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2022年 7月31日
日記がわりに。
朝顔に添え木をすると、毎日一輪ずつ咲き、この歳になって朝顔一輪は潔く1日しか咲かないと知る。
27日久しぶりにアシスト車で麓のPIZZA TRACK往復し、お昼にプロシュート。美味。日本はついに1日のコロナ感染者数世界最多で兵庫も1万人超え。日本はコロナウイルスに、この国の政権と与党の中枢はカルトウイルスに汚染されていると日々明らかになるこの頃。
28日酷暑の中これも久しぶりに六甲川沿いを降り水道筋の灘温泉。コロナのためか、お客さんはなんと一桁台。入浴後店の前でミネラルを飲んでいると近くの保育園児が次々に通り、引率の方がわたしに「こんにちは」と声をかけこちらも応じると、園児たちが次々に「こんにちは」と。暑さも吹き飛んだ。
川沿いでは静かな集いと生徒たちの歌唱があり、これも遅ればせながら28日は都津川水難事故14年の慰霊の日と知る。
29日和室のベランダ沿いの使用していないエアコン用の穴から小さな囀りに気づく。時々スズメが近寄ってきていたが、よく見ると小さな虫を咥えていて、穴で小鳥を育てている模様。
昨日は体感40度のサウナのなか神大を抜けてil ventoでマリナーラ。窓の外の木がハーブであることにこれも初めて気づく。近くでバスを待ち、終点阪神御影手前で降りて御影クラッセでアイスコーヒーのあと、各種食材買ってバスで帰宅。今日は流石に巣篭もり。
                               



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2022年 7月29日
「今日ほど文総裁・韓総裁ご夫妻が説いておられる共生・共栄・共義の精神が切実に必要とされる時代だろうと思っています」20年8月9日世界平和統一家庭連合=旧統一教会などが主催するイベントにオンラインで参加して
「選挙でお世話になったお礼と、宮島喜文というのがいて、これをお願いして当選させてもらったんですよ。安倍さんに了解を取って。ーー喜文。長野から出てる。これを前回(2016年の参院選)で『どうだろう?』と安倍さんが(聞いて)、『統一教会に頼んでちょっと(票が)足りないんだウチが』と言ったら、『わかりました、そしたらちょっと頼んでアレ(支援)しましょう』ということで、まあそりゃとにかく(票が)ナンボ入ったかわからなんわね、そんなの。どっちにしても(宮島候補は)当選はしたんだわ。今回(今年7月の参院選)は安倍さんは『悪いけど勘弁してくれ』と。『井上(義行氏)をアレ(支援)するんだ』という話になって、『いやいやそんなこと言わないで。現職なんだから」と(話しましたが)、井上も現職だったけど落ちたんだな、前回(2016年)。それじゃあということで、宮島は辞退したんですよ2期目。今回出なかったの。だから安倍さんのせいだとか旧統一教会のせいだとは俺は言わないけどね。その票がなかったら自分は無理だと思ったんじゃないかい。(宮島氏は)1期で降りたんだ。そういう経過はありました。」
「(様々なトラブルを抱えている団体だと認識していた?)全然わからなかったね。(今後同じような参加のご案内があった場合は?)ないないないないないないない。あっても行かない」伊達忠一前参議院議長(北海道選挙区、第2次安倍内閣内閣府副大臣、自由民主党幹事長代理、自由民主党参議院国会対策委員長、自由民主党参議院幹事長など)
「(参院選前に)良心的な議員がわたしにこう語りました。『所属する派閥の長から(旧)統一教会の選挙の支援を受けるようにと指示されたが、断った。そのため派閥の長は、その分の票を別の議員に割り振ったようだ』」「わたしがこの派閥の長に、事実関係を問うたところ、『各業界団体の票だけでは足りない議員については、(旧)統一教会が認めてくれれば、その票を割り振ることがある』との率直な答えがありました」「彼(相談された議員)がなぜ僕に話したかというのは、やっぱり正すべきことがあるから話されたんだと思うんで。安倍さんが健在であれば、それも諫言申し上げたと思うので…無念の限りですね」自民党 青山繁晴参議院議員
「党と組織的関係がないことを確認した」自民党 茂木幹事長26日
「そういうことが言われている団体だということは認識をしていた」岸信夫防衛相 29日記者会見
「僕自身、個人的に全く関係がない。正直に言います。何が問題か、僕はよく分からない」自民党 福田達夫総務会長29日記者会見
 3週前銃撃で死亡した安倍元首相と旧統一教会の関係についての前参議院議長の言葉。
 霊感商法や高額献金など多くの被害者を出すカルト教団の問題は「分からなかった」が、議員選挙の集票のために派閥の長、自民党総裁に統一教会票の割り振りを依頼する前参議院議長(参議院国会対策委員長、自由民主党参議院幹事長)と、配下の議員らのためにカルト教団に集票を依頼する元自民党総裁・首相。
 首相・総裁が国政選挙で統一教会票の割り振りをしていながら、自民幹事長は「党と組織的関係がない」、現防衛相は「認識をしていた」、総務会長は「何が問題か、僕はよく分からない」という全くの嘘と出鱈目ぶり。
 この国のここ20年の政治の劣化と社会の歪みの根源が、これらの陳腐な言葉の数々に滲み出ている。
 党総裁がカルト教団の組織票の割り振りをしていながら、党と教団の組織的な関係を認識できないもの、問題ある教団と知りながら選挙支援を要請するもの、政権の閣僚らがカルト教団関連の集会の呼びかけや参加をして霊感商法などの被害が拡大することの理解もできないもの、これらの人物に、そもそも一国の政権に携わる資格はない。
 男尊女卑に基づいて韓国をアダム国、日本をエバ国とし、ジェンダーフリーや夫婦別姓にすら反対するカルト教団と癒着しながら、徹底して政治と社会を歪めてきた政権にこの国の未来は築けない。元首相の国葬で問題を糊塗するのではなく、衆院解散・総選挙で国民の意思を問うべき時。
《旧統一教会などが主催する行事に参加していたことが明らかになった伊達前参議院議長。  HTBの取材に対し参加理由を語る中で、安倍元総理に旧統一教会票を依頼したと驚きの証言をしました。
 旧統一教会の票をどのように依頼をしたのか。
 以下、記者と伊達前議長のやりとりです。
 Q.伊達さんが世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のイベントに2020年から3度参加した経緯は?
 伊達「選挙でお世話になったお礼と、宮島喜文というのがいて、これをお願いして当選させてもらったんですよ。安倍さんに了解を取って。」
 Q.宮島喜文さん?
 伊達「喜文。長野から出てる。これを前回(2016年の参院選)で『どうだろう?』と安倍さんが(聞いて)、『統一教会に頼んでちょっと(票が)足りないんだウチが』と言ったら、『わかりました、そしたらちょっと頼んでアレ(支援)しましょう』ということで、まあそりゃとにかく(票が)ナンボ入ったかわからなんわね、そんなの。どっちにしても(宮島候補は)当選はしたんだわ。」
 伊達「今回(今年7月の参院選)は安倍さんは『悪いけど勘弁してくれ』と。『井上(義行氏)をアレ(支援)するんだ』という話になって、『いやいやそんなこと言わないで。現職なんだから」と(話しましたが)、井上も現職だったけど落ちたんだな、前回(2016年)。それじゃあということで、宮島は辞退したんですよ2期目。今回出なかったの。だから安倍さんのせいだとか旧統一教会のせいだとは俺は言わないけどね。その票がなかったら自分は無理だと思ったんじゃないかい。(宮島氏は)1期で降りたんだ。そういう経過はありました。」
 Q.伊達さんが2020年から3回ほど旧統一教会関連のイベントに出席したのは、選挙のお礼をかねて?
 伊達「そうそう。」
 Q.統一教会側からも出席するように依頼があった?
 伊達「依頼というわけじゃないけど案内ですよね。だから行かない場合もだいぶありましたよ。」
 Q.そういった場合謝礼金は?
 伊達「いやいや、そんなものはない。」
 Q.様々なトラブルを抱えている団体だと認識していた?
 伊達「全然わからなかったね。」
 Q.今後同じような参加のご案内があった場合は?
 伊達「ないないないないないないない。あっても行かない。」》


2022年 7月26日
「(旧統一教会のメンバーとの関係について)付き合いもあり、選挙の際もお手伝いをいただいている。電話作戦等々、ボランティアでお手伝いをいただいたケースはあると思う。選挙だから支援者を多く集めることは必要だと思う。統一教会に手伝ってもらったというよりは、メンバーの方にお力をいただいたということだ。(今後の選挙で支援を受ける考えはあるかとの問いに)選挙ごとにお話があること。次の選挙でどうなるか、軽々に答えることはできない」岸信夫防衛相
 霊感商法や高額献金、集団結婚など様々な法令違反で知られ、しかも「日本は罪深い民族」「アダム国たる韓国に貢ぐべきエバ国」と唱えるカルト教団に選挙運動を支援してもらう防衛相。襟を正すどころか、何の反省もない。国家公安委員長につづき防衛相がカルト教団容認。この国はどうなっているのか。
 「暴力団に手伝ってもらったというよりは、暴力団メンバーに力を貸していただいたということ」。こう言う閣僚は即辞任だろう。
 2009年以降教団本部への捜査を止め、野放しにしてきたこの国の政治の責任は極めい重い。何の検証もせず、元首相の「国葬」でその死を政治利用して政権維持につなげようとするだけの政権与党。無責任の極み。
《岸信夫防衛相は26日午前の記者会見で、自身と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のメンバーとの関係について「付き合いもあり、選挙の際もお手伝いをいただいている。電話作戦等々、ボランティアでお手伝いをいただいたケースはあると思う」と述べた。「選挙だから支援者を多く集めることは必要だと思う」とも語った。
 会見で岸氏は「統一教会に手伝ってもらったというよりは、メンバーの方にお力をいただいたということだ」と説明。今後の選挙で支援を受ける考えはあるかとの問いには「選挙ごとにお話があること。次の選挙でどうなるか、軽々に答えることはできない」と述べるにとどめた。
 岸氏の実兄の安倍晋三元首相が奈良市で銃撃された事件では、山上徹也容疑者(殺人容疑で送検)が調べに対し、旧統一教会に関して「教団が家庭をめちゃくちゃにした」などと供述。安倍氏が団体にビデオメッセージを送っていたことを知り、安倍氏を襲撃対象に選んだとされる。【川口峻】》



2022年 7月25
しばらく晴れ続きでようやく夏らしくなる。
コロナは急増中だが、祇園後まつりと平湯でキャンプをやめにした今日、三宮でjrに乗り換えて3年ぶりにオープンした須磨の海岸に行く。
イタリアンで美味しいお昼をいただき、大規模工事中の須磨水族館横を抜けてビーチへ。夏休みでそれなりの人出、日光浴と海水浴というよりナトリウム冷泉に浸かる感じで心地良い。
日差しは強いが訪れる人皆楽しげで、2時間ほど居て須磨海浜公園駅に戻り、六甲道で食材買ってバスで帰宅。適度に日光を浴びると体調にいい(という気がする)。



2022年 7月24
日記がわりに。
12日フランス2は行方不明のウクライナ兵士と彼らを探す家族を伝える。損壊の激しい遺体はDNA鑑定でしか身元を確認できず、それも追いつかないと。
13日久しぶりに岡本green fieldで昼を食べて住吉うはらの湯にいくと、なんと点検で二日間休館。六甲道の灘温泉に浸かり食材買って帰宅。
14日はドイツZDFがウクライナでロシアによる市場や住宅への攻撃と住む部屋を爆撃された高齢者の様子を伝える。
16日土曜は曇天の下il ventoでお昼をいただき、六甲駅前経由で帰宅し、翌日は晴れたが巣篭もり。月曜、録画したNHKのウクライナ人映画監督を取材した「キーウ市民たちの抵抗」を見る。プーチンによる侵略戦争でキリスト教信仰の最も本質的な教えも破壊されようとしている。
19日台風が温帯低気圧となって通過。プーチンの戦争は、ロシア兵士の動員と死に、自身もモスクワなどの主要都市も負担をせず辺境に押しつけられていると報道1930。これは基地負担を沖縄に押し付けるこの国も同じ。
20日六甲道のデリランテでお昼をいただき、再び住吉うはらの湯を訪ね、今度はゆっくり浸かる。ベランダのすみで朝顔が咲き始めるが、支えの棒が無い。
このところコロナBa.5で感染者が急増。昨日は3年ぶりに行われる京都祇園後祭に行く予定だったが、先週の前祭の混み具合と全国の過去最多感染者急増で取りやめ。
三週ぶりに三宮に出ると人手が少ないが、栄町通のday's kitchinに行くと結こう賑わう。マリナーラを食べてメリケン波止場を歩くとやはり人は少なめ。突堤からポートアイランド沖合で何やら海上消防の訓練か噴水が見えた。食材買って六甲からバスに乗ると、コロナ対策で紐を張って座れなくしていた前部の席が座れるようになっていた。
F2はロシアによるハルキウ市街へのミサイル攻撃で、夫を殺害された妻と13歳の息子を殺害されその手を握り続ける父親の嘆きの姿を伝える。ウクライナの市民を恐怖に陥れようとするロシアの卑劣な戦争犯罪は続いている。
昨日ついに感染者20万人越え。今日は外出せず台所やリビング床の長年の黒ずみを重曹などで清掃、ベランダの朝顔もあり合わせの細い竹棒で支えを作る。明日も晴れ予報。

   


2022年 7月22
「新型コロナ禍で入院できない人、生活が苦しい人もいるのになぜ多額の国費を費やすのか。事件自体は気の毒だが、別問題だ」無職神田さよ子さん(70)
「法令上の規定もないのに、国会を開かずに一方的に閣議決定するのは民主主義に反する。世論の分断と対立もあおりかねない」連絡会の高田健共同代表
 ご苦労様です。結構若い人たちが参加していて、未来への希望が見える。
《安倍晋三元首相の国葬実施が閣議決定された22日朝、東京・永田町の首相官邸前で市民団体が抗議集会を開いた。
 「許すな!憲法改悪・市民連絡会」など都内で活動する11の市民団体が企画し、約400人(主催者発表)が参加。「国葬NO!」「税金使わないで!」などと書かれたプラカードを手に、「反対世論の声を聞け」「国葬の政治利用、許さない」とシュプレヒコールを上げた。
 東京都台東区から駆けつけた無職神田さよ子さん(70)は「新型コロナ禍で入院できない人、生活が苦しい人もいるのになぜ多額の国費を費やすのか。事件自体は気の毒だが、別問題だ」と語気を強めた。同連絡会の高田健共同代表は「法令上の規定もないのに、国会を開かずに一方的に閣議決定するのは民主主義に反する。世論の分断と対立もあおりかねない」と訴えた。
 集会には社民党の福島みずほ党首も参加し、マイクを握った。(太田理英子)》



