
仙台での裁判の原告「いい判決が出てよかった」
全国で初めて起こされた仙台での裁判に参加している原告の70代の女性は「最初に聞いたときは驚いた。いい判決が出てよかった」と話しています。
仙台では4年前の1月、不妊手術を強制された宮城県の60代の女性が国に賠償を求める裁判を全国で初めて起こし、その後、同じく不妊手術を強制された70代の女性も加わって審理が進められてきました。
全国初となった3年前の5月の判決で、仙台地方裁判所は「子どもを産み育てるかどうかを決める権利を一方的に奪った」として、憲法違反の判断を示しましたが「賠償を求められる20年の期間が過ぎている」などとして訴えを退けました。
2人は控訴し、仙台高等裁判所で審理が続いています。
原告の1人、70代の女性は大阪高裁の判決について「最初に聞いたときは驚きました。これまで賠償は認められていなかったので、いい判決が出てよかったです。私たちには20年の除斥期間なんて関係ありません。これまで苦しい思いをしてきたので、仙台高裁も大阪と同様に賠償を認めてほしいです」と話していました。
また全国で初めて提訴した60代女性の義理の姉は「初めての高裁判決ということで心配していましたが、いい判決が出てよかったです。これから仙台高裁判決に臨む私たちにとって勇気づけられる話ですし、仙台も大阪と同様に判断してほしいです」と話していました。
識者「画期的で意義のある判断」
憲法が専門の慶応大学法学部の小山剛教授は「今回の判決では、旧優生保護法の人権侵害の度合いが非常に強烈なうえ、差別が固定化されてきた中で被害者に裁判を起こせというのは『酷だ』という考え方が示された。一般的に民事裁判では、除斥期間の適用が制限されるケースは非常に限られてきたが、旧優生保護法をめぐるこうした特殊性などを踏まえたうえで、正義・公平に反すると指摘していて、非常に画期的で意義のある判断だ」と話しています。
そのうえで小山教授は「今回は、除斥期間の壁を破ったほか、国の一時金320万円よりもケタが1つ違うレベルで賠償を命じる判断となったが、今後も続く同様の裁判の判決では、さらに結論が分かれる可能性はある。本来的には政治的な解決が望ましく、今回の判決が何らかの政治判断の背中を押す可能性もあるのではないか」と指摘しています。



2022年 2月20
一昨日富良野北の峰から発送されたiphoneが、今日10時すぎに届いた。
富良野で撮った画像と、パトロールの方たちが携帯で電話しながら探した履歴が記録に残っていた。なんとも有り難く、メールで到着と感謝の念をお伝えし、少し充電していつものようにお昼時にil ventoを訪ねる。
美味しいナポリを頂き、善光寺、天神山公園を歩いて石屋川沿いを降り阪神御影で食材買ってバスで帰宅。
小包には富良野スキー場のステッカーも入っており、記念に持参したボードに貼る。一昨日こちらからお礼の気持ちで神戸牛をお送りしたのだが、それが届き皆さんでこれから賞味すると返信あり。自身の不注意が原因だが、いい経験をさせて頂いた。またぜひフラノを訪ねたいものだ。



2022年 2月18
16日富良野三日目、横殴りの風雪の中非圧雪ゾーンを滑る途中7年ぶりに1月に購入したiphone12をゲレンデに落とす。
第二リフト沿いの林の横で前のめりに転んだ場所を3回探したが見つからず、昼過ぎインフォに紛失を伝えると、iphoneの「探す」機能がオンならばほかのiphoneで探せて、スキーパトロール隊員がビープ音を頼りにかなりの確率で見つけてくれるとのこと。
パトロールに紹介され親切に感謝しつつ思い出したのは、なるべくバッテリーの消費を抑えるため位置情報などの機能をオフにしていたこと。「探す」もオフにしていたら、ビープ音で探すことはできず、しかしパトロールのお二人と共にもう一度今度は携帯番号に隊員が電話をかけて発信音を鳴らしながら一緒にゆっくり該当箇所を探したがやはり見つからなかった。
滑りながら景色を撮るために携帯を入れた胸ポケットを開けたまま深雪斜面に挑んだ自身の不明を恥じ、健康に関わりないことにご足労いただいた謝辞を述べて紛失届を書き、遅いお昼を食べて荷をまとめて宅急便で送り、ラベンダー号と美瑛からの路線バスを乗り継いでこの日の宿白金パークヒルズに着く。宿泊客は10数名、晴れた十勝連邦を間近に望む部屋と温泉そして夕食を堪能した。
昨日は朝から雪、白金から美瑛に戻り、富良野行きバスの待ち時間を公共施設ラブニールで過ごすと前の公園で保育園の子たちが先生とともに雪滑りに興じていた。富良野で知っている店は蔓延防止措置で休業中、唯一開いていた寿司店でカツ丼を食べ、都市間バスが今回は乗客6人でワゴン車となって千歳空港に夕方到着。待機所で寿司弁を食べスカイマークは定刻発、寒波の雪雲の上を予定より早く8時過ぎ神戸に着いた。
夜PCで「探す」アプリを初めて開くと、なんと紛失した携帯が富良野スキー場ゲレンデにあることを表示。場所は前のめりに転んだ場所ではなく、隣の林間コースの不整地斜面で上下左右に体が揺れ続けた地点だった。まだバッテリーも半分ほど残っており、捜索時のビープ音などの設定もできた。
今日朝から北の峰のスキーパトロールの方と連絡も取れてメールで紛失地点の画像なども送ると、なんとしばらくして隊員の方の携帯の「探す」機能を使って雪の中から発見していただいた。PC画面上でそのiphoneが紛失地点からゴンドラ乗り場のセンターまで移動するのがリアルタイムで見れた。電話連絡があり、着払いで機器を神戸まで送るとのこと。ご足労をおかけし、感謝の念に耐えない。今度は注意して、また富良野に是非行きたいものだ。



