Fukupulio's Page

Blog
2023年 2月


ホーム
ブログ

写真
旅の写真
  You Tube 
世界史Print
リンク

 
神 戸・お店
六 甲山とその周辺
時 事
集団的自衛権 考
砂川事件判決
国旗・国歌訴訟
ギ ルガメッシュ叙事詩考






2023年 2月28日
「民主党政権によって失われた日本の誇り、自信、活力を取り戻すために力を合わせ大きくこの国を前進させた『前進の10年』でもあった。安倍氏、菅義偉前首相が築いてきた前進の10年の成果の礎の上に、次の10年を作るため、新たな一歩踏み出すときだ。ともにさらなる挑戦を続けていこう」
「1年前、我々の歴史的な土地に住む人々を守るため、我が国の安全を保障するため、そして2014年のクーデター後にウクライナで生まれたネオナチ体制による脅威を取り除くため、特殊軍事作戦実施の決定が下された。そして我々は一歩ずつ、慎重に、そして一貫して、我々の前にある課題を解決していく。ーー脅威は日に日に増していた。入ってくる情報から、2022年2月までにドンバスで再び流血の懲罰的な行動を起こす準備が万端に整えられていることは疑いようがなかった。繰り返したい。戦争を始めたのは彼らだ。我々はそれを止めるために武力を行使し、今後もこれを行使する」プーチン22日
 自らの醜悪な野望から隣国ウクライナを土足で侵略、蹂躙して無辜の市民に甚大な被害をもたらしながらその責任をすべて相手方に被せるロシア大統領と、カルトと癒着したこの10年の自公政権によって莫大な1200兆円の将来世代への国債返済負担(“国の借金” 1241兆円余 6年連続で過去最大を更新2022年5月)、非正規雇用増大と実質賃金の低下(2000年~2020年で9%低下)、OECDで教育費負担率最低水準(保育など就学前教育機関における総支出の48%が私費負担。これはOECD加盟国の中で最も高い割合でOECD平均17%の倍以上。2018年時点で、OECD加盟国では平均GDPの4.9%が初等から高等教育段階の教育機関に充てられたのに対し、日本は4%)、日本経済全般の衰退(世界経済に占める日本経済(GDP)の比率は1989年15.3%→2018年5.9%)など、この国の衰退を自公長期政権下で招いておきながら、その事実も他人事で責任はすべて3年間の民主党政権に被せるこの国の首相。森友、加計、桜など政治の私物化と公文書偽造、憲法を蹂躙する集団的自衛権容認と「同じ夢を見ている」ロシアへの追従、どこが「前進の10年」なのか。
 カルト集団との癒着を含めまともに自らの政策や行いの問題を検証・反省できない、政治を家業として年ばかり重ねたこういう人物が、この国をさらに衰退させる。いや、気温上昇など国内そして世界の様々な課題に背を向けた軍備増強と偏狭な外交政策ではこの国を再び戦場とし崩壊させるだけ。
《岸田文雄首相(自民党総裁)は26日、東京都内で開かれた党大会で演説し、安倍晋三元首相の死去について「失われたものの大きさを実感せざるを得ない」と述べた。
首相は、平成24年の政権奪還から10年が経過したことに触れ「民主党政権によって失われた日本の誇り、自信、活力を取り戻すために力を合わせ大きくこの国を前進させた『前進の10年』でもあった」と強調。「安倍氏、菅義偉前首相が築いてきた前進の10年の成果の礎の上に、次の10年を作るため、新たな一歩踏み出すときだ。ともにさらなる挑戦を続けていこう」と訴えた。》

月別表示
次年 2023年
前年
1月
2月 3月 4月
5月 6月 7月 8月
9月 10月 11月 12月





2023年 2月27日
朝から快晴。
 梅は岡本、桜は吉野とコロナ禍でようやく知った岡本の梅林公園にPiza Trackのプリンチペッサを持って訪ねる。紅梅、白梅も咲き揃い、高齢者から若者、家族連れ、外国人と水筒を携えた保育園(幼稚園?)児まで楽しげ。「また来ようね」と幼い子が母親に語っていた。
 コンビニコーヒーのあと住吉のうはらの湯に浸かり、阪神御影で食材買ってバスで帰宅。春はもうそこまで。
 夜録画のフランスF2はウクライナで離れ離れの家族の様子を伝える。翌日NHKのドキュメンタリーでは、自分は安全な場所にいながら隣国への残忍極まる侵略でウクライナだけではなく自国軍兵士に多くの犠牲を出しながら、その母や妻に薄笑いして愚かしい言い訳をするプーチンの姿と、多くの犠牲を強いられる少数民族の女性たちの声を伝える。

                       



2023年 2月26
「次元の異なる子供・子育て政策を実現し、社会全体の意識を変える」岸田
→「子ども予算は、子どもが増えればそれに応じて増えていく」木原官房副長官21日
「議論を尽くし、決めたら一致団結して成し遂げる」同
→防衛力強化と1兆円増税、年明けの「異次元の少子化対策」、日銀総裁人事などを党副総裁、幹事長、官房副長官、政策秘書らごく限られたメンバーで決めてきた
「国民政党、責任政党として、この戦いを勝ち抜いていく」同
→党大会で旧統一教会と安倍元首相をはじめとする自民党との深い関わりやLGBT差別解消、理解増進法にはまったく触れない「非国民政党・無責任政党」
 岸や安倍など自民党総裁且つ首相らがカルト教団とその関連団体と深く癒着し、霊感商法や違法高額献金と信徒への人権侵害など甚大な被害を国民に与えてきた自らの党のあり方を何ら検証・反省することなく、社会から立ち遅れた人権意識や子育て・教育支援の立ち遅れの反省もせず、重大な課題をほとんど議論せず独断で決定しながら、形だけの「党大会」を終える。
 こんな政党は、旧統一教会と同じく「解散請求」に値する。こんな政権と与党はこの国に巣食うウイルスだろう。
《90回目となる自民党大会では、岸田文雄首相(総裁)が統一地方選と衆参5補選への「必勝」を掲げ、一致結束を訴えた。党内への配慮から世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題や、意見が割れる「LGBT理解増進法案」には触れないまま。世論と向き合わず、限られた人と方向性を決める政権運営に「国民政党」の看板はかすんでいる。▼1面参照
 首相就任から約1年半。「実績」が映し出された大型ビジョンを背景に登場した首相は、約1カ月後に始まる統一地方選と衆参5補欠選挙へ力を込めた。「国民政党、責任政党として、この戦いを勝ち抜いていく」
 統一地方選と補選は首相の総裁任期(3年)のほぼ折り返し地点で実施されるため、政権の「中間評価」の意味合いを持つ。菅義偉前首相が2021年4月の衆参三つの補選・再選挙で不戦敗を含めて全敗し、政権運営で大きくつまずいたことが念頭にあり、首相は危機感を隠さなかった。
 「国民と共に歩む自民党」と語った首相。しかし、就任直後は再三繰り返した「聞く力」を訴える姿は減り、国民が求める政治とのずれが広がる。その象徴が安倍晋三元首相銃撃事件で露呈した自民と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる関係だ。
 朝日新聞が1月に実施した世論調査では、統一地方選を前に、投票する際に候補者と教団との関係をどの程度考慮するかを聞いた。「考慮する」は「大いに」「ある程度」をあわせて60%で関心は高い。
 しかし、首相は春の政治決戦を前に、教団との関係「清算」より、触れない方が得策との思いがにじむ。
 今月22日の衆院予算委員会。首相は地方議員の自民党公認、推薦について「統一教会との関係を未来に向けて絶つという方針を徹底するべく、自民党として全国の地方組織と党本部の間で意思疎通を図っています」と答弁した。
 それ以前の1日の衆院予算委では、「国民の信頼を取り戻す」として統一地方選までに何らかの対応ができないか「具体化するべく努力している」としたが、特段の新たな対応はないことが明らかになった。党幹部は「国民の関心はもう離れている」と語り、党大会の約25分間の演説でも首相は一言も触れなかった。
 かけ声だけが先行し実態が伴わない状況は、首相秘書官の差別発言を受けて焦点となっているLGBT理解増進法案も同じだ。首相は今月上旬に党内議論の再開を指示したが、党内の腰は重い。
 今月17日に萩生田光一政調会長は古屋圭司元国家公安委員長や稲田朋美元政調会長らと協議したが、「差別は許されない」という文言をめぐり、主張は平行線をたどり、議論再開時期は決まらなかった。
 人権意識が問われるだけに、党内からは5月に広島市で開くG7サミットまでに成立させるべきだとの意見がある一方で、選挙前に党内を二分する議論をやらない方がいいとの意見もある。「サミットまでにやるには、水面下で話を進めていくしかない」(党幹部)。批判を恐れ、議論は先送りの様相だ。(森岡航平)
 ■自信深める首相、「身内」に偏る権限
 党大会で、首相は「議論を尽くし、決めたら一致団結して成し遂げる」ことが自民の伝統だと強調した。
 だが、首相の政治スタイルは当てはまらない。
 これまで重要な政治判断については、党側では麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長、政府側では木原誠二官房副長官と嶋田隆政務秘書官を重用。課題ごとに、ごく限られたメンバーで決めてきた。
 党では役員会前後に首相、麻生氏、茂木氏の3人だけ残って話し続けることがたびたびあり、役員会出席者の一人は「こそこそ話して、あんな形で見せつける必要があるのか」と不満を口にした。決定ラインの偏重ぶりに、外された格好になった別の幹部も「はしゃぎすぎだ」と、茂木氏らとは距離を置く。
 日銀総裁人事では首相は木原氏、嶋田氏で人選を進め、松野博一官房長官でさえ関与せず、麻生氏や茂木氏にはぎりぎりまで知らせなかった。決定ラインは狭まる一方だ。
 ほかにも、防衛力強化とそれに伴う1兆円増税や、年明けに打ち出した「異次元の少子化対策」など大きな政策方針が首相発で繰り出され、党内議論は後付けになるパターンが続く。中堅議員は「どこで検討し、首相が最終的に発信しているのか見えない。意見を言う先も見当たらない」。
 そんななか、首相だけは政権運営に自信を深める。
 今月16日、首相は自民の国会対策担当の議員約20人と会食した。ウーロン茶を手に各テーブルを回り、国会審議が着々と進むことに謝意を述べながら、こう語った。「私は進めるべき政策を進めている」
 内閣支持率が30%台で低迷し、党内に不満がくすぶるにもかかわらず、首相を批判する動きは広がらない。「すぐに選挙があるわけでもない。ポスト岸田もいない。低位安定だが、このまま飛び続けられるとみんなが思い、いま動く理由がない」と中堅議員は解説する。25年10月の衆院任期まで2年半以上もあり、支持率の低さが選挙で議員生命に直結するという危機感はない。
 ポスト岸田と目される面々は、河野太郎消費者相や林芳正外相は内閣にいて、茂木氏も首相と命運をともにする幹事長職にある。防衛増税では反対の声が目立った最大派閥の安倍派は、後任会長が決められないままで統率力を欠く。沈黙する党内の状況を打ち破るように、菅氏が年明け、「派閥政治」を首相が続けていると苦言を呈したが、同調の動きは広がらなかった。
 結果、一体感を欠きながらも首相と自民議員がもたれ合うような状況に、閣僚経験者は危うさをかぎ取る。「首相は政権維持のためには、また突然政策のかじを切る。信条じゃなく、その流れで憲法改正も持ち出しかねない」(藤原慎一)》



2023年 2月26日
日記がわりに。
 トルコ・シリア大地震、倒壊した建物の瓦礫からそこに住んでいた人びとの写真だけが見つかる。ZDFはドイツ各地の再開した春の祭りでプーチン批判の様子を伝える。
 24日ロシア侵攻から1年、BBCはバイデン大統領の20日Kyiv訪問と、ウクライナ市民が亡くなったウクライナ兵を悼む様子を、オーストラリアABCはウクライナの子どもたちを伝える。
 昨日3週ぶりにil ventoでマリアーナを頂き三宮に行くと、大丸手前の帽子店「神戸堂」が先月で閉店していた。いろいろ廉価な帽子を得ていたのだが。春日の道で食材買って帰宅。BBCはウクライナ東部で街に残る市民とパンなどを配る司祭、そして双子の兄弟の一人を爆撃で亡くした母と子を、ZDFは侵攻1年にあたり亡くなった兵士の家族を招き、兵士の前で演説するゼレンスキー大統領、そしてロシアでのウクライナ詩人の墓に献花する市民の静かな抵抗の様子を、仏2はやはりゼレンスキーと亡くなった兵士の家族、ウクライナ兵そして虐殺に見舞われたブチャの弔いと、束の間の休暇で故郷の家に戻り家族と再会するウクライナ兵士と家族の姿を伝える。
 今日のサンモニは占領下でロシアに連れ去られたウクライナの子どもは16221人と。あきらかに国際人道法違反。神戸は気温の低い曇天、春に向けて衣類の整理などで1日巣篭もり。明日から気温上昇とか。



2023年 2月25日
・国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の21日の発表では昨年2月24日からウクライナで犠牲になった民間人は確認されただけでも8006人。死者の6%に相当する487人は子供。トゥルク人権高等弁務官は、「把握している被害は氷山の一角だ」と述べ、ウクライナ政府は昨年12月初め、市民の犠牲者が「2万人をはるかに超えた」とする。
・グランディ国連難民高等弁務官は20日ウクライナの国内外に避難した人が1千万人に達したとする。人口の四人に一人。
・キーウ経済学院の1月下旬の集計では、12月までに民間インフラが受けた被害は1378億ドル(約18兆6千億円)。うち住宅の被害は540億ドルに及ぶ。
・ウクライナは昨年12月、同国軍の戦死者を1万〜1万3千人と伝える。
・英国防省はロシア軍側の侵攻開始以来の死傷者の総計が17万5千〜20万人にのぼり、死者は4万〜6万人に達したとみる。
・23日国連総会は141カ国の賛成多数で、武力によるいかなる領土の獲得も違法だと再確認。国連憲章の原則に沿った「包括的、公正かつ永続的な平和」の達成を求めた。ロシア軍の「即時、完全、無条件」の撤退を要求し、ロシア軍による国際法上の犯罪には「適切かつ公正で独立した調査と訴追」が必要だと決議した。
・46人が死亡した1月14日のウクライナ中部ドニプロの集合住宅への攻撃後モスクワにあるウクライナの詩人の記念碑の前で1月21日、エカテリーナ・バレニクさんは「ウクライナは私たちの敵でなく、兄弟だ」というメッセージを掲げて立ち、警察に拘束された。この碑には、大勢の市民が献花に訪れていた。
・11日には親政権のロシア紙「コムソモリスカヤ・プラウダ」のサイトに、「ロシア軍のウクライナでの戦争犯罪」や「プーチン(大統領)が市民を爆撃」といった数十本の記事が掲載された。10分ほどで削除されたが、独立系メディアによると、ウクライナへの罪の意識を感じる同紙記者による抗議行動だった。
「1年前、我々の歴史的な土地に住む人々を守るため、我が国の安全を保障するため、そして2014年のクーデター後にウクライナで生まれたネオナチ体制による脅威を取り除くため、特殊軍事作戦実施の決定が下された。そして我々は一歩ずつ、慎重に、そして一貫して、我々の前にある課題を解決していく」
「脅威は日に日に増していた。入ってくる情報から、2022年2月までにドンバスで再び流血の懲罰的な行動を起こす準備が万端に整えられていることは疑いようがなかった。繰り返したい。戦争を始めたのは彼らだ。我々はそれを止めるために武力を行使し、今後もこれを行使する」
「我々が守っているのは人命であり、自分たちの生家だ。だが西側の目的は無限の権力である。西側はキエフ政権を幇助し、武装させるためにすでに1500億ドル(20兆2460億円)以上を費やした。比較のために引用すると、経済協力開発機構(OECD)のデータでは2020-2021年、世界の最貧国支援にG7諸国が割り当てた額は約600億ドル(8兆983億円)。実に分かりやすいではないか」
「先日、ウクライナ軍の旅団のひとつに(口にするのも恥ずかしいことだが、いやこれは我々には恥ずべきことだが、彼らにとってはそうではない)ヒトラーの師団と同じ、「エーデルワイス」の名が与えられた。エーデルワイス師団はユーゴスラビア、イタリア、チェコスロバキア、ギリシャのパルチザンに対する懲罰作戦に加わり、ユダヤ人の国外追放、戦争捕虜の処刑を行った」
「米国は弾道弾迎撃ミサイル制限条約を脱退しており、ご存じのようにすべて過去のことになっている。非常に重要なことだが、我々の関係が悪化したのは完全に米国の「功績」だ。彼らは我々に戦略的敗北を期させようとしており、我々の核施設に立ち入ろうとしている。これに関して今日、私はロシアは戦略兵器削減条約への参加を停止すると言わざるを得なくなった」プーチン年次教書演説2月22日
 ロシアによる国連憲章と国際法を逸脱した違法なウクライナ侵攻開始から1年。
 多くのロシア、ウクライナ兵だけでなくウクライナの乳児から高齢者までの市民が亡くなり傷つき、国民の四人に一人が国外に避難し残った人びとも空襲の恐怖とインフラ破壊による苦難に喘いでいる時、あたかも何処かのパラレルワールドの出来事のように事実とは真逆の主張を長々と国会と国民に展開する、この違法な侵攻を決断した世界最多の核保有国の大統領。
 数週でウクライナの政権を転覆できるという甘い見通しでウクライナ侵攻を始めて破綻し、市民に甚大な犠牲を強いながら、「特殊軍事作戦実施の決定が下された」「戦争を始めたのは彼らだ」「戦略兵器削減条約への参加を停止すると言わざるを得なくなった」など、責任は全て相手に転嫁する無責任極まる輩が、世界最多の核保有国の大統領という人類のかつてない危機。
 ウクライナで2014年ネオナチ政権が誕生、ウクライナ軍の旅団にヒトラーの師団と同じ「エーデルワイス」の名、ウクライナ政権が核兵器を手に入れようとしたという主張はいずれも的外れであるとBBCは検証している。
 歴史を振り返れば、先の大戦でナチスドイツと同じように隣国ボーランドに侵入して分割しカティンの虐殺などを行い、フィンランド、バルト三国そしてウクライナでも侵略やホロドモールという虐殺を行ったのは他ならぬソ連である。
 そしていま政敵の排除と国内の異論の封殺そして自己正当化だけに辣腕を振るう悪しき輩が核使用の脅しと共に、ワグネルというまさにナチス所縁の名を持つ民間軍事会社を利用して、隣国ウクライナで学校や病院、劇場などへの攻撃とブチャなど占領地域での集団虐殺や無辜の市民の殺害に明け暮れる。ナチス化しているのはプーチン本人でしかない。こんな戦争は即座に止めるべき。
《ロシアがウクライナに侵攻してから24日で1年になる。「ウクライナ東部で集団殺害が行われている」とする根拠のない主張でプーチン大統領が始めた戦争は民間施設への無差別攻撃や虐殺を伴い、市民の犠牲が増え続けている。占領地の拡大の意図を隠さないロシアに対し、ウクライナは徹底抗戦する構えだ。戦争が終わる見通しは全く立っていない。
 プーチン氏は23日、「祖国防衛者の日」のビデオ演説でウクライナを「我々の歴史的な領土」と呼び、侵攻に加わる兵士は「ネオナチズムと英雄的に戦っている」などと発言した。
 さらに軍備増強を明言。10以上の核弾頭を搭載できる新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」の年内の実戦配備をあらためて表明し、核戦力を誇示した。
 ロシアは「軍事施設だけを攻撃している」と主張するが、病院や学校への攻撃が続発。首都キーウ近郊ブチャでは多数の市民の虐殺が発覚した。
 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の21日の発表によると、昨年2月24日からウクライナで犠牲になった民間人は確認されただけでも8006人にのぼる。
 しかし、ロシア軍の占領下に置かれた地域などの犠牲者の正確な把握は困難で、トゥルク人権高等弁務官は、「把握している被害は氷山の一角だ」と述べた。ウクライナ政府は昨年12月初め、市民の犠牲者が「2万人をはるかに超えた」とした。
 インフラや住宅の被害も甚大だ。ロシアは昨年10月から電力施設を標的にウクライナ全土へミサイル、ドローン(無人航空機)による攻撃を繰り返してきた。キーウ経済学院の1月下旬の集計では、12月までに民間インフラが受けた被害は1378億ドル(約18兆6千億円)。うち住宅の被害は540億ドルに及ぶという。
 ウクライナは領土の2割近くをロシアの占領下に置かれた状態が続く。プーチン氏は昨年9月、東部・南部4州の併合を一方的に発表したが、ウクライナ軍は反転攻勢を続け、南部ヘルソン州で州都を含むドニプロ川西岸地域を奪還した。以来、戦況は膠着(こうちゃく)状態に陥ったが、ロシアは昨年末から東部で攻勢を強め、ウクライナは今後の大規模攻勢につながると警戒する。
両軍の死者、数万人か
  ロシア軍は現在、東部ドネツク州北部の交通の要所バフムートへ多数の兵士を投入して激しい攻撃を続ける。
 これに伴ってロシア軍の死傷者が急増。英国防省は、ロシア軍側の侵攻開始以来の死傷者の総計が17万5千〜20万人にのぼり、死者は4万〜6万人に達したとみる。
 ウクライナ側は昨年12月、同国軍の戦死者を1万〜1万3千人とした。ウクライナはバフムートを含む東部の支配地を死守する構えだ。領土奪還をめざし、欧米が提供する主力戦車などが配備される春以降に、大規模な作戦に出るとの見方もある。
 国連のグテーレス事務総長は22日、国連総会のウクライナに関する緊急特別会合で演説し、ロシアによる侵攻を「国連憲章と国際法の違反」と指摘。核兵器使用の可能性をちらつかせて脅す行為を「容認できない」と非難した。国際的に認められたウクライナの主権や領土などを「約束する」とも述べた。「戦争は解決策ではない。ウクライナの人々は非常に苦しんでいる」と述べ、ロシアに攻撃停止を求めた。(キーウ=喜田尚)》