2022年 7月22日
・安倍晋三元首相
2006年、「天宙平和連合UPF」『祖国郷土還元日本大会』(福岡)に祝電。
2009年、警視庁公安部による渋谷の印鑑販売会社『新世』の摘発。時を置かず公安部は教団のお膝元である南東京教区本部事務所や地区教会である渋谷教会などへ家宅捜索に入った。新世の摘発について、日本の教団組織を統括する韓国人総会長は「政治家対策を怠った」と発言。
2010年、教団関連政治団体『世界戦略総合研究所』で講演。
2011年、麻生太郎らとともに統一教会系のワシントン・タイムズ紙に掲載された全面意見広告に賛同者として名前を記載。
2012年、同総研が共催したシンポジウムに参加。
2012年末の第二次安倍内閣発足以降、統一協会系の月刊誌「世界思想」の表紙には安倍元首相がたびたび登場。
2013年7月の参院選において、統一教会が全国の信者へ出した「通達」の中には、祖父・岸信介の恩人の孫で、安倍晋三肝いりの候補者への「後援」を「首相からじきじき」に「依頼」された旨の記述あり。信者には組織票支援の見返りとして「教団への警察の捜査を先送りにしてもらう」「選挙終了後に、徳野英治会長が安倍総理に会いに行く」との話が伝わっていた。
2013年から16年の「桜を見る会」に同総研の事務局次長を招待。
2016年6月上旬、日本統一教会の徳野会長と総会長夫人を首相官邸に招待。
2016年、統一教会はUPFを前面に立て『世界平和国会議員連合(IAPP)』を世界各地に立ち上げた。11月17日に参議院議員会館特別会議室で開いたIAPP創設大会『ILC(国際指導者会議)JAPAN2016』には当時の閣僚5人を含む63人の国会議員が出席、代理出席の秘書を含めると100人を超えた。日本の議員連合会長は原田義昭元環境相、名誉会長は細田博之元官房長官。表向きには「平和運動」を掲げる同議員連合の目的は、世界各国で統一教会をその国の宗教つまり国教とする「国家復帰$略」にある。
2021年9月12日、韓国の教団施設から全世界に配信された統一教会(天の父母様聖会世界・世界平和統一家庭連合)フロント組織『天宙平和連合(UPF)』の大規模集会に安倍晋三前内閣総理大臣がリモート登壇し、教団最高権力者・韓鶴子に阿る基調演説を行った。
「ご出席の皆さま、日本国、前内閣総理大臣の安倍晋三です。UPFの主催の下、より良い世界実現のための対話と諸問題の平和的解決のためにおよそ150か国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で世界平和を共に牽引してきた盟友のトランプ大統領とともに演説の機会をいただいたことを光栄に思います。ここにこの度出帆したシンクタンク2022の果たす役割は大きなものがあると期待しております。今日に至るまでUPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁を始め皆様に敬意を表します」
・自民党井上義行参議院議員(比例)
第1次安倍政権の首相秘書官をつとめた安倍元首相の側近。
2022年7月10日参院選で当選したが、旧統一教会から全面支援を受けていた。
6月22日出陣式第一声「同性愛とか色んなことでどんどん可哀想だと言って、じゃあ家族ができないで、家庭ができないで、子どもたちは本当に日本に本当に引き継いでいけるんですか」
7月6日、さいたま市文化センターで開催された旧統一教会の集会「神日本第1地区 責任者出発式」で旧統一教会の幹部が「井上先生はもうすでに信徒となりました」と紹介。
2022年選挙得票165,062票
2019年選挙得票87,946票(落選)
19年には旧統一教会の応援はなく、22年に増やしたこの8万票は旧統一教会によるもの。
・高村正彦自民党前副総裁
高村は第一次安倍政権で防衛大臣、第二次安倍政権で自民党副総裁。弁護士時代、旧統一教会の訴訟代理人を務めていた。
「高村外務大臣、この方はかつて統一協会の代理人だったわけですね。裁判の記録などにも載っているわけです。それから、一九八九年の資産公開では、統一協会の霊感商法の元締めであるハッピーワールドという会社、ここから時価三百八十万円のセドリックを提供されているというような、これは相当に深い関係だと思うんです」(「第143回国会 参議院 法務委員会」(平成10年9月22日)で中村敦夫元参議院議員)
2016年5月に来日した統一教団の北米会長一行が自民党本部で高村正彦副総裁らと会談した他、菅官房長官から首相官邸に招待されたと喧伝している。
・下村博文元文科相
文化庁によって拒まれてきた「世界基督教統一神霊協会」からの名称変更が認可された2015年、当時の文科相だった下村博文に統一教会の関連団体幹部が陳情したり、政治資金パーティのパーティ券を購入したりしていた。
〈2013年博友会パーティー当日入金〉と題されたファイルには、次のような記述があった。〈博友会その他 大塚正尚 一般社団法人教育問題国民会議 20,000〉
大塚正尚は一般社団法人教育問題国民会議にも所属し国際勝共連合の会計責任者を務めている人物。
下村はこの時期、教団系の日刊紙『世界日報』に直近の2年間で3回もインタビューや座談会記事が掲載されており、同紙の月刊誌『Viewpoint』にも転載されている。
「私が文化庁宗務課長だったときに統一協会が名称変更を求めてきたが拒否した」。前川喜平・元文部科学事務次官はそう証言。「行政は継続性、安定性が大事。部長レベルでは方針変更を決定できない。しかも旧統一協会と自民党の関係はみんな知っているからより慎重になる。政治的圧力があった可能性が高いと思う」
2015年9月30日、有田芳生事務所と文化庁の電話による一問一答では「本件については大臣に事前に説明いたしました」(文化庁)と回答している。下村は「最終決裁は文化部長であり、通常通りの手続き」と釈明。
文化庁も、唯々諾々と上位省庁の長に従ったわけではなく、教団側が発表した旧教団名の一年間併記という「縛り」は、認証の条件として文化庁が課したもの。
2016年8月27日、改名後一年が経ち旧名表記の縛りが解けた街頭では新旧の教団名すら名乗らない偽装勧誘が横行。街頭で偽装勧誘に従事する青年信者は「統一教会じゃないんですよ。もう言わなくて大丈夫なんです」と嬉しそうに語り、勧誘グループのリーダーも「27日からは統一教会と言わなくてもよいという連絡が来た」と教団本部からの指示があったと述べた。
・萩生田光一自由民主党筆頭副幹事長及び総裁特別補佐、中川雅治参議院議員
2014年10月11日、統一教会多摩東京教区が八王子市文化芸術会館で開いた徳野英治・日本統一教会会長の特別講演会『祝福原理大復興会・世界の平和は祝福結婚から』に中川雅治と共に来賓として挨拶。
・宮島喜文参議院議員、山本朋広衆議院議員
山本は文部科学大臣政務官・復興大臣政務官(第2次安倍改造内閣・第3次安倍内閣)、内閣府大臣政務官(第3次安倍内閣)、防衛副大臣・内閣府副大臣(第3次安倍改造内閣・第4次安倍内閣、第4次安倍再改造内閣)等を歴任。
山本議員には教団関連政治団体である世界平和連合による後援会お抱え疑惑や、教団名改称を認証した当時の文部科学大臣政務官時代に下村博文文科相(当時)とともに所管する文化庁への圧力をかけた疑惑などが噂されている。また、宮島議員も2016年の参院選で同教団の組織票の上乗せで当選したと指摘されていた。
2017年5月14日に開催された統一教会・家庭連合の大規模信者集会で来賓として祝辞を述べる。このイベントは、16年12月に現在の統一教会・家庭連合の最高権力者である韓鶴子総裁が「1万人の食口(信者)基盤」を達成した都道府県を訪問し『孝情文化フェスティバル』を開催すると発言したことにより企画された最初の大会。来賓として
「皆さんこんにちは。ただいま紹介いただきました参議院議員の宮島喜文でございます。本日は孝情文化フェスティバル、韓国から総裁をお迎えし開催できる、素晴らしい会ということで本当に心からお喜び申し上げます。おめでとうございます。ーーー本日、このフェスティバル、お父さんお母さん母の日でございますが親に感謝する気持ち、これこそが皆さん方がこれまで実践してきた、これからも目指そうとする社会であるという風に私も感じておりまして私も同じ思いで一日一日を送りたいと考えております。この後の講演で総裁からのお話を聴いて更に心新たにして明日から頑張るつもりでございます」
「皆様こんにちは!(「おおーっ!」歓声)ただ今ご紹介賜りました、自民党衆議院議員の山本ともひろです。本日は母の日、孝情文化フェスティバルin Tokyo開催、まことにおめでとうございます。またお招きをいただきましてありがとうございます。(拍手)
 日頃より世界平和統一家庭連合の徳野会長、また世界平和連合の太田会長を始め本当に皆様には我々自民党に対して大変大きなお力をいただいていますことを改めて感謝を申し上げたいと思います。おかげさまで安倍政権も5年目を迎えまして『長期安定政権』そのように評価をいただいているところでございます。政治の安定は平和への一歩であります、そういった意味合いからも皆様には引き続き我々に大きなお力を賜りたいと思います。ーーー今日は、マザームーンと共に皆さまと特別な一日を過ごしたいと思いますのでどうぞよろしくお願いをいたします」
・加藤勝信厚労大臣、逢沢一郎衆議院議員(岡山1区)、山下貴司参議院議員(岡山2区)、北村経夫参議院議員 (全国比例)
2018年22日、統一教会・家庭連合が岡山で開催した1万人大会に、加藤勝信厚労大臣が秘書を代理出席させ祝電を打つ。同大会には自民党国会議員3人が来賓出席した他、26人の地方議員も来賓出席、衆議院政治倫理審査会会長が来賓代表として祝辞。
元産経新聞政治部長の北村は2013年の参院選「安倍首相じきじきのお願い」で教団組織票によって当選したとされるうちの一人。
「全国区の北村さんは、山口出身の政治家。天照皇大神宮教(「踊る宗教」とも)の北村サヨ教祖のお孫さんです。首相からじきじきにこの方を後援してほしいとの依頼があり、当落は上記の『踊る宗教』と当グループの組織票頼みですが、まだCランクで当選には遠い状況です。参院選後に当グループを国会で追及する運動が起こるとの情報があり、それを守ってもらうためにも、今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です」
北村の後援会名簿には教団系の政治団体である国際勝共連合・世界平和連合の全国各地の幹部の名が記されており、北村の福岡選挙事務所には世界平和連合の女性スタッフが事務員として派遣されていた。
・細田博之現・衆議院議長、原田義昭元・環境相、工藤彰三衆議院議員
2019年10月5日に名古屋市内のホテルで統一教会友好団体のUPF(天宙平和連合)が開催した「ジャパンサミット&リーダーシップカンファレンス」(JSLC)に、自民党の細田博之現・衆議院議長や原田義昭元・環境相も参加し、細田は基調講演している。細田は安倍が派閥会長に返り咲く前の清和会会長。スピーチは、自民党の工藤彰三衆議院議員
「本日のテーマは、太平洋文明圏時代の日韓米の連携だと伺いました。日本の置かれた状況から意義あるテーマです。北朝鮮のミサイル問題、中国の外交など東アジアの安全保障環境は厳しさを増すばかり。自由の民主主義の価値を守るには日韓米の連結不可欠です。日韓関係が懸念される、そのような時だからこそこの祭典に意義がある。韓鶴子総裁をお迎えして、日韓米の国会議員をはじめてとして多くの方々が集まりました。ーーー韓総裁のご指導で家庭再建、真の家庭運動について、結婚と家庭の価値の重要性を訴え、夫婦の絆を訴えていることに心から敬意を表したい」
・佐藤正久参議院議員(自民党国防部会長代理、離島振興特別委員会所属)
宮城県石巻市田代島、猫島として有名な宮城県沖に浮かぶ人口54人の小さな島に進出を図るNPO法人「石巻・田代島しまおこし隊」が宿泊施設などを備えた「海洋学習ヴィレッジWAQUA田代島」(以下WAQUA)を計画する「しまおこし隊」理事・佐藤健雄は旧統一教会系「海洋平和」と「海洋真時代」のCEOも務める。同社が2010年に行ったセミナーのチラシでは
「18年間、米国で文鮮明(注:統一教会教祖で2012年死去)先生から直接指導を受け海洋趣味産業摂理に携わってきた方」
統一教会関連組織に詳しい全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士の解説。
「海洋平和は統一教会の日本戦略を担う海洋事業投資会社です。文鮮明教祖は『海洋強国』が世界を支配するとして小型船舶販売や海洋開発投資等の海洋事業と海洋教育を統合した海洋摂理を信者に行わせてきました。佐藤健雄氏は1970年に合同結婚式を受けた古参信者です」
2016年6月、海洋平和は都内で株主総会を開き、そこで元自衛官の「ヒゲの隊長」佐藤正久参議院議員が祝辞を述べた。佐藤議員はWAQUAの概要説明が行われた同社の海洋セミナーでも数度講演しており、WAQUAのHPでは「しまおこし隊理事(佐藤健雄)の甥」と紹介。佐藤議員に海洋平和との関係や道義的責任などについて質問したところ、こう回答があった。
「叔父である佐藤健雄から頼まれて(株)海洋平和での講演を引き受けたことはあります。叔父が統一教会の会員であることは承知していますが、その他について一切承知しておりません」
・日刊ゲンダイは旧統一教会と関係のある国会議員112人のリストを入手。リストを見ると、やはり自民党議員が圧倒的に多い。衆院議員78人、参院議員20人が統一教会系の団体等との何らかの関わりが確認された。野党でも立憲民主党6人、日本維新の会5人、国民民主党2人が関わりを持っていた。そのうち閣僚、党幹部の経験者だけでも34人。旧統一教会との関わりが認められる議員の多くが、第2次安倍政権以降、大臣や副大臣、政務官などに起用されてきた。2019年の第4次安倍第2次改造内閣では、閣僚20人のうち10人が旧統一教会関連。
 安倍元首相銃撃事件をめぐって、この国の政権与党と国民を収奪するカルト教団の深い繋がりという問題を、NHKはおろか朝日、毎日など大手メディアは特集を組むこともせず放置している。長年この問題を追求してきた鈴木エイト氏らによる記事を、政治家ごとにまとめてみた。
 「メシア」「真の父母(実の父母は「堕落した父母」)」「祝福二世(不信仰者はサタン)」などと称して霊感商法、合同結婚式、偽装勧誘、高額献金で善良な市民を収奪するカルト教団と、「勝共」「平和」「家族」「改憲」に込めた歪められた時代遅れの価値観を共有し、政治活動と組織票目当てに野合する愚かしい政権政党のすがた。
 第二次安倍政権とは、旧統一教会と癒着し野合しながら、国民の不幸を他所目に改憲に固執し夫婦別姓などには反対し続け、この国を衰退させ続けた旧時代の産物にすぎない。
 統一教会=世界平和統一家庭連合が掲げる「平和」「統一」とは、世界各国で統一教会をその国の宗教つまり国教とする「国家復帰$略」による韓鶴子の下の統一と平和であり、「家庭」は、2014年7月、自分は生まれながらにメシアだと「独生女宣言」を行い自身を神格化した韓鶴子を「真の母」とする家庭ということ。
 これほど歪んだカルト教団を野放しにするだけではなく、その会合に出席し祝意を述べ、あるいは票欲しさに利用した政治家たちは、自らの責任を厳しく問うのでなければ政治から直ちに退くべきだ。これを見逃し続けるのは、この国のさらなる衰退を招くのみ。




2022年 7月21
「この秋に『国葬儀』の形式で安倍元首相の葬儀を行う。わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固守り抜くという決意を示す」岸田文雄首相 14日記者会見
「法律上も全く問題ない。国葬は極めてふさわしい、適切なあり方だ。国民から『国葬はいかがなものか』との指摘があるとは、私は認識していない。野党の主張は聞かないとわからないが、国民の認識とはかなりずれているのではないか」自民党 茂木敏充幹事長19日記者会見
・「国葬」への評価、「評価する」が49%、「評価しない」が38%。(19日NHK世論調査)
 政権を担うものが法的根拠も示すことなく判断し、与党幹事長は国民の意見を踏まえることもせず野党批判、元首相の様々な疑惑の検証も銃撃事件に至った元首相とみずからの政党のカルト教団との関わりの解明もせず、国葬の強行で全ての問題を終わらせようとする愚かしさ。
 閣議決定だけで恣意的に政策を行うものたちが唱える「民主主義を守り抜く」「国民の認識とずれている」は、自らに繋がる特定の人物を優遇しその他の主権者たる国民の声は聞かず置き去りにする、まさに民主主義を否定する愚かしい発言。
 「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」(憲法20条)と定められているにもかかわらず、これら憲法や法令を遵守することなく、カルト教団とその政治組織などに様々に関与し、議員秘書や選挙運動で利害を共有しながらその教団の霊感商法や集団結婚そして献金強要などを見逃してきた政権与党が、さらにその疑惑の中心の政治家の国葬により疑惑に蓋をしようとする。
 「国葬令」は1947年廃止され、以後立憲主義のこの国にいずれかの故人の葬儀を「国葬」とすることを可能にする根拠となる法律はない。明治期以後に形成された「国葬」の本質は、宮間 純一中央大学文学部教授が指摘するように、天皇制支配への国民統合と「忠臣」の顕彰、そして戦争体制への国民動員であり、民主主義の精神にまったく逆行する制度でしかない。
 20日の朝日社説は、安倍元首相の国葬疑問・懸念について、在任7年8カ月で国葬を検討して見送った佐藤栄作の場合、政府、自民党、国民有志による「国民葬」であった理由は「国葬は法的根拠があいまいなうえ、首相退任から死去まで3年足らずしかなく、吉田ほど歴史的評価が定まっていないことなどが理由」とするが、75年6月3日朝日新聞記事は国葬見送りの決め手は、退任からの短い期間と定まらない歴史的評価とともに「法的根拠が明確でない」との内閣法制局見解だったと報じている。
 政権と自民党が、安倍元首相の死に際してやるべきは、その7年8ヶ月に及ぶ政権が行なった政策と積み残された様々な課題と疑惑の検証、そして何より自民党と旧統一教会の関係の解明と責任の明確化。こんな政治は再びこの国を破綻させるだけ。


2022年 7月18
「警察を所管する国家公安委員長として重く受け止めている。このような事案が二度と起こらないようしっかり検証し、警護・警備の強化に向けた見直しを行う決意を新たにした」二之湯智国家公安委員会委員長 7日近鉄大和西大寺駅北口前
「警察としての責任を果たせなかったことを極めて重く受け止めている。警察庁の関与のあり方にも問題があった。長官として慚愧(ざんき)にたえない。責任は誠に重いと考えている。今の段階で私が果たすべき責任は、問題点を洗い出し、対策を検討し、このような事案が二度と起こらないよう、警護警備の強化にむけた見直しを行うことと考えている」中村格警察庁長官 12日記者会見
「世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた、韓鶴子総裁をはじめ皆様に敬意を表します」安倍元首相2021年9月ビデオメッセージ
 旧統一教会=世界平和統一家庭連合京都教区長が主催し、『天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合』や教団系列組織『京都府平和大使協議会』などが共催する21年4月『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い』の呼びかけ人となったものが21年10月岸田内閣の国家公安委員会委員長となり、2015年安倍元首相と近い元TBSワシントン支局長の山口敬之の準強姦容疑の逮捕を止めた警視庁刑事部長が21年9月から警察庁長官という、この国の政治と警察機構の歪みぶり。
 7月7日最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は山口の上告を棄却、同意がないのに性行為に及んだと認定し、約332万円の賠償を命じた二審・東京高裁判決が確定した。この事件で逮捕状が出ていたにも関わらず逮捕を直前で止めた者が全国警察のトップに居座る組織で、まともな仕事ができるわけがない。
 世界平和統一家庭連合と名を変えても、霊感商法や献金強要、集団結婚でさまざまなトラブルを引き起こした統一教会は公安調査庁の監視対象であり得ても、国家公安委員長になるものがその集会の呼びかけ人だったなど常軌を失している。
 他ならぬ安倍元首相自身が、2006年5月、統一協会系の「天宙平和連合」(UPF)が全国各地で開いた集団結婚を兼ねた大会に、官房長官の肩書で「祝電」を送り、旧統一協会の被害者救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会による抗議を受けたにも関わらず、昨年も「天宙平和連合(UPF)」のイベントで、韓国はメシアである文鮮明のもとで世界統一の中心であるアダム国、日本は「人間的に考えれば赦すことのできない民族」ですべてを与えるエバ国家、とする文の妻韓鶴子総裁に「世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた、韓鶴子総裁をはじめ皆様に敬意を表します」とビデオメッセージを送っている。
 岸信介以来半世紀に渡り、この国で多くのひとびとを霊感商法などで困窮させ生活破綻に追い込み続けたカルト教団を、反共主義と伝統的性差別などを共有し選挙の集票などで利用してきた政権与党の、今回の銃撃事件に対する責任は極めて重い。公安・警察部門でその一翼を担っているのが、旧統一教会に融和的な国家公安委員長と安倍政権下で出世した警察長官そして元首相本人だ。「しっかり検証」「問題点を洗い出し、対策を検討」は、自らの統一教会や政治との向き合い方にこそ向け、即刻辞任するべし。それ以外は、責任転嫁にすぎない。
《7月14日、二之湯智(にのゆ・さとし)国家公安委員会委員長は、安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を受け、警察庁が設置した検証チームを奈良県警に派遣することを明らかにした。二之湯氏は会見で「本日の委員会でも活発な議論があった。国家公安委員会としては、警護警備の見直しにつながるよう、しっかりとした検証を行うよう警察庁に指示した」と語った。
「今回の事件で、警備に問題があったことは岸田文雄首相も指摘しています。中村格(いたる)警察庁長官、警察庁を管理する立場である国家公安委員長ともに、進退問題に発展することは間違いないでしょう」(政治部記者)
 国家公安委員長である二之湯氏は2021年、岸田内閣で初入閣。京都市議を経て、2004年の参院選で初当選し、3期務めたが、今回の参院選には出馬せず、引退する意向を示している。
 二之湯氏といえば思い起こされるのが、2022年2月に「文藝春秋」が報じた「マネーロンダリングによる現金配布」だ。自民党京都府議連が国政選前に候補者から集めた現金を地方議員に配っていた問題で、二之湯氏は「買収の意図はない」としながらも現金を配っていた事実を認めている。
 だが今回、さらに大きな問題になりそうな事案がクローズアップされている。それは、二之湯氏と「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」との関係だ。
「2021年4月、国立京都国際会館で『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い』というイベントが開催される予定でした。実行委員長は旧統一教会の京都教区長で、『天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合』や教団系列組織『京都府平和大使協議会』などが共催しており、実質的に旧統一教会の主導イベントであるのは明らかです。その『呼びかけ人』に名を連ねているのが二之湯氏なのです」
 そう説明するのは、旧統一教会の問題を追い続けているジャーナリストの鈴木エイト氏だ。
「イベントは結局、開催されませんでしたが、旧統一教会のイベントに国立の施設が使われるのは問題です。二之湯智議員は同会館の元職員であり、何らかの口利きをした、といわれてもおかしくありません。
 このイベントのチラシには、二之湯氏のほかにも世話人として、田中英之衆院議員、木村弥生衆院議員、繁本護衆院議員の、計4人の京都を選挙区とする国会議員が名を連ねています。4人の国会議員に旧統一教会との関係をきくため質問書を送ったのですが、どの議員からも回答はありませんでした」
 安倍元首相銃撃事件で注目を集めている旧統一教会。そこが関連するイベントで、警察組織を管理する立場の国家公安委員長が呼びかけ人を務めていたとは……。
 だが、政治家が旧統一教会と関わることで得られるメリットはあるのだろうか。
「政治家が教団に求めるのは『票集め』ではありません。選挙戦での運動員、事務所スタッフなどの『人的貢献』です。それは政治家が何よりほしがるもので、教団は無尽蔵に提供してくれるわけです。政治家と旧統一教会――その関係は、世間一般の人たちが思うよりも、ずっと深いものなのです」(鈴木氏)
 本誌はあらためて二之湯氏の事務所に、旧統一教会との関係について質問書を送ったが、期日までに返答はなかった。( SmartFLASH ) 


2022年 718日
凄まじい人権侵害。
〈【人権蹂躙の実態】
@恋愛の自由を認められない。
・信者内のお見合い結婚以外NG。
・自由恋愛は絶対に侵してはいけない最悪の禁忌。
・戒律を破った場合は家族が地獄に行くと脅し。
・発覚した場合、相手との絶縁を強要。(連絡することもNG)
・自由結婚するなら親と縁を切るしかない。
・親への情を捨てきれずに、やむなく宗教内で結婚する子供も多い。
・過去の性交渉の経歴を全て告白しなければいけない。
・過去に性交渉がある場合は、4〜5年に一度の恩赦を受けなければ結婚できない。
・過去の罪の清算のために、数日(3日程度)の断食が必要。
A信教の自由を認められない。
・生まれた時から教会内のコミュニティや価値観で育つ。すり込み。
・信仰に反する者は改心するまで追及。改宗強要。
・自分の意志では脱会できない。
・両親ともに信仰しているため、信仰に反する場合は家庭内の居場所が無くなる。〉



2022年 7月15日
今日のBBCニュース。
 14日ウクライナ中部ビンニツァに対してロシアは巡航ミサイルによる攻撃を行い、幼児1人を含む子ども3人など民間人20人の死亡が確認、子ども4人を含む64人が病院に搬送され、うち34人が重症、5人が重体、安否不明の42人について捜索が続いていると報じる。
 道路に血に染まった乳母車が残され、亡くなった4歳の子の母親が撮影した一時間前の写真も伝える。母親は重症。
 建物50棟以上と自動車40台以上が被害を受けたが、これらすべては民間施設であり、ウクライナ大統領府副長官によると、攻撃に使われたロシアの巡航ミサイル「カリブル」は黒海に展開する潜水艦から発射された。
 ウクライナのクレバ外相、国連のグテーレス事務総長と欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表らもこれを強く非難。
 元首相銃撃事件の原因究明より元首相の国葬に拘泥するこの国の政府や報道機関は、クリミア侵攻への制裁下でプーチンと融和的な協議を進めた安倍政権の検証と、多くの罪のない市民の生命を奪うこうした明確な国際法違反の蛮行にもっと目を向けてはどうか。
https://www.cnn.co.jp/world/35190485.html



2022年 7月15日
「わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固守り抜くという決意を示す」
 統一教会、勝共連合などと一定の距離を置く宏池会出身でありながら、今回の元首相銃撃事件が示す、政権と多くの国民を献金地獄に落とし込んだ霊感商法のカルト教団の長きに渡る癒着の問題を検証することなく、元首相の在任中のさまざまな疑惑に関する国民の疑問の声も無視して、「国葬」を根拠づける法整備もないまま、閣議決定だけで元首相の国葬を決めようとすること自体が、民主主義を破壊する行為。
 安倍元首相の国葬で、元首相や政権に近い政治家とカルト教団のつながりによるこの国の政治と社会の歪みを糊塗するなら、この国はさらなる混乱と衰退が続くだけ。
《岸田文雄首相は14日の記者会見で、参院選の街頭演説中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相を追悼するため、今秋に「国葬」を行うと表明した。戦後、首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相の死去時にしか営まれたことがなく、安倍氏は2例目となる。閣議で実施を決定する。
大規模葬で「弔問外交」展開へ 各国が代表団派遣検討―安倍氏死去
 首相は「この秋に『国葬儀』の形式で安倍元首相の葬儀を行う。わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固守り抜くという決意を示す」と強調。「活力にあふれた日本を受け継ぎ、未来を切り開いていくという気持ちを世界に示したい」と語った。
 55年ぶりとなる異例の形式を選んだ理由に関しては、(1)憲政史上最長の8年8カ月にわたり重責を担った(2)東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係基軸の外交など大きな実績を残した(3)外国首脳から極めて高い評価を受けている(4)民主主義の根幹たる選挙中に突然の蛮行により逝去した―と指摘した。
 首相は費用全額を国費でまかなうと説明。国葬には法整備が必要との見方もあるが、「内閣法制局とも調整し、閣議決定を根拠として行うことができると判断した」と語った。》



2022年 7月15日
「地元スーパーの値札をマリウポリでの芸術学校や劇場への空爆などに関する情報に差し替えて反戦を訴えたことで、「ロシア軍に関する虚偽情報を故意に広めた罪」に問われた」。むしろ正しい大切な情報を伝えたのでは。
「アレクサンドラ・スコチレンコさんを「ロシア軍に関する虚偽情報を故意に広める行為」(刑法第207条第3項)の容疑で起訴することを取り下げるよう強く要請します。
サンクトペテルブルクのスーパーマーケットで値札を反戦スローガンにすり替えた彼女の行為が罪に問われていますが、これは国際的に認知された犯罪には該当しません。彼女は、4月11日に逮捕され、翌朝3時まで取り調べを受けました。深刻な疾患を持つ彼女を適切な食事や医療が受けられない拘置所に置くことは、彼女の健康を危険にさらすことになります。
サンクトペテルブルク出身のアーティストである彼女は、精神疾患に関する活動で国際的に有名で、精神疾患で苦しむロシア内外の多くの人びとの支えになってきました。
私は、以下を強く求めます。
・直ちに起訴を取り下げ彼女を釈放する。
・釈放するまでは、国際基準に沿った健康状態の維持と対応を保障し、必要な医療と食事を提供する。」