2022年 2月15日
富良野2日目朝は晴れ。宿の車で送って頂き8時半に北の峰に着く。固く圧雪された斜面を富良野市街を見ながら滑る。風もなく穏やかだが足が張る。
昼となりの斜面を降りるが、ベースのラーメン店は土日だけ営業、ロープウェイ上のレストランで月見蕎麦を食べ、再びプリンス新館に降りパン工房でコーヒーでもと行くとこちらも閉まり、ニングルテラスの北の国からの資料を展示するハウスを訪ねる。
昨年亡くなった田中邦衛さんが、追悼黒板五郎と掲げられていた。
本館の温泉に入り外に出ると、那覇西と書かれた上着で沖縄からの高校生が楽しげに雪遊びしていた。北の峰に戻り宿の送迎車で雪景色のなか上富良野に帰る。夕方も十勝連峰が見える。



2022年 2月14
2年ぶりに富良野を目指し、スカイマーク朝の便で神戸から千歳。バスは昼過ぎで、久しぶりに空港の温泉に入り昼を食べる。
札幌からの高速バスは減便、乗った空港からの富良野行きバスは高齢者の団体でほぼ満席。
富良野駅で旭川行きバス乗り継ぎ上富良野。宿の送迎で4時過ぎホップスホテルに着いた。
午後は晴れたが、十勝連峰は雲のなか。早めに夕飯を頂く。今夜の最低気温はマイナス22℃とか。



2022年 2月12
日記がわりに。
寒い日が続く8日、アシスト車で降って水道筋の灘温泉に浸かる。商店街でコーヒー豆など買って帰宅。
昨日三宮に出ると人出はやはり少なめで大丸前の三ノ宮神社境内の紅梅は開花、白梅は咲き始め。栄町のDay's kitchenでジェノベーゼピザをいただくと、美味しいがコロナのためお客は少ない。メリケンパークのコーヒーの店は閉まっていてスタバで飲み、食材買って帰宅。
今日も晴れたが1日巣篭もり。明日は雨予報。
       



2022年 2月 6日
日記がわりに。
2月も寒い日が続く。コロナはついに感染者10万人越え。2日今年初めて六甲道の灘温泉に浸かる。利用客は少なめ、食材買って帰宅。3日これも今年初めて、しばらく閉じていた坂の下のpiza trsckをアシスト車で訪ねマルゲリータ。
2日届いた神戸市の三度目の摂取権で予約し、昨日午後HATなぎさの湯のあとビル9Fの接種会場でモデルナを打ってもらう。今日注射箇所の痛み以外特になくil ventoでノンアルモレッティーとバンビーニピザ。駅前で食材買い、バスを途中下車して神大構内を運動がてら歩いて帰宅。流石に疲れた。

 



2022年 2月 5
・福島原発事故前は発症数が年間100万人に1〜2人といわれた小児甲状腺がんが、福島県では、事故後11年間に、福島県民健康調査で266人、それ以外で27人、少なくとも合計293人と多発していること、そのうち少なくとも222人が甲状腺の片葉または全葉の摘出術を受けていて、「多くの子供たちが苦しんでいること」は紛れもない事実である。
・上記非難は、小児甲状腺がんの多発の原因が被ばくではないと言いたいのかも知れないが、これは科学的に決着がついた問題ではなく、彼らの発言こそ「不正確な情報」である。福島県県民健康調査検討委員会やUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)が被ばくとの因果関係を否定しても、これらの組織が因果関係の有無を決する権限を持っているわけではない。他方で、因果関係を認めるべきだと主張している多くの専門家がいる。
・福島県県民健康調査のスキームは、甲状腺がんにラテントがんがあることを十分認識しつつ、過剰診断、過剰治療に陥ることのないように慎重に作られている。がんを見つけたら拙速に切除するのではなく、その進行状況を見極め、周辺の組織への浸潤状況、周辺リンパ節への転移状況等も慎重に調査して、甲状腺治療ガイドラインが定める手術適応を満たした事例についてのみ手術を実施している。福島県で小児甲状腺がんの摘出術をした甲状腺外科医は、過剰診断であることを明確に否定している。
・小児甲状腺がん患者による損害賠償請求訴訟はやっと提起されたばかりである。原告の一人は、提訴の記者会見で、自分が甲状腺がんに罹患していることすら話せなかったと述べた。今回の一連のバッシングによって、小児甲状腺がん患者や家族が今まで以上に気持ちや疑問を口にできなくなることを強く危惧する。彼らの発言こそが「差別や偏見を助長」するのであり、福島の若者やその家族に二次被害を与えるものであることを自覚すべきである。
・国や行政がするべきことは、この小児甲状腺がんの多発が被ばく由来であるのか否かについて、徹底的に調査し、そのデータを公開し、市民を交えてオープンに議論し、因果関係が否定できないのであれば東京電力をして速やかに補償させること、福島の若者たちの苦しみを少しでも取り除けるような恒久的な支援体制を構築することである。
・小児甲状腺がん患者や家族が抱いている不安を押さえつけ、その口を封じるのではなく、事実が明らかになることによって一部に差別や偏見が生まれるのであれば、それを無くすよう努めるのが行政の役割であるはずである。
 1月27日東京電力に損害賠償請求を提起した311子ども甲状腺がん裁判弁護団による、元首相5人の書簡への非難に対する至極真っ当な抗議声明。
 「彼らの発言こそが「差別や偏見を助長」する」はまさにその通り。原子力関連事業と癒着して原発事故の放射線被害をできるだけ少なく若しくはなかったことにしようとする自治体と政府そして国際機関による被害者切り捨てとバッシング。本当に見苦しく醜い限りだ。