2023年 2月24日
「安保関連3文書は完全に、アメリカの安全保障戦略に符合する形で改定されています。ーー米国の戦略とは何か。一つは中国に対する軍事力をはじめとする優位性の維持、二つ目は同盟国の力を最大限引き出し「国家連合」をつくること。その戦略を支える目玉が反撃能力です。日本はこれまで保有していなかった長射程ミサイルを大量に取得し、南西諸島を中心に配備することを検討している。一方のアメリカは数年前から中国に対抗するため、日本列島からフィリピン、インドネシアにつながる列島線上にミサイル網を築くと打ち出してきました。もし日米が中国に対し、軍事的に優位に立とうとすれば緊張は高まる。そして、万が一戦争になった場合、戦場になるのはどこか? それは日本です」
「台湾有事については、現状では起きる可能性は低く、外交で予防することが可能。(79年米中国交樹立と米軍台湾撤退は)事実上の停戦協定です。中国にとって一番の脅威は台湾でなく、背後のアメリカでした。そのアメリカが台湾と断交して軍を引き揚げたため、中国は台湾への攻撃をやめた。重要なのはそれから44年間台湾海峡で戦闘が発生していないこと。米中の合意を基礎として、台湾海峡の平和と安定が守られてきた実績があるのです。これを今後も継続させる外交が重要です」
「北朝鮮がミサイルを持つのはアメリカに攻撃されないためです。北朝鮮はアメリカに届くミサイルをアピールすることが抑止力になると考えています。日本を攻撃する準備ではありません」
「日本がすべきことは米中の間に立ち、対話を促し、軍縮を働きかけること。米中には共通の利益も多く、気候変動や感染症対策、食糧危機など人類共通の課題で協力できる可能性がある。そうやって安定的な関係をつくりだす外交こそが戦争のリスクを下げることにつながる。(ASEANは)アメリカとも中国とも距離を置き、米中の覇権争いに仲介者として対応している。日本の政治家は、中国は話を聞かないから抑止力しかない、などと言いますが、外交には力があること、小国でも結束すれば力を持つことをASEANは示しています」
「これ(自衛隊員の宣誓)はあくまでも専守防衛を前提とした宣誓です。侵略された時に命がけで日本を守ると誓ったはずが、日本が攻められてもいないのに戦うことになれば、目的が違ってくる。現場の自衛隊員に、そうしたリスクは丁寧に説明されていません。今最も必要なのは、軍拡競争の末に米中の争いを起こさせないこと。現政権はアメリカに追随することばかり考えていますが、米中の覇権争いに乗るのではなく、対話を促し、競争を抑えるよう働きかけることです。アメリカの力だけに頼るのではなく、日本人が自らの努力によって平和を創り出す選択肢はいくつもあるはずです」
 ロシアのウクライナ侵略を口実に、東アジアの状況を冷静に分析することもなく米国の言いなりで敵基地攻撃能力など憲法違反の軍拡と防衛費倍増に突き進む岸田政権に対する、軍事アナリスト布施祐仁氏の包括的で的を得た指摘。
 安保3文書では台湾有事の際に米軍が介入すれば自動的に自衛隊も参戦し、戦場となるのは台湾と沖縄など南西諸島そして横田・横須賀など日本全体であって米国ではない。対外侵略と壊滅的な敗戦を経て「戦力の不保持」「交戦権の否認」を謳う憲法を持つこの国こそ、安全保障を含め世界が直面する多様な課題に外交で立ち向かう姿勢を今こそ堅持すべき時。
《相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)もしかり、5年間で総額43兆円とされる防衛費もしかり。岸田文雄首相の国会答弁を聞いても、具体的な中身は浮かんでこない。防衛問題に詳しいジャーナリストの布施祐仁さん(46)は「その先にある最大のリスクが、国民にも自衛隊員にも語られていない」と警鐘を鳴らす。そのリスクとは――。
 20年以上、防衛問題を取材してきた布施さんが着目するのは、岸田政権が防衛力強化に前のめりになる真の理由だ。
 昨年末、安全保障関連3文書が改定され、その一つ「国家安全保障戦略」に反撃能力の保有が明記された。「安保関連3文書は完全に、アメリカの安全保障戦略に符合する形で改定されています」。確かに、2022年1月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表文書を読み返せば、合点がいく。日米は安全保障上の課題に「未(いま)だかつてなく統合された形で対応するため、戦略を完全に整合させ、共に目標を優先づける」と明記されている。防衛強化方針に唐突な印象もあったが、布石は打たれていたわけだ。
 では、米国の戦略とは何か。布施さんは米国家安全保障戦略の要点をこう読み解く。一つは中国に対する軍事力をはじめとする優位性の維持、二つ目は同盟国の力を最大限引き出し「国家連合」をつくることだ。
 「その戦略を支える目玉が反撃能力です。日本はこれまで保有していなかった長射程ミサイルを大量に取得し、南西諸島を中心に配備することを検討している。一方のアメリカは数年前から中国に対抗するため、日本列島からフィリピン、インドネシアにつながる列島線上にミサイル網を築くと打ち出してきました」
 布施さんが懸念するのはその先だと言い、「安全保障のジレンマ」という言葉を口にした。戦争するつもりはなくても、軍拡競争が激しくなると緊張は高まる。挑発行為や偶発的衝突が引き金となり、戦争のリスクが上がることを意味する。
 そこで気になるのは、中国の習近平国家主席が、建国100年を迎える49年までに「世界一流の軍隊にする」と表明していることだ。「もし日米が中国に対し、軍事的に優位に立とうとすれば緊張は高まる。そして、万が一戦争になった場合、戦場になるのはどこか? それは日本です」と警告する。
 日本が防衛力強化の理由に挙げるのは、ロシアのウクライナ侵攻や、台湾有事、北朝鮮のミサイル発射だ。確かにウクライナ侵攻で、国際情勢は動いている。しかし布施さんは、国際的な脅威について、歴史的経緯を踏まえて冷静に分析すべきだと強調する。とりわけ「台湾有事については、現状では起きる可能性は低く、外交で予防することが可能」との見方を示す。
 中国は1958年の「第2次台湾海峡危機」以降、台湾の金門島への砲撃を散発的に続けていた。しかし79年に中国は砲撃停止を発表し、平和的な統一を目指すとした。この背景には米国の存在があり、同年に米中は国交を樹立。米国は台湾と断交し、相互防衛条約も破棄して駐留米軍を撤退させた。
 「事実上の停戦協定です。中国にとって一番の脅威は台湾でなく、背後のアメリカでした。そのアメリカが台湾と断交して軍を引き揚げたため、中国は台湾への攻撃をやめた。重要なのはそれから44年間台湾海峡で戦闘が発生していないこと。米中の合意を基礎として、台湾海峡の平和と安定が守られてきた実績があるのです。これを今後も継続させる外交が重要です」
 では、北朝鮮情勢はどうか。布施さんは2018年にミサイル発射がなかったことを挙げ、こう解説する。この年は史上初の米朝首脳会談が実現。米国は金正恩体制を保障し、代わりに北朝鮮は非核化を約束した。だがその後、交渉が行き詰まり途絶えた。「つまり北朝鮮がミサイルを持つのはアメリカに攻撃されないためです。北朝鮮はアメリカに届くミサイルをアピールすることが抑止力になると考えています。日本を攻撃する準備ではありません」
 これらの分析を踏まえ、「日本がすべきことは米中の間に立ち、対話を促し、軍縮を働きかけること。米中には共通の利益も多く、気候変動や感染症対策、食糧危機など人類共通の課題で協力できる可能性がある。そうやって安定的な関係をつくりだす外交こそが戦争のリスクを下げることにつながる」と力を込めた。
 とはいえ、岸田政権が外交で世界のイニシアチブを握れるかというと、現実味に欠ける。そういぶかしんでいると、布施さんはお手本は近くにあると指摘した。東南アジア諸国連合(ASEAN)だ。
 ASEAN諸国は南シナ海の領有権を巡り、かねて中国との紛争を抱えてきた。1980年代には、ベトナムの南西諸島が中国の武力によって奪われたこともあった。しかしその後、中国を含めた話し合いの枠組みを作って対話を続け、2002年にASEAN諸国と中国は「南シナ海に関する関係国の行動宣言」を発表。領有権をめぐる紛争の平和的解決を目指した。
 「近年、中国の海洋進出で緊張が高まる場面もありますが、少なくとも行動宣言以降、中国は武力で他国の領土を奪う行動には出ておらず、南シナ海で戦争は起きていません」。また、ASEANは気候変動など共通課題で協力する「包括的戦略パートナーシップ」を中国と米国それぞれと締結した。「アメリカとも中国とも距離を置き、米中の覇権争いに仲介者として対応している。日本の政治家は、中国は話を聞かないから抑止力しかない、などと言いますが、外交には力があること、小国でも結束すれば力を持つことをASEANは示しています」
外交で米中対話促せ
 布施さんは自衛隊員への取材経験から、反撃能力の保有で現場にしわ寄せがいくことを懸念する。実は自衛隊は発足以来、定員を満たしていない。22年版防衛白書でも全階級で定員割れし、一番下の「士」は定員の約8割しかいない。「少子化が進む中、人手不足の解決は難しい。そこで自衛隊がアピールするのは経済的な利点です」。奨学金制度を設け、民間企業の求人が少なく平均所得も低い地域で隊員を盛んに勧誘する。こうした実態は布施さんの著書「経済的徴兵制」に詳しい。
 安保法制の改定に続き、反撃能力も任務に加わった。「隊員の負担は増えています。安全保障戦略は東京の机の上で考えられますが、実際に実行するのは現場の人です」。自衛隊は服務宣誓で、「危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務める」と誓う。だが、布施さんは「これはあくまでも専守防衛を前提とした宣誓です。侵略された時に命がけで日本を守ると誓ったはずが、日本が攻められてもいないのに戦うことになれば、目的が違ってくる。現場の自衛隊員に、そうしたリスクは丁寧に説明されていません」。
 日本を戦場にしないために、できることは何か。中国の「気球」を巡り、米中関係は緊張が高まっている。「今最も必要なのは、軍拡競争の末に米中の争いを起こさせないこと。現政権はアメリカに追随することばかり考えていますが、米中の覇権争いに乗るのではなく、対話を促し、競争を抑えるよう働きかけることです。アメリカの力だけに頼るのではなく、日本人が自らの努力によって平和を創り出す選択肢はいくつもあるはずです」【上東麻子】



2023年 2月23
日記がわりに。
 富良野から戻り、その間のトルコシリア地震などを伝える海外ニュース録画をまとめて見る。地震発生後72時間を過ぎても救助で助け出される人や幼児もいるが、瓦礫の前で肉親の救助を待ち続ける人や臨時の墓場で泣く遺族の様子。ウクライナではKharkivで学校が再開されたが子供たちには様々なケアが、シリア反政府地域でも世界の関心と支援が必要であることなど。
 18日紅梅の三ノ宮神社を経て乙仲通りそばのALBARでマルゲリータ。数分手前のDay's Kitchenは先週に続き開店前に行列だったが、こちらは自分一人で貸切状態。美味しいのだが。帰路雑貨店でのんびり時間を過ごせそうなカップを見つけて帰宅。
 月曜はアシスト車で水道筋灘温泉往復。今日は快晴、一月ぶりにやまなみバスで有馬に行き、賑わいも戻るなか界隈を歩いて堂加亭テラスでお昼をいただき廉貴の金泉・銀泉に浸かって三宮経由で帰宅。少しづつ春めいてきた。



2023年 2月17日
「(「原発の利用期間は原子力利用に関する政策判断で、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではない」とする2020年の見解について)特にこの「規制委が関わるべき事柄ではない」ということについて、当時によく議論をしてこれを決めたかというと、私はそうではなかったのではないかと思う。規制委全体の意思として確固として決定されたというものではないと考える」石渡委員(以下同)
「これを根拠に40年ルールをなくしていいという根拠にはならない」
「電力業界団体は、60年もたつと部品が調達できなくなると資料に記載している。実際にそういう障害が起きることは避けられない。同じような審査手法でいいのか」
「不備があって審査を中断した場合も運転期間が延びる。事業者の責任でそういうことになっても、延ばしていいよというのは非常におかしい。そういう制度になるならば、審査をしている側として耐えられない」
山中委員長 「規制制度と審査は別に考えないといけない。審査のタイミングは政策側の判断というのはこれまで通りの見解で、切り分けないといけない」
「切り分けてという話だけど、審査を中断した期間も延長に加わる。原子力の安全にかかわる。時間がたてば劣化が進むのだから、切り分けるというのは…」
山中委員長 「(石渡委員の発言に割って入る)そこに誤解がある。われわれがするのは運転期間の制限をかけるのではなく、ある期日が来たときに規制基準を満たしているかという安全規制をするのが任務。運転期間をどうのこうのというのをわれわれが科学技術的に判断するというのは、これまでの議論と違う。どうも、石渡委員と根本的に食い違っている」
「経産省の案に書いてある通りを読んで、私自身はそうとしか理解できない」
「原則40年、最長60年の枠組みは変えないのが経産省の案。われわれが積極的に炉規法(原子炉等規制法)を変えにいく必要はない」
「炉規法は規制委が守るべき法律だ。科学的、技術的な理由、より安全側に変える理由ならば変えることにやぶさかではないが、今回はそのどちらでもない」
山中委員長 「運転期間について、安全規制で考えるべきだというのが石渡先生のお考えで、根本的に食い違っている。その理解でいいか」
「そうかもしれません」
「この改変は科学的、技術的な新知見に基づくものではない。安全側への改変とも言えない。審査を厳格にすればするほど、将来より高経年化(老朽化)した炉を運転することになる。こういったことにより、私はこの案には反対する」
「厳格に審査をすればするほど、運転期間が延びていく。非常に問題」
第四十三条の三の三十二 発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉について最初に第四十三条の三の十一第三項の確認を受けた日から起算して四十年とする。
2 前項の期間は、その満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、一回に限り延長することができる。
3 前項の規定により延長する期間は、二十年を超えない期間であつて政令で定める期間を超えることができない。 (核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号))
・電事法の新規定では、さまざまな問題を抱えて審査が長引いている原発ほど、仮に審査を通過すれば、より長期間運転できることになってしまう。例えば、福島第1原発事故後、比較的早く再稼働できた九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)や四国電力伊方(いかた)原発3号機(愛媛県)は延長できてもせいぜい5年程度だ。一方、敷地内の活断層の評価が長引き、いまだに再稼働の見通しが立っていない北海道電力泊(とまり)原発1〜3号機(北海道)や北陸電力志賀(しか)原発2号機(石川県)などは、川内や伊方の2倍かそれ以上の運転延長が可能となる。  「原発60年超運転を了承 1委員反対、異例の多数決 原子力規制委」毎日 https://mainichi.jp/articles/20230214/ddm/012/010/092000c
 これまで「原則40年、最長60年」と法律で規定された原発の運転期間から新たに運転停止期間は除くという、基準地震動の設定や津波想定の甘さも含め、電力会社の杜撰な設計・製造・管理で運転停止期間が長引く原発ほど、40年、60年を超えて長期稼働が可能となる、「原子力規制委員会」の使命とまったく相容れない杜撰極まる規制緩和にただ一人反対した東北大学教授・石渡委員の言葉。
 山中委員長の「規制制度と審査は別」「われわれがするのは運転期間の制限をかけるのではなく、ある期日が来たときに規制基準を満たしているかという安全規制をするのが任務」「運転期間について、安全規制で考えるべきだというのが石渡先生のお考えで、根本的に食い違っている」は、「規制委」として原子力発電所の原子炉その他の建物や設備の老朽化、劣化をまったく考慮に入れない暴論・妄言でしかない。
 先日のM7.8のトルコ・シリア地震は日本にとって他人事ではなく、この国では巨大地震は阪神淡路大震災(1995)マグニチュード7.3、東日本大震災(2011)マグニチュード9.0、熊本地震(2016)マグニチュード 7.3のように10年ほどで繰り返されている。敵基地攻撃能力保有を含め防衛費倍増を進めながら、ミサイルの標的もになりかねない原発増設と運転長期化を図る岸田政権はまさに亡国の政権。
《「原則40年、最長60年」と法律で規定された原発の運転期間の見直しを巡り、原子力規制委員会が13日に多数決で決めた新たな規制制度は、60年を超える運転をどのように規制するかは現時点、白紙だ。採決で反対した石渡明委員は、審査が難航した原発の延命につながる仕組みになっていることも懸念する。老朽原発の厳格な規制ができるのかは見通せない。
◆「しっかり規制」具体的ではない
 新制度は、運転開始から30年後を起点に10年以内ごとに劣化状況を審査する。60年までは現行の審査項目とほぼ同じだが、60年超の審査でどのような項目を確認するかは今後に議論する。
 13日の規制委の臨時会で石渡委員は「(60年超の審査内容を)決めずに『しっかり規制する』と言っても具体的ではない。少なくとも見通しは決めるべきだ」と主張。ほかの委員らは「慎重な議論が必要」と応じなかった。
 政府方針は、最長60年の運転制限は維持した上で、審査などによる停止期間を運転年数から除外。60年超運転を可能にする。
 新制度では、再稼働審査が難航して停止が長引いた原発の追加延長期間が長くなり、事故リスクが高い老朽原発の稼働を助長することになる。審査中の10原発は、電力会社の説明が不十分なために長引いているケースが大半。審査でつまずいても、将来的に取り返せる矛盾をはらむ。
 石渡委員は「厳格に審査をすればするほど、運転期間が延びていく。非常に問題」と批判したが、山中伸介委員長は「制度と審査は別の話」と取り合わなかった。
◆利用期間は政策判断?規制委の独立性は
 規制委が政府による運転期間の見直しを容認した根拠についても、石渡委員は疑問を投げかけた。2020年7月に決定した見解で「原発の利用期間は原子力利用に関する政策判断で、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではない」と記されている。
 石渡委員は「当時の委員会では、十分に議論していない。この文書をあたかも金科玉条のように使い、40年ルールをなくしていいという議論にはならない」と指摘。田中知委員は「十分に議論したかというと、少なかったかもしれない」と認めた。
 運転期間の延長によるリスクを懸念した石渡委員に対し、山中委員長らは年数で一律には判断せず、個別の原子炉の劣化状況を確認するべきだとの姿勢。性急な手続きに対しては複数の委員から批判があったが、石渡委員の懸念は解消されることがないまま、生煮えの規制制度が決まった。(小野沢健太)
◆政府と歩調、使命を放棄した規制委
 【解説】 原子力規制委員会が原発の60年超運転に向けた新規制案を多数決で決定したことは、反対の声に向き合わず性急に原発推進に踏み込む政府と歩調を合わせ、独立性を掲げる規制委の使命を放棄するものだ。
 規制委の運転期間見直しを巡る新制度の検討は、異例ずくめだった。山中伸介委員長は、委員長就任からわずか2日後の9月末、経済産業省の担当者を呼び出して意見聴取するよう指示。規制当局自らが推進側に近づいた。
 事務局は、その指示がある2カ月以上前の7月から非公開で経産省職員と情報交換を重ねていた。経産省が作成した資料については「作成者が公開の可否を判断するべきだ」として公開せず、規制委の内部資料も「恥ずかしい内容」との理由で黒塗りにした。推進側とのやりとりを明らかにする姿勢すら、まったく感じられない。
 再稼働を目指す原発の中で最も古いのは、関西電力高浜1号機(福井県)の48年。60年を超えるまでに10年以上あり、急いで制度を変更する必要はない。それでも結論を急ぐのは、今国会での制度変更を目指す政府のスケジュールに足並みをそろえるためだ。東京電力福島第一原発事故の教訓で、推進と規制を分離するために発足した規制委の理念が消え去ろうとしている。(小野沢健太)》 https://www.tokyo-np.co.jp/article/230990