2022年 7月15日
「安倍元首相は評価が分かれる政治家。国論を分裂させる『国葬』をわざわざやる必要はない」九州大 横田耕一・名誉教授(憲法学)
「事件から1週間もたたないうちにそそくさと決めたことに驚いている。吉田茂元首相に匹敵するような偉大な政治家として顕彰しよう、という政府の意思だろう。吉田元首相が天寿をまっとうし、戦後日本の礎を築いたという国民的な評価があったのに対し、安倍元首相の死はあまりにも突然だった。これまでに明らかにされていない事実も含めて政権の功罪が検証されるよりも前に、『志半ばにして非業の死を遂げた偉大な政治家』という一方的な評価を確立させようとする思惑を感じる」放送大学 原武史教授(日本政治思想史)
「自民党と統一教会の合同葬でやるべき」澤田愛子氏
「日教組!日教組どうすんだ!日教組!」(2015年2月19日)「早く質問しろよ」(2015年5月28日)「くだらない質問で終わっちゃったね、また」(2016年6月5日)「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」(2017年2月17日)「こんな人たちに負けるわけにはいかない」(2017年7月1日)「ゴールまで、ウラジーミル、二人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか」(2019年9月5日)「会場入り口で安倍事務所の職員が1人5000円を集金し、その場でホテル側に渡した。安倍後援会の収入、支出は一切ない」(2019年11月15日)「意味の無い質問だよ」2020年(2月12日)
 在任期間だけは長かったが、内政では国債に依存し1000兆円という莫大な負債を将来世代に積み残し、平均賃金は上がらず不正規雇用は拡大し、教育予算比率は先進国最低、「お友達」への国有地廉売や大学認可と公文書偽造、支持者への不当接待と参院選での党費1億5000万を使った巨額買収、度重なる国会での虚偽答弁、近縁者の性暴力を揉み消しそしてカルト教団と結託した政治活動など、残された検証すべき問題も多い。外交でも「地球儀を俯瞰する」の陳腐なキャッチコピーだけ、北方四島の返還と日露平和条約交渉は逆に頓挫し、クリミア「併合」後のプーチンへの見苦しい融和姿勢でそのウクライナ侵攻につなげ、拉致被害者問題は何らの進展もなく、韓国との関係も悪化、核兵器削減・廃絶でも核兵器禁止条約には背を向けて「保有国と非保有国の橋渡し」の掛け声だけ。
 国会や会見での度重なる稚拙で愚かな発言は、その内政・外交の姿勢と政策の質の低下と無縁ではない。
 歴代首相で国葬は吉田茂だけ。他はほとんど内閣・自民党合同葬か自民党葬。政治家だからと言って内閣が葬祭を行うこと事態、国民主権に反するが、その政策や発言で政治を歪め国民を大きく分断させた者の葬祭に国費を使うほど愚かなことはない。
 国葬令(1926)は戦後「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」(1947)により廃止され、それ以後「国葬」自体を規定する法的根拠はない。
 内閣府の所掌事務を定める内閣府設置法(1999年)は、第四条三十三 国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)とするのみで、何を国の儀式とするかの基準は定めていない。誰を内閣葬とし、誰を国葬とするか、またはしないかを「偉大な政治家」という一方的な評価を確立させようとする思惑で行って良いものではない。 
 著名な歴代首相で唯一、島根県掛合町・自民党島根県連・竹下家合同葬だった竹下登は本人の遺志なのか、これが潔い政治家の本来の姿だろう。故人を強く悼むものは自らで葬祭を行えば良い。安倍元首相の国葬を執り行うことは、この10数年のこの国の政治のさまざまな問題、課題の検証をせず、この国の進路をさらに誤らせるだけ。
《参院選遊説中に銃撃を受けて亡くなった自民党の安倍晋三元首相の「国葬」が今秋に行われる見通しとなった。吉田茂元首相以来となる形式だが、費用はすべて国費で賄うため、政府は行政訴訟のリスクも懸念した。しかし、国民や海外の首脳らの弔問が相次いでいる現状や、安倍氏に近い自民党議員らからの要望も強く、約55年ぶりの実施に踏み切ることにした。
 岸田文雄首相は14日の記者会見で、安倍氏が憲政史上最長にわたって首相を務めたことのほか、「外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、国内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられている」と説明し、理解を求めた。
 安倍氏の死去後、政府は歴代首相経験者の葬儀の形式などを踏まえ、安倍氏の追悼のあり方を検討。首相経験者の葬儀では、1980年に死去した大平正芳元首相以降、「内閣・自民党合同葬」とすることが慣例だったが、自民党内からは「安倍氏の実績を考えれば、特別な追悼のあり方を考えるべきだ」との声が強まっていた。
 ただ、「国葬」は費用の全額を国が負担する。このため政府内には、税金の使い道として疑義をもたれ、「行政訴訟を起こされるリスクもある」との懸念があった。自民党内にも「今の時代に国葬とするのは難しいだろう」との見方もあった。
 一方、首相は国内外の反応を重視。安倍氏の死去により、党内の動揺も収まっておらず、安倍氏に近い議員らの声にも配慮したとみられる。政府は、形式について内閣法制局と協議。首相はこの日の会見で、根拠となる内閣府設置法に言及し、正当性を強調した。「国の儀式として行う国葬儀については、閣議決定を根拠として、行政が国を代表して行いうるものだ」(安倍龍太郎)ーーー



2022年 7月14日
・原発では、周辺環境に大量の放射性物質を拡散させる過酷事故が起きると、原発の従業員や周辺住民らの生命や身体に重大な危害を及ぼす。また、国土の広範な地域や国民全体に対しても、生命や身体、財産上の甚大な被害を及ぼし、地域の社会的・経済的コミュニティーの喪失を生じさせ、我が国そのものの崩壊にもつながりかねない。このため、原発を運転する原子力事業者には、最新の科学的、専門技術的知見に基づいて、過酷事故を万が一にも防止すべき社会的、公益的な義務がある。
・武藤は08年6月時点で、東電の「原子力・立地本部」副本部長だった。武藤は@長期評価の見解について、信頼性や成熟性が不明であると判断したA長期評価の見解を踏まえた地震の取り扱いについて土木学会に検討を委託し、その見解が示されれば、速やかに津波対策を実施すると判断したB福島第一原発の全電源が喪失して過酷事故が起きることを防止するための津波対策を講じるよう指示をしなかった。ーーー武藤には過酷事故に至る事態が生じないための最低限の津波対策を速やかに実施するよう指示すべき取締役としての善管注意義務があったのに任務を怠った。
・武黒は08年8月時点で、原子力・立地本部の本部長で、東電内で原発に関する業務執行を担当する取締役だった。小森は10年6月に副本部長に就任していた。いずれも長期評価の見解を認識し、内容を容易に認識できたのに、最低限の津波対策を速やかに実施するよう指示すべき取締役としての善管注意義務があったのに、怠った。
・勝俣と清水は09年2月に開かれた東電内の会議で、津波対策が新たに実施されない限り、過酷事故が発生する可能性を認識しており、速やかな対策を講じない同本部の判断に著しく不合理な点がないかを確認すべき義務があった。最低限の津波対策を速やかに実施するよう指示すべき取締役としての任務を怠った。
・水密化の措置は、津波による電源設備の浸水を防ぐことができた可能性があった。仮に一部の電源設備が浸水するような事態が生じても、重大事態を避けられた可能性は十分あった。水密化は、工事の完了までに計2年程度を要する。武藤、武黒、勝俣、清水は津波の襲来時までに措置を講じることができたから、任務を怠ったことと、事故との因果関係が認められる。
・東電は、@廃炉について約1兆6150億円を支出A被災者に対する損害賠償費用について計7兆834億円の支払いで合意B除染・中間貯蔵対策費用として、環境省が19年度までに要する金額は計4兆6226億円となる。これは最終的には東電の負担となる。したがって、その合計額である13兆3210億円が勝俣、清水、武黒、武藤が任務を怠ったことによる東電の損害である。
 13日東電の株主代表訴訟で勝俣恒久元会長、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長ら4人に13兆3210億円の賠償を命じた東京地裁判決の要旨から。
 国の機関である地震調査研究推進本部が02年7月に公表した地震予測「長期評価」に基づいて、東電の地震対策担当者による試算で福島第一原発の巨大津波の高さが15・7メートルとしたにもかかわらず、東電が何ら対策を講じず11年の巨大事故に至った福島第一原発事故に対して、事故に対する東電の責任を認め、それによる損失の補填を旧経営陣に課した画期的な判決。
 朝倉裁判長らは昨年10月、数ある原発事故の裁判で初めて裁判官が原発敷地内に入り福島第一原発建屋の状況を見て回った。
 東電は事故後の13年にまとめた原子力安全改革プランで、「安全最優先」を掲げていながら事故に至った組織の要因を分析し「深く反省」すると表明。原子力部門は「安全は既に確立されたものと思い込み、稼働率等を重要な経営課題と認識した結果、事故への備えが不足した」、社全体では「原子力発電という特別なリスクを扱う企業として、当時の経営層全体のリスク管理に甘さがあった」と総括している。
 今回の地裁判決は、東電自身のそれら検証や反省を継承しつつ、6月17日の最高裁の「今回の地震があまりに大きな地震で、津波があまりに大きな津波であったたため長期評価を前提に行動したとしても、事故を回避することができたと判断するのは無理」との福島原発事故避難者の集団訴訟の無責任極まる判決とは真逆に、責任を明確に旧経営陣に認めたもの。企業体だけではなく政治を含めて、原発や基地の設置と運営に関わる管理責任を明確にすることは、市民の暮らしと安全に不可欠だ。
《東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電の株主が旧経営陣5人に損害賠償を求めた株主代表訴訟で、勝俣恒久元会長、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長に13兆3210億円の賠償を命じ、小森明生元常務への請求を退けた東京地裁判決の要旨は次の通り。(敬称略)
 【東電に対する取締役の善管注意義務について】
 原発では、周辺環境に大量の放射性物質を拡散させる過酷事故が起きると、原発の従業員や周辺住民らの生命や身体に重大な危害を及ぼす。また、国土の広範な地域や国民全体に対しても、生命や身体、財産上の甚大な被害を及ぼし、地域の社会的・経済的コミュニティーの喪失を生じさせ、我が国そのものの崩壊にもつながりかねない。このため、原発を運転する原子力事業者には、最新の科学的、専門技術的知見に基づいて、過酷事故を万が一にも防止すべき社会的、公益的な義務がある。
 したがって、原子力事業を営む会社の取締役は、最新の科学的、専門技術的知見に基づいて想定される津波により、過酷事故を防ぐために必要な措置を講ずるよう指示すべき会社に対する善管注意義務を負う。東電の取締役だった被告らが、最新の科学的、専門技術的知見に基づいて過酷事故が起こるおそれがあることを認識していたのに、事故を防ぐための必要な措置を講じる指示をしなかったときには、東電に対し取締役としての善管注意義務に違反する任務懈怠(けたい)があったことになる。
 【予見可能性の有無について】
 原発を運転する会社の取締役にとって、対策を講じることを義務づけられる津波予測に関する科学的知見は、特定の研究者の論文で示されたというだけでは足りない。たとえば、津波の予測に関する検討をする公的な機関や会議体で、その分野における研究実績を相当程度有している研究者や専門家の相当数によって真摯(しんし)な検討がされて取りまとめが行われた場合など、一定のオーソライズがされた相応の科学的信頼性がある知見である必要がある。
 国の機関である地震調査研究推進本部は2002年7月、三陸沖から房総沖にかけての地震予測である「長期評価」を公表した。
 地震本部は、国として一元的に地震の評価をすることを目的として設置された機関だ。長期評価は、地震防災対策を進めるため、科学的な知見で地震活動を客観的に評価するもので、海溝型分科会と長期評価部会、地震調査委員会という3段階の議論を経て取りまとめられた。さらに、我が国トップレベルの地震や津波の研究者が多く集められていたことに照らせば、長期評価の見解は、一定のオーソライズがされた相応の科学的信頼性を有する知見といえる。特段の事情がない限り、原発を運転する会社の取締役はこの知見に基づく津波対策を講じることを義務づけられる。
 地震研究者らからの批判や地方公共団体の防災対策に反映されなかったことなどは、長期評価の見解の科学的信頼性を否定すべき特段の事情にはあたらない。ーー



2022年 7月14日
「74年5月に文鮮明が帝国ホテルで開いた「希望の日」晩餐会には岸の他、福田赳夫、安倍晋太郎ら40人の自民党国会議員が出席した」
「文は「まず秘書として食い込め。食い込んだら議員の秘密を握れ。次に自らが議員になれ」と指示、秘書養成所で訓練された信者が自民党国会議員のもとに送り込まれ、秘書や運動員として活動してきた。90年代初頭には200人以上の「勝共推進国会議員」が存在した」
「90年代初頭に活況を呈した勝共推進議員は一連の社会問題や東西冷戦終結の影響などにより激減、政界工作も00年代には下火となった。ところが12年の第2次安倍政権発足後、状況は一変する」
「09年、教団本部のお膝元にあった東京・渋谷の霊感商法販社が警視庁公安部の摘発を受け複数の教団施設に家宅捜索が入ったことで事態は動く。本部へのガサ入れ≠ェ目前に迫ったことに慌てた教団幹部は、警察官僚出身の政治家の口利きによって本部の摘発を逃れた」
「「政治家対策を怠っていた」との反省から政治工作が再度本格化される中で12年12月に第2次安倍政権が発足。憲法改正と長期安定政権を目論んでいた安倍にとっても、組織票にとどまらず無尽蔵の人員を運動員や政権支持者として派遣≠オてくれる使い勝手の良い教団を利用しない手はなかった」
「以降、安倍晋三と統一教会は利害を一致させ緊密な関係を続けてきた。第2次安倍政権の国家公安委員長には山谷えり子、小此木八郎、武田良太といった統一教会に近しい議員が登用され教団への追及はなされていない」
「最初に安倍と統一教会の裏取引を筆者が掴んだのが13年の参院選だ。入手した統一教会の内部FAXから、安倍が全国比例区肝いりの候補者・北村経夫への組織票を教団に依頼していたことが発覚。さらに菅義偉官房長官が選挙運動期間中に北村を極秘裏に統一教会地区教会へ派遣していたことも露見した」
「以降、安倍周辺の政治家を含め自民党国会議員が統一教会系の集会などのイベントに相次いで来賓参加、祝電を贈るなどしてきた。統一教会との関係が発覚した自民党国会議員は第2次安倍政権以降、閣僚や副大臣、政務官などに起用された議員が目立つ。第4次安倍再改造内閣では異常≠ニ呼んで差し支えないレベルで統一教会への貢献度が高い議員が登用され、その構図は菅政権でも継続された」
「15年8月、統一教会が法人名を改称した際、認証を拒む文化庁に対して、安倍側近の閣僚の関与が永田町で指摘されたという。16年1月、従順な統一教会2世信者組織であることを隠したまま『勝共UNITE』が安倍政権を支持する遊説活動を開始。同年6月上旬、安倍首相が統一教会の日本会長と総会長夫人を首相官邸に招待。安倍は11年に麻生太郎らとともに統一教会系のワシントン・タイムズ紙に掲載された全面意見広告に賛同者として名前が記載。10年に教団関連政治団体『世界戦略総合研究所』で講演、12年には同総研が共催したシンポジウムに参加。13年から16年の「桜を見る会」に同総研の事務局次長を招待した」
「統一教会は創価学会とは違い単独で複数の国会議員を擁立できるほどの票数は持っていない。参院選全国比例区での組織票は8万票ほどにとどまる。統一教会が採ったのは政権による体制庇護と引き換えに人員を派遣、裏で政権を支える各種工作を行う取引だ。その中で頻発したのが自民党国会議員による教団イベント来賓参加である」
「16年、統一教会はUPFを前面に立て『世界平和国会議員連合(IAPP)』を世界各地に立ち上げた。11月17日に参議院議員会館特別会議室で開いたIAPP創設大会『ILC(国際指導者会議)JAPAN2016』には当時の閣僚5人を含む63人の国会議員が出席、代理出席の秘書を含めると100人を超えた。日本の議員連合会長は原田義昭元環境相、名誉会長は細田博之元官房長官」
「「平和運動」を掲げる同議員連合の目的は、世界各国で統一教会をその国の宗教つまり国教とする「国家復帰$略」にある。内部資料に記された国家復帰の7つの対象国には日本も入っており、政権と緊密な関係にある日本は格好の国家復帰の場だ」
「韓鶴子は2018年のさいたまスーパーアリーナ2万人信者集会において日本人を「人間的に考えれば赦すことのできない民族」と指摘。さらに日本から韓国への上納金を正当化するように日本をこう評した。
「自分を顧みず全てを惜しみなく与えるエバ国家=v」
「また同年、日本の幹部が全員参加した韓国での修練会において、広島に原爆が「落ちた」ことを引き合いに日本へ「悔い改め」を迫り「国家復帰」のために「日本の最高指導者」を「打ち負か」して「屈服」させ「教育」する指令を出した。安倍政権と蜜月の関係を築く一方、教団内では日本や安倍首相を見下していていたのだ」
「19年12月末から翌20年の年始、約1200人の統一教会2世大学生信者が世界平和青年学生連合(YSP)研修のために渡韓して、強制徴用被害者∞慰安婦≠ヨ直接謝罪。少女像が設置された旧日本大使館前から日本政府・安倍政権に対し過去の歴史への謝罪要求を行ったことが韓国で報じられた。この謝罪行脚により、勝共UNITEの2世には安倍政権支持活動を行わせておいて、YSPの2世には安倍批判活動をさせるという教団のダブルスタンダードが露見した」
 統一教会と政治の関わりを追い続けてきた「やや日刊カルト新聞」主筆鈴木エイト氏の21年10月の記事の再録から。
 慰安婦少女像や徴用工訴訟判決などで韓国への対抗姿勢を強める政権が、韓国はメシアである文鮮明のもとで世界統一の中心であるアダム国、日本は「人間的に考えれば赦すことのできない民族」、すべてを与えるエバ国家とする統一教会=世界平和統一家庭連合に、反共産主義運動という共通理念の他に議員秘書と選挙支援の見返りという実利で祖父岸信介以来深く関係し、その霊感商法や洗脳による信徒獲得と生活破壊という違法活動に司直の手を入れることをせず、第二次安倍政権のもとで「世界平和」の名の下でまさに首相や与党議員等がカルト集団に洗脳されているという、この国の最も根深い問題に光を当てる記事。第二次安倍政権とその後の菅政権は統一教会と、まさにズブズブの関係。
 国民を収奪するカルト宗教とその関連組織の会合に祝電を打つあるいは参加する国会議員とは、まさに同じ犯罪者集団ということ。安倍政権を批判するひとびとに対して心ないネトウヨが多用する「半日」「売国」が実は誰なのか、よく考えるべきだろう。
 元首相銃撃事件で、その背景となった安倍元首相やその他少なくない政治家らの統一教会との関わりは、統一教会の活動の犠牲者だけではなくこの国の政治と社会の未来を決める重大な問題。
《参院選の真っ只中の7月8日、安倍晋三元首相が凶弾に倒れたことに日本中が震撼した。それだけでなく、容疑者が語った動機により、さらなる衝撃が走った。容疑者は「特定の宗教団体に恨みがあり、安倍元首相がつながっていると考えて犯行に及んだ」と供述したのだ。安倍元首相と「特定の宗教団体」こと統一教会とはどんな関係にあったのか。ジャーナリスト・鈴木エイト氏が昨年10月に『実話BUNKA超タブー11月号』に寄稿した、政権与党・自民党と統一教会の関係の歴史についての原稿を転載する。
 2021年9月12日、カルトウォッチャー界隈が騒然となった。カルト宗教団体として悪名高い統一教会の大規模集会に安倍晋三元首相がリモート登壇し教団の最高権力者である韓鶴子総裁(故文鮮明教祖夫人)に敬意を表す演説を行ったのだ。なぜ日本の元総理大臣がキングオブカルト≠ニ呼称される統一教会系のイベントへ参加するに至ったのか。近年の自民党政権と統一教会との緊密な関係を紐解いてみよう。  安倍が出演したのは統一教会のフロント団体・天宙平和連合(UPF)が主催し「150か国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う」とされた『神統一韓国のためのTHINK TANK2022 希望前進大会』なるリモート集会。コロナ禍において統一教会は大規模な集会をほぼ配信形式で行っており、今回のTHINK TANK2021での安倍による「韓鶴子総裁を始め皆様に敬意を表します」との韓鶴子礼賛発言も韓国の教団施設(清心ワールドセンター)から全世界へネット配信された。  安倍の登壇が騒動になっている理由は何か。それは韓国への強気の対応で知られる安倍が裏では韓国発祥のカルト°ウ団と繋がっていたことに加え、統一教会自体が数々の社会問題を引き起こしてきた反社会性の強い教団であることが大きい。
自民党と統一教会の歴史の変遷
 1954年に韓国で文鮮明が創設した統一教会は58年に日本進出。翌59年に日本統一教会設立、64年に宗教法人として認証された。文は67年に山梨県本栖湖畔で行った戦後右翼の大物らとの日韓反共首脳会談を契機に翌68年、岸信介元首相の後ろ盾を得て国際勝共連合を創設。勝共運動は東西冷戦下での安保闘争時代を背景に政財界へ浸透してゆく。74年5月に文鮮明が帝国ホテルで開いた「希望の日」晩餐会には岸の他、福田赳夫、安倍晋太郎ら40人の自民党国会議員が出席した。文は「まず秘書として食い込め。食い込んだら議員の秘密を握れ。次に自らが議員になれ」と指示、秘書養成所で訓練された信者が自民党国会議員のもとに送り込まれ、秘書や運動員として活動してきた。90年代初頭には200人以上の「勝共推進国会議員」が存在した。  一方で社会への軋轢も起こった。65年には学業を放棄し原理運動に没頭する教団系学生組織・原理研究会(CARP)への批判報道がなされ、80年代以降には高額な壺や印鑑などを売りつける霊感商法、正体を隠した偽装伝道、教祖が選ぶ相手とマッチングされる合同結婚式の問題などが報じられた。これらは形や手法を変えながら現在も行われており、韓国の寒村に嫁ぎ生活苦に喘ぐ日本人女性信者が数千人以上存在すると言われている。街頭勧誘や訪問、大学キャンパス等での偽装勧誘も横行している。  87年に結成された全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の集計によると、2020年までの統一教会による霊感商法の累計被害額は1234億円を超えている。これは氷山の一角に過ぎず、現在も億単位の被害を巡る訴訟を始め複数の裁判が係争中だ。流出した教団内部資料によって毎年数百億円に上る日本から韓国の教祖一族への上納金額が判明している。霊感商法最盛期の00年代前半には年間約1000億円が送金された。統一教会は韓国国内外に一大企業群を抱えており、日本から収奪したお金が教団組織や関連企業群を支えている構図だ。  全国弁連は20年6月、地方自治体への申し入れの際に統一教会を「反社会勢力とも言うべき極めて問題のある特定宗教団体」と指摘した。そんな反社会的宗教団体と自民党国会議員との関係は時代とともに変化してきた。  90年代初頭に活況を呈した勝共推進議員は一連の社会問題や東西冷戦終結の影響などにより激減、政界工作も00年代には下火となった。ところが12年の第2次安倍政権発足後、状況は一変する。
第2次安倍政権での緊密な関係
 安倍晋三については2006年にUPFが主催した福岡での『祖国郷土還元日本大会』に祝電を贈ったことが判明している。しかしその時点では、首相公邸だった建物を教団本部として使用させた祖父の岸信介元首相や、教会員を自民党国会議員の秘書として紹介し各議員を教団のセミナーへ誘導していた父親の安倍晋太郎元外相とは異なり、安倍晋三自身は統一教会とは一定の距離を置いていた。  ところが09年、教団本部のお膝元にあった東京・渋谷の霊感商法販社が警視庁公安部の摘発を受け複数の教団施設に家宅捜索が入ったことで事態は動く。本部へのガサ入れ≠ェ目前に迫ったことに慌てた教団幹部は、警察官僚出身の政治家の口利きによって本部の摘発を逃れた。 「政治家対策を怠っていた」との反省から政治工作が再度本格化される中で12年12月に第2次安倍政権が発足。憲法改正と長期安定政権を目論んでいた安倍にとっても、組織票にとどまらず無尽蔵の人員を運動員や政権支持者として派遣≠オてくれる使い勝手の良い教団を利用しない手はなかった。以降、安倍晋三と統一教会は利害を一致させ緊密な関係を続けてきた。第2次安倍政権の国家公安委員長には山谷えり子、小此木八郎、武田良太といった統一教会に近しい議員が登用され教団への追及はなされていない。  最初に安倍と統一教会の裏取引を筆者が掴んだのが13年の参院選だ。入手した統一教会の内部FAXから、安倍が全国比例区肝いりの候補者・北村経夫への組織票を教団に依頼していたことが発覚。さらに菅義偉官房長官が選挙運動期間中に北村を極秘裏に統一教会地区教会へ派遣していたことも露見した。以降、安倍周辺の政治家を含め自民党国会議員が統一教会系の集会などのイベントに相次いで来賓参加、祝電を贈るなどしてきた。統一教会との関係が発覚した自民党国会議員は第2次安倍政権以降、閣僚や副大臣、政務官などに起用された議員が目立つ。第4次安倍再改造内閣では異常≠ニ呼んで差し支えないレベルで統一教会への貢献度が高い議員が登用され、その構図は菅政権でも継続された。  15年8月、統一教会が法人名を改称した際、認証を拒む文化庁に対して、安倍側近の閣僚の関与が永田町で指摘されたという。16年1月、従順な統一教会2世信者組織であることを隠したまま『勝共UNITE』が安倍政権を支持する遊説活動を開始。同年6月上旬、安倍首相が統一教会の日本会長と総会長夫人を首相官邸に招待。安倍は11年に麻生太郎らとともに統一教会系のワシントン・タイムズ紙に掲載された全面意見広告に賛同者として名前が記載。10年に教団関連政治団体『世界戦略総合研究所』で講演、12年には同総研が共催したシンポジウムに参加。13年から16年の「桜を見る会」に同総研の事務局次長を招待した。  統一教会は創価学会とは違い単独で複数の国会議員を擁立できるほどの票数は持っていない。参院選全国比例区での組織票は8万票ほどにとどまる。統一教会が採ったのは政権による体制庇護と引き換えに人員を派遣、裏で政権を支える各種工作を行う取引だ。その中で頻発したのが自民党国会議員による教団イベント来賓参加である。  16年、統一教会はUPFを前面に立て『世界平和国会議員連合(IAPP)』を世界各地に立ち上げた。11月17日に参議院議員会館特別会議室で開いたIAPP創設大会『ILC(国際指導者会議)JAPAN2016』には当時の閣僚5人を含む63人の国会議員が出席、代理出席の秘書を含めると100人を超えた。日本の議員連合会長は原田義昭元環境相、名誉会長は細田博之元官房長官。表向きには「平和運動」を掲げる同議員連合の目的は、世界各国で統一教会をその国の宗教つまり国教とする「国家復帰$略」にある。内部資料に記された国家復帰の7つの対象国には日本も入っており、政権と緊密な関係にある日本は格好の国家復帰の場だ。
政権とは蜜月でも日本を見下す
 韓鶴子は2018年のさいたまスーパーアリーナ2万人信者集会において日本人を「人間的に考えれば赦すことのできない民族」と指摘。さらに日本から韓国への上納金を正当化するように日本をこう評した。「自分を顧みず全てを惜しみなく与えるエバ国家=v
 また同年、日本の幹部が全員参加した韓国での修練会において、広島に原爆が「落ちた」ことを引き合いに日本へ「悔い改め」を迫り「国家復帰」のために「日本の最高指導者」を「打ち負か」して「屈服」させ「教育」する指令を出した。安倍政権と蜜月の関係を築く一方、教団内では日本や安倍首相を見下していていたのだ。  19年12月末から翌20年の年始、約1200人の統一教会2世大学生信者が世界平和青年学生連合(YSP)研修のために渡韓して、強制徴用被害者∞慰安婦≠ヨ直接謝罪。少女像が設置された旧日本大使館前から日本政府・安倍政権に対し過去の歴史への謝罪要求を行ったことが韓国で報じられた。この謝罪行脚により、勝共UNITEの2世には安倍政権支持活動を行わせておいて、YSPの2世には安倍批判活動をさせるという教団のダブルスタンダードが露見した。  THINK TANK2022ではドナルド・トランプ前アメリカ大統領の基調演説も配信された。韓鶴子は16年11月18日のNYトランプタワーでの「安倍・トランプ会談」のお膳立てにも一役買ったとされ、北朝鮮による日本人拉致問題においても金正恩委員長と近しい韓鶴子が今後の日朝首脳会談の橋渡しをダシに使ってくる可能性もある。  全国弁連は18年と19年に全国会議員事務所へ統一教会や関連団体と関係を持たないよう要請する文書を届けた。しかしその後も教団イベントに来賓出席等する自民党議員が続出した。政治家の教団イベント参加は過酷な献金収奪で疲弊する日本人信者の内部統制の手段として使われている。その点でも安倍晋三による今回のリモート登壇は深刻な問題である。  全国弁連は9月17日に会見を開き、安倍のリモート登壇と韓鶴子礼賛発言について「統一教会にお墨付きを与えることは教団の反社会的活動を容易にし、その是正を困難にするものとして悪用される」と非難、公開抗議文を安倍晋三事務所に送付した。  安倍晋三事務所は筆者の取材にUPFジャパンからビデオメッセージの依頼があったことを認めた。
「メッセージはお送りさせてはいただいたんですけど、出席はしておりません」  改めて安倍事務所に統一教会との関係や道義的責任を問う質問書を送ったが、期限までに回答は得られなかった。  キングメーカーとして政界への影響力を維持しようと画策する安倍晋三。そこに統一教会がどう関与していくのか、今後も注視が必要だ。 【編集部追記】 安倍晋三元首相の訃報、大変痛ましく思います。安倍元首相のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 [初出:実話BUNKA超タブー2021年11月号] 【プロフィール】
鈴木エイト(やや日刊カルト新聞主筆)PROFILE
すずきえいと●滋賀県生まれ。日本大学卒業。2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表〜主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)。》