 一方で「がんは原発事故の影響とは考えにくい」としながら200を超える甲状腺摘出手術の多くを福島医大でおこなった鈴木真一教授は、2014年4月それらの手術が甲状腺治療ガイドラインを満たしたものであることをみずから認めている。
「福島県立医大の鈴木真一教授は28日、東京電力福島第1原発事故を受け福島県が実施している甲状腺検査で、がんの疑いが強いと診断、手術した子供の具体的な症例を横浜市で開かれた日本癌治療学会で報告した。
がんは原発事故の影響とは考えにくいとの見方を示した上で、過剰診断や必要のない手術との声が上がっていることに触れ「基準に基づいた治療だった」と強調した。ーーーがんの57人のうち県立医大が手術した54人について、8割超の45人は腫瘍の大きさが10ミリ超かリンパ節や他の臓器への転移などがあり、診断基準では手術するレベルだった。2人が肺にがんが転移していた。」日本経済新聞2014年8月28日
 「過剰診断論」こそが事実無根、被害者を叩き追い詰める倫理を欠落させた暴論でしかない。岸田首相以下ここで非難の声を上げた者たちをその職から去らせることがもう一つの課題だろう。
抗議声明
2022年2月4日
    311子ども甲状腺がん裁判弁護団
弁護団長   井 戸 謙 一
副団長   河 合 弘 之
同     海 渡 雄 一
日本の将来を真に憂いておられる元首相5名(小泉純一郎氏、細川護熙氏、菅直人氏、鳩山由紀夫氏、村山富市氏)が2022年1月27日付で欧州委員会委員長に対し、「脱原発・脱炭素は可能です ―EUタクソノミーから原発の除外を―」と題する書簡を発出された。その文中、福島の現状について「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ」との一節があったことに対し、細野豪志議員がツイッターで、山口壮環境大臣が元首相5名あて書簡で、自民党高市総務会長が抗議表明で、福島県内堀知事が申し入れで、岸田総理が予算委員会の答弁で、自民党福島県連が抗議文の送付によって、それぞれ非難、攻撃し、政府・自民党による総バッシングというべき様相を示している。その理由は、上記の一節は、「誤った情報であり」(環境大臣、岸田首相)、「誤った内容であり」(高市総務会長)、「科学的事実に反し」(細野議員)、「いわれのない差別や偏見を助長する」(環境大臣、岸田首相)、「福島の若者に不安をもたらす」(細野議員)、「誤った情報に基づいて風評が広がる」(高市総務会長)等というのである。
しかし、福島原発事故前は発症数が年間100万人に1〜2人といわれた小児甲状腺がんが、福島県では、事故後11年間に、福島県民健康調査で266人、それ以外で27人、少なくとも合計293人と多発していること、そのうち少なくとも222人が甲状腺の片葉または全葉の摘出術を受けていて、「多くの子供たちが苦しんでいること」は紛れもない事実である。
政府自民党による上記非難は、小児甲状腺がんの多発の原因が被ばくではないと言いたいのかも知れないが、これは科学的に決着がついた問題ではなく、彼らの発言こそ「不正確な情報」である。福島県県民健康調査検討委員会やUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)が被ばくとの因果関係を否定しても、これらの組織が因果関係の有無を決する権限を持っているわけではない。他方で、因果関係を認めるべきだと主張している多くの専門家がいる。
この点について環境省は、福島県県民健康調査のスクリーニングによって、放置しても進行しないラテントがんを多数見つけているだけであるという、いわゆる過剰診断論にたっているようであるが、過剰診断論は、実証された説ではない。逆に福島県県民健康調査のスキームは、甲状腺がんにラテントがんがあることを十分認識しつつ、過剰診断、過剰治療に陥ることのないように慎重に作られている。がんを見つけたら拙速に切除するのではなく、その進行状況を見極め、周辺の組織への浸潤状況、周辺リンパ節への転移状況等も慎重に調査して、甲状腺治療ガイドラインが定める手術適応を満たした事例についてのみ手術を実施している。福島県で小児甲状腺がんの摘出術をした甲状腺外科医は、過剰診断であることを明確に否定している。
小児甲状腺がんは、大人の甲状腺がんに比較して進行が速いといわれている。福島県は総数を明らかにしていないが、相当数の子どもが手術後再発しているようである。さる1月27日東京電力を相手取って損害賠償請求を起こした小児甲状腺がん患者6名のうち4名は手術後がんが再発しているのである。環境省は、これらの症例も過剰診断だというのだろうか。
福島県の子どもたちは全員がそれなりの被ばくをした。被ばくによって発症する極めて稀な病気に罹患した子どもたちが、その原因が被ばくではないかと疑うのは自然なことである。国や行政が押さえつけてもその不安を抑えることはできない。NPO法人3.11甲状腺がん子ども基金の調査によれば、甲状腺がんに罹患した子どもやその家族のうち、約6割は原因が被ばくであると考えているとのことである。しかし、小児甲状腺がん患者による損害賠償請求訴訟はやっと提起されたばかりである。原告の一人は、提訴の記者会見で、自分が甲状腺がんに罹患していることすら話せなかったと述べた。今回の一連のバッシングによって、小児甲状腺がん患者や家族が今まで以上に気持ちや疑問を口にできなくなることを強く危惧する。彼らの発言こそが「差別や偏見を助長」するのであり、福島の若者やその家族に二次被害を与えるものであることを自覚すべきである。