2023年 2月16日
「理解してもらいたい最も大切なことは、太平洋は調和を大切にする、平和な地域だということです。パシフィック(太平洋)という言葉自体、「平和的な」という意味です。私たちは、すべての国々の友人で、誰の敵国でもないということです。これは非常に重要な前提です。太平洋地域に来る人々は、中国であれ、米国であれ、どの国であれ、このことを尊重しなければなりません。そして法の支配に基づいて、国際秩序と民主主義を尊重してほしい」
「すべての太平洋の島国には主権があり、二国間関係で個別の権利があります。しかし、他国との協力が、ときにはこの地域で大国間の緊張をエスカレートさせてしまうことがあります。ソロモンと中国の協定はそういうものだと思い、書簡を送りました。ソガバレ氏は私の良い友人です。彼は、私や島国各国の首脳たちに中国の軍事拠点化にはつながらないと保証しました」
「協定を結ぶときには、この地域にとって最善の利益になる必要があります。大国にとって利益となるようなことは、むしろ地域の緊張を高める可能性があるだけで、島国が直面している社会経済の課題のためになりません」
「太平洋地域で地政学上の緊張をエスカレートさせるのは、とても危険です。中国とソロモンの協定や、各国との協定案は緊張を高めかねません。私たちは、過去の経験が再び繰り返されることを望みません。それは、(列強による)植民地支配や、とくに(日米の戦場になった)第2次世界大戦での経験です。私にとっては、最も避けたいことです。大国の利害のために、巻き添えの被害を受けたくありません。大国間の競争に関心はありません」
「我が国は1986年に米国と自由連合協定を結びました。協定は、経済、政治、国防の三つの柱で、我が国は米国に国防上の責務をゆだねています。その協力では、米軍は恒久的な軍事基地は設けませんが、今回、米軍と話し合いを持ち、米軍が必要な際に利用できるように、ヤップ州にある空港と港を改修する計画が進んでいます。平和と安全を保つために、抑止力も重要だからです」
「理解してほしいのは、私たちの最大の安全保障上の脅威は、気候変動であるということです。なぜなら、気候変動でいま起きていることは、私たちを支えてきた暮らしのあり方そのものを絶滅させかねないからです。私たちの最大の心配事です」
「各国間の競争は、とりわけ大国間の競争は、健全な方法でなされなければなりません。たとえば、地球環境のための再生可能エネルギーでの技術開発などでもそうです。世界はますます小さくなっています。環境に気を配らなければ、大規模な飢餓や多くの災害が起き、この世界に破滅をもたらすでしょう。それは、第2次大戦がもたらしたものより、ひどくなるでしょう」
「地域での緊張の高まり、そして、戦争は資源の浪費です。もちろん、現実には、各国は抑止力のために軍隊を維持しようとします。しかし、世界は、もっと賢い知恵を持たなければならないと思います。健全な競争を促し、人類に傷を負わせるのではなく、恩恵をもたらすことができるように」
「日本には、愛と友情を感じています。国民の20%は日本人の血を引いています。初代大統領は(トシオ)ナカヤマ氏でしたし、ヤマダなど日本の姓を持つ人たちもいます。ジドウシャとかチイサイ、ヤキュウとか、日本語由来の言葉をいまも使っています。歴史的なつながりと緊密な関係は、岸田文雄首相との(今回の来日中の)会談でも、はっきり示されたと思います」ミクロネシア連邦 デービッド・パニュエロ大統領
 今人類共通のそして最大の安全保障上の課題は気候変動対策であること、そして軍事的緊張のエスカレートや大国の利害のための軍備拡大や戦争は、資源と人命の浪費でしかないことを深く理解するミクロネシア連邦 大統領の言葉。
 ロシアの現大統領は無論、日本の首相や米国大統領とも代わってもらいたい人ではないか。同じ島国として、そしてかつての侵略と植民地領有、第二次大戦での敗北を踏まえた平和憲法を保持する国として、日本が目指すべき道筋が明確に示されている。
 「抑止力のために軍隊を維持しようとするより、世界は、もっと賢い知恵を持たなければならない」はまさに至言。日本こそこの言葉に深く耳を傾けるべき。
《小さな島国が点在する太平洋地域。そのひとつ、ソロモン諸島が昨年、中国と安全保障関連の協定を結んだことが、波紋を呼んだ。米国や日本、オーストラリアなどからは、太平洋地域での「中国脅威論」が、にわかに高まっている。ただ、そんな議論から抜け落ちているのは、当事者である島国の視点だ。2月初めに来日したミクロネシア連邦のデービッド・パニュエロ大統領に聞いた。
David W. Panuelo
 1964年生まれ。米国に留学後、外交官に。国会議員などをへて2019年から大統領を務める。
 ――太平洋地域における中国のプレゼンスの拡大が地域の安全保障上の脅威だと、日米豪などが懸念を深めています。この見方をどう考えますか。
 「理解してもらいたい最も大切なことは、太平洋は調和を大切にする、平和な地域だということです。パシフィック(太平洋)という言葉自体、「平和的な」という意味です。私たちは、すべての国々の友人で、誰の敵国でもないということです。これは非常に重要な前提です。太平洋地域に来る人々は、中国であれ、米国であれ、どの国であれ、このことを尊重しなければなりません。そして法の支配に基づいて、国際秩序と民主主義を尊重してほしい」
 「ミクロネシア連邦は、超大国のサンドイッチになってしまっていないか、と尋ねられることがあります。しかし、そんなふうに感じません。なぜなら、私たちは彼らを歓迎しますが、この前提を基本につきあうからです」
 「島国の間には太平洋諸島フォーラム(PIF)という地域機関があり、その機能を強めています。各国は、大国とつきあうときには、この太平洋の家族として、地域の平和や安定につながるように対話をしないといけないと合意しています」
ソロモンと中国の安全保障協定に懸念
 ――あなたは昨年、ソロモン諸島と中国の安全保障に関する協定に懸念を示して、ソロモンのソガバレ首相に書簡を送りました。
 「すべての太平洋の島国には主権があり、二国間関係で個別の権利があります。しかし、他国との協力が、ときにはこの地域で大国間の緊張をエスカレートさせてしまうことがあります。ソロモンと中国の協定はそういうものだと思い、書簡を送りました。ソガバレ氏は私の良い友人です。彼は、私や島国各国の首脳たちに中国の軍事拠点化にはつながらないと保証しました」
パニュエロ氏はソロモンと中国の安全保障協定に懸念を示す一方で、ミクロネシア連邦で米軍が空港や港を使えるようにする計画を進めています。記事後段では中国がこうした動きに脅威と感じることがないのか、太平洋の島国にとっての最大の脅威や、日本にどのようなことを期待するのか話を聞きました。
 ――中国が昨年、島国各国と結ぼうとした多国間協定案「共同開発に関する5カ年行動計画」にも懸念を示して、島国の首脳たちに書簡を出しましたね。結果的に協定案は署名されませんでした。
ここから続き
 「深海底の炭鉱や情報通信分野、税関など、協定案に関連して議題に上った多くの協力分野で、中国が誰がこの地域に出入りするのかを監視できるような内容が入っていました。私たちの主権を危うくすると考え、各国に警告を出しました」
 「協定を結ぶときには、この地域にとって最善の利益になる必要があります。大国にとって利益となるようなことは、むしろ地域の緊張を高める可能性があるだけで、島国が直面している社会経済の課題のためになりません」
 ――各国首脳あての書簡では、この協定案は「よくても新冷戦を、最悪なら、世界戦争をもたらす危険がある」と書きました。今もその認識ですか。
 「ウクライナの状況を見れば、その可能性があると理解できます。ウクライナは主権国家です。ロシアの侵略は国際法違反です。ウクライナの状況が、私たちが直面する最後の戦争になることを望みます」
 「太平洋地域で地政学上の緊張をエスカレートさせるのは、とても危険です。中国とソロモンの協定や、各国との協定案は緊張を高めかねません。私たちは、過去の経験が再び繰り返されることを望みません。それは、(列強による)植民地支配や、とくに(日米の戦場になった)第2次世界大戦での経験です。私にとっては、最も避けたいことです。大国の利害のために、巻き添えの被害を受けたくありません。大国間の競争に関心はありません」
進む米軍との関係強化
 ――一方で、ミクロネシア連邦では、空港や港を米軍が使えるようにする計画が進んでいます。
 「我が国は1986年に米国と自由連合協定を結びました。協定は、経済、政治、国防の三つの柱で、我が国は米国に国防上の責務をゆだねています。その協力では、米軍は恒久的な軍事基地は設けませんが、今回、米軍と話し合いを持ち、米軍が必要な際に利用できるように、ヤップ州にある空港と港を改修する計画が進んでいます。平和と安全を保つために、抑止力も重要だからです」
 ――米軍機や軍艦がミクロネシアにもっと来ることになるのですか。
 「この協力を通じて、米軍の飛行機や艦船が来ることがあり得ます」
 ――中国を刺激して緊張を高めませんか。
 「そうは思いません。中国も、我が国と米国との同盟関係は、中国との関係とは違うと理解しているからです。米国との関係は戦略的なもので、我が国の若者たちが米軍に従事もできます。とても特別なものです」
 ――中国との関係をどう考えていますか。
 「経済協力や技術協力を通じて、とても友好的な関係にあります。国交を結ぶ90カ国以上と同じようにです」
 「我が国は小さく、資源に乏しい。発展のためには、すべての国々とインフラ整備や保健衛生、教育、環境などの分野で協力していきます。米国、日本、豪州、中国、ニュージーランドなど、各国とともにです」
 「理解してほしいのは、私たちの最大の安全保障上の脅威は、気候変動であるということです。なぜなら、気候変動でいま起きていることは、私たちを支えてきた暮らしのあり方そのものを絶滅させかねないからです。私たちの最大の心配事です」
最大の脅威は気候変動
 ――安全保障、という点では、気候変動の方が大きな脅威だと。
 「(安全保障上の懸念に関する)リストの一番上です。私たちの国々の存在に関わる脅威なのです。海水面の上昇が起きています。もし、あなたが、我が国の空港に満潮時に行こうとしたら、車は引き返さなければならないでしょう。海水が路面よりも上にきてしまうからです」
 「我が国の標高の低い小さな島々では、満潮時に、主食であるタロイモの畑に塩水があふれてしまいます。私たちの食料安全保障もおびやかされています。大国の利益追求ではなく、気候変動対策にこそ取り組まなければなりません」
 ――気候変動対策では、中国を含めて各国が平和的に協力すべきだと思いますか。
 「各国間の競争は、とりわけ大国間の競争は、健全な方法でなされなければなりません。たとえば、地球環境のための再生可能エネルギーでの技術開発などでもそうです。世界はますます小さくなっています。環境に気を配らなければ、大規模な飢餓や多くの災害が起き、この世界に破滅をもたらすでしょう。それは、第2次大戦がもたらしたものより、ひどくなるでしょう」
 「地域での緊張の高まり、そして、戦争は資源の浪費です。もちろん、現実には、各国は抑止力のために軍隊を維持しようとします。しかし、世界は、もっと賢い知恵を持たなければならないと思います。健全な競争を促し、人類に傷を負わせるのではなく、恩恵をもたらすことができるように」
日本への期待
 ――自分の国や社会を発展させるために、とくに日本に何を望みますか。
 「日本とは、インフラ開発や社会経済分野の開発、気候変動、そして新型コロナ対応でも深い関係を築いてきました。感謝しています。いま、特に挙げるのなら、人的な協力です。国際協力機構(JICA)のボランティアたちの存在は、教育や保健衛生で非常に大切です。とくに教育面では、算数の教育の支援に来てもらったことで、学力レベルが急激に上がりました」
 「もうひとつは、海事での協力です。日本は私たちが自国の沿岸と主権を守るために、巡視艇を寄付してくれています」
 ――日本は、第1次世界大戦以降、ミクロネシア地域を統治し、第2次大戦では米国とこの地で戦場になりました。そして、戦後の協力や支援があります。人々は、日本についてどんな感情を抱いていますか。
 「日本には、愛と友情を感じています。国民の20%は日本人の血を引いています。初代大統領は(トシオ)ナカヤマ氏でしたし、ヤマダなど日本の姓を持つ人たちもいます。ジドウシャとかチイサイ、ヤキュウとか、日本語由来の言葉をいまも使っています。歴史的なつながりと緊密な関係は、岸田文雄首相との(今回の来日中の)会談でも、はっきり示されたと思います」
 ――そのような関係は日本のボランティアが活動するときにも、助けになりますか。
 「まさに、人と人の協力の基礎になると思います」
 「それから、交通輸送についても話しておきたいですね。我が国の課題は海流が速くて、島と島の間の距離が遠く離れていることにあります。日本と協力して交通輸送を発展させれば、日本からの観光や投資にもつながるでしょう。歓迎します」(聞き手・小暮哲夫)》




2023年 2月16日
「そもそも岸田首相は、家族観や価値観、社会が世界的に変わりつつあることにほとんど目を向けておらず、同性婚をめぐって、復古的な家族観を押しつけようとする右派勢力、宗教勢力におもねるような立場に固執するばかりのように感じられます」
「これは、自らの政治信条から言葉を発するのではなく、自らの有力な支持基盤が差し出す「問題」に対して、差し出した側が満足するような「解答」をもって応えるという、岸田首相特有の思考と行動のパターンではないでしょうか。岸田首相は荒井秘書官の発言を「言語道断」として、すぐに彼を更迭しましたが、実は今回の事態は自らの政治姿勢に関わって責任を負うべきことがらだと言えます」
「私は、戦後の保守リベラルを体現してきた宏池会出身ということで、岸田首相に一片の期待を抱いたことをいま強く後悔しています。率直に言って、ここまで無機質、無感動、無責任な首相が登場したことに啞然としているのです。極端な言い方をすると、岸田首相は人間を人間として見ることができないのではないかという気さえしています」
「岸田首相は、国民を統制する強権的な力を振るうわけではありませんが、国民の面倒を手厚くみる姿勢も皆無です。2つのタイプに類型化できないし、その混合型でもない。政策上の確固とした方向性もなければ、施政に向ける情熱も感じられない。あるのは、目の前に掲げられた「問題」に対して、出題者の意向に沿って「解答」を出すという場当たり的な態度だけなのです」
「岸田首相にとって、その出題者とは国民ではありません。「景気を」「賃上げを」「物価対策を」「カルト対策を」「平和を」といった国民からの切実な問いかけには、答えることがありません」
「岸田首相にとって、出題者は常に、自民党のコアな支持基盤であり、そして何より、首相が最大の後ろ盾と思い込んでいるのであろうアメリカなのです。軍拡を増税で行おうとする発想には、アメリカの要求に応えるためには国民生活を犠牲にすることも厭わないという、岸田政権の決定的な歪みが如実に現れています」
「岸田首相を見ていると、6度目の長期政権への呼び水か、強権政治の捨て駒かとさえ思えてきます。タモリが、今年の日本は「新たな戦前」になるのではないかと言ったそうですが、「新たな戦前」とは「新たなファシズム」に他なりません。次の長期政権がファシズム政権でない保証はまったくないのです。
 いや、人間の顔が見えない空虚な首相の下で、「新しいファシズム」は、すでに始まっているのかもしれません」
 「すべての国民にとっても家族観や価値観、社会が変わってしまう問題だ」と、G7諸国やこの国でもすでに多くの国民が選択的夫婦別姓や同性婚、多様なLGBTを受け入れている中で、自分たちカルト塗れの政党が変わらないだけの問題を認識できない、そして国民の生活や願いに耳を傾けることなく軍拡など米国の要求に追随するだけの、さらに付け加えれば自らの責任を自覚することもなく2020年以来の3政権で最大のコロナ感染者・死者(2月16日時点 死者71308人のうち、岸田政権発足21年10月4日までは17749人)を出し続ける岸田首相に対する、保坂正康氏の日本憲政史を踏まえた批判と警鐘。
 「広島出身」「宏池会所属」は単なる飾りでしかなく、就任時に嬉しそうに陸自戦車に乗る姿や長男を閣僚への手土産買いの政務秘書官にする姿勢に、端的にこの人物の浅薄さと無責任さが表出している。
 「新たな戦前」は、日清・日露そして太平洋戦争のようにあっという間に「新たな戦中」になる。それは米中対立の最前線で米国の盾となる最悪の戦禍をこの国にもたらすだけ。
《岸田首相の秘書官だった荒井勝喜氏が、性的マイノリティや同性婚をめぐる差別発言をして、更迭されました。
荒井秘書官の発言は2月3日にオフレコを前提とした記者懇談でなされたもので、同性婚のカップルについて「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ。秘書官室は全員反対だ」と語り、「同性婚が導入されれば社会のありようが変わってしまう。国を捨てる人、この国にはいたくないと言って反対する人は結構いる」と話したとされています。
これは、人間同士の多様で自由な繋がり合いを肯定するようになってきた世界的な同時代性に逆行する、露骨な差別発言と言うしかありません。荒井秘書官は岸田首相のスピーチライターも務めていたということですから、公的には政治思想、施政方針を首相と最も共有する立場にあったと言っていいと思います。その人物が記者懇談の場でこのような認識を口にすることには驚きを覚えます。
オフレコ懇談での発言であろうと、新聞記者が報じたのは当然であり、もし報じなかったら、記者はその懇談の場で荒井秘書官の発言を拝聴するばかりで、その内容を共有し受け入れてしまっていたということになります。
また荒井秘書官の発言は、2月1日の衆議院予算委員会で岸田首相が同性婚の法制化を「すべての国民にとっても家族観や価値観、社会が変わってしまう問題だ」と述べたことを正当化しようとして語ったものだったことも見逃せません。
そもそも岸田首相は、家族観や価値観、社会が世界的に変わりつつあることにほとんど目を向けておらず、同性婚をめぐって、復古的な家族観を押しつけようとする右派勢力、宗教勢力におもねるような立場に固執するばかりのように感じられます。
これは、自らの政治信条から言葉を発するのではなく、自らの有力な支持基盤が差し出す「問題」に対して、差し出した側が満足するような「解答」をもって応えるという、岸田首相特有の思考と行動のパターンではないでしょうか。岸田首相は荒井秘書官の発言を「言語道断」として、すぐに彼を更迭しましたが、実は今回の事態は自らの政治姿勢に関わって責任を負うべきことがらだと言えます。
私は、戦後の保守リベラルを体現してきた宏池会出身ということで、岸田首相に一片の期待を抱いたことをいま強く後悔しています。率直に言って、ここまで無機質、無感動、無責任な首相が登場したことに啞然としているのです。極端な言い方をすると、岸田首相は人間を人間として見ることができないのではないかという気さえしています。
近代史と現代史で大きく変わった首相のタイプ
近現代の日本において、1885(明治18)年に成立した第一次伊藤博文内閣以来、岸田内閣に至るまで、64人の首相が行政のトップとして指揮を執ってきました。この64人の顔ぶれを概観すると、官僚出身者が圧倒的多数を占めているわけですが、1885年から1945年8月の敗戦までの「近代史」と、それ以降の「現代史」では、首相のタイプが大きく変わっています。
私がこのことに気づいたのは、警察官僚トップから政治家になり、中曽根政権で官房長官を務めた「カミソリ」こと後藤田正晴と会話を交わしていたときでした。後藤田は内務省出身者でしたが、よく「私は地方局畑育ちだから」という言い方をしました。
内務省は近代日本の地方行政や警察を管轄し、国民の保護と統制を共に担いました。ことに戦時下においては中央集権制の中核となり、1947年にGHQの指導もあって廃止されています。しかし内務省出身者は、戦後日本においても権力中枢に存在し続けました。そして重要なことは、内務省出身者には「地方局育ち」と「警保局育ち」がいるのです。
後藤田が自らのアイデンティティとして語った「地方局育ち」は、当時のシステムのなかでは、最終的には官選の知事になります。つまり国民の民生全般に目を向ける官僚として育っていくのです。これに対して、「警保局育ち」は特別高等警察を動かし、国民生活を治安維持の対象として見ていきます。治安維持法を元に、国民を弾圧することが主要な仕事というわけです。
1945年8月の敗戦までの「近代史」における首相は、タイプとしては、内務省警保局育ちのような肌合いを持つ政治家が中心を占めていました。その性格は、天皇制下の官僚主義、強権主義、上から目線、特高的支配と言えるでしょう。
対して、敗戦以降の「現代史」における首相は、内務省地方局育ちの感性を持つ首相が多かったと思います。もちろん首相によっては戦前的感覚を振りかざすタイプもいましたが、基本的には、国民生活に密着した民主主義、地域主義、経済と平和の重視などが共通の傾向と言えるでしょう。戦後の民主主義社会のなかで、首相のキャラクターも変わらざるを得なかったのです。
ところが、岸田首相はそのどちらのタイプでもありません。ーーー