2022年 7月13日
・強い殺意を抱いた理由が、この「宗教団体」にあるとすれば、二度とこうした痛ましい事件が起こらないために、ぜひともお伝えしておきたいことがあります。
・(容疑者の)母親は1990年代に信者として所属していました。実は、筆者(57歳)も、1987年から約10年間「中の人」でしたので、活動時期が一部かぶります(面識はない)。
・「宗教団体である」という正体を隠した手法で誘われて、この自己啓発のサークルが、実は「統一教会」と知らされた時には、もはや入信せざるを得ない状況でした。だまし討ちに遭ったような形で、信者として長きにわたり、心と体をからめ捕られた時期があるのです。
・その頃、集会やイベントなどでしばしば、安倍晋三氏の父親である安倍晋太郎氏の名前を聞きました。「統一教会の信者が、彼、および彼に近い議員の下に秘書として、多く入り込んでいる」。そんな話を末端の信者たちは何度も聞かされました。
・当時の教団内の話では、晋三氏の祖父である岸信介元首相とのつながりが深いとのことで、筆者も当時、「安倍一族はそんなに統一教会とつながりが深い人物なのか」とその関係性を不思議に感じていました。
・信者時代に聞いて印象深かったことのひとつに、1987年の中曽根康弘氏の首相退陣の際の教団上層部からの発言があります。中曽根氏が後継として竹下登氏を指名したことについて、こう言いました。「中曽根氏は神の摂理に失敗した。統一教会との結びつきの強い晋太郎を総理大臣に指名すべきだった。久保木修己(統一教会初代会長)を政治に参加させる道が絶たれた」
・山上容疑者の母親も、教団に多額の献金をして20年前(2002年)に破産したということですから、1990年代の信者とすれば、おそらく筆者と同じ話を聞いたと思われます。そして、統一教会が政治の世界を動かして、文鮮明氏を中心とした神の国を実現しようとしている。そうした熱い思いを抱いたことでしょう。
・そもそも教団内では、上の言葉を絶対に信じなければならないもので、それに下の者が異を唱えることは許されません。よって、組織の上の人物から「安部晋三氏は統一教会と深いつながりがある」「熱烈な教団の支援者である」と言われれば、信者らはそれを疑うことなく信じて、さらに下の人たちに伝えることになります。
・教団が政治家とのつながりを積極的に持とうとするのは、彼らの権威を利用すれば、勧誘と献金を増やせるからです。言ってみれば、政治家は広告塔なのです。
・勧誘手法のひとつに、街頭で声をかけて、勧誘場所に連れ込んだ人にアンケート用紙を書かせるという手口があるのですが、その項目に「現在の貯蓄は?」があります。勧誘現場の人たちはこの項目を注視していましたので、勧誘を通じて、献金につなげようとしています。
・他者を排除するような思想団体に入信してしまうと、家族に大きな迷惑をかけることになります。筆者も長きにわたって家族に精神的、金銭的負担をかけてきました。脱会についても、家族、親族の献身的な助けを受けました。脱会できたのは、これまで教団から教えられてきた「幸福になるための神の教え」が、どれほど家族らを苦しめてきたのかに気づいたからです。
・今回の会見で、会長は「個人の救い」だけではなく「家庭の救い」を目指すなかで、名称を「統一教会」から「世界平和統一家庭連合」に変えた、と語りました。しかし、それを聞きながら思うのは、「家庭の救い」とは正反対の状況です。
・筆者自身が脱会を決意できたのも、多額の献金のため借金に苦しむ仲間の信者らの姿をみて、教団側の言葉の矛盾に気づいたからです。幸い筆者は大きな借金をせずに教団を脱会できましたが、今回のように、金銭を奪われたことで恨みが深くなり、その反動から、過激な行動に出てしまう人もいるかもしれません。
・実のところ、元信者やその家族らの教団への恨みから暴力事件などが起こる可能性を筆者は以前から懸念していました。こうした事態を繰り返すことは絶対に避けなければなりません。そこで、あえて過去のつらい経験をお伝えすることにしました。
・教団内にいれば、毎日のように「神の国実現」のための献金が叫ばれます。思想を信じる人ほど、その教団の願いに応えようと必死になります。「カードでお金を借りてでも、献金しなさい」と言われれば、そうせざるをえない状況です。その結果、当時、返済に困り、破産したり、金銭的に困窮したりする信者がたくさんいました。
・もちろん事件の責任は、安倍氏を殺害した山上容疑者にありますが、統一教会の教えが発端になり、山上容疑者の家族関係が破綻に追い込まれたのだとすれば、今回の事件について道義的な責任はあるのではないでしょうか。
・それに当時、家や土地を担保にして、無理な借金を重ねさせて献金させるケースは、他にも数多くあったと考えています。こうした献金手法に問題はなかったのかなど、今回のような悲劇を繰り返さないためにも、よりいっそうの厳しい目を向けての議論が必要だろうと思います。
 安倍晋三元首相の銃撃事件を受けて、山上容疑者の母と同じ1990年代に統一教会信徒であったジャーナリストの多田文明氏によるたいへん貴重な記事。
 善意の若者が自己啓発セミナーに誘われて、気がつけばカルト的な宗教団体に入信して献金と布教・勧誘の活動にのめり込まされ、「神の国」実現まで借金を重ねて破産・困窮するまで追い詰められる。信徒を団体に繋ぎ止めるために、有名人や政治家も組織と関係が深いと信じ込ませて安心させる。
 これは怪しげな商品・サービスを高額で売り込むために、働き手を酷使して最大利益を追求するブラック企業となんら変わらない。唯一の違いは、「神」「救い」「平安」などの宗教理念で組織拡大と利益追求を行うことで、さらに悪質だ。この献金や霊感商法で得た莫大な資金はどこに行っているのか。
 日本による植民地支配下の朝鮮で生まれ育った文鮮明が第二次大戦後に作った統一教会は、旧約聖書を様々に引用しながら、東アジア的な男尊女卑と植民地支配の日本への批判を合わせて、創世記のメシアが文であり、「エバ」を人類の汚れのルーツとして日本は「エバ国家」(罪深き国)であり、神に選ばれた民族でメシアが誕生する国である韓国=「アダム国家」と世界に悔い改めて貢がなければならない、と教える。
 2018年7月22日統一教会・家庭連合が岡山で開催した1万人大会で、来賓として自民党衆議院議員の逢沢一郎(岡山1区)、山下貴司(岡山2区)、加藤勝信(岡山5区)、そして2013年の参院選「安倍首相じきじきのお願い」で教団組織票によって当選した北村経夫参議院議員 (全国比例)がいる中で教祖夫妻の5女・文善進世界会長が代読した韓鶴子総裁の“みことば”。
「私は日本に言いたいです。私たちがひとつになるためには、過去に誤ったことを認め、これからは未来のために良くしていこうと手を繋いでいかなくてはなりません。人間的に考えれば赦すことのできない民族です。しかし天の摂理において、真の父母は日本を世界のために生きるエバ国家、母の国として祝福しました。母の特徴は自分を顧みず全てを惜しみなく与えてくれることです」
「日本の信者に大きな傷跡をつけるきっかけは1975年に文鮮明教祖から発せられた送金命令である。統一教会幹部の証言によると、それからの10年間に毎月20億円、合計2000億円が教祖のもとに届けられた。「先祖の因縁」話などを利用した霊感商法など詐欺的行為による」
「文鮮明教祖が「竹島」に上陸しただけでなく、天皇陛下役の幹部が文氏に拝跪する儀式があることも幹部によって暴露された。いずれ世界が韓国語で統一されるなど基本的に民族宗教といえる側面がある」
有田芳生の『酔醒漫録』 統一教会の文鮮明教祖死去にあたって 2012-09-03 08:02:54
 植民地支配や侵略戦争に対する批判は真っ当なものではあるが、赦すことのできない「民族」とは、人種や民族に対する差別の言葉であり、是認できない。さらに、その賠償を宗教団体が洗脳やマインドコントロールによって善意の市民から莫大な資金を「献金」という形式で奪ってよいものでもない。「勝共」という政治性とは別に統一教会は極めて民族主義的な側面があり、日本の保守政党の右翼政治家たちの歴史修正主義の政治信条とまったく相反するものだが、これらの集会に参加あるいは祝電を寄せるものたちはその点は無頓着である。
 さらに問題であるのは、こうしたカルト宗教が様々な理由で市民を勧誘しその生活が破綻するまで資金を奪われ、「両性の合意のみ」によるべき婚姻が「合同結婚」によって個人の意思に関わりなく決められ苦難を強いられていることに無頓着に、政治家らがその教団と関連組織に深く関与し続けていることだ。
 憲法20条は「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」としており、統一教会のような霊感商法と献金強要などで違法に市民に損害を与え続ける組織が、政府与党政治家らの支援によって宗教法人認可を取り消されないということも含め、ここで多田氏が言うように、「今回のような悲劇を繰り返さないためにも、よりいっそうの厳しい目を向けての議論が必要」であり、この教団に様々に関与した政権と政治家は自らを深く省みるべきだろう。
《安倍晋三元首相の銃撃事件で、逮捕された山上徹也容疑者は「『統一教会』に恨みがあり、安倍元首相が近しい関係にあると思ってねらった」と供述していると報じられている。実際に「世界平和統一家庭連合」(旧・統一教会)は、山上容疑者の母親が信者だったことを認めている。母親が熱心な信者だった頃に、同じく信者だったというジャーナリストの多田文明氏が、自身がみた旧統一教会の実態を振り返る――。
旧統一教会「中の人」が語る、献金献金献金の日々
安倍晋三元首相(享年67)が凶弾に倒れました。手製の銃で襲撃した山上徹也容疑者(41)は「母親が宗教団体にのめり込んで破産して、家庭が崩壊した」「安倍氏はその宗教団体のつながりがあり、恨みをもっていた」と供述していると報じられています。
強い殺意を抱いた理由が、この「宗教団体」にあるとすれば、二度とこうした痛ましい事件が起こらないために、ぜひともお伝えしておきたいことがあります。
7月11日午後、「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)が都内ホテルで会見を開き、山上容疑者の母親が「統一教会」の信者であったことを明らかにしました。
母親は1990年代に信者として所属していました。実は、筆者(57歳)も、1987年から約10年間「中の人」でしたので、活動時期が一部かぶります(面識はない)。
筆者は大学4年生の頃に、友人を通じて統一教会であることを告げられないままに、自己啓発セミナーに誘われました。それをきっかけに、就職などの先行きの不安を煽られるような形でしだいに思想を植え付けられ、入信することになりました。
「宗教団体である」という正体を隠した手法で誘われて、この自己啓発のサークルが、実は「統一教会」と知らされた時には、もはや入信せざるを得ない状況でした。だまし討ちに遭ったような形で、信者として長きにわたり、心と体をからめ捕られた時期があるのです。
この団体は、韓国人である文鮮明氏を教組として創設されました。1980年代には霊感商法事件などが全国で起きて、大きな社会問題にもなりました。また1992年8月25日に、韓国で行われた教組によって伴侶を決めて行われる合同結婚式には、歌手の桜田淳子氏も参加するなど、世の中を大いに騒がせました。
そうした騒動から、時間が流れた今、なぜ凶悪な事件が起こってしまったのでしょうか。
その背景について、筆者が一時期「中の人」だったこと、また、ジャーナリストとしてこれまで詐欺行為をするような危険な思想組織に多数潜入してきて、その状況を見聞きしてきた体験も踏まえてお伝えしたいと思います。ーーーー