国や行政がするべきことは、この小児甲状腺がんの多発が被ばく由来であるのか否かについて、徹底的に調査し、そのデータを公開し、市民を交えてオープンに議論し、因果関係が否定できないのであれば東京電力をして速やかに補償させること、福島の若者たちの苦しみを少しでも取り除けるような恒久的な支援体制を構築することである。小児甲状腺がん患者や家族が抱いている不安を押さえつけ、その口を封じるのではなく、事実が明らかになることによって一部に差別や偏見が生まれるのであれば、それを無くすよう努めるのが行政の役割であるはずである。
福島県で多発している小児甲状腺がんの原因については、今後も調査を続けなければ科学的な決着はつかない。患者による東京電力を相手取った裁判も始まったばかりである。当弁護団としては、今回の一連の政府自民党等の元首相5名に対する不当なバッシングに対し、強く抗議するものである。
以上




2022年 2月 4
ここから白石草さんの「「UNSCEAR2020年報告書」で大幅に減った「経口摂取」甲状腺被曝を検証する」がダウンロードできる。キース・ベーヴァーストックの「福島原発事故に関する「UNSCEAR 2013年報告書」に対する批判的検証」(岩波科学)などと共に読むと、福島県「県民健康調査」検討委員会報告やUNSCEAR報告の持つ大きな問題点がよくわかる。
 不適切なのは、原発事故に起因する甲状腺がんなどの被害を訴える若者たちの声に耳を傾けることなく、むしろ被害者への差別と偏見をもたらす「過剰診断説」に固執するこれらの報告と岸田首相らの言動だ。
https://www.ourplanet-tv.org/44455/?fbclid=IwAR08arr7QUSo83Lz1x3Y7U14TLyTQ-kgRKMvu7O87TbfywrUexTJ4Ho8sNA



2022年 2月 4日
「甲状腺検査により見つかった甲状腺がんについては、福島県や国連などの専門家会議により現時点では放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がなされております。このため当該記述は、福島県の子どもに放射線による健康被害が生じているという誤った情報を広め、言われのない差別や偏見を助長することが懸念されるものであり、適切ではない」2日衆議院予算委員会 岸田首相
「福島第一原発の事故は、米国のスリーマイル島、旧ソ連のチェルノブイリに続き、原発が「安全」ではありえないということを、膨大な犠牲の上に証明しました。そして、私たちはこの 10 年間、福島での未曾有の悲劇と汚染を目の当たりにしてきました。何十万人という人々が故郷を追われ、広大な農地と牧場が汚染されました。貯蔵不可能な量の汚染水は今も増え続け、多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ、莫大な国富が消え去りました。この過ちをヨーロッパの皆さんに繰り返して欲しくありません」脱原発・脱炭素は可能です―EU タクソノミーから原発の除外を― 第 87・88・89 代内閣総理大臣 小泉純一郎ら五氏
「2020(令和2)年3月31日現在の集計において、先行検査では116名、本格検査(検査2回目)では71名、本格検査(検査3回目)では31名、本格検査(検査4回目)では21名、25歳時の節目の検査では7名、計246名において認められた甲状腺結節が悪性ないし悪性疑いと判定されました。ーーー検討委員会において、先行検査結果に対して「放射線の影響とは考えにくい」との見解が出されているほか、本格検査(検査2回目)結果についても「現時点において、発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」との評価が得られ、県民等に対して、各調査段階での原発事故と甲状腺がんとの因果関係等に関する知見を提示することができました」2020福島県「県民健康調査」検討委員会報告
「当委員会はまた、放射線被ばくの推定値から推測されうる甲状腺がんの発生を評価し、子供たちや胎内被ばくした子供を含む、対象としたいずれの年齢層においても甲状腺がんの発生は見られそうにないと結論付けた。公表されているエビデンスを鑑みると、被ばくした子供たちの間で甲状腺がんの検出数が(予測と比較して)大きく増加している原因は放射線被ばくではないと当委員会は判断している。むしろ、非常に感度が高いもしくは精度がいいスクリーニング技法がもたらした結果であり、以前は検出されなかった、集団における甲状腺異常の罹患率を明らかとしたに過ぎない」UNSCEAR secretariat「東電福島事故後の 10 年:放射線関連のがん発生率上昇はみられないと予測される」
「2018 年 12 月 31 日までに甲状腺検査対象者のうち福島医大で手術が行われたのは 180 人であり、ーー リンパ節転移が 72%、甲状腺周囲組織への浸潤が 47%、肺転移が 1.7%に認められた」第 16 回 甲状腺検査評価部会 開催報告2021年3月 22 日福島県甲状腺検査評価部会  http://www.pref.fukushima.lg.jp/upl.../attachment/446779.pdf