2023年 2月15日
富良野4日目、最低気温マイナス20度の晴れで十勝連峰を望む。
 朝食と展望露天の後宿からjr西中駅まで歩く。富良野線で富良野に着き、マイナス12度の寒さのなか数年ぶりにイタリアンのお店でお昼、そぱのinfoでコーヒーをいただき中央バスで札幌まで。
 札幌は凍てつく雪。jrで千歳空港、スカイマークで神戸10時着。さすがに疲れた。



2023年 2月14日
富良野3日目。
 薄曇りのなか宿をチェックアウトして北の峰まで送っていただく。
 3時間券でフラノゲレンデの左手に久しぶりに入ると、やはりこぶの不整地バーン。老体に鞭でなんとか降り、ロープウェイで上がって上のレストランでうどんのお昼。
 1時過ぎ北の峰に戻り、荷を自宅に送りラベンダー号で上富良野。市の宿泊クーポン券4千円分でFujiスーパーで食品など買って今日の宿富良野ラテールに4時過ぎ到着。
 併設の温泉はオーストラリアンか、外国からのグループが雪の露天を堪能している。部屋で夕飯、今夜はマイナス20度と。



2023年 2月13日
富良野2日目。
 事前の予報では滞在中ずっと雪か曇りだったが、朝から晴れ。上富良野の宿から北の峰まで日差しで霞みのなか送迎していただき10時ゲレンデ着。
 青空の下、富良野市街と十勝岳を見ながら滑走。午後一時雪が舞い、フラノエリアを降って麓のニングルテラスを訪ね、プリンスの温泉に浸かる。5時間券でぎりぎりロープウェイに乗り北の峰に戻る頃には再び市街と山並みがくっきり。
 送迎の車で宿に戻り早めの富良野牛のシチューの夕飯を頂く。明日から気温と天気は下り坂。


2023年 2月12日
早朝のスカイマークで神戸から雲海の上を千歳まで。
 海外客で混む空港でバスの乗り継ぎで温泉と韃靼蕎麦のお昼を食べ、ほぼ満席のバスで富良野駅、jrで午後4時上富良野に着く。
 ここ数年定宿のポップスホテルで早めの夕飯。雲で十勝岳は見えないが、夜は風もなくしずか。上富良野のいろんな旅行支援をいただいた。明日昼は最高気温マイナス3度の晴れ予報。水曜日最高気温予報はマイナス8度。