2022年 7月12日
《高額で献金されてきた方々は、かつてもいらっしゃいます。本人の意思なくしては、高額献金も出ません。ご本人に対するノルマという扱い方はしておりません。破綻していると知っていた立場であれば、献金を願う・要求するということはありませんし、そのような指導はしておりません》
→団体が信者らに唱える「十一条献金」は収入の10分の1を取り上げるノルマそのもの。さらに、「お金だけが捧げる物ではなく、私自身をも捧げるという精神が大切」「所有している物質中の十分の一を神様に捧げることにより、残りの十分の九も聖なるものとして取り扱い得るようになります」として、それを超えて莫大な献金を求め、破産にまで追い込む。
「勧誘手法のひとつに、街頭で声をかけて、勧誘場所に連れ込んだ人にアンケート用紙を書かせるという手口があるのですが、その項目に「現在の貯蓄は?」があります。勧誘現場の人たちはこの項目を注視していましたので、勧誘を通じて、献金につなげようとしています。ーーー教団内にいれば、毎日のように「神の国実現」のための献金が叫ばれます。思想を信じる人ほど、その教団の願いに応えようと必死になります。「カードでお金を借りてでも、献金しなさい」と言われれば、そうせざるをえない状況です。その結果、当時、返済に困り、破産したり、金銭的に困窮したりする信者がたくさんいました」母親が熱心な信者だった頃に、同じく信者だったというジャーナリストの多田文明氏
「カードで借金してでも献金しなさい…元信者の証言「旧統一教会の本性」と「安倍一族との近すぎる関係」」
《私達の友好団体が主催する行事に、安倍元首相がメッセージを送られたことはございます。 安倍首相は、韓鶴子総裁が指導し、多くの世界の指導者とともに推進している世界平和運動に対しては賛意を表明してくださっておりました。ーーーこれは憶測でありますが、当法人とそれから、友好団体の区別がついていなかったのではないかというふうに思います》
→ これは元首相と団体の関わりの唯一の事例ではなく、例えば2006年5月13日に福岡県で開いた集団結婚を兼ねた「天宙平和連合(UPF)祖国郷土還元日本大会」に、安倍晋三官房長官や衆院憲法調査特別委員会筆頭理事で元法相の保岡興治氏ら国会議員七人が祝電を送っている。
 赤旗は「UPFは統一協会の偽装組織で、教祖文鮮明と妻の韓鶴子が共同総裁です。統一協会は「七代前の先祖の因縁を解放しなければならない」という“解怨献金”(一家庭七十万円)などに力を入れ、UPFはその舞台の一つ。献金で天国に入籍し、それにより平和をつくるなどとしています。組織の指名で相手が決まる集団結婚(合同結婚)は、文鮮明との性交で原罪を清算する(血分け)という“教義”を象徴化したもの」と報じている。
 文鮮明と妻が共同総裁である「天宙平和連合(UPF)」は、このとき集団結婚も行っており、統一協会と一体で別組織とは言えない。2021年安倍元首相がビデオで基調講演した「天宙平和連合(UPF)」の「神統一韓国のためのTHINK TANK 2022 希望前進大会」も同様で、さらに悪質なのは単なる祝電ではなく講演ビデオで登場していること。
 2019年9月27日の全国霊感商法対策弁護士連絡会の「国 会 議 員 の 先 生 方 へ」の要請文は、
「家庭連合は、統一教会と称していた頃から、信者の人権を抑圧し、霊感商法的手口による反社会的行為による違法な資金獲得とその資金の韓国文鮮明ファミリーへの献金を継続してきました。私達は、全ての政治家に対し、反社会的団体である家庭連合やそのダミー団体から支援を受けたり、連携していると見られかねない活動をひかえるよう要請致します。
家庭連合が、一般市民に対し、正体を隠して近づき、先祖因縁や霊界の恐怖を煽って脅迫的行為を行う、いわゆる霊感商法による被害は、当連絡会が集計した相談だけでも、1987(昭和62)年から2018(平成30)年12月までの31年間に合計約3万4197件、被害合計は約1213億円余りにのぼっており、現在もなお同様の被害相談が継続して寄せられています(窓口別被害集計)。家庭連合の法的責任を認めた民事裁判例も多数にのぼります」
と記しているにもかかわらず、「世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁を始め皆様に敬意を表します」などと元首相は家庭連合と天宙平和連合の総裁である文の妻を称える演説をしている。
《政治運動に関しては、友好団体の天宙平和連合から協力依頼があってすることはあったとしても、安倍首相に関してはございません。こちらが組織的にやることじゃないので、各個人がその要請を受けとめて、応援してることはあるかもしれませんが、それでも安倍首相に関することを聞いたことがありません》
→旧統一教会は多くの信徒を自民党議員秘書として送り込んできた。すでに1998年9月22日参院法務委で中村敦夫議員が統一協会によるマインドコントロールまがいの勧誘と霊感商法そして自民党との深い繋がりを鋭く追及している。
「統一協会は宗教の名をかりてさまざまな反社会的な行動をとっている団体でございますけれども、特に青年たちあるいは主婦層をターゲットに、大変システマチックな心の操縦法というものをうまく使いまして、いわゆるマインドコントロールをしていく。ーーこの結果、子供たちがそういう団体にとられて本当に苦しんでいる家族というのがもう何千とあるわけで、長い長い間これが続いてきたわけです。こんな団体がぬけぬけと放置されているという事態そのものが私は大変おかしいと思っております」
「そして、この教祖である文鮮明という男も、経歴を見ると、もうスキャンダラスチックな行動で埋められているような人物です。最初はピョンヤンの方から布教を始めていくわけですけれども、その教会でセックスを媒体とした非常にいかがわしい布教を始めて、二度も逮捕されているわけです。一九四六年、四八年、風紀紊乱罪とか二重結婚とかいかがわしい容疑で逮捕されていると。これは教義そのものも非常にセックスに絡んだ、そうしたおかしな教義なんです」
「国会議員に対して統一協会やその政治組織などから秘書が派遣されているというのは広く知られているわけですね。多い人は統一協会から一人の議員に九人もの秘書がついているというようなこともありますーーー高村外務大臣、この方はかつて統一協会の代理人だったわけですね。裁判の記録などにも載っているわけです。それから、一九八九年の資産公開では、統一協会の霊感商法の元締めであるハッピーワールドという会社、ここから時価三百八十万円のセドリックを提供されている。これは相当に深い関係だと思うんです。こういう方が今、日本と北朝鮮の問題のさなかで外務大臣をやっているということを私は大変危惧するわけです」1998年9月22日法務委員会/中村敦夫委員
 これは過去の問題ではなく、今回の参院選で「同性愛とか色んなことでどんどん可哀想だと言って、じゃあ家族ができないで、家庭ができないで、子どもたちは本当に日本に本当に引き継いでいけるんですか」などと発言し「LGBT差別」と炎上した、第一次安倍内閣では内閣総理大臣首席秘書官を務めた自民党・井上義行候補(全国比例)が、銃撃事件二日前の7月6日、さいたま市文化センターの世界平和統一家庭連合(旧統一教会)会合で幹部から「井上先生はもうすでに信徒になりました」と紹介され「炎上上等」などと発言していたことが報道されている。
 この井上義行候補の同性愛に対する差別意識は、統一協会が名称変更した「世界平和統一家庭連合」の名が示すように、個人より「家庭」に価値を置き、個人の自由と尊厳ではなく家庭を基礎とした宗教・文化・政治そして国家の統一を説く、この団体の歪んだ価値観そのものであり、自民党が固執した「子供家庭庁」につながるもの。ジェンダーフリーや同性婚そして「夫婦別性」にすら反対する今の自民党に、統一教会の主張が色濃く反映されている。
《(岸信介氏との関係についての認識は)私達法人との関係というよりは、文鮮明総裁、韓鶴子総裁が推進する平和運動に強く理解を深めてくださっていたというふうに理解しています。家庭連合と深く関わってはいないと思います》
→これもまったくの出鱈目。統一教会の平和運動とは、メシアである文の下での世界統一というカルト思想の所産であり、教会は以前から、信者の勧誘やマインドコントロールに岸や安倍父子との繋がりを利用してきた。そして岸や安倍父子も文と統一教会の掲げる反共と統一の理念に共感しそして選挙などで利用してきた。
「その頃、集会やイベントなどでしばしば、安倍晋三氏の父親である安倍晋太郎氏の名前を聞きました。「統一教会の信者が、彼、および彼に近い議員の下に秘書として、多く入り込んでいる」。そんな話を末端の信者たちは何度も聞かされましたーーーそもそも教団内では、上の言葉を絶対に信じなければならないもので、それに下の者が異を唱えることは許されません。よって、組織の上の人物から「安部晋三氏は統一教会と深いつながりがある」「熱烈な教団の支援者である」と言われれば、信者らはそれを疑うことなく信じて、さらに下の人たちに伝えることになります」元母親が熱心な信者だった頃に、同じく信者だったというジャーナリストの多田文明氏
「カードで借金してでも献金しなさい…元信者の証言「旧統一教会の本性」と「安倍一族との近すぎる関係」」
《2009年だったでしょうか、当時の当法人の会長が、記者会見、そして声明文を発表いたしました。それ以降13年、当法人も末端に至るまで、コンプライアンスの徹底を進めてまいりました。2009年以降の案件で、そういったトラブルはありません》
→これも虚偽。全国霊感商法対策弁護士連絡会によれば、統一教会による被害の訴えは、2009年以降も印鑑、壺、仏像、そして献金などで件数は減少しても一件当たりの額は増大して現在まで続いている。
 1987年3月26 日第108回国会 参議院 法務委員会で橋本敦議員が追及した統一教会による、信徒らに 祖先の怨霊などを信じ込ませ、印鑑、高麗人参、壺、多宝塔などを原価の10倍以上で売りつける「霊感商法」は何ら変わっていない。
「霊感商法について言いますならば、伝えられる被害だけでも何と五十七億円、一万人以上の被害者だと、こうなっております。しかもその犯罪の手口が、あなたが不幸なのは祖先の怨霊がある、あなたがこのつぼを買って折らなければ家系が絶えますよとか、まさに、暗い、人の不幸につけ込んで、しかも脅迫まがいに強要するという、そういうことですから陰惨な商法だと言わなくちゃならない。しかも、それは高価なものを売りつけるわけですね。
 ここに、統一協会、勝共連合がやっておりますハッピーワールドという取り扱い商品の卸元があるんですが、内部告発で私が手に入れました文書があるんです。これを見て驚きますことは、「以下にグループのトータルとして原価率を示します。」、こう書いて、問題の印鑑は原価率が一二%、つまり十倍から十二倍に売る。ニンジンのエキスは六倍から八倍に売る。つぼに至っては原価率は〇・二五%、四百倍に売る。多宝塔に至っては〇・二%、五百倍に売る。こういうことを公然と書いておるわけですね。ですから、多宝塔に至っては五百万あるいは五百万を超えて何千万という金をそこから取るということも行われている。印鑑は一個が十数万。つぼに至っては原価の四百倍以上で、一つが何十万は安い方で五百万というのも出てくる。こういうような状況になっているわけであります」
《私達の教団は韓国から宣教師が、送られてきて、そしてその宣教師によって、1人から2人、3人と広がってきて定着した宗教団体です。従ってその動きの中に、岸元首相が何か特別な計らいをしたとか、あるいは特別な影響を与えているかということはまずないと思います》
→これも嘘。統一教会の日本本部が置かれたのは、岸信介が住む渋谷区南平台近くの土地であり、岸は何度も教会本部を訪ね、講演もしている。統一教会の内部機関誌に収録された1973年4月8日「アジアの危機と青年の使命」と題した講演では、
「ただいま久保木会長からご紹介ありましたように、私はここへは今回で3度目だと思います。その前に実は、統一教会と私の奇しき因縁は、南平台で隣り合わせて住んでおりました若い青年たち、正体はよくわからないけれども日曜日毎に礼拝をされて、讃美歌の声が聞こえてくる。今考えれば久保木会長なのですが、非常に大きな声でお説教されていたことに私も大変に興味をもって見ていたのであります。そうしたら、私の友人である笹川良一君、戦争中の罪を問われまして戦犯として巣鴨の監獄で3年余りの起居を共にした、いわゆる獄友で、人生のうちでも極めて思い出の深いお友達の一人で、非常に懇意の間柄であります。その笹川君が統一教会に共鳴して、この運動の強化を念願して、私に、君の隣にこういう者が来ているんだけれども、あれは私が陰ながら発展を期待している純真な青年の諸君で、将来日本のこの混乱の中に、それを救うべき大きな使命を持っている青年だと私は期待している。最も現在の数は非常に少なく、また随分誤解もあり、親を泣かせるとマスコミを騒いでいる。そういう話を聞き、お隣でもありましたので、翌日の礼拝の後に参りまして、お話ししたことがありました。ーーまた、皆さんの先輩である福井さんとも妙な関係にありました。随分悩まされるほど、私の所を訪ねて来られますし、勝共連合と私を斡旋していただいているのであります。このような関係で、ここへも3度参っているのでありますが、今日は特にお隣の国、韓国から政府の方や大学の先生方を22名お招きになりまして、国際問題や防衛の問題等について色々なご研究やお話があるとのこと、私は勝共連合がただ単に人間個人としての悩みを解決し、個人としての生き方なり、世に処する道を宗教的に解決するということだけでなくして、あるいは本当の個人のそういうものを解決するためには、当然のことだろうと思います」
と語り、岸や笹川良一ら右派政治家の、統一教会とその政治組織である「勝共連合」との深い関係、「特別な計らい」「特別な影響」を岸みずから告白している。
 さらに1974年5月7日、東京の帝国ホテルで開催された文鮮明の講演会「希望の日晩餐会」では、岸が名誉実行委員長となり、1984年米国で脱税被疑により投獄されていた文鮮明の釈放を求める意見書をレーガン大統領に連名で送るなど、文との繋がりは尋常ではない。
 宗教組織の「統一教会=世界平和統一家庭連合」と政治団体「勝共連合」や学生組織「原理研究会」や自称平和運動の「天宙平和連合(UPF)」は設立者、総裁そしてしばしば会員らが共通する連合体であり、いわば活動分野を分けた本社と分社に過ぎない。
「再臨したメシア」を自称する文鮮明が韓国は「アダム」国家、日本を「エバ国家」(罪深き国)とし、日本による植民地支配への報復のように日本の信徒から法外な献金と霊感商法で莫大な資金を巻き上げる統一教会に、「反共産主義」「保守主義」という側面で岸、安倍ら自民党の歴史修正主義者らが共鳴し連携したということに、戦後の日本という国の政治と社会の歪みの本質があり、カルト集団であるこうした組織を利用し利用された岸ら政治家には重い責任がある。
 田中会長が言う「動機だとすれば重く受け止める」はまるで他人ごと。総じて昨日の世界平和統一家庭連合田中富広会長の説明は、反社会的なカルト集団が行ってきた信徒の洗脳による支配と資産の簒奪、それにより信徒らの人生を狂わせ今回の犯行に至らせたみずからの責任を隠蔽し、そうしたカルト教団を利用しながら関わり続けた岸や安倍元首相の責任を否定して見せるだけの弁明でしかない。これを見逃すことは、この国をこれからもカルト集団が支配し続けることを容認すること。そんな国に未来はない。
 《7月8日に参院選候補者の応援演説中の安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件に関して、宗教法人・世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)が7月11日、記者会見を開いた。
会見を開いた田中富広会長は冒頭で、「特定宗教団体に対する恨みがあったという報道があり、一部メディアでは、当法人の実名での報道がなされた。公式見解を発表する必要があると感じた」と説明。 逮捕された山上徹也容疑者は当法人の信者ではないとし、「過去においても信者であったという記録は存在しない」とした。
記者会見には全国紙やテレビ局など一部メディアしか参加が許されなかった。
以下、1時間にわたる記者会見の質疑応答を全文掲載する。
破綻「諸事情は把握していない」
田中会長は会見の中で、山上容疑者の母親については「1カ月に1回程度の頻度で、教会の行事参加していた」と語った。その一方で、山上容疑者の犯行の動機となったと報じられる献金問題に関しては、「ノルマという扱いはしていない」「現在警察が捜査中であると思われますので、この場での言及は避けさせていただく。警察からの要請があれば全面的に捜査に協力させていただく」と述べるにとどめ、献金額は明らかにしなかった。
—— お母様の寄付金の件に関して。一般論として信者に対して多額の寄付を強いることはあるのか。寄付はどういった仕組みになっているのか。
献金と称されるものは、いろいろなものがございます。例えば月例献金、あるいは礼拝献金、あるいは献金されるときに、一緒に祈祷して捧げるときもございます。また無記名献金のようなものも、もちろんございます。 ご本人の意思で献金されていきますが、献金の額はご本人の心情に基づいていると受け止めております。
—— ご本人が決めるということで、ノルマがあるわけではないという理解でいいか。例えば一人で何千万も高額献金される方もいるのか。
高額で献金されてきた方々は、かつてもいらっしゃいます。本人の意思なくしては、高額献金も出ません。私達は感謝してその志を受け止めております。ご本人に対するノルマという扱い方はしておりません。
—— 一般論になるかもしれないが、破産したことを知った上で、月例であったりさまざまな献金を求める、あるいは励行することはあり得るか?
破綻していると知っていた立場であれば、献金を願う・要求するということはありませんし、そのような指導はしておりません。
—— 今日の会見は1社1つまでの質問で、参加社も限定しているが、あまり良くないのではないか。
今日の参加社の限定に関してですが、今なお犯人の動機の解明がされきれていない中で、さまざまな憶測が飛び交うということは、本人あるいはご家族、心情を察すれば極力、控えていただきたいという思いがございます。
また警察は、宗教団体の実名をまだ発表はされておりませんが、メディアの一部の中では、当法人の名前を前面に出して、行動しているのも事実です。昨夜並びに今朝、私どもの法人の数カ所の教会に心ない電話がありました。
あるいは、メディアからの心ない言葉、取材攻勢を受けております。 そういう人たちを守っていくのも、法人の責任者としての責務であると感じております。今回は、それなりに信頼できるメディアの皆様に(参加)していただきました。 今回ご招待できなかったメディアに関しましても、今後の取材の要請がありましたら、個別に対応させていただきたいと考えております。
—— 奈良家庭教会からも破産していたが、献金を要求していないという報告を受けているのか。
破綻された方のご家庭が破綻された諸事情は、私どもも把握しておりません。現場に問い合わせても、当時のことをわかってる方もおらず、把握しきれてないのが現状です。
ただ破綻されていたということは知っております。その後、献金を要求したかどうかという事実は、記録上一切残っておりません。 今、奈良教会と言われましたが、教会を特定すると、教会員たちの身の安全も含めて、危惧するところが多く、警察発表もないので、私どもも教会を限定して述べないようにしたい。 そのことはご理解ください。
安倍氏は「世界平和運動に対して賛意」
—— 世界平和統一家庭連合と安倍元首相の関係は。いつ頃から付き合いがあるのか。
私達の友好団体が主催する行事に、安倍元首相がメッセージを送られたことはございます。 安倍(元)首相は、韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が指導し、多くの世界の指導者とともに推進している世界平和運動に対しては賛意を表明してくださっておりました。
ただ、宗教法人世界平和統一家庭連合の会員として安倍元首相が登録されたこともありませんし、顧問になったこともございません。明確にそこは申し上げておきたいと思います。
—— どういったきっかけで、いつ頃から関係性を持たれたのか。
当法人が主催団体で企画した行事で関わることがないので、その団体に直接聞いていただくしかないかと思います。 UPF、天宙平和連合という組織がございますので、アプローチしてみていただいたらいいかと思います。
── UPF(天宙平和連合)は友好組織ということですが、安倍元首相がビデオメッセージを送っている。安倍元首相の選挙運動を一緒にしたりとかは。
UPFとしての方は私はちょっとわかりませんが、教団としては一切ありません。
── UPFは、文鮮明(ムン・ソンミョン)さんが創設者だと思うんですが。
我々もそうです。
── 教会会員とUPFの会員が重なっている部分が多々あると思いますが、UPF側の援助については知っているか。
我々の教団会員のどなたがUPFの会員になってるかちょっと掌握してないので、ここではお答えできません。
── 統一教会として安倍(元)首相の政治運動であったり、演説時の動員であったり、そういったものに協力したという事実はあるか?
安倍(元)首相に関してはございません。
政治運動に関しては、友好団体の天宙平和連合から協力依頼があってすることはあったとしても、安倍(元)首相に関してはございません。
こちらが組織的にやることじゃないので、各個人がその要請を受けとめて、応援してることはあるかもしれませんが、それでも安倍(元)首相に関することを聞いたことがありません。
—— 安倍元首相は奈良市での演説中に撃たれたが、聴衆の中に結構な数の統一教会の方がいたという話もある。動員していたかどうか把握しているか。
よくわかりません。もし教会員がたくさんいたとしたら、安倍(元)首相の応援ではなく、地元の候補者の応援だと思います。組織ではなく、個人として支援している可能性はあります。
—— 旧統一教会と、安倍元総理のおじい様、岸信介氏との関係についての認識は。
私達法人との関係というよりは、文鮮明総裁、韓鶴子総裁が推進する平和運動に強く理解を深めてくださっていたというふうに理解しています。
—— どのような関係か、そこについての認識は。
家庭連合と深く関わってはいないと思います。ただ平和運動の方で関わってることはあるかもしれません。その辺は友好団体とも確認してみたいと思います。
—— 容疑者自身は旧統一教会に所属していなかったと説明があったが、母親が信者だったことを踏まえて、これまでに容疑者自身が直接、旧・統一教会と関わりを持つことはなかったのか。あるとすれば、いつどのような形で関わりや接点があったのか。旧統一教会の恨みについて、供述をしているという報道がありますが、この恨みや不安について容疑者本人から直接そういった内容について示してくることはなかったのか。
記録として会員になったことはございません。可能性としてというふうに今言われましたが、もし可能性としてあれば、母親が関わり始めたのが1990年代後半になります。
容疑者は10代の後半ということになります。その頃に、一緒に学んでいた可能性がないとは言えません。記録も一切ないのでわからないですね。ただ、会員になるほどの学びを深めたという事実はないんだと思います。
—— 恨みや不満について本人から示してくることはなかったのか。
本人から今いるメンバーで直接、恨みを示された方はいません。関わってないと言った方がいいかもしれません。
── 報道では、最初一部の宗教法人を最初狙おうとしていたというような話もある。 会長としての受けとめ、最近その兆しや今回の報道を受けての対策はあるのか。
今回の暴挙に至った真実の動機が、報道(にある通り)だと、捜査の結果、最終的に至ったとしたら、それはとても重く受け止めていきます。 我々の実名報道によって、社会的な不安が発生していたとしたら、重く受け止めていかなければならないと考えております。
いずれにしろ、教会に対する恨みや、そこから安倍元首相の殺害にいたるには、とても大きな距離があって、私達もその理解に少し困惑をしております。
警察が何よりもその動機の解明に向かって全力を挙げて今もおられるんだろうというふうに思っております。 私達もそのことは重要なテーマだと思ってます。警察の方にも全面協力させていただきます。
安倍元首相が官邸に招待したこともない
—— 未確認情報ですが、文鮮明氏が死去した後に統一教会が分裂し、サンクチュアリという教会ができ、その教会に山上容疑者が入ってたという情報もあった。それは確認しているか。 教会とは現段階でどういう関係にあるのか。
サンクチュアリは略称と思うが、サンクチュアリが私どもの法人から分立したとは考えていません。 文鮮明総裁、韓鶴子総裁のご子息がアメリカで2013年、新しく宗教法人として立ち上げました。
私達とは完全に別宗教として動いておりますし、またその支部として、日本にも2015年に社団法人として、立ち上がっていると理解しております。 ただこの団体に山上容疑者が入っていたかどうか。あるいは関わっていたかどうかは、私達も追いかけておりません。
—— 山上容疑者が、安倍総理を襲撃する前に宗教団体に試射したと言われている。この点については奈良の方から何か報告は入っているか。
特定の教会名は申し上げられませんが、可能性のある教会にも確認しました。全くそういう声がなかったと。報道では、明け方朝だったというふうに報道されておりましたので、その頃は信徒は教会にも来ていない。 外壁等々の確認もしていただきましたが、そういう痕跡もない。警察から正確な情報をむしろいただきたいと思っております。
——(質問前半部、音声が途切れて聞き取れず)安倍氏が首相就任後に、世界平和統一家庭連合の幹部またはどなたかを官邸に招待したことはあるか。
年間の献金額はこの場では、控えさせていただきたいと思います。 全ての献金内容は、国にも報告しておりますので、そちらで確認できるようだったら、お願いしたいと思います。
お母さんの入会ですけども、1998年頃だと思いますが、これがもう20数年前。正確な情報はございません。 破綻されたのは2002年頃だったと聞いております。
私達の教会と、どのぐらいの関わり方を持っておられたかっていうことも、当事者たちはもう既におりませんので、把握しきれてない。
献金がどのくらいこの方がされたのかも含めて、20数年前の記録まで、調べきれないのが現状なので、捜査の中でご本人からしっかり聞いていただけるようになるんだろうと思っておりますし、改めて確認し、また協力していきたいと考えております。
それから、安倍氏が総理になられてから、官邸に私達の法人の幹部を招待したことはありません。 山上容疑者のお母さんの会員区分は、私達の教会の正会員になっています。 その後、しばらくお越しになられていなかった時期が長く続いていたと聞いています。
そして3年前から、改めて教会員と連絡を取るようになり、そしてこの半年ぐらいは1カ月に一度の教会の企画に参加していると聞いております。 毎週毎週来て礼拝に参加しているという状況でもないことは、今のところ事実だと思います。
—— しばらくっていうのは、いつぐらいからか。
今の段階で把握してるのが2009年頃から、2017年頃までは、連絡が取りきれてなかったと思っておりますが、関係者もまだつかみきれてない。 捜査のなかでご本人の口から聞かれることもあると思いますので、すり合わせていくことになるかというふうに思っています。
母親の参加、直近は2カ月前
── お母様は最近だと1カ月に1回ぐらい企画に来ていたとのことだが、直近にいらっしゃった時期がわかったら教えていただきたい。
直近の参加ですけれども、私たちが把握できているのは2カ月前に一度、教会側が主催した企画に参加しております。この半年くらいは一月に一度くらいだったんじゃないかなと思っております。このお母さんと、親交を深めている教会員が一人おられます。
ただこの教会員との関係は深めていても、教会の企画や教会の行事等に直接、すべての行事に参加しているわけではないことはよく理解しております。ですから大体、この親交を深めている方と月に一度くらいが、こちらの主催する企画に参加されていたとご理解いただければいいかと思います。
── 過去にもそちらの団体の方で民事訴訟等で違法な献金とかが認定されて、法人の方で賠償や和解に応じられたケースもあったかと思う。そうしたことは今も続いているのか。過去こういうケースがあったということについてどういうふうに受け止めているか、見解を伺いたい。
過去の献金に関して、トラブルがあったということは、報道関係者の皆様方も周知の事実かというふうに思います。2009年だったでしょうか、当時の当法人の会長が、記者会見、そして声明文を発表いたしました。それから13年が経ちました。この声明文で一番強調されたのがコンプライアンスでありました。
それ以降13年、当法人も末端に至るまで、コンプライアンスの徹底を進めてまいりました。そういう面で見れば、当法人も献金に対する姿勢も含め、大きく変わってきたというふうに思っております。いいでしょうか。
── それでは今は、そちらが確認されている限りでは、そういった(献金の)トラブルは現状ないということか。
2009年以降の案件で、そういったトラブルはありません。
── やはりこの献金の額っていうのは一般の方にとってもすごく関心があることだと思うが、警察の調査が終わり次第、教会としてこの総額について発表する予定はあるか。
お母さんが捧げた献金の内容に関して、犯人の動機にも関わる領域なので、今日は触れないこととさせていただきました。また、事件の動機究明においても、とても関わる領域かというふうに思っておりますので、今日は控えさせていただきました。
この献金額が明確になったら発表する予定があるかということに関しましては、おそらく警察から発表されるかどうか、これは私達も先になってみないとわかりません。私達自らそれを先に発表するかどうかということは、総合的に状況を鑑みて判断させていただきたいと思います。
── 先ほどのコンプライアンスについてのお話は、過度の献金を求めないというコンプライアンスの徹底の指示だと思うが、今回の非常に大きな重大な事件を受けて、より実効性のある仕組み作りなどをされる予定はあるか。
すでに13年前から取り組みを続けてきておりますので、それなりの仕組みを構築してまいりました。この辺は、ここで細かくは申し上げませんが、法人として責任を持ったコンプライアンスの仕組みのあり方をよりもっと、より効果的に、より実行力のあるものを、さらに固めていく意思はあります。
容疑者は「UPFとの区別ついていないのでは」
── 統一教会さんと安倍元総理の直接的な関わりはないという話だったが、被疑者の供述では繋がりがあると思い込んで犯行に及んでいたとされている。逆にどのような点で繋がりがあると思われたと思うか。
これは憶測でありますが、当法人とそれから、友好団体の区別がついていかないなかったのではないかというふうに思います。どちらも創設者がご一緒でありますので、そういう観点から、全てが同じに見えていたのかなというふうにも感じております。
宗教法人は宗教法人、それからよりそれぞれの団体には目的を持って作られておりますし、またビジョンを掲げながら推進しておりますので、そのところを理解していただけたとしたら、おそらく、ここまで私達と繋がっていたという捉え方はされなかったんじゃないかというふうに感じております。
── お母様が毎週の礼拝には参加していなかったけれども月一度ぐらいの行事には参加していたということだったが、一般論で行事に参加すると、献金が求められるものなのか。
教会の行事にはさまざまな行事企画がありますが、多くの行事企画で献金要請されることはありません。したがって、お母さんの高額献金が言われておりますけども、もし警察の調査で明確に高額献金になった場合はおそらく、1990年後半あたりの献金ではないかと感じます。
ですので現在、このお母さんが月に一度、いろんな企画に関わっているからといって、高額な献金がそれゆえに要求されるということはないというふうに私は自覚しておりますし、そう理解していただいて大丈夫だと思います。
── 宗教法人「世界平和統一家庭連合」っていう名称と、いわゆる「統一教会」つまり「旧・統一教会」、あとは先ほどから上がっている「UPF」に関して、用語の説明と、あともう少し詳しく友好団体とはどういった位置づけなのか。どれぐらいの関連があるのかっていうのを伺いたい。
世界平和統一家庭連合の名称と、旧統一教会、統一教会の正式名称も世界基督教統一神霊教会であります。(当時から)略称・統一教会ということでありましたが、1955年から40年たって、それで個人の救いから家庭の救い、家庭の価値をより重んじる次元に、私達の教団も教えの内容も大きくシフトしました。
その段階で、世界平和統一家庭連合という方向に全世界が名称が変更されていきました。従って、現在は、世界平和統一家庭連合、略称・家庭連合というふうに呼んでおります。
それからUPF。これが友好団体だけども、どのような友好なのかということでありますが、先ほど申し上げましたように、創設者でいらっしゃる文鮮明総裁、韓鶴子総裁が、あらゆる部門における平和運動を世界のトップリーダーとともに、進めてこられております。
その中で、政治や経済、あるいは芸術、文化、あらゆる分野での組織をたくさん作ってこられております。その中で宗教分野における大きな主導的役割を担っているのが、世界平和統一家庭連合というふうにご理解いただいたら良いかと思います。
従って、創設者の平和のビジョンを、それぞれの団体が共有はしているけども、それぞれの団体に持っているミッションはそれぞれ異なっているというふうにご理解いただいたら良いかと思います。こんな説明でよかったですか。
── さまざまなミッションを持ってる中で、家庭連合は宗教、UPFは何をミッションとしているのか。
それはUPFに直接聞いていただいた方が正確にお答えいただけるかと思いますので、よろしくお願いします。
岸信介元首相の計らいは「まずない」
── 自民党あるいは自民党の議員に対する団体としての献金の有無や、もしあればその額など教えていただきたい。あと日本で教会が根付くようになったときに、岸信介氏が何か役割を持ったかどうかをお伺いしたい。
自民党から当法人へ、当法人から自民党へというお金の動きは一切ありません。それから、当家庭連合が、日本に根付くときに、岸元首相が間に入って、根付かせたのではないかという質問ですね。
私達の教団は韓国から宣教師が、送られてきて、そしてその宣教師によって、1人から2人、3人と広がってきて定着した宗教団体です。従ってその動きの中に、岸元首相が何か特別な計らいをしたとか、あるいは特別な影響を与えているかということはまずないと思います。
── お母様の破綻の件について。それを教会として、または法人全体としてどのようにして把握をされたのか。あとはその把握の後に、それまでの活動内容が頻度が減ったとか、何か変化を把握をしているか。先ほど、2009年ぐらいから一度離れるようになったと言っていたが、それまでの間、要するに2002年の破綻から2009年までは変わりなく活動されていたのか、あるいは頻度が減ったのかとかその辺もしわかれば、具体的に伺いたい。
お母さんの教会に関わる頻度などは、正確な情報はないです。先ほど言いましたように、20年以上前から続いてる情報を、追い続けるのはちょっと簡単ではなく、申し訳ありません。
破綻をこちらが理解していたというのは、今回現場でいろんな方にこのお母さんと因縁ある方に尋ねて、破綻していたという情報を私達は得ました。従って、改めてこちらも把握できたというふうに理解いただきたいと思います。
ただ破綻するに至る原因が何だったのか。どんな家庭事情でその状態に至ったかということは掌握しきれておりません。そのことも踏まえて、これは、警察が捜査する一番大きな案件かと思いますので、私達も、これから知っていく情報も入れば合わせて警察に全面協力して、事件の動機の解明に協力していきたいと考えております。
献金すれば救われるという教えはあるのか?
── 実際にそういった破綻をしてしまう信者さんについて、そういう情報はいちいち把握されるわけではないと。何かあったときに求めに応じてそれで情報が得られるという仕組みになってるっていうことか。
これはあの仕組みじゃなくて、信者のご家庭が破綻になったからといってその情報が吸い上げられて把握するという体制は全くありません。
── 献金問題でトラブルになっているケースというのは、2009年以降ないという答えだったが、例えば破綻してしまったとか、そういう報告が上がったり、費用の面でこれ以上続けられないという信者さんがいたりとか、そういったことをどの程度把握されているのか。
もちろん、破綻する家庭が教会の中でもしあったとしたら、周辺の信徒たち、あるいは、教会の関わってる方々が、その家庭に対してサポートしたり、どうするかということは、いろいろ案じることがあるかと思います。
ただ、どこの家庭が破綻しましたよということが、教団として本部に集計されるわけではありませんし、またいろいろな事情から破綻に至っているんだろうというふうに思いますので、その詳細まではもちろん把握しきれないのが現状です。
ただ、破綻しているという家庭に対して、さらに献金を追いやるということは、そのような指導はありませんので、私はないと信じております。
── 献金なんですけれども、例えば教えの中で献金をどれだけすると救いの過多に変わっていく、あるいはより救いを求めるのであれば、献金をより一層しよう、みたいな指導や教えがあったりするのか。
献金に関して、どれぐらいやったらどれぐらい救われるという教えではありません。それからもちろん、11条献金ですね。これは、私達の指導の中では大切な指導として置いてあります。
キリスト教もそうかと思いますが、11条献金という言葉は、信徒たちにもしっかり教育しますので、いわゆる10分の1の献金ということは、いつも意識して教育しております。
それ以外に、特別な献金、あるいは感謝して捧げる献金あるいは結婚したら感謝して捧げる献金等々は、ご自身の意思で動いていくようになります。
── 今回会見したのは、容疑者の供述の中でその宗教団体として名前が挙がり、ある種、団体に対する批判も出ていることに対する弁解だと思う。まだ動機は捜査中だと思うが、この事件の背景にその団体の活動があったということになった場合、何らかの責任を自分たちも持っていると感じるのか、ある種言いがかりというか、その辺のスタンスを改めてお伺いしたい。
今回の容疑者の動機が、警察の公式発表がまだないので、これが解明され、本当に今報道されてるようなことが、動機の根源にあるんだというふうになった場合、私達教団においてもそれはとても重く受けとめなきゃいけない事実だというふうに考えております。
それは警察の発表をぜひとも待ちたいと思っております。
── 前段について、例えば逆に「あなたはこれ以上献金すると破綻するからやめましょう」みたいなことを言うってのはあるのか。
むしろそっちの方が多いです。
── はい。わかりました。ありがとうございます。
(文・横山耕太郎、西山里緒)