 100万人に一人とみなされる小児甲状腺がんが福島第一原発事故後福島における検査で、先行検査(2011~13)300,472名、1回目検査(2014~15)381,244名、2回目検(2016~17)336,670名、3回目検査(2018~19)294,240名、節目検査(2017~)66637名のうち246名の甲状腺がん(悪性ないし悪性疑い)が多発し、200人が摘出手術を受けリンパ節(72%)や肺(1.7%)への転移や再発もある現状について、「放射線の影響とは考えにくい」とは、あまりにも無責任な認識でしかない。
 この福島県による調査・分析とUNSCEAR「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」については海外および国内から厳しい批判が行われている。
キース・ベーヴァーストック「福島原発事故に関する「UNSCEAR 2013年報告書」に対する批判的検証」岩波科学(初稿を「UNSCEAR 2013年報告書」作業部会部会長のヴァイス博士に送付)
濱岡 豊「福島県甲状腺検査の問題点」
内山友也「小児甲状腺がんについて UNSCEAR 2016年白書が言及しないこと」
白石草「「UNSCEAR2020年報告書」で大幅に減った「経口摂取」甲状腺被曝を検証する」
「「報告書」の表 1 によると,日本当局(したがって,おそらく IAEA も)は,事故の重大さを充分認識していたにもかかわらず,レベル 7(放射能が国境を超える事故)の緊急事態であることを宣言したのは 4 月 12 日になってからだった*6。事実,「報告書」の表 1 からは,歴史が書き換えられた匂いが感じられる。事故後,何日もの間,メディアは一貫して,原子炉に損傷はなく,放射能放出もないと報道しており,IAEA が当時こうした報道を正したことはなかった」
「以下で示すように,線量に関する「報告書」の知見の最大の不確かさ(「報告書」の附属書で扱われている)は,事故直後の数日間の被ばく量にある。地震と津波によって適切な線量率測定がいっそう困難になったことは疑いないが,仮に緊急時対応計画が履行されていれば,何カ国もの国に援助を要請し,協力して対応することができたはずである。これによって,より包括的な環境放射線のデータセットを得ることができ,特に最初の数週間の被ばく量を推計することもできたはずなのだ。ーー,それゆえ,UNSCEAR の(したがって必然的に WHO の)線量推計の信頼性は非常に低く,架空とも言うべきものであり,「報告書」の作成が遅れた理由のひとつも,まさにどの信頼性の低い(または架空の)情報を採用すれば,最も信頼性のある解釈が出せるかを決めかねたためだったと想定せざるを得ないのである」
「「報告書」は科学的に公正なものとは到底言えず,さらには真の意味で科学的でさえない,というものである*12。以下,その具体例を挙げる。
1)科学委員会(UNSCEAR)は,委員構成の面で,原子力推進に共感する委員と原子力反対に共感する委員との間のバランスがとれていない。
2)同委員会の委員構成は,専門知識や功績にもとづいて厳正に行われているのではない。
3)リスクの「識別可能な上昇がない」という概念は,根拠のある公衆衛生概念ではない」
 世界保健機関(WHO)の元アドバイザーででチェルノブイリ原発事故追跡調査にも従事したベーヴァーストックは、2013年報告書について「同報告書はタイムリー、透明性に欠け、包括的でなく、利権から独立しておらず、科学的根拠にもとづいたリスク評価の基本的要件を満たしていない」とし、原子力産業との関係の強い委員が占めている同委員会は解体すべきだと唱えている。
 UNSCEARは2020報告で、福島原発事故は冬季に起こったため福島県産の 野菜の生産は少なく、震災の影響で県内の流通システムは混乱を来して県内野菜はほとんど消費されなかったとし、食品からの被曝線量は過剰だったとして事故直後の被ばく線量の推定値をさらに減らした(「2013 年報告書」で 放射線プルームによる外部被曝が0mGy(0%), 土壌からの外部被曝が 2.41 mGy(6.1%),放射線 プルームによる内部被曝が 4.14 mGy(10.5%),飲料水や食品からの内部被曝は 32.7 mGy(83.1%)だ った乳幼児(1 歳)の甲状腺吸収線量が,「2020 年 報告書」で外部被曝と吸入による内部被曝で 21 mGy,経口摂取による被曝線量はわずか 1.1 mGy(5%))。
 独立ジャーナリスト白石草氏による2020報告書の検証では、この初期および残留放射線について多くの資料をもとにこれが過小にすぎる評価であることを提示している。
「しかし,筆者が調べた限り,事実は異なる。大手スーパーでは物流がストップし,品物が入らな くなった一方,14 日には市場でセリが始まっていたのである。いわき市中央卸売市場と並ぶ中央 卸売市場として,福島県内の生鮮食料品の卸売の 中核的拠点を担っていた福島市中央卸売市場(当 時)32は 3 月 11 日の地震で甚大な被害を受けたものの,震災翌日には開いていた。ーーーさらに,週明けの 14 日には青果のセリも再開。 当時の資料によると,取扱量は普段よりは 1 割 減少しているが,3 月 12 日から 31 日までの間に, 2140.1 トン(3 億 4786 万円)の野菜が取り引きされた。 非常事態にありながらも,卸売市場は懸命に生鮮 食料品を流通させていたのである」