2023年 2月11日
「この77年間、日本は幸か不幸か戦争を身近に感じてこなかった。本当は感じなければいけない。なぜなら世界で一番人を殺す国はアメリカ合衆国だ。ロシアではない。われわれは、そのアメリカを体内に置いているわけだ。この責任を日本人は真っ先に感じなければならないのに、まだ「対岸の火事」と考える人が多い」
「一番怖いのは、政治はそれを必ず利用するということだ。「もしわれわれに向かってあの敵が襲って来たらどうするのか」ということで、「だから軍備増強だ」となる。これは歴史上何回もくり返されてきた不可避的な動きだが、これに対していかに抵抗し、食い止めるかについて、僕なりの考えを提供したい」
「戦争が始まり、ここ(サイパン)に米軍が攻めてくる。追い詰められた住民に対して、米軍は拡声器で「投降せよ」と呼びかけたが、住民は応じなかった。そして断崖絶壁から「天皇陛下万歳」といって飛び降りた。「バンザイ・クリフ」と呼ばれ、今は観光名所になっている。この死のジャンプで伊勢崎家は全滅した。唯一生き残ったのは母と祖母、母の弟だけで、あとは全員死んだ」
「市民は市民であり、銃を取らないからこそ、国際法で保護される対象になる。その市民が銃を取れば、相手から見たら戦闘員になるから殺せる。このマインドでアメリカは原爆を落としたし、われわれ(日本)も他国を空爆して無差別攻撃した。「敵国に無辜(こ)の市民はいない。みんな戦闘力だから殺せばいい」――無差別攻撃の動機はこうして生まれる。それをやってはならないと国際法はこの70年間で成長してきたのだ」
「だが、ウクライナ戦争で世界が変わった。西側諸国は、諸手を挙げてウクライナの戦争を支援する。日本人は憲法九条を持っている。どんな戦争であろうと、たとえ侵略者に立ち向かう戦争であろうとも、双方に歩み寄らせて「もうやめろ」というのが九条の心ではないか」
「海外に送られた自衛隊が、そこで人を殺してしまったら業務上過失致死になるが、それを裁く法律がない。問いたいことは、自国の戦力が起こす事故を裁く法を持たないのにもかかわらず、なぜ自衛隊が送れるのか? ということだ。だから僕は、どんな形であれ自衛隊派遣は絶対にダメだと強硬に反対してきた」
「「緩衝国家」とは何か。ロシアに接するノルウェーがそうであり、フィンランド、アイスランド、そして日本、韓国も典型的な緩衝国家だ。つまり緩衝国家とは、敵対する大きな国家や軍事同盟の狭間に位置し、武力衝突を防ぐクッションになっている国だ。その敵対するいずれの勢力も、このクッションを失うと自分たちの本土に危険が及ぶと考えるため、軍事侵攻されて実際の被害を被る可能性が、普通の国より格段に高い。もし何か起きた時には、クッションが先にやられるのだ」
「そのような国は、国防の観点から、なんとか戦争を回避しなければならないという役割を必然的に担うため、それを国是とするのが普通だ。ノルウェーはノーベル平和賞の授与国で知られる平和のメッカであり、パレスチナとイスラエルの紛争を終わらせるオスロ合意もここで演出された。それはノルウェーがロシアに接する緩衝国だからだ。ロシアの参加がなければ、そのような世界的な和平合意の交渉はできない。だからアメリカの重要な同盟国であり、人権国家でありながら、ロシアとの衝突を防ぐクッションになる。そのことによって世界平和に貢献する。ノルウェーは、このような平和・人権外交を、国の外交資産としてきた」
「そのような立ち位置でうまくやってきたのが、フィンランド、ノルウェーであり、小国アイスランドだ。くり返すが、彼らはアメリカの最重要同盟国だ。だが国防の観点から、自国が最初の戦場になることを回避する――という極めて簡単な理由でその選択をする」
「旧ソ連圏だったバルト3国は独立後、早々とNATO加盟国になる。そして2014年のクリミア併合後は、ここが「トリップワイヤー(仕掛け線)」に変わる。国境沿いにNATO軍を置き、互いにミサイルを向け合い、ことが起きた時にはここで相手の侵攻を遅らせるためのNATOの戦略の一つだ。日本では沖縄を含めて、それ以前からアメリカのトリップワイヤー化されている」
「そこで注目に値するのが、NATO創立以来の加盟国であるアイスランドだ。この小さな島国(人口37万人)は、地理的にロシアからアメリカを狙うミサイルが上空を飛ぶため、米軍が最重要基地として常駐し、アメリカの不沈空母といわれてきた。だがリーマン・ショック後の2010年、さまざまな理由を背景にして、この国は米軍駐留を廃止した。米軍は訪問できるが常駐はしない」
「そこで、国の防衛をどうするか――若い首相は考えた。NATO加盟国として「自由と民主主義」を信奉するが、別にロシアを刺激しなければ国防は必要ないという結論を出し、国防軍を廃止した。だから警察や海上保安隊はあるが軍はない。米軍と別れを告げるとともに自国軍まで廃止したのだ」
「世の中で唯一、この「冷戦期の遺物」である朝鮮国連軍と地位協定を結んでいる変な国がある。それが日本だ。先ほどの石碑には日本の国旗はない。つまり国連軍のなかに日本は入っていないのに、その国連軍と地位協定を結んでいる。この朝鮮国連軍地位協定は、日米地位協定とほとんど同じだ。さらに両者は連動しており、横田を中心とする9つの在日米軍基地を、国連軍基地の後方支援基地と定めている。それでも足りない場合は、在日米軍基地をすべて使えるとまで書いている。だから日本に無通告でオーストラリア軍が入ってくるのだ」
→外務省「朝鮮国連軍と我が国の関係について」
「これはどういうことかといえば、米朝開戦によって、日本は自動的に国際法上の「交戦国」になるということだ。戦争をするのならば、自分もその意志決定に加わるべきだが、日本だけには決定権がない、入れてもらえないのに地位協定を結んでいる」
→〈「日米地位協定」と「朝鮮国連軍地位協定」にもとづき日本に米軍基地が置かれ、朝鮮有事の際には日本も自動的に交戦国となる。〉
「戦争が始まってしまうと日本は後方支援国になる。「後方支援だからいいじゃないか」と思うかもしれないが、国際法には中立法規という原則があり、厳密に守られている。オトモダチが始めた戦争から中立であるためには条件がある。簡単にいえば3つ。「基地をつくらせない」「通過させない」「カネを出さない」だ。これらを全部やっているのが日本だ。敵から見たら日本は国際法上、正当な攻撃目標になる。自衛隊が撃たなくても、われわれは攻撃目標になるし、それに対して文句をいえない」
「緩衝国は、地理的な宿命だから変えられない。ロシアや中国に「あっちいけ」といえないし、アメリカは1万`離れた海の向こうにある。典型的なアメリカの緩衝国家であっても、普通は意志を持つ。でも日本にはそれがない。僕が日本を「緩衝“材”国家」と呼ぶ由縁だ」
「最後にノルウェーの話をしたい。ノルウェーは北極海に面し、北部ではロシアと国境が接している。そこにあるのがキルケネス市だ。スウェーデンとフィンランドは中立国だが、ノルウェーは冷戦期においてはNATO加盟国で唯一ロシアと国境を接する国だった。キルケネスの市役所前広場には、赤軍兵士の勇猛さを讃える碑が立っている。ーーー国境を挟んで向かい合うロシアのニケル市との友好関係を歴史的に築いてきた。このような地域を「ボーダーランド」(辺境地)という」
「まさに宮古島が日本にとってのボーダーランドだ。沖縄全体がそうだ。北海道も対ロシアのボーダーランドだ。このボーダーランドを武装化して、敵国に対して槍を向けることが果たして国防にとって有意義か否か。そこが問題だ」
「大国同士の戦争が始まったら真っ先に戦場になる運命の緩衝国家だからこそ、そのボーダーランドを敢えて完全非武装化し、戦争回避のための信頼醸成の要になることを国防戦略にする道がある。逆に、今完全にバルト3国のトリップワイヤー化を先んじてやってしまっているのが、ここ(沖縄)だ」
「そして僕は現役だが、陸海空の精鋭だけを教える防衛省統合幕僚学校で15年間教官をし、そこでも今回のような話をしている。司令官レベルで僕の主張を知らない人間はいない。こんな話をする「伊勢崎は外せ」と、ネトウヨ的な自民党や維新の政治家から圧力を受けながら、とくに自衛隊制服組の人たちが僕の講座を死守している。そういう側面も自衛隊にはあるということを頭に入れておいてほしい」
「みなさんから見たら僕は「あちら側」の人間だが、それでも現状に対する問題意識をもっている。ウクライナ戦争に乗じて、さらに軍備増強、日米同盟の強化が唱えられ、もしかしたら北海道にも米軍基地がつくられてしまうかもしれない。それを何とか止めたい。そのためには内側からも外側からも運動していくことが必要だと思っている」
「今日は、護憲派の批判もしたが、ウクライナ戦争をめぐる動きは、これからもっとひどくなるだろう。なんとか平常心を保とう。欧州では、日本以上にロシア排除がものすごい。研究者の交流すらできない。世界は分断から分断へと、分断だけが強化され、それでもうけるのは武器産業であり、防衛族であり、そして「いつかきた道」がくり返されるだけだ。それに抗うために、この問題提起が役立つことを願っている」
 長州新聞が報じる、アフガニスタンなどの戦争で国連職員として停戦調停と武装解除に関わり、防衛省統合幕僚学校で教官もしてきた東京外国語大学教授(紛争予防・平和構築学)、そしてジャズトランペッターでもある伊勢崎賢治氏の昨年12月沖縄県宮古島市での講演「琉球弧を平和の緩衝地帯に」の言葉から。
 祖母、母と弟以外の肉親すべてをサイパンの「バンザイ・クリフ」で亡くした壮絶な家族史と、第二次大戦後の米国などの国際紛争・戦争の調停に実際に関わった経験や国際法・国際人道法への深い造詣、日本国憲法下のこの国の「朝鮮国連軍地位協定」「日米地位協定」が抱える大きな問題、政府の米軍と自衛隊に対する姿勢の根源的な矛盾の指摘、そして現在のウクライナにおける戦争と日本の岸田政権による南西諸島の軍事基地化を中心とした軍拡路線に対する強い警鐘。
 日本はノルウェーやアイスランドのような自覚的な緩衝国家ではなく、米国と中国の間のみずからの意思なき「緩衝材国家」という指摘は、戦後の日本特にここ10年来の安部~岸田政権の立ち振る舞いを痛烈に喝破している。
 すでに「朝鮮国連軍地位協定」によって朝鮮有事には自動的に参戦するこの国は、さらにカルト塗れの安部政権の新安保法制と岸田政権の安保3文書によって、台湾有事に自動的に参戦する、まさに亡国の仕組みを築こうとしている。
 ロシアだけでなく米国も深く関与する戦争が絶えない今の国際社会で、「戦力の不保持」「交戦権の否認」を定める平和憲法を持つこの国が取るべき道は、敵基地攻撃能力など軍備拡大と日米合同司令部設置などではなく、、伊勢崎氏が提言する様に非戦の方針を堅持して沖縄を含めた国土を非武装の緩衝地帯とする覚悟を近隣諸国をはじめ世界に示すこと。
 今回のトルコ・シリア大地震や12年前の東日本大震災、迫り来る首都直下地震と南海トラフ巨大地震、そして気候変動による旱魃と洪水、世界的食糧危機に備えるのに、日本も世界も戦争や軍備拡大にうつつを抜かす暇はない。
《「台湾有事」を想定したミサイル基地化が進む沖縄県宮古島市で10日、「琉球弧を平和の緩衝地帯に」と題し、東京外国語大学教授(紛争予防・平和構築学)の伊勢崎賢治氏を講師に招いた講演会が開かれた。主催は、ブルーインパルス飛行NO! 下地島・宮古空港軍事利用反対実行委員会。約200人が参加した講演会で、伊勢崎氏は、国連職員として赴いた各地の紛争地域での停戦調停やアフガニスタンで武装解除に携わった経験から、ウクライナ情勢が日本に突きつける問題を指摘。また大国同士の戦争によって真っ先に戦場になる運命にある「緩衝国家」であることを意識し、「ボーダーランド(国境地帯)」をあえて非武装化して戦争回避のための信頼醸成の要にする国防戦略の選択肢について、世界各国の事例をまじえながら提起した。講演内容を紹介する。(文責・編集部)
 この77年間、日本は幸か不幸か戦争を身近に感じてこなかった。本当は感じなければいけない。なぜなら世界で一番人を殺す国はアメリカ合衆国だ。ロシアではない。われわれは、そのアメリカを体内に置いているわけだ。この責任を日本人は真っ先に感じなければならないのに、まだ「対岸の火事」と考える人が多い。
 一番怖いのは、政治はそれを必ず利用するということだ。「もしわれわれに向かってあの敵が襲って来たらどうするのか」ということで、「だから軍備増強だ」となる。これは歴史上何回もくり返されてきた不可避的な動きだが、これに対していかに抵抗し、食い止めるかについて、僕なりの考えを提供したい。
 まず我が家のファミリーヒストリーから話したい。僕は親1人、子1人の母子家庭だったのだが、3年前にその母が98歳で亡くなった。
 これは母が17歳のときの【写真】だ。撮影されたのは戦前、場所はサイパン。伊勢崎家はもともと八丈島(小笠原諸島)の島流しの家系だが、戦前の南方政策で、国策として一族郎党すべてサイパンに移住した。そこには女学校もあり、強大な日本人コミュニティがあった。沖縄からもたくさん人が入っており、母は戦争体験は語らなかったが、沖縄の人との交流はよく口にしていた。
 戦争が始まり、ここに米軍が攻めてくる。追い詰められた住民に対して、米軍は拡声器で「投降せよ」と呼びかけたが、住民は応じなかった。そして断崖絶壁から「天皇陛下万歳」といって飛び降りた。「バンザイ・クリフ」と呼ばれ、今は観光名所になっている。この死のジャンプで伊勢崎家は全滅した。唯一生き残ったのは母と祖母、母の弟だけで、あとは全員死んだ。
 母は戦争体験を語らないタイプだったが、僕が祖母からよく聞かされた話では、「アメリカに捕まれば、男は拷問され殺される。女子はレイプされ、屈辱を受けて殺される。そんな辱めを受けるのならば、天皇陛下のために喜んで死ね」と話し合われ、崖から飛び降りたのだと。一方的な情報を鵜呑みにさせられ、それを自分の意志として死を選ぶ――「死の忖度」だ。これが国民総動員の恐ろしいところだ。祖母によれば、捕虜キャンプでは丁寧に保護され、レイプもなかったという。
 ここで問題にしたいのは、国民総動員だ。侵略者があらわれて、軍隊だけでは太刀打ちできない。だから「市民は銃を取れ」といい、銃を取らない女や子どもまで兵站活動のために総動員する。欧州ではパルチザンの歴史があり、市民の抵抗運動は英雄視されたが、現代ではそれは格好いいことではない。そうやって何百万人も殺された第二次世界大戦が終わり、人類は二度とこういうことをくり返さないためにどうするかを考え、国際法という形で禁止行為を定めたのだ。
 現在の国際人道法(ジュネーブ条約)で一番の御法度は、市民を殺すことだ。もちろん相手国の市民を殺すことも戦争犯罪だが、自国の国民を盾に使うことも戦争犯罪になる。自国の市民を戦闘に巻き込むからだ。
 そこで、みなさんによく考えてほしい。今のウクライナ戦争で「市民よ、銃を取れ」といって総動員令を出しているが、その銃はアメリカが供給しているものだ。アメリカの武器供与がなければウクライナは戦えない。そこに市民が動員されている。この戦争を応援できるだろうか? あの大戦を経験した日本人が。
 市民は市民であり、銃を取らないからこそ、国際法で保護される対象になる。その市民が銃を取れば、相手から見たら戦闘員になるから殺せる。このマインドでアメリカは原爆を落としたし、われわれ(日本)も他国を空爆して無差別攻撃した。「敵国に無辜(こ)の市民はいない。みんな戦闘力だから殺せばいい」――無差別攻撃の動機はこうして生まれる。それをやってはならないと国際法はこの70年間で成長してきたのだ。
 だが、ウクライナ戦争で世界が変わった。西側諸国は、諸手を挙げてウクライナの戦争を支援する。日本人は憲法九条を持っている。どんな戦争であろうと、たとえ侵略者に立ち向かう戦争であろうとも、双方に歩み寄らせて「もうやめろ」というのが九条の心ではないか。
 ところが、僕が一刻も早いウクライナ戦争の停戦を求め、ロシア研究者の和田春樹先生(東京大学名誉教授)たちと学者グループを作って声明を出し、国連への働きかけを始めると、いわゆるリベラル九条派と呼ばれる人たちから「プーチンの味方をしている」といわれる。一体、九条主義とは何なのだろうか?ーーー
 このときアフガン人協力者を見捨てて、自分たちだけ真っ先に逃げた国が一つだけある。日本だ。このときほど日本人であることを恥じたことはない。それまでは「自衛隊を一歩も出すな」と主張してきた僕は、すぐに自衛隊機の派遣を指示し、輸送機2機がアフガンに送られたが、初動が遅れたので誰も救い出すことができなかった。
 どれだけ苦悩したかを考えてほしい。自衛隊は、憲法上存在しないことになっている。つまり法整備が進んでおらず、自衛隊法しかない。もし自衛隊が海外で戦争犯罪を起こしても、日本の法体系には戦争犯罪という概念がなく、裁く法がない。それだけでなく、日本人が公務で外国にいったときに犯した犯罪は、レイプや詐欺、殺人は東京地検が管轄するが、業務上過失は管轄外だ。これを「法の空白」という。
 海外に送られた自衛隊が、そこで人を殺してしまったら業務上過失致死になるが、それを裁く法律がない。問いたいことは、自国の戦力が起こす事故を裁く法を持たないのにもかかわらず、なぜ自衛隊が送れるのか? ということだ。だから僕は、どんな形であれ自衛隊派遣は絶対にダメだと強硬に反対してきた。
 その僕も、昨年8月15日、日本だけがまさかというほどの無責任な敗走をしたため、自衛隊機派遣を求めざるを得なかった。考えてもらいたいのは、この時のカブールは、軍が敗走する第一級の戦闘地域だ。そこに武装した自衛隊が送れてしまったという事実だ。憲法九条にどんな抑止力があっただろうか。
 僕は派遣を要請した側だが、野党にはこのときの自衛隊派遣にどんな法的根拠があるのかを国会で追及してほしかった。だが、いまだにやらない。みずからを裁けない戦力が外で活動する――これは非常に恐ろしいことだ。こんな超法規的な違憲行為が実行されてしまうのに、これを誰も問題とも思わない。同じ難民でもアフガン人については関心がなく、ウクライナ人だけは優遇する。これが日本の実態だ。ーーー
・新冷戦時代の緩衝国家 北欧諸国の知恵と葛藤
 ウクライナ戦争は今年2月から突然始まったものではない。その1年前の昨年4月からウクライナとの国境線付近にロシアは軍を集結し始めていた。世界は緊張し、僕も戦争が必ず起きると予測した。そこで昨年12月、NATOの創立メンバーであり、アメリカの最重要同盟国であるノルウェーが会議を招集し、そこに僕も呼ばれた。このときはロシアの専門家も同席した。国境沿いに軍を集結させたロシアがこのまま開戦すればどうなるのかについて予測し、緩衝国家としての対応を探るためだ。
 「緩衝国家」とは何か。ロシアに接するノルウェーがそうであり、フィンランド、アイスランド、そして日本、韓国も典型的な緩衝国家だ。つまり緩衝国家とは、敵対する大きな国家や軍事同盟の狭間に位置し、武力衝突を防ぐクッションになっている国だ。その敵対するいずれの勢力も、このクッションを失うと自分たちの本土に危険が及ぶと考えるため、軍事侵攻されて実際の被害を被る可能性が、普通の国より格段に高い。もし何か起きた時には、クッションが先にやられるのだ。
 そのような国は、国防の観点から、なんとか戦争を回避しなければならないという役割を必然的に担うため、それを国是とするのが普通だ。ノルウェーはノーベル平和賞の授与国で知られる平和のメッカであり、パレスチナとイスラエルの紛争を終わらせるオスロ合意もここで演出された。それはノルウェーがロシアに接する緩衝国だからだ。ロシアの参加がなければ、そのような世界的な和平合意の交渉はできない。だからアメリカの重要な同盟国であり、人権国家でありながら、ロシアとの衝突を防ぐクッションになる。そのことによって世界平和に貢献する。ノルウェーは、このような平和・人権外交を、国の外交資産としてきた。
 そのような立ち位置でうまくやってきたのが、フィンランド、ノルウェーであり、小国アイスランドだ。くり返すが、彼らはアメリカの最重要同盟国だ。だが国防の観点から、自国が最初の戦場になることを回避する――という極めて簡単な理由でその選択をする。
 旧ソ連圏だったバルト3国は独立後、早々とNATO加盟国になる。そして2014年のクリミア併合後は、ここが「トリップワイヤー(仕掛け線)」に変わる。国境沿いにNATO軍を置き、互いにミサイルを向け合い、ことが起きた時にはここで相手の侵攻を遅らせるためのNATOの戦略の一つだ。日本では沖縄を含めて、それ以前からアメリカのトリップワイヤー化されている。
 そこで注目に値するのが、NATO創立以来の加盟国であるアイスランドだ。この小さな島国(人口37万人)は、地理的にロシアからアメリカを狙うミサイルが上空を飛ぶため、米軍が最重要基地として常駐し、アメリカの不沈空母といわれてきた。だがリーマン・ショック後の2010年、さまざまな理由を背景にして、この国は米軍駐留を廃止した。米軍は訪問できるが常駐はしない。
 そこで、国の防衛をどうするか――若い首相は考えた。NATO加盟国として「自由と民主主義」を信奉するが、別にロシアを刺激しなければ国防は必要ないという結論を出し、国防軍を廃止した。だから警察や海上保安隊はあるが軍はない。米軍と別れを告げるとともに自国軍まで廃止したのだ。
 だが2014年のクリミア併合後、これら北欧の国々では、ロシアを脅威と見なす論調が、ロシアを刺激しない限り平和だという世論とぶつかり合い、その力関係が揺れ始めた。そして、ついに2020年5月、北極海に面したノルウェー北部のトロムソに、攻撃型の米原子力潜水艦が戦後初めて寄港した。これには地元住民が大反対した。
 またNATO道盟国でありながら、2014年までは米軍の常駐を絶対に許さなかったノルウェーで、部分的にではあるが、米海兵隊が国境から離れた場所への常駐を始めた。ロシアのクリミア併合は、北欧諸国にもそれくらいの大きな影響を与えた。
 民主主義国家である以上、いろんな事態が起きるたびに国論が揺れ、政治的選択が揺れ動くことは当然のことだ。だが、それまで「自由と民主主義」の陣営にいながら、ロシアを軍事的に刺激しないことを国是にしていたのがこれらの国々だ。ーーー
・主権なき「平和」の脆弱さ 日本への教訓とは
 今「ロシアの脅威」といわれるが、日本はウクライナどころではない。ウクライナにとっての脅威はロシア一国だが、日本にはロシア、中国、北朝鮮まである。われわれの方がはるかに脆弱だ。案の定、岸田政権はNATOに加盟するといい始めている。だが実はもう10年来、日本はすでに準NATOメンバーであり、一緒に合同軍事訓練をやっているし、自衛隊の銃弾はNATO仕様だ。いつでも一緒に戦争ができる。今に始まったことではない。ーーー
 地位協定とは、平たくいえば、駐留軍と現地政府の「主権」の関係を示すものだ。たとえば日本の終戦直後(占領期)を思い起こしてほしい。駐留軍の法がすべてであり、日本の法はない。憲法さえできていない。駐留軍の頂点にいるのがマッカーサー元帥であり、どんな事件・事故が起きても駐留軍の法がそれを裁く。
 だが、時間が経ち、戦時から準戦時、平和時へと移行するに従って、現地法が整備され、そのプレゼンスが大きくなり、駐留軍の法と競合し始める。発生する事件のうち、駐留軍の法で裁くものと、現地法で裁くものを区別しなければならない。それを取り決めるのが地位協定の役割だ。
 駐留軍の法と現地法の関係は、時間とともに変わる。つまり変化しない地位協定はこの世に存在しない。一つの例外を除いて。ーー
 戦時から平和時へ移行するとともに、主権が育ち、駐留軍の自由度は低下していくのが当たり前だ。アメリカが締結する地位協定は世界に120あるが、すべて時間とともに変化している。一つの例外を除いて。
 その「唯一の例外」である日米地位協定については、僕とジャーナリスト・布施祐仁氏の共著『主権なき平和国家――地位協定の国際比較からみる日本の姿』(集英社)が文庫本になっているのでぜひ読んでもらいたい。ーーー
 僕は、翁長知事の時代から沖縄県知事室の若い官僚たちをサポートしてきたが、沖縄県のホームページ上には、地位協定を国際比較した「地位協定ポータルサイト」が立ち上がっている。彼らは東京の我が家にまでアドバイスを聞きに来て、実際にアメリカと地位協定を結んでいる国にまで飛び、日本政府(大使館)に妨害を受けながらも、現地でいろんな識者と対話し、地位協定の実態を調べ、それを学術的価値のある資料にまで高めて保存している。ぜひ見てほしい。ーーー
・米朝開戦すれば 日本は自動的に交戦国に
 僕は2017年夏、韓国ソウルで開かれたPACC(太平洋地域陸軍参謀総長等会議)に呼ばれた。米中央陸軍総司令部(ハワイ)が2年ごとに、同盟国32カ国の陸軍参謀総長だけを集めてやる会議であり、この年の開催地であるソウルに米軍から直々に呼ばれた。
 そのとき米軍の案内で、朝鮮戦争の休戦ラインである38度線付近の共同防護地区に赴いた。そこに立つ石碑には、この共同防護地区に兵を置く国々の名前が刻まれているが、そこに日本はない【写真参照】。一番重要なことは、この在韓米軍は国連軍だということだ。だがこの朝鮮国連軍は、現在の国連軍とは違い、参加するのはここに刻まれた17カ国だけだ。これは1950年に決議されたもので、実態は「休戦監視団」なのだ。
 だからこの国連軍は、現在の国連本部(ニューヨーク)には管理できない。1994年、国連のガリ事務総長は、朝鮮国連軍は「安保理の権限が及ぶ下部組織として発動されたものではない」「朝鮮国連軍の解散は、安保理を含む国連のいかなる組織の責任でもなく、すべてはアメリカ合衆国の一存でおこなわれるべきもの」とする書簡を出している。なぜなら、ここで彼らが対峙しているのは北朝鮮であり、その背後には中国がいる。国連常任理事国である中国と国連軍が敵対できるわけがない。戦後の混乱期にできたものあり、もはや「歴史の遺物」といわれ、国連自身が忘れたい軍事組織になっている。
 だがこの朝鮮国連軍が死滅化しているのかといえば、そうではない。数年前、トランプ大統領が「米朝開戦する」とツイッターで発信し、日本では机の下に潜り込む訓練がさかんにおこなわれた。このとき、オーストラリアの軍用機が、日本政府に通告もせずに嘉手納基地に降り立った。それを報道したメディアは沖縄2紙だけだ。その後、横田基地にも同じように日本政府には無通告でアメリカの同盟国の軍隊が入った。つまり、この指揮系統は、米大統領の発言一つでまだ動くのだ。アメリカは北朝鮮と中国に対峙するのは、自国ではなく「国連」であるという休戦の構図を維持したいわけだ。
 世の中で唯一、この「冷戦期の遺物」である朝鮮国連軍と地位協定を結んでいる変な国がある。それが日本だ。先ほどの石碑には日本の国旗はない。つまり国連軍のなかに日本は入っていないのに、その国連軍と地位協定を結んでいる。
 この朝鮮国連軍地位協定は、日米地位協定とほとんど同じだ。さらに両者は連動しており、横田を中心とする9つの在日米軍基地を、国連軍基地の後方支援基地と定めている。それでも足りない場合は、在日米軍基地をすべて使えるとまで書いている。だから日本に無通告でオーストラリア軍が入ってくるのだ。
 これはどういうことかといえば、米朝開戦によって、日本は自動的に国際法上の「交戦国」になるということだ。戦争をするのならば、自分もその意志決定に加わるべきだが、日本だけには決定権がない、入れてもらえないのに地位協定を結んでいる。
 戦争が始まってしまうと日本は後方支援国になる。「後方支援だからいいじゃないか」と思うかもしれないが、国際法には中立法規という原則があり、厳密に守られている。オトモダチが始めた戦争から中立であるためには条件がある。簡単にいえば3つ。「基地をつくらせない」「通過させない」「カネを出さない」だ。これらを全部やっているのが日本だ。敵から見たら日本は国際法上、正当な攻撃目標になる。自衛隊が撃たなくても、われわれは攻撃目標になるし、それに対して文句をいえない。
 互恵性=「自由なき駐留」が世界標準になる。アメリカ軍がいても自由はない。日本はどうか? 同じアメリカの同盟国である緩衝国家であっても、韓国にも、ノルウェーにも、アイスランドにも“意志”がある。
 緩衝国は、地理的な宿命だから変えられない。ロシアや中国に「あっちいけ」といえないし、アメリカは1万`離れた海の向こうにある。典型的なアメリカの緩衝国家であっても、普通は意志を持つ。でも日本にはそれがない。僕が日本を「緩衝“材”国家」と呼ぶ由縁だ。
・国防のための完全非武装 ノルウェーに学ぶ
 最後にノルウェーの話をしたい。ノルウェーは北極海に面し、北部ではロシアと国境が接している。そこにあるのがキルケネス市だ。スウェーデンとフィンランドは中立国だが、ノルウェーは冷戦期においてはNATO加盟国で唯一ロシアと国境を接する国だった。
 キルケネスの市役所前広場には、赤軍兵士の勇猛さを讃える碑が立っている。ノルウェー北部では、とくに年配者世代にとってロシア(ソ連)は「解放者」という側面があるからだ。ナチスドイツから解放してくれたという歴史的事実だ。だから国境を挟んで向かい合うロシアのニケル市との友好関係を歴史的に築いてきた。このような地域を「ボーダーランド」(辺境地)という。
 まさに宮古島が日本にとってのボーダーランドだ。沖縄全体がそうだ。北海道も対ロシアのボーダーランドだ。このボーダーランドを武装化して、敵国に対して槍を向けることが果たして国防にとって有意義か否か。そこが問題だ。
 このような国は、アメリカの同盟国でありながら、それをやらない。いまだにキルケネスでこの銅像がとり壊されたというニュースは確認されていない。そしてノルウェー軍は、このキルケネス周辺に沖縄のような大規模な常駐はしていない。ただ、2014年のクリミア併合以後、ロシアに接する国境線で軍事的な睨み合いが強化され、軍事演習などの動きが次第に顕著になっており、その傾向を懸念する学者や専門家、住民たちとの間で盛んに論議がおこなわれている。僕は、あえて日本は2014年以前のノルウェー外交に学ぶべきだと訴えたい。今のノルウェーのためにも。
 こういうことをいうと「お前は平和ボケだ」といわれるが、そうではない。国防のためにこそ、日本が緩衝国家であるという事実をちゃんと認め、われわれが生き延びるために、ボーダーランドを非武装化するというのは国防の選択の一つだ。これは敵国に屈することではない。ノルウェーは平和と人権を重んじる国であり、ロシアで人権侵害が起きれば真っ先に糾弾する国だ。でも軍事的には刺激しない。東西両陣営のはざまにある緩衝国家としてのアイデンティティを確立し、それを内外に誇示することによって国防の要とする。そういう立ち位置があって当然だ。このアイデンティティがあるからこそロシアも二国間交渉に応じる。なぜ日本がそのような国になれないのか。
 人権感覚の話をすると、また日本人が頭を抱えたくなるような状況がある。実は日本は、ジェノサイド条約を批准していない世界でごく少数の国の一つであることをご存じだろうか? ジェノサイド条約は、その名の通り大量殺戮を防止する重要な条約だ。北朝鮮、中国、ロシア、ウクライナ、アメリカ……ほとんどの国が批准している。
 1世紀前、東京で井戸に毒をもったという根拠のない噂で朝鮮人虐殺事件が起きたが、今同じ事が起きたら、世界はジェノサイドとして日本を断罪するだろう。当時それを煽った主謀者は誰一人捕まっていない。日本には、このような扇動をする政治家、違法行為を命じた上官を裁く法がない。その一連の日本の無法さの象徴が、ジェノサイド条約を批准さえしていないという現実だ。
 だからノルウェーには遠く及ばないが、まず日本が典型的な緩衝国家であることを認め、そのなかで、国防の観点からボーダーランドの武装をどう考えるかが重要だ。それはアメリカ軍だけでなく自国軍(自衛隊)も含めてだ。
 大国同士の戦争が始まったら真っ先に戦場になる運命の緩衝国家だからこそ、そのボーダーランドを敢えて完全非武装化し、戦争回避のための信頼醸成の要になることを国防戦略にする道がある。逆に、今完全にバルト3国のトリップワイヤー化を先んじてやってしまっているのが、ここ(沖縄)だ。
 そんなことを主張するお前は何をやっているのか、と思われた方は、ぜひ『非戦の安全保障論』(集英社新書)をお読みいただきたい。僕を含めた4人の著者は、全員が防衛省関係者だ。柳澤協二氏は防衛庁時代のトップ、加藤朗氏は防衛研究所の元主任研究官、林吉永氏は元空将補だ。そして僕は現役だが、陸海空の精鋭だけを教える防衛省統合幕僚学校で15年間教官をし、そこでも今回のような話をしている。司令官レベルで僕の主張を知らない人間はいない。
 こんな話をする「伊勢崎は外せ」と、ネトウヨ的な自民党や維新の政治家から圧力を受けながら、とくに自衛隊制服組の人たちが僕の講座を死守している。そういう側面も自衛隊にはあるということを頭に入れておいてほしい。
 みなさんから見たら僕は「あちら側」の人間だが、それでも現状に対する問題意識をもっている。ウクライナ戦争に乗じて、さらに軍備増強、日米同盟の強化が唱えられ、もしかしたら北海道にも米軍基地がつくられてしまうかもしれない。それを何とか止めたい。そのためには内側からも外側からも運動していくことが必要だと思っている。
 今日は、護憲派の批判もしたが、ウクライナ戦争をめぐる動きは、これからもっとひどくなるだろう。なんとか平常心を保とう。欧州では、日本以上にロシア排除がものすごい。研究者の交流すらできない。世界は分断から分断へと、分断だけが強化され、それでもうけるのは武器産業であり、防衛族であり、そして「いつかきた道」がくり返されるだけだ。それに抗うために、この問題提起が役立つことを願っている。》