2022年 7月11日
「母が入信し、金を納めて生活が苦しくなって恨む気持ちがあった。安倍元首相が(その団体と)近いので狙った」山上容疑者
「山上容疑者は子どもの頃から、母親が入信していた宗教団体をめぐって苦労していた。(やがて、3人のきょうだいから男性宅に、「家に食べるものがない」などと電話が入るようになった)ずっと恨みに思っていたはずだ。人生を変えられたと感じていると思う」容疑者の親族
「もし若い時に相談できて親子が分離できていたら、行きたい学校に行き進路を支える公助がもっと充実していれば、親がいなくても相談に乗れる大人が身近に寄り添う体制があれば」末冨芳 日本大学文理学部教育学科教授
 8日安部元首相を銃撃した山上容疑者の親族に取材した記事と、日大末冨教授の事件の背景を冷静に分析したコメントから。この「宗教団体」が旧統一教会「世界平和統一家庭連合」であることは今日の記者会見で会長は認めている。
「母親は1998年ごろに会員となり、2002年ごろに破産した、との情報を得ている。破産に至った事情は把握していない。教会への恨みから安倍元首相の殺害に至ることは大きな距離があり、その理解に困惑している」世界平和統一家庭連合(旧統一教会)田中富広会長
 この事件の本質が、与党政治家や大手メディアが喧伝する「言論封殺」「議会制民主主義に対する攻撃」などではなく、岸信介元首相以来自民党政権下のこの国で「霊感商法」「洗脳」「献金」活動を行なってきたカルト宗教に対する被害者の復讐であるということだ。
 この旧統一教会「世界平和統一家庭連合」による霊感商法や寄付強要による被害救済を行っている「全国霊感商法対策弁護士連絡会」によれば、1987年からの日本全国での「霊感商法」などによる被害額は2021年までに1237億3357万5406円に達し、その内「献金・浄財」は386億3157万8974円となっている。
 いったいこのような莫大な資金はどこで何に使われているのか。この「世界基督教統一神霊協会」は文鮮明(1920年- 2012年)によって1954年に韓国で創設された。それはキリスト教会を自称するが、その経典「原理講論」(1966)は、聖書で預言された再臨のキリストが文鮮明であり、メシアが誕生する国が韓国であるとすることから、カトリック、プロテスタントを問わずほぼすべてのキリスト教会は異端と見なしている。
 このような霊感商法や高額の寄付は韓国などでは行われておらず、世界の統一教会の信者の中で、献金に追われているのは日本の信者だけであり、その理由は文鮮明によって韓国は「アダム」国家、朝鮮を植民地とした日本が「エバ国家」(罪深き国)とされたことに関連しているという。
 日本で得た金の大半を教会は文鮮明に送金し、その額は一時年間約1億ドル(当時のレートで約240億円)に達してその私腹を肥やし、反共右翼政治活動の資金源となっていたと赤旗社会部「わたしは“洗脳”された―統一協会元会員の証言」(1989)は記している。
 その文鮮明が1968年1月13日に韓国で、4月に日本で創設したのが「国際勝共連合」であり、東京都渋谷区松涛の、満洲国総務庁次長、東條内閣の商工大臣で戦後A級戦犯被疑者とされた元首相岸信介の邸宅の隣に世界基督教統一神霊協会が置かれ、岸も統一教会本部やその関連団体「国際勝共連合」本部に足を運んだとされている。世界平和統一家庭連合は今も所在地は東京都渋谷区松濤1丁目1-2である。
 「国際勝共連合」は以前から自民党国会議員の秘書に多数の会員を送り込み、こうした議員は、「勝共推進議員」と呼ばれ、岸の娘婿で安倍晋三の父でもある安倍晋太郎も勝共推進議員名簿に名を連ね、教団も安倍晋太郎政権の実現のために積極的に動いた時期があり、安倍元首相と統一教会は、その意味では“祖父の代から脈々と続く関係”と指摘される。
 国際勝共連合の運動方針には「共産主義の脅威から我が国を守る」だけではなく、
・ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止
・「選択的」夫婦別姓に潜む共産主義の索道を阻止
・男女共同参画基本法の改廃
・憲法改正
・緊急事態宣言基本法の制定
・スパイ防止法の制定
・日本版NSC(国家安全保障会議)の設置
・集団的自衛権の行使容認
・非核三原則の改廃
・武器輸出三原則の改廃
・防衛産業を成長戦略に盛込む
・宇宙の軍事利用を促進
など、自民党「安倍派」(旧清和会)と共通する時代錯誤の方針が並んでいる。
 この事件が提示するのは「言論封殺」「議会制民主主義に対する攻撃」などではなく、「霊感商法」などで信者である国民を収奪し家庭を崩壊させる怪しげな新興宗教の指導者と結託して、その反共主義と前時代的な政治方針を党として共有しながら、他方では「嫌韓」を煽りこの国を混乱と衰退に導いてきた政権政党と、その違法性を法的・政治的に徹底追求することができなかった立法と司法そして報道とわたしたち市民の大きな責任だろう。 
《安倍晋三元首相(67)が銃で撃たれて殺害された事件で、殺人未遂容疑で奈良県警に現行犯逮捕された無職、山上(やまがみ)徹也容疑者(41)=奈良市大宮町3丁目=の親族が朝日新聞の取材に応じ、「山上容疑者は子どもの頃から、母親が入信していた宗教団体をめぐって苦労していた」と話した。
 捜査関係者によると、山上容疑者は逮捕後の調べにこの宗教団体の名を挙げ、「恨む気持ちがあった」と説明。その上で、「安倍元首相が(その団体と)近いので狙った」という趣旨の供述をしているという。
 取材に応じたのは、山上容疑者の親族で大阪府内に住む70代の男性。男性によると、山上容疑者は建設会社を営む父と母の次男として生まれ、兄と妹の5人で生活していた。
 山上容疑者が幼い頃に父が急死し、母が会社を引き継いだ。母は宗教団体の活動に熱心になり、多額の金を納めるようになったという。「夫に先立たれ、将来に不安を抱えていたのでは」と男性は振り返る。
 やがて、3人のきょうだいから男性宅に、「家に食べるものがない」などと電話が入るようになった。男性が生活費などを3人に渡すようになり、食事を届けたこともあったという。
 山上容疑者は進学校として知られる奈良県内の県立高校で学んだ。その後、専門学校に進み、2002年に海上自衛隊に入隊した。自衛隊を選んだことについて、男性は「生活に困っていたからでは」と言う。
 捜査関係者らによると、02年に母は奈良地裁から破産宣告を受けた。母の建設会社は09年に解散した。
 男性が最後に山上容疑者に会ったのは05年ごろという。男性は、山上容疑者が「恨む気持ちがあった」と供述しているという宗教団体について、「ずっと恨みに思っていたはずだ。人生を変えられたと感じていると思う」と推察した。(武田肇)
コメントプラス
末冨芳
(日本大学文理学部教授)
2022年7月10日9時56分 投稿
【視点】子育てに親の責任が強い社会では、親子分離を支える仕組みも希薄で、親の苦しみから逃れられずずっと苦しむ人々もいます。
「ずっと恨みに思っていたはずだ。人生を変えられたと感じていると思う」親戚の男性の言葉が重く響きます。
もし若い時に相談できて親子が分離できていたら、行きたい学校に行き進路を支える公助がもっと充実していれば、親がいなくても相談に乗れる大人が身近に寄り添う体制があれば。
そのような社会に日本を進化させようとしてきた研究者としてもつらく苦しい思いでいます。
いま国はこども家庭センターや子ども若者総合相談センターを増設しようとしています。
親のことで悩み苦しむ子ども若者のあらゆる課題を受け止め、子ども若者自身の最善の利益が優先して考慮され実現される行政の実現が求められます。
子ども若者自身に寄り添い、課題の改善を支える手厚い人員配置も必要です。
何より親のことで苦しんでも、支えてくれる人がいる、そう子ども若者が実感できる社会を実現しなくてはなりません。》


2022年 7月10
日記がわりに。
7日報道1930は参院選投票日に向けて、この国が予算を何に使ってきたのかを特集。与党の支持母体である農業と建設業に手厚く、教育と子育ては最低レベルと指摘。
8日巣篭もり中、昼過ぎに奈良市で選挙演説中の安倍元首相銃撃のニュース。深夜まで続報が続く。
昨日朝の国際ニュースはウクライナ東部などでロシアによる民間住居や市場への違法なミサイル攻撃と被災した市民を伝える。中東のアルジャジーラも記者が破壊された市場から報告。NHKなど日本のメディアはほとんど伝えない。
曇天の下駅前calmoを訪ね、ピザ窯の前で久しぶりにマルゲリータをいただく。美味。そのまま駅前でパンと食材買ってバスで帰宅。午後録画していたNHK「台湾海峡危機」を見る。
安倍政権下で成立した「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」の「存立危機事態」には当初から台湾有事の想定はなく、有事に際しての住民避難もなんら具体策もないまま沖縄諸島への自衛隊配備だけが進行し、有事の際ミサイル攻撃などで犠牲になるのはふたたび沖縄の人びとであることを伝えていた。
今日は阪急で西宮北口に出て、2ヶ月ぶりに津門川沿いSiosaiでモレッティとトマトのパスタ。西宮ガーデンズ屋上でアイスコーヒーを飲みスーパーで食材買って3時過ぎに帰宅。
その後投票所まで坂を登り参院選投票を終える。今回も軍備増強や憲法改悪ではなく生活や教育・福祉、外交重視を訴える党から、選挙区では当選に少しは近い候補、比例ではこれから消えてしまいかねない絶滅危惧の党に入れた。

   