 放射能汚染はただ福島県にとどまるものではない。全国で初めて茨城県は3月19日、ほうれん草から高萩市 1 万 5020 Bq/kg,日立市 1 万 4500 Bq/kg,常陸太田市 8830 Bq/kg,大子 町 6100 Bq/kg,東海村 9840 Bq/kgなどの放射性ヨウ素を検出。同時に福島県内の原乳も川俣町の16 日の採取分が 1190 Bq/kg ,17 日 が 1510 Bq/kg ,18 日 が 920 Bq/kg と,いずれも暫定規制値を大幅に超え、東京都でも19 日築地市場で入荷した千葉県産春菊から暫定規制値を超える 4300 Bq/kg の放射線性ヨウ素を検出した。厚労省がこれらの出荷制限を始めたのは22日だが、農水省は「正当な理由」なき「受託拒否」を禁じる通知(「東京電力福 島原子力発電所の事故を踏まえた卸売市場におけ る生鮮食料品の取扱いについて」)を出して汚染された野菜などの広範な「出荷制限」を課すことなく、東京などで広く流通したと考えられる。
 未曾有の原子力災害によって子どもたちが広範な健康被害を受けているとき、「放射線による影響は考えにくい」「がんの発生は見られそうにない」などと、都合のいい推定と極めて杜撰な根拠で断じる権利は、自治体にも政府にもそして国際機関にもない。岸田首相らの「福島県の子どもに放射線による健康被害が生じているという誤った情報」などの言葉は、福島などで甲状腺がんを患い切除手術を受けさらに転移や再発に苦しむ子ども・若者たちを切り捨てる妄言でしかない。
《小泉元総理など総理経験者5人が福島第一原発事故に関連し、「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」などとする書簡を出しました。これについて岸田総理は、「差別や偏見が助長され適切ではない」との考えを示しました。
小泉元総理や菅元総理など5人の総理経験者が先月27日、欧州委員会の委員長宛てに、東京電力・福島第一原発事故により「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」とする書簡を送付していました。
これに対し、1日、山口環境大臣が「福島県内の子どもに放射線による健康被害が生じていると誤った情報を広めている」と抗議しました。こうしたことを受け、2日、岸田総理は衆議院予算委員会で次のように述べました。
岸田首相
「甲状腺検査により見つかった甲状腺がんについては、福島県や国連などの専門家会議により現時点では放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がなされております。このため当該記述は、福島県の子どもに放射線による健康被害が生じているという誤った情報を広め、言われのない差別や偏見を助長することが懸念されるものであり、適切ではない」
岸田総理は、「政府として引き続き科学的知見に基づく知識の国内外への発信を行い、放射線の健康影響に関する風評払拭に取り組んでいく」との決意を示しました。》




2022年 2月 6日
「今あった患者さんたちはIQが低いわけですね」1977年4月環境庁長官として熊本県水俣市を視察して
「絶対に戻らない。放っといちゃ骨折だらけで死んじゃう。ああいう人ってのは人格あるのかね。意志持ってないからね。ぼくは結論出してないんだけども、記者の皆さんどう思うかってさ」1999年9月都知事に就任し重度心身障害者施設を視察した後の記者会見
「東京では不法入国した多くの三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。大きな災害が起きた時には、騒じょう事件すら想定される」2000年4月陸上自衛隊第1師団の記念行事で
「文明がもたらしたもっとも悪(あ)しき有害なものはババァ。女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄。きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害」「週刊女性」2001年11月6日号の記事(テレビで対談した大学院教授の発言として)
「テレビなんかでも同性愛者の連中が出てきて平気でやるでしょ。日本は野放図になり過ぎている」2010年12月3日「(同性愛者は)どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」同7日
「我欲に縛られ政治もポピュリズムでやっている。それが一気に押し流されて、この津波をうまく利用して我欲を一回洗い落とす必要がある。積年たまった日本人の心のあかをね。これはやっぱり天罰だと思う。被災者の方々、かわいそうですよ」2011年3月
「業病のALSに侵され自殺のための身動きも出来ぬ女性が尊厳死を願って相談した二人の医師が薬を与え手助けした事で『殺害』容疑で起訴された。武士道の切腹の際の苦しみを救うための介錯の美徳も知らぬ検察の愚かしさに腹が立つ。裁判の折り私は是非とも医師たちの弁護人として法廷に立ちたい」2020年7月27日ツイート
 水俣病患者、心身に障害のあるひとびと、外国人、高齢女性、性的マイノリティーそしてALS患者などに対する差別発言を繰り返してきた者が亡くなった。自身が歪んだ人格と「我欲の塊」「ポピュリズム」の極みでありながら、3.11東日本大震災による被害を「天罰」と言い放ったことや都知事時代東京の学校で国旗・国家の儀式強制を強行したことを含め、この人物をわたしはまったく評価することはできない。
「東京にいるけど、税金も払わず福祉にたかり、偉そうに権利権利とふんぞり返って病院ででかい面してる奴らがごっそりタヒればいいな」 2020年4月 12日 https://twitter.com/mhlworz/status/1249236702993862658