2023年 2月11日
日記がわりに。
 6日フランス2はウクライナで戦死した兵士の葬儀が多くの墓標が並ぶ雪の墓地で行われる様子を伝える。news23は首相の世界が変わる、秘書官のLGBT見るのも嫌発言とは真逆の世論を、翌朝モーニングショーは少子化は非正規雇用がもたらしたものと。
 6日未明トルコ南部、シリア北部で起きたM7.8の大地震が各メディアで伝えられる。住宅ビルが根こそぎ倒壊し多くの人が巻き込まれて懸命の捜索が続く。60~80時間経過して救出される子供や赤ん坊と道路や建物に並ぶ遺体と生き残った市民の悲痛な姿。人類に戦争をやったり軍備増強する暇はない。
https://www.japanforunhcr.org/.../Turkiye-Syria...
https://secure.avaaz.org/page/jp/
 二つの団体にささやかな支援をした。
 今日は紅梅の三ノ宮神社を経てメリケン波止場手前のHajiでサラダランチ、栄町通のkokosikaでコーヒーをいただく。バレンタイン前ということでか、人手は多い。




2023年 2月10日
昨年2月の富良野スキー場の動画をyou tubeにアップ。
 コロナ禍で訪れる人は非常に少ない。翌日雪の非整地斜面にiphoneを落とす。パトロールの人たちが一緒に探してくれるが見つからず。神戸に帰って「iphoneを探す」で落下した場所を確認、ゲレンデパトロールに伝えると見つけてくれた。感謝。


2023年 2月10日
「私はこれまで40年間、沖縄戦戦没者の遺骨を収集し家族のもとに返す活動をしてきた。遺骨を家族のもとに返すことは、犠牲者や家族にとって必要なことだが、国策の犠牲者であるにもかかわらず国はやらない。だが沖縄では、掘れば今でも膨大な遺骨が出てくる。米国ではDNA鑑定をして家族に返していることも日本政府に提言し、沖縄の遺骨はすべてDNA鑑定の対象になった。アジア太平洋地域の犠牲者の遺骨もだ。日本は戦後76年目にして、やっと戦争犠牲者の遺骨を家族のもとに返すことが国家事業になった。しかし、一方で再び沖縄戦が起きようとしている。私たちの究極の目標は、沖縄を再び戦場にさせないことだ。その危機感がどれだけ共有できているだろうか。二度と沖縄戦をくり返さないために声を上げなければいけない。命を守るために必要なのは、戦争を前提にしたシェルター作りや避難計画ではなく、まず戦争にさせないことだ」遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表 具志堅隆松氏
「台湾有事で南西諸島を米軍の臨時拠点にするという「日米共同作戦計画」の策定が進められており、それが実行されてしまうと住民が巻き添えになるリスクがあるということ、今年1月におこなわれた「2プラス2(日米外務・防衛閣僚会合)」での協議開始が合意された」
「こうした司令官の発言を受けて米軍幹部は非常に焦り、自衛隊の幹部に「日米の政治プロセスを待っていられない」「(自衛隊は)中国と米国の戦争が迫っていることを理解しているのか!」と強い口調でプレッシャーを掛けてきていると自衛隊幹部がいっていた」
「ある自衛隊幹部は「米軍の軍人は軍事的合理性しか考えてない。日本政府の政策や日本の国内法などまったく関係ない。ましてや南西諸島の住民の存在など頭の中にこれっぽっちもない。彼らはただ軍事的合理性を求めており、それさえあれば何でもやるんだ」と唖然としながら語っていた。「軍人とはそういうものだ」と。米軍は、自衛隊幹部が驚くような強い口調で迫っている」
「2021年11月、新たに就任した米インド太平洋軍のアキリーノ司令官が来日し、自衛隊の山崎幸二統合幕僚長の案内で与那国島などを視察した。その後の会議で米インド太平洋軍司令官は、自衛隊の統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長たちに向かって、かなり強い口調で「早く共同作戦計画をつくらなければ間に合わないぞ!」と迫ったという。米軍司令官から叱責された4人の自衛隊幕僚長たちは顔色を失って真っ青になっていたと、同席した自衛隊幹部が漏らしていた。「かなり強い口調で相当ねじ込まれた」と」
「米軍全体の戦略目標は「テロとの戦い」から「中国封じ込め」に変わり、海軍と空軍が中心になる。役割を失うことに焦りを感じた陸軍と海兵隊が存在感を示すために考えたのがこのEABO(遠征前方基地作戦)だ。この作戦構想は、南西諸島の島々を拠点に、海兵隊が数十人の小規模部隊を分散して展開し、中国の海空軍と戦うというものだ。ミサイルをもって中国艦艇や航空機を攻撃するわけだ。そういう作戦構想に基づいて、台湾有事に備える日米共同作戦計画を作っている」
「台湾有事をめぐる日米共同作戦計画の原案は、特定秘密保護法による特定秘密だ。私がこの記事を書いたこと自体、政府にとっては非常に面白くない。実際、記事が出た当時、首相官邸内で国家安全保障局(NSS)の幹部会議が開かれ、その席上で「この原稿には特定秘密が含まれている」ということで、情報源を調べるように内閣情報調査室(内調)に指示が出た」
「南西諸島には約200の島がある。ただ海上保安庁と国土地理院に、南西諸島の有人島と無人島の数を尋ねても「わからない」という。鹿児島県と沖縄県に聞いても正確な数は「わからない」という。だから、およそ200としたが、そのうち40の島々が米海兵隊の軍事拠点になる可能性がある」
「2015年に成立した安全保障関連法(安保法制)について触れる。なぜかといえば、安倍政権がつくったこの安保法制ができたからこそ、台湾有事をめぐる日米共同作戦計画の策定が可能になったからだ。安全保障法制をなんのために作ったのか。当時私も騙された。安倍元首相が、安全保障関連法案について説明した記者会見で、朝鮮半島から母親が赤ん坊を抱いて避難するイラストが描かれたボードを持ち、「この赤ん坊を抱いた母親が逃げるために乗った米軍艦船を自衛隊が守らなくていいんですか! 皆さん!」と強い口調で訴えた。これに騙された」
「だが、安全保障法制の一番の目的は、朝鮮半島有事ではなく、台湾有事のさいに米軍とともに自衛隊が自動参戦するための仕掛けだったのだ。国会審議のなかで、野党各党もかなりの部分が騙されていたと思う」
「安全保障法制では、「重要影響事態」という事態認定の類型が作られた。これはもともと「周辺事態」といっていたものだが、それは朝鮮半島有事を想定したもので、適用される地理的範囲も朝鮮半島に限られていた。これを「重要影響事態」に変えることで地理的制約がなくなり、台湾有事にも適用可能になった。ーーー米海兵隊が南西諸島に散らばって中国と戦闘するという日米共同作戦計画は、この「重要影響事態」の認定があったときにおこなわれる計画だ」
「他に、安保法制でできた事態認定に「存立危機事態」がある。これは、日本と密接な関係にある国(つまり米国)に対する攻撃があったときに、集団的自衛権(米国と一緒に米国の敵国と戦う)の行使を可能にするものだ。さらに「武力攻撃事態」は、日本そのものが攻撃されたことを認める事態だ」
「亡くなった安倍元首相は、安全保障関連法の国会審議のなかで「野党の皆さんは、安全保障法制ができて集団的自衛権が行使されるようになれば、米国の戦争に日本が巻き込まれるというが、そんなことは絶対にない!」と強い口調で何度もいってきた。ところが昨年12月、オンライン講演会で「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事だ」と、これまでの見解を180度変えた。ここで彼は本音を出した。つまり、集団的自衛権行使を容認した安全保障関連法は、台湾有事に米国が参戦したときに自衛隊が自動的に参戦するための仕掛けだったということだ」
「安全保障法制ができて「重要影響事態」や「存立危機事態」などの事態がつくられなければ、嘉手納や普天間などの米軍基地が攻撃されない限り、日本が台湾有事に巻き込まれてアメリカと一緒に戦争することはなかったということだ。これらの事態認定が安全保障法制によってつくられてしまったために、米国と一緒に中国と戦うことについて断る理由がなくなってしまった」
「今までのように「日本には個別的自衛権しかない」ということであれば、「米国と一緒に中国と戦うことはできない。せいぜいできるのは後方支援。それもかなり限られたものになる」といって断れたものが、安全保障法制によって断ることができなくなった。くり返すが、まさに安全保障法制は、台湾有事で米国と中国が戦う事態になったとき、自衛隊が自動的に参戦するための仕掛けだったのだ」
「さらに同じ8月には、米陸軍が陸上自衛隊と台湾有事を想定した対艦訓練を、よりによって奄美大島でやった。つまり海兵隊だけでなく、陸軍も同じようにハイマース(高機動ロケット砲システム)を持って南西諸島の島々に展開し、自衛隊に協力してもらいながら戦うということだ。だから南西諸島の島々には海兵隊だけでなく、陸軍も行くことを想定していることがわかる」
「最近報じられたように、例えば与那国や石垣島などでの住民防護用シェルターの整備、あるいは国民保護の避難訓練が始まろうとしている。それは大きな流れのなかで、戦争に向けて地ならしをしようという政府・防衛省の考え方を反映したものだ。そして、安倍元首相の持論でもあった「日本もNATO並みに防衛費をGDP比2%に引き上げるべきだ」という政府方針は、岸田政権にそのまま引き継がれ、「5年以内」を目標にしている」
「そして、南西諸島の軍事要塞化だ。今年中には石垣島に対艦・対空ミサイル部隊と警備部隊が配備される。さらに国が買い上げた鹿児島県の馬毛島に航空自衛隊の基地をつくる動きが加速しており、これを陸・海・空の自衛隊が共同使用し、米軍空母艦載機の訓練基地としても使う。馬毛島は一大軍事拠点になる。近隣の種子島や屋久島も含めて、風景が一変するような軍事要塞化が進んでいる。最近、私も馬毛島に行ってきたが、地元の人たちは、故郷の象徴であった馬毛島が軍事要塞になることに悲痛な思いと怒りを抱いていた」
「私は単に戦争の危機感を煽り、「台湾有事が近い、近い」と叫ぶつもりはない。だが、どんなことがあってもかつて沖縄戦の犠牲になった南西諸島の住民の皆さんをふたたび戦争の矢面に立たせてはいけないと強く思う」
「とくに最悪の想定だと思うのは、集団的自衛権と敵基地攻撃能力(反撃能力)が組み合わさったときに起きる事態だ。台湾をめぐり米国と中国が戦闘を始めると、日本はまったく攻撃を受けておらず、沖縄の嘉手納基地も攻撃を受けてないという状態であっても、日本は「存立危機事態」を認定し、集団的自衛権を発動する。さらに敵基地攻撃能力を持てば、日本はまったく攻撃されていないのにもかかわらず、日本は中国のミサイル基地を攻撃することになる」
「自民党のいう敵基地攻撃能力(反撃能力)では、ミサイル基地だけでなく、相手の指揮統制機能まで攻撃できる能力を持とうといっている。指揮統制機能がある場所というのは、日本でいえば東京・市ヶ谷の防衛省、あるいは海上自衛隊の横須賀(神奈川)、航空自衛隊の横田(東京)、陸上自衛隊の朝霞(埼玉)だ。日本が攻撃されてもいないのに、中国のそういった中枢機能を叩く能力を持つわけだ。この二つが組み合わさると最悪の事態が想定される」
「今政府自民党は、台湾有事の危機を盛んに煽り立て、メディアの一部もそれに乗って「台湾有事は近い」「日本は参戦せざるを得ない」という雰囲気作りをやらされている。では一体どうすればいいのかについては、簡単に答えは出ない。ただ冷たいいい方かもしれないが、中国と台湾が衝突しても日本は絶対に参戦してはいけない。米国が参戦することも止めなければいけない、ということがいえる」
「とりあえず、成立してはいるが安全保障法制を廃止する動きを強めること。それから重要影響事態、存立危機事態といった事態認定をさせないように国会でたたかう。ーーーいうまでもなく、日本国憲法第九条は「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とうたっている。万が一、中国が台湾に武力侵攻しても絶対に日本は参戦してはならない。米国が参戦することもなんとしても止めなければならない。冷たいかもしれないが、絶対に台湾有事にかかわらない。それが南西諸島をふたたび戦禍の犠牲にしないというわれわれの誓いだと思う」
 「長州新聞」が伝える、昨年9月宜野湾市での「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」主催「台湾有事・日米共同作戦の正体〜メディアはどうたたかうか」シンポジウムにおける、防衛庁・省を30年取材し一昨年南西諸島の米軍拠点化をスクープした共同通信専任編集委員石井暁氏の講演から。
 このあと岸田首相は22年秋の臨時国会では何の説明もせず、国会閉会とともに反撃能力(敵基地攻撃能力)保有、日米共同の統合司令本部常設、防衛予算倍増などの「安保関連3文書」を閣議決定し、今年通常国会前にポチよろしく米国大統領バイデンに報告。ことごとく国民も国会も無視。
 石井氏が指摘する安部の国民騙しの新安保法制定と同じく、岸田はカルトに塗れた与党内の議論だけで、国民と日本国憲法を蹂躙してこの国を「戦争する国」に変質させる。
 「戦力の不保持」「交戦権の否認」を定める国が、国家として承認しない地域の帰属をめぐる紛争に軍事力で介入して国土そして国民を戦火に晒すというのは、日米開戦にも劣る史上最悪の愚策でしかない。
 米国にとって日本は台湾有事の捨て駒、岸田政権にとっては沖縄・南西諸島が台湾有事の捨て駒ということ。しかし、横田や横須賀そして首都中枢に攻撃が及ばないというのは都合の良い幻想に過ぎない。石井氏が指摘するように、安全保障法制の廃止とさらに安保関連3文書の撤回、日米共同作戦の取りやめ、そして外交による問題解決への尽力こそ、沖縄のひとびとをはじめこの国と地域が存続する唯一の道。
《米中対立の焦点となっている「台湾有事」で再び沖縄を戦場にさせないための行動を呼びかけている市民団体「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」(共同代表/石原昌家、具志堅隆松、ダグラス・ラミス、宮城晴美、山城博治)は9月25日、沖縄県宜野湾市で「台湾有事・日米共同作戦の正体〜メディアはどうたたかうか」と題してシンポジウムをおこなった。そこで昨年末、南西諸島の米軍拠点化をスクープした共同通信専任編集委員の石井暁氏が「台湾有事と日米共同作戦―南西諸島を再び戦禍の犠牲とするのか」として基調講演をおこなった。最も切迫する沖縄および南西諸島を導火線にして日本全体を戦禍に引きずり込む戦時シナリオ作りが進行していることについて、全国的な問題意識の共有が求められている。
「ノーモア沖縄戦」の会がシンポジウム
 主催者を代表して挨拶した遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松氏は、「私はこれまで40年間、沖縄戦戦没者の遺骨を収集し家族のもとに返す活動をしてきた。遺骨を家族のもとに返すことは、犠牲者や家族にとって必要なことだが、国策の犠牲者であるにもかかわらず国はやらない。だが沖縄では、掘れば今でも膨大な遺骨が出てくる。米国ではDNA鑑定をして家族に返していることも日本政府に提言し、沖縄の遺骨はすべてDNA鑑定の対象になった。アジア太平洋地域の犠牲者の遺骨もだ。日本は戦後76年目にして、やっと戦争犠牲者の遺骨を家族のもとに返すことが国家事業になった。しかし、一方で再び沖縄戦が起きようとしている。私たちの究極の目標は、沖縄を再び戦場にさせないことだ。その危機感がどれだけ共有できているだろうか。二度と沖縄戦をくり返さないために声を上げなければいけない。命を守るために必要なのは、戦争を前提にしたシェルター作りや避難計画ではなく、まず戦争にさせないことだ」と訴えた。
 続いておこなわれた石井暁氏(共同通信専任編集委員)の基調講演の内容を以下紹介する。
■ 石井暁氏(共同通信専任編集委員)の講演より
 私は1994年に当時東京六本木にあった防衛庁(現・防衛省)担当になってから30年ほど同省を担当してきた記者だ。みなさんと同じように反戦と平和を常に考えながら取材し、記事を書いている。そのためか、私が講演する場には必ず自衛隊の情報保全隊や警察の公安の方がいらっしゃる。その方々もぜひ一緒に聞いていただきたい。
 ちなみに私の父親は屋久島出身で、沖縄の政治家・瀬長亀次郎を尊敬していた。私が育った横浜の鶴見で平和集会などがあると、幼い時分から親に連れられて参加していたので「沖縄を返せ」もそらで歌える。だから、こうして沖縄の皆さんの前で語る資格が少しはあるのかなと思っている。
 防衛省が示すように、九州の南端から与那国島にかけての南西諸島にすでにこれだけの自衛隊を展開している【地図参照】。昨年末、私は台湾有事が近くなった段階で米軍が南西諸島に展開し、臨時の攻撃用拠点をつくる計画について記事を書き、それが昨年12月24日付の『琉球新報』『沖縄タイムス』の1面に掲載された。
 記事の内容は、新聞の見出しになったように、台湾有事で南西諸島を米軍の臨時拠点にするという「日米共同作戦計画」の策定が進められており、それが実行されてしまうと住民が巻き添えになるリスクがあるということ、今年1月におこなわれた「2プラス2(日米外務・防衛閣僚会合)」での協議開始が合意されたというものだ。
 背景にあるのは、米中対立の激化だ。中国の習近平国家主席は、基本的に台湾は平和的に統一するといっているが、台湾が独立を宣言したりすれば武力統一を排除しないということを何回も明言している。そして台湾の蔡英文総統は、これまでの台湾の政権のなかで最も独立志向が強い政権だ。そのため習近平政権は台湾に対する軍事的圧力を年々強化している。
 さらに米国のトランプ前大統領は中国との強い対決姿勢をとり、その後のバイデン政権もトランプの対中強硬路線を転換することなく、「中国は米国にとって唯一の競争相手」「民主主義(米国)vs専制主義(中国)だ」といい切っている。
 そのなかで中国は、台湾の防空識別圏(ADIZ)への戦闘機の侵入をくり返すようになった。これに対抗して、米国は周辺海域で日本などの同盟国や友好国との軍事演習を増加させ、ほぼ1カ月に1度のペースで駆逐艦やフリーゲート艦に台湾海峡を通過させ、「航行の自由作戦」と称している。米国も中国にプレッシャーをかけているわけだ。
 米軍は、中国による台湾侵攻(台湾有事)は近いと見て焦りを強めている。2021年3月、米インド太平洋軍の新・旧司令官が2人揃って、「中国の台湾への武力侵攻は6年以内」「われわれが考えているよりも迫っている」と明言している。
 こうした司令官の発言を受けて米軍幹部は非常に焦り、自衛隊の幹部に「日米の政治プロセスを待っていられない」「(自衛隊は)中国と米国の戦争が迫っていることを理解しているのか!」と強い口調でプレッシャーを掛けてきていると自衛隊幹部がいっていた。ある自衛隊幹部は「米軍の軍人は軍事的合理性しか考えてない。日本政府の政策や日本の国内法などまったく関係ない。ましてや南西諸島の住民の存在など頭の中にこれっぽっちもない。彼らはただ軍事的合理性を求めており、それさえあれば何でもやるんだ」と唖然としながら語っていた。「軍人とはそういうものだ」と。米軍は、自衛隊幹部が驚くような強い口調で迫っている。
 2021年11月、新たに就任した米インド太平洋軍のアキリーノ司令官が来日し、自衛隊の山崎幸二統合幕僚長の案内で与那国島などを視察した。その後の会議で米インド太平洋軍司令官は、自衛隊の統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長たちに向かって、かなり強い口調で「早く共同作戦計画をつくらなければ間に合わないぞ!」と迫ったという。米軍司令官から叱責された4人の自衛隊幕僚長たちは顔色を失って真っ青になっていたと、同席した自衛隊幹部が漏らしていた。「かなり強い口調で相当ねじ込まれた」と。
 この台湾有事をめぐる日米共同作戦計画の基は、2016年に発表された「EABO(遠征前方基地作戦)」という米海兵隊の作戦構想だ。これまで米軍はイラクやアフガンで「テロとの戦い」をしてきたが、もうそういう時代ではない。主な米国の敵は中国であり、それを封じ込めるために米軍は作戦を変えた。米軍全体の戦略目標は「テロとの戦い」から「中国封じ込め」に変わり、海軍と空軍が中心になる。役割を失うことに焦りを感じた陸軍と海兵隊が存在感を示すために考えたのがこのEABOだ。
 この作戦構想は、南西諸島の島々を拠点に、海兵隊が数十人の小規模部隊を分散して展開し、中国の海空軍と戦うというものだ。ミサイルをもって中国艦艇や航空機を攻撃するわけだ。そういう作戦構想に基づいて、台湾有事に備える日米共同作戦計画を作っている。
 実際、昨年12月、この作戦構想に基づく検証訓練が北海道や東北でおこなわれた。私も青森県八戸、宮城県の王城寺原演習場の検証訓練に行き、とくに王城寺原では泥のぬかるみにはまりながら取材をした。
計画原案は特定秘密に
 台湾有事をめぐる日米共同作戦計画の原案は、特定秘密保護法による特定秘密だ。私がこの記事を書いたこと自体、政府にとっては非常に面白くない。実際、記事が出た当時、首相官邸内で国家安全保障局(NSS)の幹部会議が開かれ、その席上で「この原稿には特定秘密が含まれている」ということで、情報源を調べるように内閣情報調査室(内調)に指示が出た。それがまた僕の耳に入ってくるというのも面白い。これは警察の公安の方や自衛隊の情報保全隊の方はメモされていると思うが、国家安全保障局でのやりとりも含めて全部僕のところに入ってくる。でも僕を逮捕したり、弾圧したりせず、「おかしい」という問題意識をもって僕の味方をしてくれる自衛隊幹部がいることが、まだ日本にとって救いだと思っている。
 南西諸島には約200の島がある。ただ海上保安庁と国土地理院に、南西諸島の有人島と無人島の数を尋ねても「わからない」という。鹿児島県と沖縄県に聞いても正確な数は「わからない」という。だから、およそ200としたが、そのうち40の島々が米海兵隊の軍事拠点になる可能性がある。この40は有人島で、水が供給できるという条件があるからだ。米軍もさすがに水までは運べないということだろう。記事では、島々で暮らす人々を不安に陥れてしまうため具体的な島名は書かず、例として陸上自衛隊がミサイル部隊を配備する「奄美大島や宮古島、石垣島を含む」としたが、これらの島々にはすでに陸上自衛隊の対艦ミサイル、対空ミサイル部隊が常駐(石垣島は配備予定)しているので米軍は簡単に行ける。だが、米軍の同じような部隊が行ってもダブるだけなので、役割分担のために、それ以外の島に行く可能性も高いと考えられる。
安保法制と密接に連動
 ここで2015年に成立した安全保障関連法(安保法制)について触れる。なぜかといえば、安倍政権がつくったこの安保法制ができたからこそ、台湾有事をめぐる日米共同作戦計画の策定が可能になったからだ。
 安全保障法制をなんのために作ったのか。当時私も騙された。安倍元首相が、安全保障関連法案について説明した記者会見で、朝鮮半島から母親が赤ん坊を抱いて避難するイラストが描かれたボードを持ち、「この赤ん坊を抱いた母親が逃げるために乗った米軍艦船を自衛隊が守らなくていいんですか! 皆さん!」と強い口調で訴えた。これに騙された。
 だが、安全保障法制の一番の目的は、朝鮮半島有事ではなく、台湾有事のさいに米軍とともに自衛隊が自動参戦するための仕掛けだったのだ。国会審議のなかで、野党各党もかなりの部分が騙されていたと思う。
 安全保障法制では、「重要影響事態」という事態認定の類型が作られた。これはもともと「周辺事態」といっていたものだが、それは朝鮮半島有事を想定したもので、適用される地理的範囲も朝鮮半島に限られていた。これを「重要影響事態」に変えることで地理的制約がなくなり、台湾有事にも適用可能になった。まさに戦場以外では、米軍への後方支援ができるようになり、米軍以外でも、例えば豪州軍などへの後方支援も可能になった。後方支援の内容も拡大し、弾薬提供までできるようになった。
 米海兵隊が南西諸島に散らばって中国と戦闘するという日米共同作戦計画は、この「重要影響事態」の認定があったときにおこなわれる計画だ。
 他に、安保法制でできた事態認定に「存立危機事態」がある。これは、日本と密接な関係にある国(つまり米国)に対する攻撃があったときに、集団的自衛権(米国と一緒に米国の敵国と戦う)の行使を可能にするものだ。さらに「武力攻撃事態」は、日本そのものが攻撃されたことを認める事態だ。
 亡くなった安倍元首相は、安全保障関連法の国会審議のなかで「野党の皆さんは、安全保障法制ができて集団的自衛権が行使されるようになれば、米国の戦争に日本が巻き込まれるというが、そんなことは絶対にない!」と強い口調で何度もいってきた。ところが昨年12月、オンライン講演会で「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事だ」と、これまでの見解を180度変えた。ここで彼は本音を出した。つまり、集団的自衛権行使を容認した安全保障関連法は、台湾有事に米国が参戦したときに自衛隊が自動的に参戦するための仕掛けだったということだ。ーーー