2022年 7月 9日
「元総理の政治信条への恨みではない」「特定の団体に恨みがあり、元総理がこの団体と近しい関係にあると思い狙った」「母親が団体にのめり込み、多額の寄付をするなどして家庭生活がめちゃくちゃになった」
 自民党の愚かしい政治家や読売などのメディアは、今回の安倍元首相銃撃事件を「政治テロ」「首相退任後も中傷続々…批判が先鋭化・演説を妨害」などと殊更政治に関連させ、選挙応援演説中であることをもって「議会制民主主義への攻撃」「言論への弾圧」と喧伝するが、容疑者の供述を伝える報道を冷静に読めば、この元自衛官による元首相銃撃の行為の背景は、「特定の団体」=統一教会による信徒の家庭破壊と元首相の教会への関わりによる恨みにあるということがわかる。
 政治家は、様々な理由で国民の怒りを買い、交通機関による移動や会食中または帰宅途中などにその命を狙われても、その暴力行為は極めて違法だがすべてが「政治活動・言論への弾圧」とは限らない。厳正な真相解明と事件の再発防止が必要であり、事実に基づかない決めつけは、さらにこの社会を歪めていくだけ。
《安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれ死亡した事件で、逮捕された容疑者が、「特定の団体に恨みがあり、元総理がこの団体と近しい関係にあると思い狙った」という趣旨の供述をしていることが、警察への取材で分かりました。
8日昼前、奈良市の大和西大寺駅近くで演説をしていた安倍元総理大臣が背後から銃で撃たれて死亡し、警察は奈良市に住む職業不詳の山上徹也容疑者(41)を逮捕しました。
警察当局によりますと、山上容疑者は手製の銃で襲撃したとみられ、これまでの調べに対し「元総理の政治信条への恨みではない」と供述していることが分かっています。
その後の調べに対し、「特定の団体に恨みがあり、元総理がこの団体と近しい関係にあると思い狙った」という趣旨の供述をしているということです。
また、捜査関係者によりますと、この団体について「母親が団体にのめり込み、多額の寄付をするなどして家庭生活がめちゃくちゃになった」という趣旨の話をしているということです。
警察は、団体への恨みをきっかけに、近しい関係にあると思い込んだ安倍元総理大臣が奈良市を訪れることを知って襲撃を計画した可能性もあるとみて、詳しいいきさつを調べています。
自宅からは手製の銃が数丁 計画的犯行か
容疑者の自宅からは事件に使われたものと似た、手製の銃とみられるものが数丁見つかり、警察は計画的に準備した疑いがあるとみています。
一方、奈良県警察本部は8日夜開いた会見で、安倍元総理大臣の演説が行われることを警察が把握したのは、前日の7日の夕方だったとしたうえで、「突発的な警護だが、十分に態勢を取れていたと思っていた。警備を用意するだけの時間はあった」と説明しました。
現場で警護や警備にあたった警察官の数などは明らかにしていませんが、「警護の責任を有する警察として安倍元総理大臣が遊説中に死亡したことを重大に受け止め、警護・警備態勢に問題があったか確認を進め、問題があれば適切に対応する」として、今回の対応について検証を行う考えを示しました。
容疑者と同じ階に住む女性「印象はあまりない」
奈良市の集合住宅で容疑者と同じ階の部屋に住む20代の女性は「容疑者とはエレベーターなどですれ違い、お辞儀して挨拶する程度でしたが、マスクもしているので、印象はあまりないです。不審なにおいや音が聞こえてくることはありませんでしたが、ニュースを見てとても怖くなりました。昨晩も、警察から急に避難を呼びかけられてすごく不安でした」と話していました。ーーー



2022年 7月 8日
「日教組!」「日教組どうすんだ!日教組!」2015年2月19日衆院予算委
「早く質問しろよ」2015年5月28日衆院平和安全法制特別委
「くだらない質問で終わっちゃったね、また」2016年6月5日衆院決算行政監視委員会
「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」2017年2月17日衆院予算委
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」2017年7月1日夕東京・JR秋葉原駅前
「会場入り口で安倍事務所の職員が1人5000円を集金し、その場でホテル側に渡した。安倍後援会の収入、支出は一切ない」2019年11月15日首相官邸
「意味の無い質問だよ」2020年2月12日衆院予算委
「議会制民主主義に対する攻撃であり、断じて許されるものではない。このような卑劣な行為に強い怒りと非難を表明する」細田衆議院議長
「強い怒りを覚える。言論が暴力によって封殺されることがあってはならず、民主主義の根幹たる選挙が行われているさなか、今回のテロ行為は民主主義に対する挑戦であり、断固抗議する」自民 茂木幹事長
「現場の大和西大寺駅は人が集まる場所でもあり、地元の奈良でこのようなことが起きてことばを失っている。暴力は断じて許される行為ではない。安倍元総理大臣の一刻も早い回復を祈ると同時に、事実を明らかにしていただきたい」立憲民主党 馬淵国会対策委員長
「心からお悔やみを申し上げたい。激しい憤りを感じており、暴挙を断じて許してはならない。言論封殺を跳ね返し、民主主義の本来あるべき姿を示していきたい」公明党 山口代表
「自由な言論をテロで封殺するということは民主主義に対する挑戦であり、断じて許すわけにはいかず、強い憤りをもって抗議する。安倍さんの回復を心から願う」共産党 志位委員長
「端的に言えば、自民党の長期政権が招いた事件と言わざるを得ない。社会が安定して良い政治が行われていれば、こんな過激な事件は起きない。自民党がおごり高ぶり、勝手なことをやった結果だ」立憲民主党 小沢一郎衆院議員
「犯人の出自、属性に関する臆測が飛び交っている事態に危機感を抱きます。書き込んだり、拡散したりする前に、『再考』を」フォトジャーナリスト 安田菜津紀さん
・容疑者は、特定の宗教団体幹部の名前を挙げ、「この幹部を狙うつもりだった」という趣旨の不自然な供述をしている。
・山村和久 捜査一課長は、山上容疑者が「特定の団体に恨みがあり、安倍元総理大臣がこれとつながりがあると思い込んで犯行に及んだ」といった供述をしていると明らかにした。
 元首相の選挙応援演説中の銃撃による死亡事件について、与野党政治家の発言は一部を除きほぼ民主主義、自由な言論への「テロ」という認識だが、容疑者の動機や背景を含めて事件の十分な解明もない時点で、この認識はわたしには早計すぎると思える。
 他方では、早くもSNSで「犯人は在日朝鮮人」などというデマが拡散している。今回被害を受けた本人が、長くこの国の首相に在任しながら、最高決定期間である国会で野党議員の質問者を侮蔑する度重なるヤジ・暴言そして虚偽答弁を繰り返し、議会制民主主義・言論の自由をみずから損なう行為を続け、多数議席に依拠して真摯な討議や相互理解による問題解決を否定し続けてきたことが、今回の事件を含めこの社会に様々な暴力行為や差別事件を産んできたのではないか。
 7日英国では、コロナ対応期間に首相官邸で飲食を繰り返し、不適切な行為をした与党議員を知っていながら党要職に任命した問題で多数の閣僚が辞任したジョンソン首相が、野党だけではなく保守党議員の抵抗によって保守党党首辞任を表明した。
 しかしこの国では、森友・加計そして桜を見る会や2019年広島参議員選挙での大規模選挙買収事件など、この人物が関与してきた様々な問題の解明に真摯に取り組むことなく、8年の長期政権を許した自民・公明の政権与党に、「議会制民主主義の脅威」「民主主義の根幹」を語る資格はない。
 与野党を問わず、政治家には暴力や差別意識によってではなく、自由で公正な言論と熟議によってのみ政治を行う義務がある。5・15、2・26事件など軍部によるテロで政治が一気に独裁と戦争に陥った歴史を持つこの国で、再び同じ轍を繰り返してはならない。
《奈良市で演説をしていた安倍元総理大臣が銃で撃たれ、心肺停止の状態となっていることを受けて、国内では各党から反応が寄せられています。
細田衆議院議長「卑劣な行為に強い怒りと非難」
細田衆議院議長は「議会制民主主義に対する攻撃であり、断じて許されるものではない。このような卑劣な行為に強い怒りと非難を表明する。われわれ国会議員は、国権の最高機関の一員として、これからも民主主義を守り抜き、国民の信託に応えるべく、あらゆる努力を尽くしていく。安倍元総理大臣の無事と一刻も早い回復を心よりお祈りする」とする談話を発表しました。
後藤厚労相「ただただ無事を祈りたい」
後藤厚生労働大臣は午後3時すぎ厚生労働省に入る際、記者団に対して「まさに選挙というのは民主主義の根幹に関わることであり、あってはならない蛮行だ。本当に卑劣な行為で許せない気持ちだ。救命救急措置中であるということでご無事をただただお祈りしたい」と述べました。
林外相「各国の外相からも心配の声」
G20=主要20か国の外相会合に出席するためインドネシアを訪問中の林外務大臣は記者団に対し「大変驚いている。各国の外相からも心配の声をかけてもらっている。回復を心よりお祈り申し上げる」と述べました。
末松文科相「ひたすら無事を祈る」
末松文部科学大臣は自身のツイッターに「きのう神戸と西宮で力強い応援を頂きました。きのうのきょうのことでまだ信じられません。このような平和国家で銃を使った蛮行は断じて許されません。今はただ、ひたすら安倍元総理の無事をお祈りするだけです」と投稿しました。
斉藤国交相「無事を祈るかぎり」
斉藤国土交通大臣は午後5時すぎ、国土交通省でNHKの取材に対し「本当に許されない行為であり、無事を祈るかぎりだ」と述べました。
若宮万博相「あってはならない暴挙」
若宮万博担当大臣はNHKの取材に対し「あってはならない暴挙で、安倍元総理大臣のご無事とご回復を心よりお祈りする。参議院選挙の応援のため山梨にいたが、指示を受けてすぐに都内に戻る。こうしたことが連鎖しないよう、犯人の背景を徹底して調べる必要がある」と述べました。
自民 茂木幹事長「暴力に屈しない 選挙活動は予定どおり」
自民党の茂木幹事長は党本部で幹部らで対応を協議したあと記者団に対し「強い怒りを覚える。言論が暴力によって封殺されることがあってはならず、民主主義の根幹たる選挙が行われているさなか、今回のテロ行為は民主主義に対する挑戦であり、断固抗議する」と述べました。
そのうえで「あすは参議院選挙の最終日を迎えるが、暴力には屈しないという断固たる決意のもと各種の事情も踏まえ、選挙活動は予定どおり進めることにした。活動にあたっての安全確保に十分留意しての対応を徹底する」と述べました。ーーー



2022年 7月 7日
日記がわりに。
 早々と梅雨が明けて1日、フランス2はウクライナ東部の戦争で亡くなった兵士たちの墓地の様子を伝える。20代の夫を亡くした女性は「私にとって彼は全て、彼にとって私がすべてだった。ウクライナに勝利してほしいが、私に未来はない」と。香港では返還25周年だが市民の集会は禁止され、習近平体制の下で「中国化が進む」とされるが、むしろ自らを「香港人」と考える人たちが増加している。
 2日ロシアによる民間住宅への攻撃を伝える独ZDF。これらはいずれ国際人道法に対する犯罪として裁かれねばならない。
 神戸は晴れの強い日差しの下、ひと月ぶりにハーバーランドに出かけてテラス席で冷製のジェノベーゼをいただき、ドック沿いを戻る。翌3日は曇り、神大を抜けてil ventoでバンビーニピザを食べて六甲駅前で食材買って帰宅。
 4日参院選を巡って報道1930は、国債発行額1000兆円、日銀による国債保有600兆円の「アベノミクス」なるものの出鱈目さを報道。
 5日九州に上陸した台風4号は温帯低気圧になり、今日はようやく晴れが戻る。日差しは強いが今年初めて夙川からさくらやまなみバスで有馬温泉に出る。
 いつもの店で蕎麦をいただき、テラスのある店でコーヒーのあと天神泉源を経てその下の「康貴」を訪ねるが、なんと日帰り入浴は辞めたとのこと。もう一軒は定休で、結局露天はなくやや熱めの有馬温泉の看板「金の湯」に浸かり、同じ道を帰宅。有馬は標高370mで過ごしやすく、金湯は心地よい。




2022年 7月 6
「子どもの時にいじめられた子。弱い子がいじめられる。強いやつはいじめられない。国もおんなじよ。強そうな国には仕掛けてこない。弱そうな国がやられる」麻生太郎 自民党副総裁
「やさしい心が一番大切だよ。その心を持っていない(いじめている)あの子たちの方がかわいそうなんだ」 小森香澄ちゃん
「違いを認め合うこと、多様性が大切だといわれているのに、「強い」「弱い」という表現で人を決めつけ、分断する人権侵害の発言で、違和感があります。人権意識の希薄な方に国会議員をやってほしくありません」NPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事 小森美登里さん
 子供の頃いじめっ子だった、あるいはいじめっ子の後ろに隠れていた子供が何も学ばず年だけを重ね、政権与党副総裁として「弱い子」がいじめられるのはあたかも必然と無神経に言い放つ。
 この人物は間違えて首相になったが1年もたずに辞め、そののち類は友を呼ぶ愚かな首相のもとで8年間財務相を続け、「異次元緩和」のアベノミクスとやらで大企業の内部留保は増大したが働く者の賃金は全く上がらず、国有財産の首相縁故者への不当廉売と公文書改ざんを強制された職員が自死したことの責任はまったく取らず、国の財政規律は捨て去り1000兆円の国債だけを積み上げて次世代に甚大な負債を残したが、懲りもせず妄言を垂れ流す。まさに「老醜」「老害」。
 学校でのいじめを容認し、「弱い子」にその責任を押し付ける、まさにとんでもない発言であり、子供のいじめと国家間の戦争を同列に扱うこと自体愚かだが、「強そうな国には仕掛けてこない」も、日本の対米開戦や独ソ戦が否定することにもまったく無知。いまロシアの国際法に反した残虐な侵略に、自らの生命と自由、尊厳をかけて抵抗するウクライナを、「弱そうな国」と擬えることも非礼極まる。
 こういう人権意識も歴史認識も国際常識もまったく欠落させた人物を副総裁とするような政党に、まともな政治や外交ができるわけがない。
《麻生太郎・自民党副総裁が4日、千葉県市川市内での街頭演説で、安全保障問題をめぐって「弱い子がいじめられる。強いやつはいじめられないんだ」と発言した。いじめによる自殺で一人娘を亡くし、いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」理事の小森美登里さんは「人権意識のない人間は国会議員になってはだめだ」と批判する。
「弱い子がいじめられる、国も弱そうな国がやられる」自民・麻生氏
     ◇
 違いを認め合うこと、多様性が大切だといわれているのに、「強い」「弱い」という表現で人を決めつけ、分断する人権侵害の発言で、違和感があります。人権意識の希薄な方に国会議員をやってほしくありません。
 娘の香澄は1998年にいじめに苦しみ、自死しました。その4日前に香澄が言った「やさしい心が一番大切だよ。その心を持っていない(いじめている)あの子たちの方がかわいそうなんだ」という言葉を思い出します。加害者の抱える問題を一緒に考える大切さを私に教えてくれました。
 「弱いからいじめられる」というのは被害者に責任を負わせる言葉です。加害者はいったいどんな状況にあったのかという本質を考える機会が奪われてしまいます。
 麻生さんの言う「弱い」はやり返さない子のことを指しているのかもしれません。一方で、視点を変えればやり返さない強さを持っている子とも言えるのではないでしょうか。
 私たちのNPOでアンケートをしたことがあります。大人から「やられた時はやり返して良い」「やり返すぐらいの強さも必要」と教わったことがある高校生は、半数を超えていました。
 この結果は、麻生さんの言葉に拍手し、共感する大人が少なくないことを示していると思います。今回の発言には、そんな背景があるのでしょう。
 大津市で中学2年生がいじめを苦に命を絶ってから10年あまり。「いじめ防止対策推進法」の成立からもまもなく10年になりますが、いじめで自死する子どもは後を絶ちません。子どもたちの世界はSNSを介することで複雑化し、どう対応するかで学校現場は悩んでいます。
 いま、政治家がすべきことは、子どもたち、そして教員たちに、何に困っているかを聞き、議員立法のこの法律を見直すことのはずです。人権意識のない発言をするのではなく、いじめの防止対策を担う組織の態勢づくりや、教員が研修に臨める環境整備に取り組んでほしいと思います。(聞き手 編集委員・氏岡真弓)》



2022年 7月 5
「今回の音楽業界4団体による該当候補への支持表明は、コロナ禍で大きなダメージを受けた音楽業界が政権与党である自民党との関係性を深めることにより、少しでも経済的な利益に預かろうとしたものであることは推察できます。しかし、業界に対して経済的な利益があるからといって、明確な理由や十分な説明もなく、少数者の保護に対して消極的で多様性を尊重しているとは言い難い政党とその候補者への支援を公に表明しても良いのでしょうか。あるいは、業界団体には所属していないフリーランスや小規模事業者を追い込む制度を進めようとしている政党への支持を業界の総意であるかのように公に表明しても良いのでしょうか。
 われわれは到底賛同することはできません」
音楽業界4団体による
今井絵理子氏と生稲晃子氏の支持表明への抗議
第26回参議院議員通常選挙2022
 協会、連盟を名乗る音楽業界4団体が、会員の意思を確かめることなく参院選で特定候補の指示表明を行ったことに対する音楽家たちの抗議。
 小泉今日子さんら多くの賛同する人たちの名が記されている。この国も捨てたものではないかも。