「悪いけど、一定程度は死ぬってことで、この感染症にアホみたいなリソース投じるのやめたらよくね?」2020年4月12日 
「認知症で施設に捨てられた老人たちに、緊急事態もクソもあるんだろうか。早く終わったほうが幸せなんじゃないだろうか」  2020年4月16日 https://twitter.com/mhlworz/status/1250731280917905408
「生きてるだけで税金とられるのが住民税というが、田舎だとほとんどの土着民がろくに税金払ってねえんだから、よそ者税だよな」2020年4月16日 https://twitter.com/mhlworz/status/1250799480804270081
「長生きしてもいいことなんかあんのかよ。耐用年数を超えてボケた脳ミソとあちこち痛いだけの体、年金じゃ食えない耐乏生活、子供に介護費用を無心した り、娯楽に使えるカネもなく、テレビで安倍の悪口いうくらいの毎日。「お迎え来ないかな」なんて受け身でいいのか」 2020年4月17日 https://twitter.com/mhlworz/status/1251110766171717633
 これらが、石原慎太郎が「弁護人として法廷に立ちたい」と書いた2020年ALS難病嘱託殺人事件の大久保愉一容疑者(元厚労省医系技官・呼吸器内科医)のツイートである。
 この国の厚労省を含めた政府の2年間に渡る新型コロナ禍に対する対応の本質的な欠陥が、これらのツイートに凝縮されている。石原のような人物が環境庁長官や東京都知事を長く務めたことの弊害は、この事件や2016年7月の相模原市「津久井やまゆり園」事件も含め、この日本という国がいまだにさまざまな厳しい差別や偏見による重大事件に蝕まれていることと無縁ではない。この記事は20年当時のものだが、石原の死に際していまこそこの国のメディアは彼の妄言の数々を徹底して検証すべきだろう。
《業病(ごうびょう)とは「前世の悪業(あくごう)の報いでかかるとされた、治りにくい病気。難病」(デジタル大辞泉)。元東京都知事の石原慎太郎氏(87)がツイッターに「業病のALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵され自殺のための身動きも出来ぬ女性」と投稿したことへの批判が止まらない。この種の問題発言は初めてではない。毎日新聞の過去記事データベースから物議を醸した発言を探してみたら、出てくる、出てくる、目を疑うような問題発言の数々。なぜ繰り返されるのか。当時、言及された当事者や差別思想に詳しい識者に石原氏の発言に通底するものを語ってもらった。3回シリーズで連載します。【野村房代、牧野宏美/統合デジタル取材センター】
石原慎太郎氏がALS患者の嘱託殺人事件について投稿したツイート
患者に責任ないのに「悪業の報い」とは
 最初は10年前、「どこか足りない感じがする」と言及された性的少数者から。その前に、今回批判されている問題のツイートを振り返ってみたい。
 石原氏は7月27日のツイートで「業病のALSに侵され自殺のための身動きも出来ぬ女性が尊厳死を願って相談した二人の医師が薬を与え手助けした事で『殺害』容疑で起訴された」と事件を説明。その上で「武士道の切腹の際の苦しみを救うための介錯の美徳も知らぬ検察の愚かしさに腹が立つ。裁判の折り私は是非とも医師たちの弁護人として法廷に立ちたい」と弁護した。
 これにはツイッターで「作家なのに『業病』の意味も知らないのですか」「東京都民としてこんな恥ずかしい知事を持ったことが残念で仕方ありません」「差別をすることは慎太郎さんご自身がこの世に悪い業を積むことです」などと批判の声が相次いだ。一方で2万5000以上の「いいね」がついている。
 ALSの原因には諸説あるが、患者に責任はなく、ましてや「業病」などではない。念のため、医師たちは起訴されていない。「介錯の美徳を知らぬ」と批判された検察はさぞ驚いたに違いない。
同性愛者は「どこか足りない」「遺伝とかのせい」などと
 石原氏の問題発言を振り返るため、過去記事のデータベースを検索してみた。石原氏が3期目の東京都知事だった2010年12月8日付の毎日新聞朝刊の社会面にこう書かれている。<石原知事は7日、同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と発言した。石原知事は3日にPTA団体から性的な漫画の規制強化を陳情された際、「テレビなんかでも同性愛者の連中が出てきて平気でやるでしょ。日本は野放図になり過ぎている」と述べており、その真意を確認する記者の質問に答えた>
 今、読み返しても「足りない感じ」「遺伝とかのせい」という言葉は耳を疑う。性的少数者に関する情報発信をしている一般社団法人「fair」代表の松岡宗嗣(そうし)さん(26)に感想を聞くと「10年たってもそうした人が影響力を持ち、社会的弱者を周縁に追いやっているということに悔しさ、悲しさ、憤りを感じる」と話した。
「優生思想」振りかざす人が権力握る社会とは
 松岡さんはゲイであることをオープンにしながら、性的少数者に関する記事の執筆やメディア出演、講演活動を続けている。石原氏の「業病」ツイートに驚き、その内容を批判するツイートを2度投稿した。