2023年 2月10日
「私達の地域から発射されたミサイルが、やはり誰かを殺してしまうかもしれないっていうところもすごく複雑な思いで。自分たちの生活を守るために誰かを殺してもいいのか。そもそも戦争が、なるべく起こらないようにしようという姿勢をまず国にはしっかり見せてほしいと思います」「私達島民は当然蚊帳の外状態。ましてや、国会ですら議論せずに3文書を決めてしまう。この国の姿勢、民主主義っていうのはどうなっていくのかと。やはり、これをまず全国民が今、この民主主義の危機というところを認識していただいて、全体的に議論していただきたいなと考えています」石垣市議会 花谷史郎 議員
「自ら戦争状態を引き起こすような、反撃能力をもつ長射程ミサイルを石垣島に配備することを到底容認することはできない」2022年12月19日石垣市議会意見書(野党議員提案、賛成多数)
「あくまでも専守防衛のための自衛隊配備という説明がなされてきた経緯がある中、安保関連3文書の改定や今後の抑止力向上に伴う施設整備等については、これまで以上に十分な説明が必要なのは言うまでもない」同(与党議員提案、全会一致)
「本当は受け入れたくないんですよ。ここは大自然に恩恵を受けた場所ですし、目のあたりにすれば複雑な気持ちになりますね。よく国の専権事項とおっしゃっていますよね。それはこちらに住んでいる住民からしたら、住民の声は聞き入れてほしいんですよ。色々な考えはあると思いますけど、ミサイル基地ができて自分たちの生活が安全になるということは一度も考えたことはありません。敵基地攻撃能力のミサイルですから、石垣島の基地も相手からすれば脅威じゃないですか。それで何か有事があれば、最初にこの島全体が有事に巻き込まれていくっていう可能性が強いんですよ」基地周辺に住む具志堅正さん
 首相就任時に嬉しそうに自衛隊戦闘車に乗るが、自身は決して最前線に立つことはない岸田首相が進める反撃能力保有など防衛政策の「大転換」で、ミサイル部隊配備により台湾有事の際まさに長射程ミサイル撃ち合いの最前線となる沖縄石垣島の議員と市民の声を伝える沖縄テレビの報道。
 国会での審議も経ず米国大統領には逸早く報告するが、主権者たる国民はおろか部隊を置く地元議会や住民にすら碌に説明も説得もしないまま、部隊配備と米軍との共同訓練だけが進行する。このまま有事に進めば多大の被害を受けるのはふたたび、さきの大戦で国内唯一の地上戦による甚大な被害を被った沖縄。与那国島や石垣島に配備される長射程ミサイルと日米共同作戦なるものは、台湾有事に際して自衛隊が米軍の肩代わりを担うためのものであって、そこに住む人びとを守るためのものではない。
「台湾有事に日本を巻き込む日米共同作戦計画―南西諸島を再び戦禍に晒してよいか 石井暁・共同通信専任編集委員の講演より」  https://www.chosyu-journal.jp/heiwa/24624
「台湾有事で南西諸島を米軍の臨時拠点にするという「日米共同作戦計画」の策定が進められており、それが実行されてしまうと住民が巻き添えになるリスクがあるということ、今年1月におこなわれた「2プラス2(日米外務・防衛閣僚会合)」での協議開始が合意された」
「安全保障法制ができて「重要影響事態」や「存立危機事態」などの事態がつくられなければ、嘉手納や普天間などの米軍基地が攻撃されない限り、日本が台湾有事に巻き込まれてアメリカと一緒に戦争することはなかったということだ。これらの事態認定が安全保障法制によってつくられてしまったために、米国と一緒に中国と戦うことについて断る理由がなくなってしまった」石井暁・共同通信専任編集委員
 カルトと癒着した安倍自公政権の愚策の末路が、今岸田首相が行うこの国を再び戦争に駆り立てる防衛政策の「大転換」という亡国の妄想。こういう政権は退場させるしかない。
《2023年中にも自衛隊施設が開設する予定の石垣島。安保関連3文書にも明記された敵基地を攻撃する反撃能力が、地元の頭ごなしに配備されないか住民は不安を募らせている。
自分たちの生活を守るために誰かを殺してもいいのか
石垣市議会 花谷史郎 議員:
私達の地域から発射されたミサイルが、やはり誰かを殺してしまうかもしれないっていうところもすごく複雑な思いで。自分たちの生活を守るために誰かを殺してもいいのか。
そもそも戦争が、なるべく起こらないようにしようという姿勢をまず国にはしっかり見せてほしいと思います
石垣市議会の花谷史郎議員だ。
花谷議員は2022年12月、政府が閣議決定した安保関連3文書の改定で、敵のミサイル発射基地などを攻撃する「反撃能力」の保有を盛り込んだことや、南西諸島の防衛体制の強化を打ち出したことに懸念を示している。
石垣市議会 花谷史郎 議員:
私達島民は当然蚊帳の外状態。ましてや、国会ですら議論せずに3文書を決めてしまう。
この国の姿勢、民主主義っていうのはどうなっていくのかと。やはり、これをまず全国民が今、この民主主義の危機というところを認識していただいて、全体的に議論していただきたいなと考えています
反撃能力保有を明記 歴史的な大転換
日本のこれまでの防衛政策の基本は憲法第9条に基づく「専守防衛」。
日本の領空・領海において攻撃を受けた際に初めて迎撃し、その攻撃を退避させるというのが基本戦略だった。
しかし、今回の3文書の改定では、日本を飛び超えて他国のミサイル発射基地などへの攻撃を可能とする「反撃能力」の保有が明記され、戦後の防衛政策における歴史的な大転換となった。
大転換に踏み切った理由について岸田総理は次のように説明している。
岸田首相:
我が国の周辺国・地域においても核ミサイル能力の強化、あるいは急激な軍備増強、力による一方的な現状変更の試みなどの動きが一層顕著になっています
石垣市中山市長「すぐに必要かどうかの判断は難しい」
2023年中にも陸上自衛隊の施設が開設する石垣島。
石垣市の中山市長は政府の対応を支持している。
中山義隆 石垣市長:
反撃能力がある相手に対しては、攻撃を躊躇する可能性はあるというふうに思いますので、そういう意味では敵基地攻撃能力自体は反撃するためのですね、抑止力に繋がるというふうに思っています
中山市長は国防については国の専管事項だとする一方、石垣島に反撃能力が必要かとの質問には次のように回答した。
中山義隆 石垣市長:
持つべきだという認識ではないです。これについてはいろんな考え方があると思いますので、まずそういった説明を聞いてからでないと、すぐに石垣に必要かどうか、というような判断は難しいと思います
石垣島にもミサイル部隊が配備されるが、沖縄防衛局は市に対し現時点で反撃能力がある長距離のミサイルを配備する予定はないと説明している。
これまでの説明と違う 賛成してきた人も違和感
こうした中、2022年12月19日石垣市議会で2つの意見書が可決された。
与党議員が提案した意見書(全会一致):
あくまでも専守防衛のための自衛隊配備という説明がなされてきた経緯がある中、安保関連3文書の改定や今後の抑止力向上に伴う施設整備等については、これまで以上に十分な説明が必要なのは言うまでもない
野党議員が提案した意見書(賛成多数):
自ら戦争状態を引き起こすような、反撃能力をもつ長射程ミサイルを石垣島に配備することを到底容認することはできない
意見書を提案した花谷議員は政府が、頭ごなしに石垣島の自衛隊基地に反撃能力を持ったミサイルを配備しないか危惧している。
石垣市議会 花谷史郎 議員:
安保関連3文書によって、全然これまでの説明と違うような状況になってしまった。そうなってくるとこれまで賛成されてきた方もちょっと違和感を感じていて、そういう状況の中で、私達が市民の代弁をしてここは意見書を出さないといけない
基地の周辺に住む具志堅正さんだ。
具志堅さんは当初から自衛隊基地の配備には反対の立場だった。
具志堅正さん:
本当は受け入れたくないんですよ。ここは大自然に恩恵を受けた場所ですし、目のあたりにすれば複雑な気持ちになりますね
住民投票条例案を否決 意思表示の機会なく配備進む
反対する人達は自衛隊の受け入れについて、十分な議論や説明がされていないとして市民らが意志を示す住民投票を実施しようと、有権者の3分の1以上にあたる1万4263筆を集め市に条例の制定を要求。
しかし、市議会が2度にわたって住民投票に向けた条例案を否決した為市民が意思表示をする機会がないまま配備が進められてきた。
具志堅正さん:
よく国の専権事項とおっしゃっていますよね。それはこちらに住んでいる住民からしたら、住民の声は聞き入れてほしいんですよ
具志堅正さん:
色々な考えはあると思いますけど、ミサイル基地ができて自分たちの生活が安全になるということは一度も考えたことはありません
具志堅さんは軍備の増強で抑止力を高めることよりも外交努力を尽くし、平和的な解決を求めている。
具志堅正さん:
敵基地攻撃能力のミサイルですから、石垣島の基地も相手からすれば脅威じゃないですか。それで何か有事があれば、最初にこの島全体が有事に巻き込まれていくっていう可能性が強いんですよ
目まぐるしく変わる安全保障環境と国防政策に翻弄される島。
防衛体制の強化が声高に叫ばれる一方で、かき消されている声があることを忘れてはならない。(沖縄テレビ)》




2023年 2月 9日
昨秋嵐山の映像、竹林の小径と野宮神社もアップする。賑やかではあった。




2023年 2月 8日
22年11月24日の嵐山常寂光寺2,3をアップ。
ほぼコロナ禍前の賑わいが戻ったよう。でも皆さん静か。


2023年 2月 7日
昨年11月嵐山常寂光寺の映像をYoutubeにアップした。紅葉が例年になく濃い。



2023年 2月 5日
日記がわりに。
 31日報道1930は13年前の自民議員らの子育て支援に対する妄言・暴言を振り返る。育児を女性に任せきりのこの国は、幸福度も低く、女性国会議員の割合も最低。
 海外ニュースで仏2はウクライナの東部バフムトで市民が電気も水道も止まるなか地下室退避を余儀なくされ流様子を伝える。
 1日昼にパスタを作り、先日購入の大阪産バジルを添えると美味。夜wowwow録画の「ボケますからよろしく」を観る。呉の街並みと高齢者の佇まいがなんともいい。2日寒さが続くなか最寄りのバス停から阪神御影を往復して今年初めてうはらの湯につかり、食材買って帰宅。3日独ZDFはロシアの戦争犯罪、ミサイル攻撃で崩壊したウクライナ東部クラマトルスクの集合住宅と救助の模様を伝える。
 昨日は立春。気温も回復傾向とかで久しぶりにハーバーランドに出てテラスでお昼、しかし風がなんとも冷たかった。赤煉瓦から信号塔を巡りドック沿いを三宮に歩き、大丸地下でカワハギ見つけ、三ノ宮神社の紅梅の開花を見て帰宅。BBCはウクライナでロシアの攻撃で破壊された発電所の復旧にあたる人びとの懸命な姿と、違法なミサイル攻撃で無惨に破壊された住宅の様子を伝える。
 今日はil ventoでナポリピザの後バスで王子公園、そこから歩いて渚の湯を訪ねる。ようやく少し暖かい。



2023年 2月 4日
「見るのも嫌だ」「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「秘書官室もみんな反対する」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」3日夜荒井勝喜・首相秘書官
「見るのも嫌とは言っていない」「個人的な意見」「やりとりの中でちょっと大きく言ってしまった」「差別的なことを思っていると捉えられたとしたら撤回する」同
「岸田政権は持続可能で多様性を認め合う包摂的な社会を目指すということを申し上げてきた。今回の荒井秘書官の発言はそうした政権の方針とは全く相いれない」4日朝岸田文雄首相
「釈明は、発言者である自らの意図や考えに問題があることを認めず(むしろそこには問題などないのだということを主張し)、誤解という受け取り手の理解の失敗へと問題をずらす典型的な「ずるい言い逃れ」です。「ちょっと大きく言ってしまった」と合わせて、自らがした差別を矮小化する意図がはっきり見て取れます」「岸田首相の「社会が変わってしまう」発言の文脈や、荒井氏の「秘書官室もみんな反対する」発言に鑑みれば、これを荒井氏のみの問題として捉えるべきではない」望月優大氏コメント
「荒井秘書官発言は差別そのものであり、秘書官どころか「全体の奉仕者」たる公務員としても容認できません。ーーーこの程度の人権感覚の官僚が重用される政府が、日本の経済産業活動を活性化し、イノベーションを実現できるのでしょうか」末冨芳日本大学文理学部教授コメント
 日本国憲法第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
 岸田首相の言う「多様性」「包摂」とは、「男女平等は絶対に実現しえない、反道徳の妄想」と妄言する杉田水脈を総務政務官とし、国民を収奪するカルト教団と癒着した萩生田らの議員を閣僚や党政調会長とし、自分の長男を政務秘書官として外遊先で公用車を使って閣僚への手土産のアルマーニを爆買いさせること、そして性的マイノリティーに対して「見るのも嫌」「隣に住んでいるのもちょっと嫌」と言う偏狭極まる経産官僚を自身のスピーチライター、メディア対応秘書官とすることか。
 凄まじい「多様性」と「包摂」だが、性的マイノリティーのひとびとや沖縄のひとびとそして同性婚を求めるひとびとは置き去りにして、まったくいまという時代からも未来への志向からもずれて、なんの「多様性」「包摂」にもなっていない。
 末冨教授も指摘するように首相秘書官そして経産省職員は憲法により「全体の奉仕者」と定められた公務員であり、荒井秘書官発言はそこからあまりにも逸脱した暴言。その釈明も、自らの感性や思考に問題があると反省するのではなく受け手の誤解とする、安倍・菅そして岸田政権で首相を含めて多くの閣僚らが繰り返してきた見苦しい言い逃れを繰り返したもの。
 この国で10数年続くカルト塗れの自公政権のもと、政治家も官僚らも著しく劣化している。軍拡と原発だけに猛進し、同性婚には「秘書官室もみんな反対」する岸田政権自体が、この国のSDGsや真の多様性、寛容な未来の形成に対する大きな障壁でしかない。
 それにしても、「異次元」「次元の異なる」など首相発言の上滑りした無内容・陳腐な言葉の羅列はこの無知な秘書官がライターだったとすれば、合点がいく。相次ぐ閣僚などの辞任と秘書の公私混同と妄言。秘書官更迭ではなく、首相本人が辞任せよ。
《岸田文雄首相は4日朝、性的少数者や同性婚をめぐって差別的な発言をした荒井勝喜・首相秘書官について、記者団に「言語道断だと思っている。厳しく対応せざるを得ない発言だ。進退を考えざるを得ない」と述べ、更迭する考えを明らかにした。
同性婚「社会変わってしまう」 首相発言に専門家「差別肯定と同じ」
 荒井氏は3日夜、首相官邸で記者団の取材に、性的少数者や同性婚をめぐって「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと発言。その後「やや誤解を与えるような表現をした。撤回する」と釈明したが、首相周辺による差別的な発言に批判が相次いでいた。
首相「政権の方針とは全く相いれない」
 首相は「岸田政権は持続可能で多様性を認め合う包摂的な社会を目指すということを申し上げてきた。今回の荒井秘書官の発言はそうした政権の方針とは全く相いれない」と説明。更迭に向け「至急具体的な対応を考える」と述べた。
 複数のメディアによると、荒井氏は3日夜、官邸でオフレコを前提にした取材に対し、同性婚について「見るのも嫌だ」「秘書官室もみんな反対する」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」という趣旨の発言をした。
 荒井氏は3日に改めて記者団の取材に応じ、「見るのも嫌とは言っていない」と一部は否定したものの、発言をおおむね認めた。発言は「個人的な意見」とした上で、「やりとりの中でちょっと大きく言ってしまった」「差別的なことを思っていると捉えられたとしたら撤回する」などと語った。首相は4日に石川・福井両県を視察で訪問。荒井氏は同行する予定だったが急きょ取りやめた。
演説執筆やメディア対応 スポークスマン的役割
 荒井氏は経済産業省出身。同省総括審議官や商務情報政策局長などを経て、2021年10月の岸田政権発足と同時に首相秘書官に就いた。広報を担当し、演説の執筆やメディア対応など、首相のスポークスマン的役割を担っている。
 首相は同性婚の法制化をめぐり、1日の衆院予算委員会で「社会が変わってしまう課題」などと慎重な姿勢を示していた。
 岸田政権では昨年12月、杉田水脈(みお)・総務政務官が「男女平等は絶対に実現しえない、反道徳の妄想だ」「女性差別は存在していない」といった過去の国会での発言や、「LGBTには生産性がない」などとする月刊誌への寄稿が問題視され、事実上更迭された。
 また、昨年には、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が次々と明らかになった山際大志郎経済再生相、死刑執行を軽口に使った葉梨康弘法相、政治資金や選挙活動をめぐる問題のあった寺田稔総務相、政治資金問題などが指摘された秋葉賢也復興相の閣僚4人が相次ぎ辞任。首相は先月の施政方針演説で「今後、こうしたことが再び起こらないよう、様々な改革にも取り組んでいく」と述べていた。
コメントプラス
望月優大
(ライター)
2023年2月4日9時50分 投稿
【視点】荒井氏が『「見るのも嫌とは言っていない」と一部は否定した』とありますが、かの発言は「記者団の取材」に対してなされており、すでに「複数のメディア」によって「見るのも嫌だ」と言ったと報じられているわけですから、荒井氏の「見るのも嫌とは言っていない」という発言自体の問題についても指摘が必要ではないかと思います。
「やや誤解を与えるような表現をした」「差別的なことを思っていると捉えられたとしたら」という釈明は、発言者である自らの意図や考えに問題があることを認めず(むしろそこには問題などないのだということを主張し)、誤解という受け取り手の理解の失敗へと問題をずらす典型的な「ずるい言い逃れ」です。「ちょっと大きく言ってしまった」と合わせて、自らがした差別を矮小化する意図がはっきり見て取れます。
ですから「見るのも嫌とは言っていない」についても、その発言をそのまま受け入れて終わりにせず、その否定の発言自体の真偽について明らかにされるべきではないかと思います。「見るのも嫌だ」という言葉はきわめて攻撃的で、非常に重いです。
この件については、以下の記事にもコメントしました。
>荒井首相秘書官、性的少数者や同性婚めぐり差別的発言 その後に釈明
岸田首相の「社会が変わってしまう」発言の文脈や、荒井氏の「秘書官室もみんな反対する」発言に鑑みれば、これを荒井氏のみの問題として捉えるべきではないという趣旨のコメントです。
末冨芳
(日本大学文理学部教授)
2023年2月4日10時1分 投稿
【視点】荒井秘書官発言は差別そのものであり、秘書官どころか「全体の奉仕者」たる公務員としても容認できません。
秘書官を罷免されても、経済産業省に戻るのでしょうが、経産省が対象とする経済産業分野でもLGBTsの方々は活躍されています。
いま国連では「ビジネスと人権に関する指導原則」の各国での実装を進めており、国や経済産業部門の人権侵害が、民間部門の国際的な経済活動の制限にも影響するルールに移行しつつあります。
もちろん政府によるLGBTsへの差別も、我が国の民間部門の活動にマイナスの影響を及ぼすのです。
荒井秘書官はそのようなこともご存知ないのでしょうか。
この程度の人権感覚の官僚が重用される政府が、日本の経済産業活動を活性化し、イノベーションを実現できるのでしょうか。》