2022年 7月 5日
「事件は77年前の1945年7月3日に起きました。ーー漂着者は約40日間、島で生活しました。食料がなく、クバ(ヤシ科の木)の実やトカゲを食べてしのいだそうです。しかし餓死者も出ました。一方、救助を求め、島にあった木を集めて小舟をつくり、9人が石垣島に渡ることができました。奇跡的に、100人超が生還しました」
「石垣島に生還した人たちは、戦後ずっと口をつぐんできました。だからその事実を詳しく知っている人は、石垣島でさえほとんどいません。私の曽祖父母は犠牲になり、24歳だったおばは九死に一生を得ましたが、事件について語ることはほとんどありませんでした。ーー船には日本軍兵士数人と島民が乗っていました。おそらく、魚釣島で、食べ物をめぐる弱肉強食の地獄があったんだと推測します。生還者たちは、互いの迷惑にならないよう、魚釣島で見聞きしたことは言わないと決めたのでしょう。おばのことは母から『無人島からかえってきた人』と聞かされてて、おばに事件について教えてほしいと聴いても、『書いた以上のことは何もない』としか言いませんでした」
「おばは、1983年に石垣市が編集した『市民の戦時戦後体験記録』に体験を寄せています。島で次々と餓死者が出たことや、日本兵が『人間の肉はおいしいぞ』などと発言したことなどが出てきます。おそらくもっとむごいことが起きていたのではないでしょうか。これ以上は書けないけれど読む人に感じ取ってほしいという思いがにじんでいます」
「(遺族会)結成は戦後50年が経った1995年です。その前年の94年に、おばが言いました。『このままじゃ、グソー(沖縄の言葉であの世の意味)に行ったときに、あの人たち(=死没者)に合わせる顔がない』と。おばは90歳以上まで生きましたが、なぜ自分が生かされたのか、ずっと考えてきたのだと思います。生還できたのは、島に漂着できて餓死しなかったからであり、偶然です。生還者は戦後50年のタイミングで、亡くなった人たちを慰霊し、事件を二度と起こさないよう後世に伝えなければならないと集まり、会を結成しました」
「当時、遺族会会長だった生還者の1人、慶田城用武(けだしろようたけ)さん(故人)のもとに、ある国会議員から連絡があったそうです。政府に上陸許可を申請するので同意してほしい、と。しかし、遺族会として断りました。遺族会の目的は、御霊(みたま)の供養と、二度と戦争を起こさないことです。尖閣が政治問題化して紛争の火種となりかねない状況は、御霊も望んでいないと考えました」
「議員たちはその後、石垣島の慰霊碑前で我々に無断で慰霊祭をしました。政治的アピールに使われたのだと思っています。我々もいつかは魚釣島へ慰霊に行きたいと思っていますが、いまはその時期ではないと考えています」
「尖閣が注目されるようになってからは、本土で司書の集まりがあると、自己紹介をするときには必ず、『尖閣がある沖縄の石垣から来ました。何か紛争が起きそうになったら、私の顔を思い出してください』って伝えています。もし戦争が起これば、私がどうなるか、そこに住んでいる人がどうなるかを考えてほしいからです」
「領土問題になると国民のナショナリズムが高まります。しかし、もし戦争が始まってしまえば、現地に住む人が犠牲になり、生活は一変する。そうならないように、まずは人肌感覚で考えてほしいのです」
「石垣島に住んでいれば、当然(台湾有事の)不安はあります。しかし、東京にいる政治家や学者たちの言葉を聴いていると、そこに住む住民がどうなるかという視点が抜け落ちていると感じます。一方、石垣市内では自衛隊駐屯地の建設が進み、隊員募集も盛んに行われています。観光地として注目されていますが、島民の所得は低く、仕事の選択肢がないため自衛隊に入隊する若者もいます。貧しい島であることにつけ込まれているような気がしています」
――防衛力を高めた方が抑止力で平和維持できるという考えもあります。
「でも武力は、持っていれば使ってしまいます。だから戦争は始まってからでは遅いのです。そして、犠牲になるのは住民であり、子どもたちです。だから、戦争が始まる前にどうしているかが大事だと思います。『お花畑』と言われるかもしれませんが、私は、国同士の文化や経済の交流を普段から深めることが大事だと考えています。文化は人の交流によって生まれ、争いのブレーキになると思います」
「戦争は人の生き方を変えます。それが尖閣列島戦時遭難事件の教訓です。生還できた人でさえ、心に傷を負い、ずっと負い目を抱えて生きてきました。遭難者の中には、今も慰霊祭に出席することさえ拒む人もいます。連絡しないで、と。傷はずっと残るのです」
 77年前の7月3日、日本軍が石垣島から台湾に送った疎開船2隻(約180人乗船)が米軍機に攻撃され、尖閣諸島魚釣島に漂着し飢餓などで80人以上の犠牲者を出した「尖閣列島戦時遭難事件」の遺族会事務局長を務める山根頼子さんの貴重な言葉。
 1932年スターリンによるホロドモールで夥しい餓死者を出したウクライナと同じく、「人肉食」という生き地獄を米軍と日本軍に強制された戦時下の石垣島の人々の壮絶な経験。
 現在のロシアによるウクライナ侵攻でミサイルや空爆などで多くの乳幼児・子供・女性・高齢者が殺傷されていることと同じく、艦砲射撃や火炎放射器などで一般市民に10万人以上の犠牲を生んだ沖縄の戦争でも、戦時下で政府と軍隊は自国の一般住民の犠牲すら国際人道法に関わらず厭わない。
 米軍基地だけでなく宮古や石垣などに自衛隊基地を次々に建設するこの国の政府は、2004年「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(国民保護法)」は制定したが、他国からの武力攻撃など有事に備え住民の避難誘導をする国民保護計画策定はすべて自治体任せ。
 沖縄県内41市町村のうち読谷村を除く40市町村で国民保護の体制を規定する基本計画を策定済みだが、パターンを策定したのは宮古島、石垣を含め7市町のみ。石垣では石垣市民・竹富町民・観光客合計で6万5300人の全市民避難の所要期間は1日45機運航した場合に10日、避難に必要な延べ機体数は435機。宮古は150人搭乗の航空機の場合は住民が363機分、観光客が18機分、500人を運べるフェリーの場合は住民が109隻分、観光客が5隻分を必要としている。
 これらは単なる数字による机上の計画でしかない。攻撃を受けながらこれら石垣・宮古空港からの航空機はどこに行くのか。定期便には羽田・関西・名古屋などもあるが現状ではフライトの半数は那覇空港、しかしこの空港は自衛隊航空基地と軍民共用で平常時でも自衛隊の緊急発進等によって絶えず危険な状態であり自衛隊機トラブルによる滑走路閉鎖や離着陸のやり直しをする事態がたびたび起こっており、2008年には、那覇市と豊見城市の議会が那覇空港の「民間専用化」を求める意見書を全会一致で可決している。
 とりわけ武力紛争開始後に、米軍基地が集中する沖縄本島と航空自衛隊が使用する那覇空港などが安全であるという保証などあり得ない。山根さんの言葉を借りれば、尖閣を政治問題化して沖縄の防衛力増強を唱え、有事の住民避難を自治体に押し付けるだけの「東京にいる政治家や学者たち」の頭の中こそ、まさに『お花畑』だ。
 歴史を振り返れば、1879年琉球処分後の1881年明治政府は尖閣諸島だけではなく宮古・八重山諸島を、日本の清国内での欧米なみ通商権を認める代わりに中国へ引きわたす「分島改約」案を提示したが、清は元来二島の領有は望まず、冊封関係維持のため二島を琉球に返還したうえでの琉球王国再興を求めており、また、分島に対する琉球人の反対もあって、最終的に同意しなかった。
 1885年沖縄県は無人島である尖閣島に日本領であることを告げる国標を建てようと政府に伺いをたてるが、明治政府は清国に配慮して同意せず、1895年日清戦争中にようやくその領有を宣言したもの。
 尖閣の領有に関してこれらの経緯を厳正に検証し総括することが、この国の政府には求められる。現在は無人であるこれらの島の領有をめぐって、あるいは中国による台湾侵攻という事態をめぐって、宮古・八重山そして沖縄本島で武力衝突となり、多くの民間人の避難と犠牲が生じる事態を招くことは、沖縄にとってもこの国にとっても極めて愚かで悲惨なことでしかない。
 「武力は、持っていれば使ってしまいます。だから戦争は始まってからでは遅いのです。そして、犠牲になるのは住民であり、子どもたちです。だから、戦争が始まる前にどうしているかが大事」とは、いままさにウクライナで起きていること。外交に徹するという覚悟をこそ、日本政府は持つべきだ。
《77年前、沖縄県の石垣島から台湾に疎開する2隻の船が米軍機に銃撃され、80人以上が犠牲になる事件があった。「尖閣列島戦時遭難事件」といわれる。百数十人が尖閣諸島の魚釣(うおつり)島に漂着したものの、餓死者が続出し、生還者は体験をあまり語りたがらなかった。遺族会の事務局長を務める山根頼子さん(66)のおばも、その1人。山根さんは、おばが残した手記から島で起きた悲劇を考え、後世に伝えている。
――遭難事件のことを教えてください。
 「事件は77年前の1945年7月3日に起きました。石垣島は沖縄本島のような米軍上陸はありませんでしたが、お年寄りや女性らは島にいた日本軍の指示で台湾などに疎開することとなりました。しかし魚釣島付近を航行していた「第一千早丸」と「第五千早丸」が米軍機に見つかって銃撃を受け、第五千早丸は沈没、第一千早丸は魚釣島に漂着しました。
 漂着者は約40日間、島で生活しました。食料がなく、クバ(ヤシ科の木)の実やトカゲを食べてしのいだそうです。しかし餓死者も出ました。一方、救助を求め、島にあった木を集めて小舟をつくり、9人が石垣島に渡ることができました。奇跡的に、100人超が生還しました」
<尖閣列島遭難事件>  1945年7月3日、日本軍が石垣島から台湾に送り出した疎開船2隻(計約180人乗船)が米軍機に攻撃された。沈没を免れた第一千早丸が尖閣諸島・魚釣島にたどり着いたが、日本兵や住民ら100人ほどが取り残された。島で造った船で有志9人が約170`離れた石垣島にたどり着き、その後生き残った全員が救助された。犠牲者は80人以上とされるが、正確な人数は不明。
――事件のことはあまり知られていません。なぜでしょうか。
 「石垣島に生還した人たちは、戦後ずっと口をつぐんできました。だからその事実を詳しく知っている人は、石垣島でさえほとんどいません。私の曽祖父母は犠牲になり、24歳だったおばは九死に一生を得ましたが、事件について語ることはほとんどありませんでした」
――思い出したくなかったのでしょうか。
 「船には日本軍兵士数人と島民が乗っていました。おそらく、魚釣島で、食べ物をめぐる弱肉強食の地獄があったんだと推測します。生還者たちは、互いの迷惑にならないよう、魚釣島で見聞きしたことは言わないと決めたのでしょう。おばのことは母から『無人島からかえってきた人』と聞かされてて、おばに事件について教えてほしいと聴いても、『書いた以上のことは何もない』としか言いませんでした」
「人間の肉はおいしいぞ」
――手記があるのですか。
 「おばは、1983年に石垣市が編集した『市民の戦時戦後体験記録』に体験を寄せています。
 島で次々と餓死者が出たことや、日本兵が『人間の肉はおいしいぞ』などと発言したことなどが出てきます。おそらくもっとむごいことが起きていたのではないでしょうか。これ以上は書けないけれど読む人に感じ取ってほしいという思いがにじんでいます」
――そんな状況で、なぜ遺族会が結成されたのでしょうか。
 「結成は戦後50年が経った1995年です。その前年の94年に、おばが言いました。『このままじゃ、グソー(沖縄の言葉であの世の意味)に行ったときに、あの人たち(=死没者)に合わせる顔がない』と。おばは90歳以上まで生きましたが、なぜ自分が生かされたのか、ずっと考えてきたのだと思います。生還できたのは、島に漂着できて餓死しなかったからであり、偶然です。生還者は戦後50年のタイミングで、亡くなった人たちを慰霊し、事件を二度と起こさないよう後世に伝えなければならないと集まり、会を結成しました」
――石垣島での慰霊祭も始まりました。
 「会ができた95年から、石垣島のお寺の境内で慰霊祭をしていたようです。その後、犠牲者の名前を記した慰霊碑を建てようと、市民に寄付を募り、2002年に石垣島内の海岸沿いに建てました。実は、魚釣島にも慰霊碑があります。1969年に石垣市が建てました。しかしその後は遠隔地でもあり、現地での慰霊祭は行っていません」
政治的アピールに使われた慰霊祭
――慰霊祭をめぐっては2012年、魚釣島での慰霊祭をしたいと国会議員から相談があったそうですね。
 「当時、遺族会会長だった生還者の1人、慶田城用武(けだしろようたけ)さん(故人)のもとに、ある国会議員から連絡があったそうです。政府に上陸許可を申請するので同意してほしい、と。
 しかし、遺族会として断りました。遺族会の目的は、御霊(みたま)の供養と、二度と戦争を起こさないことです。尖閣が政治問題化して紛争の火種となりかねない状況は、御霊も望んでいないと考えました。
 議員たちはその後、石垣島の慰霊碑前で我々に無断で慰霊祭をしました。政治的アピールに使われたのだと思っています。我々もいつかは魚釣島へ慰霊に行きたいと思っていますが、いまはその時期ではないと考えています」
――山根さん自身は、石垣島で県立高校の図書館司書をされてきました。
 「はい。尖閣が注目されるようになってからは、本土で司書の集まりがあると、自己紹介をするときには必ず、『尖閣がある沖縄の石垣から来ました。何か紛争が起きそうになったら、私の顔を思い出してください』って伝えています。もし戦争が起これば、私がどうなるか、そこに住んでいる人がどうなるかを考えてほしいからです。
 領土問題になると国民のナショナリズムが高まります。しかし、もし戦争が始まってしまえば、現地に住む人が犠牲になり、生活は一変する。そうならないように、まずは人肌感覚で考えてほしいのです」
戦争は人の生き方を変える
――ロシアのウクライナ侵攻後、「台湾有事」が叫ばれています。不安はありますか?
 「石垣島に住んでいれば、当然不安はあります。しかし、東京にいる政治家や学者たちの言葉を聴いていると、そこに住む住民がどうなるかという視点が抜け落ちていると感じます。
 一方、石垣市内では自衛隊駐屯地の建設が進み、隊員募集も盛んに行われています。観光地として注目されていますが、島民の所得は低く、仕事の選択肢がないため自衛隊に入隊する若者もいます。貧しい島であることにつけ込まれているような気がしています」
――防衛力を高めた方が抑止力で平和維持できるという考えもあります。
 「でも武力は、持っていれば使ってしまいます。だから戦争は始まってからでは遅いのです。そして、犠牲になるのは住民であり、子どもたちです。だから、戦争が始まる前にどうしているかが大事だと思います。『お花畑』と言われるかもしれませんが、私は、国同士の文化や経済の交流を普段から深めることが大事だと考えています。文化は人の交流によって生まれ、争いのブレーキになると思います。
 戦争は人の生き方を変えます。それが尖閣列島戦時遭難事件の教訓です。生還できた人でさえ、心に傷を負い、ずっと負い目を抱えて生きてきました。遭難者の中には、今も慰霊祭に出席することさえ拒む人もいます。連絡しないで、と。傷はずっと残るのです」(聞き手・伊藤和行)》



2022年 7月 4日
ーーテーブルの上のパンくずを見るたびに、筆者は祖母が生き延びたあの飢饉を思い浮かべる。そして、同じ歴史を決して繰り返してはならないと改めて考えるーー
「ウクライナで育つと、パンくずをテーブルの上に残さなくなる。筆者たちミレニアル世代(1980〜90年代生まれ)は、この宗教じみたパンに対する尊敬の念を祖父母から教わった。彼らは1932〜33年にウクライナで起きた飢饉(ききん)を生き延びた。「ホロドモール」の名で知られる、あの飢饉だ」
「何度となく聞いた話では、1杯のスイバのスープがどうやって祖母ときょうだいたちを救ってくれたかが語られる。同じころ、村から取り立てられた穀物は、鉄道駅で腐るがままにされていた。その小麦があれば多くの命を救えただろうが、「国家」はそれを許さなかった。祖母は生涯、スイバを見るのも嫌になり、食器棚には塩と小麦粉の備蓄を欠かさなかった」
「ホロドモールの歴史をきっかけとして、ウクライナ人は自国をソビエト帝国の犠牲者とみなした。近年のクリミア半島併合やドンバス地方の紛争、さらに食料を武器として使用する現行の全面戦争は、そうした見方に合致する」
「しかしこれほど明確な段取りで穀物をウクライナから持ち去ろうとする行為は、ただの出来心による略奪と異なる。一元的な管理の下、部隊が農地に到着し、トラックが穀物を港へと輸送している。一方で、数百万トンの穀物がウクライナの港で足止めされている。黒海にいるロシアの船舶がこれらの港を封鎖しているためだ」
「ウクライナ産小麦の輸出を統制することにより、ロシアは穀物価格を左右できる。ちょうど石油やガスでやっているのと同様だ。それにより確保した一段と大きな影響力を、当該の小麦に依存する国に対して行使するだろう。具体的には中国やインド、トルコなどの国々だ。さらに、穀物供給が制限されれば、アジアやアフリカの貧困国への供給も限定的となり、数百万人が飢餓に直面することになる」
「ホロドモールを研究する学者として、筆者は1世紀近く前の人為的な飢饉と現在の戦争との間に多くの類似点を見出す。結局のところ、32〜33年の飢饉と目下の戦争は、どちらもウクライナをロシアの支配下に置くことを目的としている」
「ソ連に属する残りの国々と同じく、ウクライナは農村地帯であり、間もなく農業集団化政策が施行される状況だった。とはいえ、国家による私有財産の接収に対する抵抗は、ウクライナが連邦内のどこよりも激しかった。ウクライナ人の農民たちはボリシェビキを決して支持せず、不人気な農業集団化政策は頑強な抵抗を引き起こした」
「大規模な飢饉が農業集団化政策に続いて起こったソ連において、政府は異常に高い水準の穀物徴収計画をウクライナに対して課した。32〜33年のことだ。公式には、穀物が必要なのは工業化に向けた工場設備の資金を賄うためとされた」
「仮に国家が穀物を奪っても、国民は生き延びることができる。なぜなら我々が食べるのは小麦だけではないから。しかし当時のソビエト当局はそこで止まらず、あらゆる食料品を持ち去った。ーーー特別隊がソビエト当局によって組織され、各家の隅々まで捜索。隠している食料品や貴重品がないかどうか探し回った」
「人々が決して飢えから逃れられないように、作物の育つ畑は警備された。ウクライナの国境は封鎖され、難民は強制収容所に送られた。飢饉は公式には「食糧難」と呼ばれ、我が子を飢え死にさせた人々は、ソビエトによる支配の信用をおとしめたとして非難された」
「こうした言説は、今回の戦争が「特別軍事作戦」と呼ばれているのを想起させる。首都キーウ(キエフ)近郊のブチャで起きた大虐殺をロシア当局が「フェイク」と形容していることにも通じるものがある」
「現実として、400万人の男女並びに子どもがホロドモールの間に餓死した。多くは自分たちの最後の所持品と交換でパンを手に入れようとした。本来は口にしない草などを代わりに食べ、森でキノコや木の実を探し回った。母親らは、どの子どもを助けるかの選択に直面した。我が子を国の運営する孤児院に預ける母親もいた。生き残る可能性が高まるのを期待してのことだった。他の極端な飢饉と同様、人肉を食べる事例も報告された」
「国家が運営する小規模な店舗のネットワークが作られ、国民から金を買い取った。飢饉の間設置されたこうした店舗は、遠く離れたウクライナの村にも存在した。先祖伝来の家財と引き換えに、飢えに苦しむ人々はわずかばかりの小麦粉を受け取ってパンを焼き、子どもたちに食べさせた。パンくずの一つ一つが貴重だった」
「飢饉と並行して、ソ連政府はウクライナの知識人や有力政治家らの見せしめ裁判を行った。彼らはウクライナ人としての民族主義のほか、敵対的な西側諸国のためにスパイ活動を行っているといった罪で糾弾された。現在のウクライナ政府をナチス呼ばわりするのと同じくらい奇異な話だ」
「反抗的なウクライナ人は、存続にかかわる脅威をソ連の国家計画と指導部とにもたらした。農業集団化政策がウクライナで失敗すれば、他の地域でも同じことが起きる可能性があった。民族運動が成功すれば、他の共和国もソ連政府の権威に異議を唱えかねなかった」
「実際、ホロドモールが凄惨(せいさん)を極めた33年3月には、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国の共産党指導部が、スターリンに向けて次のように書いている。「飢饉はいまだウクライナの集団農場の農民たちを懲らしめるには至っていない」」
「数十年間、被害者たちはホロドモールについて公の場で語ることを許されず、それを飢饉と呼ぶことすらできなかった。公言すれば、反ソビエトのプロパガンダを行ったとして迫害に遭った。西側諸国はソ連との関係正常化に熱心だった33年当時、飢饉にも目をつぶった。現在に至るまで、ウクライナ国外にホロドモールを知る人がほとんどいないのも驚くことではない」
「ソ連崩壊以降、ホロドモールはウクライナにおける国家建設の中心となった。過去30年間、犠牲者たちの記憶が呼び起こされ、複数の共同墓地の場所が特定された。証言は記録され、ホロドモールの歴史が学校で教えられるようになった。圧倒的多数のウクライナ人は、ホロドモールがジェノサイド(集団殺害)に当たる行為だと考えている」
「しかし、当時数百万人が死亡した責任は誰も取っておらず、ロシアは飢饉の計画に携わったことを初めから否定している。誰も400万人が死亡した責任を取らないのなら、人命にはほとんど価値がなくなり、犯罪が簡単に繰り返されかねない」
「過去30年間、ウクライナは不完全ながらもそれなりに機能する民主主義を作り上げてきた。市民社会が芽吹き、確かな国民性が育っていた。片やロシアの独裁政権は、野党と市民社会を抑圧することでその権力を強固なものにした。ロシア帝国に対する懐古の情も巧みに利用している」
「しかし、歴史が繰り返すとは限らない。今日のウクライナには自前の国家やプロフェッショナルな軍隊、市民社会がある。そしてより重要なことだが、国際的な支援も受けている。西側との国境はもはや封鎖されてはいない。欧州は数百万人のウクライナ難民を迎え入れた。かつての農民たちが夢にも思わなかったことだ。西側は、ウクライナが国の存亡をかけて戦うのを助けている」
「ロシア政府がどれだけ遠回しな表現を駆使しようとも、真実は隠せない。常に表に出てくる。まさにホロドモールがそうだったように。事実、ホロドモールは現行の戦争を歴史的観点から捉える助けとなり得るし、それが起きた理由に対する理解も深めてくれる」
 ウクライナ出身の歴史家でスターリン政権下で起こされウクライナで400万人が餓死したとされるホロドモールを専攻、英ケンブリッジ大学でソビエト・ロシア史を教えるダリア・マッティングレー氏のCNNへの寄稿から。
 「ロシアとウクライナは一体」などと唱えながらプーチン政権のロシアが今ウクライナで行っている戦争の本質が、90年前のソビエト政権が現在と同様世界有数の穀倉地帯であるウクライナで意図的に作り出した「飢餓」=ジェノサイドと同じ構図であることが、祖父母が伝える過酷な経験とともに深く語られている。
 自らも同じ出身である旧ソ連KGB元職員らとともに、ソ連解体後のクレムリンで暗殺や破壊工作そして対立候補や市民の投獄など社会の監獄化や報道統制による真実の隠蔽という手段で政権を維持し、旧ロシア帝国やソビエト連邦という大国への郷愁とその復活を目論み隣国を侵略するプーチンとその取り巻きの手法は、ソ連の独裁者スターリンと本質は同じ。
 第二次世界大戦に際してソ連軍の侵攻に抵抗しながら領土と主権を奪われたフィンランド、バルト三国、ポーランドと同じく、ウクライナの人々にとってソ連はナチスと変わらぬ侵略者であったが、ソ連が連合国側であったためにその侵略行為の多くは戦後黙認された。それが現在のロシアによるウクライナ侵攻につながっているということ。
 「テーブルの上のパンくずを見るたびに、筆者は祖母が生き延びたあの飢饉を思い浮かべる。そして、同じ歴史を決して繰り返してはならないと改めて考える」
 この思いは、壮絶な地上戦で多くの住民が亡くなった沖縄と二発の原子爆弾が投下され多くの都市が空襲で焦土と化し、日本軍の侵攻により周辺諸国にも甚大な被害を与えたこの日本に住むわたしたちにも、決して無縁ではない。
《(CNN) ウクライナで育つと、パンくずをテーブルの上に残さなくなる。筆者たちミレニアル世代(1980〜90年代生まれ)は、この宗教じみたパンに対する尊敬の念を祖父母から教わった。彼らは1932〜33年にウクライナで起きた飢饉(ききん)を生き延びた。「ホロドモール」の名で知られる、あの飢饉だ。
何度となく聞いた話では、1杯のスイバのスープがどうやって祖母ときょうだいたちを救ってくれたかが語られる。同じころ、村から取り立てられた穀物は、鉄道駅で腐るがままにされていた。その小麦があれば多くの命を救えただろうが、「国家」はそれを許さなかった。祖母は生涯、スイバを見るのも嫌になり、食器棚には塩と小麦粉の備蓄を欠かさなかった。
80年代の「グラスノスチ(情報公開)」と、そのすぐ後に起きたウクライナのソ連からの独立がもたらした新たな自由により、この国民的なトラウマを整理することができるようになった。ホロドモールの歴史をきっかけとして、ウクライナ人は自国をソビエト帝国の犠牲者とみなした。近年のクリミア半島併合やドンバス地方の紛争、さらに食料を武器として使用する現行の全面戦争は、そうした見方に合致する。
占領された地域では、相次ぐ証拠からロシア軍が穀物や機材をウクライナ人の農業従事者から盗んでいる実態が明らかになった。あるいは強制的に農産物を極めて安い価格で販売させてもいる。それらは報道によると現地からトラックに積み込まれ、併合したクリミア半島やロシアの港に運ばれるという。ロシア政府はこうした主張を否定している。
しかしこれほど明確な段取りで穀物をウクライナから持ち去ろうとする行為は、ただの出来心による略奪と異なる。一元的な管理の下、部隊が農地に到着し、トラックが穀物を港へと輸送している。
一方で、数百万トンの穀物がウクライナの港で足止めされている。黒海にいるロシアの船舶がこれらの港を封鎖しているためだ。とはいえ農産物を陸路で運び、隣接するルーマニアやポーランドの港へ届けるのは時間がかかる上に労力も大きい。
ウクライナ産小麦の輸出を統制することにより、ロシアは穀物価格を左右できる。ちょうど石油やガスでやっているのと同様だ。それにより確保した一段と大きな影響力を、当該の小麦に依存する国に対して行使するだろう。具体的には中国やインド、トルコなどの国々だ。さらに、穀物供給が制限されれば、アジアやアフリカの貧困国への供給も限定的となり、数百万人が飢餓に直面することになる。
ホロドモールを研究する学者として、筆者は1世紀近く前の人為的な飢饉と現在の戦争との間に多くの類似点を見出す。結局のところ、32〜33年の飢饉と目下の戦争は、どちらもウクライナをロシアの支配下に置くことを目的としている。ーーー




                                                                                                                                                                 
  
     





























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