 28日の最初のツイートでは<この人は過去に同性愛についても「どこか足らない、遺伝とかのせい」とも「女性が生殖能力を失っても生きるのは無駄で罪」とも発言している。悔しいのは、こうした無知で愚かな優生思想を振りかざす人たちが、政治を含む様々な領域で実際に権力を握っているという社会構造>と悔しさをつづった。
 その約20分後の2度目の投稿では<石原氏のような自分の気に入らない者たちを排除したいという確信犯的なものも、"冗談”と言いながらの国家による遺伝子選定すべきツイートも根っこは同じ。そんなに自分と同質な人たちだけが気持ちよく生きられる社会にしたいのかな。でもあなたも一瞬で"選ばれない側"になる可能性も全然あるんだよ>と投げ返した。
 ロックバンド・RADWIMPSの野田洋次郎さん(35)が16日に<大谷翔平選手や藤井聡太棋士や芦田愛菜さんみたいなお化け遺伝子を持つ人たちの配偶者はもう国家プロジェクトとして国が専門家を集めて選定するべきなんじゃないかと思ってる>とツイートしたことを念頭に置いたものだ。
同調者いるから繰り返される発言
 松岡さんは、1度目のツイートについてこう解説する。「いずれも『生殖能力』で人の価値を推し量るという点で共通しており、優生思想が根底にある。そうした思想には、誰しもある日突然、マイノリティーになる可能性があり、自分が排除される立場になるかもしれないという想像力が欠けている」
 そしてこの種の発言が何度も繰り返されるのは、同調する人たちがいるからだろう、とも指摘する。松岡さんは講演会などで、「性的少数者は自然に反する。子どもが産めないんだから結婚を認める意味がない」という声をぶつけられることが少なくないという。
 「そうした考えを持つ人は簡単には変わらないが、これからの時代を担う若者世代に広がらないように、社会の多様性や受容、人権問題について少しでも啓発していきたい」と松岡さん。そして「他者が安心して生きられる社会は、巡り巡って自分も生きやすい社会。自分の身に何が起きたとしても、安心安全に生きられる社会を目指すことが大切ですよね」と付け足した。
東日本大震災を「天罰」と 石原氏の過去の発言
 石原慎太郎氏が、これまでどんな発言をしてきたのか、毎日新聞の記事を検索して振り返ってみた。
 古くは40年以上前の1977年4月、当時国会議員で環境庁長官だった石原氏は熊本県水俣市を視察した際、水俣病患者から抗議文を渡されたことについて「今あった患者さんたちはIQが低いわけですね」などと発言し、謝罪に追い込まれた。
 都知事に就任した99年9月には、重度心身障害者施設を視察した後の記者会見で、入所者について「絶対に戻らない。放っといちゃ骨折だらけで死んじゃう」とした上で、「ああいう人ってのは人格あるのかね。意志持ってないからね。ぼくは結論出してないんだけども、記者の皆さんどう思うかってさ」と述べた。
これが批判的に報道されると、「曲解された」と主張した。
 まだまだ出てくる。
 00年4月の三国人発言はあまりにも有名だ。陸上自衛隊第1師団の記念行事に出席し、「東京では不法入国した多くの三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。大きな災害が起きた時には、騒じょう事件すら想定される」と発言。毎日新聞は発言要旨まで掲載して詳報している。当時抗議活動していた人材育成コンサルタントの辛淑玉(シン・スゴ)さんは「社会の最も弱い構造的弱者を標的に弱い者いじめをしている」と批判し、辞職を求めている。
 さらに翌年には、「ババア発言」が問題になった。「週刊女性」01年11月6日号に掲載された記事で、テレビで対談した大学院教授が言ったこととして「文明がもたらしたもっとも悪(あ)しき有害なものはババァ」「女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄」「きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害」などと発言した。
 3期目の10年12月には、記者の質問に対し、同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と発言している。
 東日本大震災が発生した11年3月には「天罰」発言が飛び出した。記者団に「我欲に縛られ政治もポピュリズムでやっている。それが一気に押し流されて、この津波をうまく利用して我欲を一回洗い落とす必要がある。積年たまった日本人の心のあかをね。これはやっぱり天罰だと思う。被災者の方々、かわいそうですよ」と語ったが、批判を浴びて撤回した。
シリーズ2回目は「ババア発言」問題 7月31日に掲載
 2001年11月の石原氏の「ババア発言」では、都内在住の女性131人が原告となって損害賠償や謝罪広告を求めて提訴しています。その原告の一人、お茶の水女子大の戒能民江名誉教授に話を聞きます。
 シリーズ2回目<石原慎太郎氏の「相変わらずな」発言にげんなり 「ババア発言」訴訟の元原告> 》









                                                                                                                                                                 
  
     





























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