2023年 2月 3日
「へいわってなにかな。ぼくは、かんがえたよ。おともだちとなかよし。かぞくが、げんき。えがおであそぶ」
「せんそうは、おそろしい。『ドドーン、ドカーン。』ばくだんがおちてくるこわいおと。おなかがすいて、くるしむこども。かぞくがしんでしまってなくひとたち。ああ、ぼくは、へいわなときにうまれてよかったよ。(中略)へいわなよなぐにじま、へいわなおきなわ」〈「へいわってすてきだね」(ブロンズ新社)〉
「残念ながら、この詩が読まれてから10年の間に与那国島は、もはや平和な島とは呼べなくなっている。15年の住民投票で賛成多数となって自衛隊誘致が決まり、翌年3月には自衛隊沿岸監視隊が配備された。これは尖閣諸島に対する中国側の領有権の主張と示威行動への対処だった。だが、22年には国境防衛の域にとどまらないミサイル部隊の配備が発表され、23年度中に電子戦部隊も配備されることが決まっている」
「地元住民の中からは「現在の監視部隊は賛成している人でも、最初からミサイルが来ると分かっていれば賛成しなかった」という声があがる」
「外間氏(前与那国町長)は誘致時、「米軍が島に来るのは断固阻止」と公言していた。しかし、22年11月には与那国島で初めて日米共同訓練が実施され、陸上自衛隊の機動戦闘車が与那国空港から集落の中心を通る県道を走行して駐屯地に移動した」
「晴れた日には対岸に台湾が見える(距離にして約110キロ)、尖閣諸島からも約150キロしか離れていない与那国島で、昨年末に発表された国家安全保障戦略に書かれた「武力攻撃より十分に先立って、南西地域を含む住民の迅速な避難を実現」することは不可能に近い」
「元自衛隊幹部が集まって行った台湾有事シミュレーションでは、尖閣・与那国が中国軍に占拠された状況で、米国が領土奪還は自衛隊に任せ、日本の頭越しに中国と停戦交渉を始めて終わる」
「有事となれば軍ではなく住民が真っ先に死ぬ日本で、米国と同じ視点で台湾有事を語るのは愚かだ。絵本の最後のページでは「これからも、ずっとへいわがつづくように/ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ」という詩の下に、何もない与那国の真っ青な海の絵が広がる。戦略家気取りの東京の政治家と官僚にこそ、この絵本を読んでほしい」山本章子 琉球大学准教授
「昨今日米で「台湾有事シミュレーション」が盛んだが、山本氏は「有事シミュレーション」に決定的に欠けている視点を鮮やかに指摘する。「住民」だ。台湾有事論や有事シミュレーションのどれほどが、日本が「有事となれば軍ではなく住民が真っ先に死ぬ国」であることを意識したものだろうか」
「一連のシミュレーションも明らかにするように、台湾有事がひとたび起これば、戦闘員も非戦闘員も多くの人々が巻き込まれ、犠牲になる。先月、台湾の蔡英文総統も、ローマ教皇・フランシスコに宛てた書簡で、「中国との戦争は選択肢にない」という認識を示し、その上で、台湾の人々の主権と自由の尊重が中国との健全な関係の基礎であると訴えた。戦争という最悪の事態を回避しながら、台湾の人々の主権・自由をどう守るのか。日本もまた、この困難な問いに頭を悩ませ、台湾有事だけは何としても防ぐという覚悟で防衛、そして外交を進めていく必要がある」
「岸田政権は「我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」という認識のもと、安全保障政策の大転換と、防衛増税を決定した。こうした安全保障環境に関する認識は、少なくない国民も共有するところだろう。しかし日本もまた、「厳しく複雑な安全保障環境」を構成するプレイヤーである。「厳しく複雑な安全保障環境」を所与の前提とした行動を取り続けることが、日本を取り巻く安全保障環境、そして何より基地周辺の住民にどのような負の影響を与えるのか。こうした「人間」を中心とした安全保障論がもっと展開されるべきではないだろうか。山本氏の問題提起が多くの政治家や官僚、人々のもとに届くことを願う」三牧聖子 同志社大学大学院准教授(米国政治外交)
 2015年住民投票を経て2016年返還後沖縄で初めて自衛隊沿岸監視隊が新設された沖縄県与那国島への岸田政権のミサイル部隊配備計画に対して、沖縄県与那国島の小学1年生が書いた詩を引用して提言する山本章子 琉球大学准教授の「沖縄季評」投稿と、三牧聖子 同志社大学大学院准教授のコメントから。
 かつて日本国内唯一の壮絶な地上戦で、兵士を上回る県民の4人に1人、12万人が亡くなった沖縄。その後米軍が関わったベトナム(南158 万 1000 人、北300万人)、イラク(WHO推計15万1000人、ランセット推計65万4965人)、アフガニスタン( 国連UNAMA推計42162人)でも夥しい民間人犠牲者を出している。そして今ウクライナでも。
 こうした自国或いは諸国の歴史に学ぶことも向き合うこともせず、有事に最前線となる国民の存在に思い至ることもなく、ただ米国に追随する軍備拡張ゲームに耽溺する、岸田首相をはじめとする愚かな政治家たち。もう一度小学1年生から勉強し直すべきだろう。
《1歳半の子供は絵本が好きで、朝晩、本棚から読んでほしい本を次々と引っ張り出してくる。最近のお気に入りは「へいわってすてきだね」(ブロンズ新社)で毎日のように読みきかせをせがむ。沖縄県与那国島の小学1年生が書いた詩に絵をつけた作品だ。この詩は、沖縄戦の組織的戦闘が終わった6月23日に毎年行われる沖縄全戦没者追悼式に合わせて、沖縄県がつのる「児童・生徒の平和メッセージ」に2013年、寄せられた。
やまもと・あきこ
1979年生まれ。琉球大学准教授。専攻は国際政治史。「日米地位協定」で石橋湛山賞を受賞した。
 絵本は中古書店で安かったから自分用に買ったもので、1歳半が興味を持つのは予想外だった。動物好きな子供の目当ては、ほのぼのとした動物のイラストで「ワンワン(シーサー)!」「パッカパッカ(与那国馬)!」と指さし、「もしもしカメよ」など保育園で覚えた、童謡に合わせて振りつけた踊りを披露する。
 冒頭から言葉の魅力にひきこまれているのは大人の方だ。「へいわってなにかな。ぼくは、かんがえたよ。おともだちとなかよし。かぞくが、げんき。えがおであそぶ」。なんという美しいリズム。簡潔でありながら力強いその言葉。この約1年間ウクライナから送られてくる、別離を強いられる家族やコートを着たまま疲れきって外で眠る子供たちの映像を見れば、この言葉がいかに真理をついているかがよく分かる。
 「せんそうは、おそろしい。『ドドーン、ドカーン。』ばくだんがおちてくるこわいおと。おなかがすいて、くるしむこども。かぞくがしんでしまってなくひとたち。ああ、ぼくは、へいわなときにうまれてよかったよ。(中略)へいわなよなぐにじま、へいわなおきなわ」。声に出して一言一言かみしめる。何度読んでも飽きない。
 残念ながら、この詩が読まれてから10年の間に与那国島は、もはや平和な島とは呼べなくなっている。15年の住民投票で賛成多数となって自衛隊誘致が決まり、翌年3月には自衛隊沿岸監視隊が配備された。これは尖閣諸島に対する中国側の領有権の主張と示威行動への対処だった。だが、22年には国境防衛の域にとどまらないミサイル部隊の配備が発表され、23年度中に電子戦部隊も配備されることが決まっている。
 地元住民の中からは「現在の監視部隊は賛成している人でも、最初からミサイルが来ると分かっていれば賛成しなかった」という声があがる。戦後間もなくは人口約6300人を有していたが、年々過疎化して現在は約1700人が暮らす与那国島の住民が、自衛隊の駐留に最も期待していたのは人口と財源の増大だ。住民税も増え、隊員が参加することで島の伝統行事も活気づく。交付金で島のインフラ整備も行える。
 しかし自衛隊は、台湾侵攻を想定した中国軍の行動の活発化と米中対立の先鋭化の中で、住民の思惑を超えて増強されている。自衛隊の誘致活動を展開した前与那国町長の外間守吉(ほかましゅきち)氏は、「町の総人口に対し、4分の1以上の自衛隊員が来るのはいけない。人口15%以内にしてくれと政府に言ってきたが、これ以上増えるのは想定していない」と琉球新報に語っている。自衛隊員とその家族が選挙を通じて島の自治を左右することを憂慮した発言だが、手遅れだといわざるをえない。
 外間氏は誘致時、「米軍が島に来るのは断固阻止」と公言していた。しかし、22年11月には与那国島で初めて日米共同訓練が実施され、陸上自衛隊の機動戦闘車が与那国空港から集落の中心を通る県道を走行して駐屯地に移動した。
 国際法上、軍民分離の原則があるが、軍が使う施設や道路を一般住民が使うと軍の一部と見なされ住民も敵から攻撃される。訓練は、有事には与那国空港も県道も避難する住民が使えなくなることを示している。
 かといって、晴れた日には対岸に台湾が見える(距離にして約110キロ)、尖閣諸島からも約150キロしか離れていない与那国島で、昨年末に発表された国家安全保障戦略に書かれた「武力攻撃より十分に先立って、南西地域を含む住民の迅速な避難を実現」することは不可能に近い。昨年8月には、ナンシー・ペロシ米連邦議会下院議長の訪台直後、中国軍が台湾周辺で軍事演習を行い、与那国島沖約80キロに弾道ミサイルが着弾した。与那国町議会は現在、避難シェルターの設置を国に求めている。
 元自衛隊幹部が集まって行った台湾有事シミュレーションでは、尖閣・与那国が中国軍に占拠された状況で、米国が領土奪還は自衛隊に任せ、日本の頭越しに中国と停戦交渉を始めて終わる。自衛隊は与那国島内に残された住民に中立地帯を作らせ、住民保護と島奪還作戦を両立する想定だが、ウクライナにおけるロシア軍の振る舞いを見るかぎり、敵が住民を盾にしないとはいえない。
 有事となれば軍ではなく住民が真っ先に死ぬ日本で、米国と同じ視点で台湾有事を語るのは愚かだ。絵本の最後のページでは「これからも、ずっとへいわがつづくように/ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ」という詩の下に、何もない与那国の真っ青な海の絵が広がる。戦略家気取りの東京の政治家と官僚にこそ、この絵本を読んでほしい。
コメントプラス
三牧聖子
(同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
【視点】昨今日米で「台湾有事シミュレーション」が盛んだが、山本氏は「有事シミュレーション」に決定的に欠けている視点を鮮やかに指摘する。「住民」だ。台湾有事論や有事シミュレーションのどれほどが、日本が「有事となれば軍ではなく住民が真っ先に死ぬ国」であることを意識したものだろうか。
米シンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)は1月9日、中国軍が2026年に台湾へ上陸作戦を実行すると想定し、独自に実施したシミュレーションの結果を公表した(The First Battle of the Next War: Wargaming a Chinese Invasion of Taiwan)。日本のメディアでも大々的に報道されたその内容は、(1)大半のシナリオで中国は台湾制圧に失敗する、(2)しかしいずれのシナリオでも、米軍や自衛隊には、多数の艦船や航空機を失うなど大きな損失が出る、というものだった。これらの結果を踏まえてCSIS報告書は、台湾有事の際にその防衛の要になるのは日本であり、日本の米軍基地を使えなければ米国の戦闘機などが効果的に戦闘に参加できないと警告し、日米の外交・防衛協力をいっそう深化させるべきだと提言している。
この報告書でも、台湾有事の際に生じうる「犠牲」について随所で言及されている。しかし、それはいずれも軍人か、あるいは抽象的な言及にとどまる。基地周辺の住民の命と安全についてどう考えているのか。報告書から容易にうかがい知ることはできない。
一連のシミュレーションも明らかにするように、台湾有事がひとたび起これば、戦闘員も非戦闘員も多くの人々が巻き込まれ、犠牲になる。先月、台湾の蔡英文総統も、ローマ教皇・フランシスコに宛てた書簡で、「中国との戦争は選択肢にない」という認識を示し、その上で、台湾の人々の主権と自由の尊重が中国との健全な関係の基礎であると訴えた。戦争という最悪の事態を回避しながら、台湾の人々の主権・自由をどう守るのか。日本もまた、この困難な問いに頭を悩ませ、台湾有事だけは何としても防ぐという覚悟で防衛、そして外交を進めていく必要がある。
岸田政権は「我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」という認識のもと、安全保障政策の大転換と、防衛増税を決定した。こうした安全保障環境に関する認識は、少なくない国民も共有するところだろう。しかし日本もまた、「厳しく複雑な安全保障環境」を構成するプレイヤーである。「厳しく複雑な安全保障環境」を所与の前提とした行動を取り続けることが、日本を取り巻く安全保障環境、そして何より基地周辺の住民にどのような負の影響を与えるのか。こうした「人間」を中心とした安全保障論がもっと展開されるべきではないだろうか。山本氏の問題提起が多くの政治家や官僚、人々のもとに届くことを願う。》




2023年 2月 2日
「台湾有事、それは日本有事です。すなわち、日米同盟の有事でもあります。習近平主席は、断じて見誤るべきではありません」2021年12月安倍晋三元首相
「ベトナム戦争とかイラク戦争とか、あるいは湾岸戦争。アフガン戦争。こういう戦いに自衛隊を送り込んで戦うということ、これはもう絶対ないということなんです。これは必要最小限度を超えていますし、もちろん、果たして日本の存立に関わるのかといえばそんなことありませんから、そこにおいて集団的自衛権を行使することはない」 〈「アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対ない」 安倍首相が集団的自衛権に関する疑問に回答 〉2015年8月4日   https://logmi.jp/business/articles/81657
「安全保障関連法は、台湾有事に日本が自動参戦する仕掛けだった。だまされた」「安保法は日本の存亡に関わる悪法だ」「安倍氏が戦争を「できる国」に変え、岸田氏が戦争を「する国」に変えた」「日本は『一つの中国』を認めている。冷たいようだが、台湾有事を内戦と捉えて線を引くことは可能だ。台湾有事は日本有事、と自明のごとく考えるのはおかしい。日米安保を至上のものとして守るのか、それとも国民の命を守るのか」共同通信 石井暁専任編集委員
・15年の安保法で政府が例示したのは朝鮮半島や中東・ホルムズ海峡だったが、導入された二つの「事態」は今焦点化される台湾有事にあつらえ向き。
・中台の武力紛争が発生した場合、米海兵隊の小規模部隊が中国の艦船、航空機に対する攻撃に備え、南西諸島の島々に分散展開する。日本は「重要影響事態」と認定し、自衛隊が輸送や弾薬補給で支える。
・米国が軍事介入に踏み切った場合は、日本は「存立危機事態」に認定を進める。集団的自衛権行使による参戦に道が開かれる。
 安部~岸田政権が進める安保法制定から防衛力増強と反撃能力保有への「安全保障政策の大転換」なるものの本質は、中台武力紛争に際して日本の参戦をもたらす、戦争を「できる国」から「する国」への転換であることを端的に指摘する沖縄タイムズ阿部岳記者の記事。
 安倍政権は14年の集団的自衛権解釈変更の閣議決定や15年の新安保法制定時、「邦人を乗せた米輸送艦の防護」「周辺有事で武力攻撃にさらされている米艦の防護」「米国に向けたミサイルが、日本上空を横切る際の迎撃」など集団的自衛権行使の8事例についての説明で「日米同盟に関わる事態は対象の可能性大」とするのみで「台湾有事」は一言も触れていない。国民と国会を騙して成立させた憲法違反の法制で、米軍の最前線で自衛隊員とおもに沖縄の住民を巻き込んで行う、ミサイルと砲弾の撃ち合いという戦争ごっこ。
 沖縄の日本復帰後、初めて自衛隊施設が新設された与那国島では、2015年2月22日陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の是非を問う住民投票が行われたが、住民に示されたのは「沿岸監視部隊配備」のみ。岸田政権は昨年12月来年度の予算案に与那国島の陸上自衛隊の駐屯地などにミサイル部隊を配備するための関連費用を盛り込んだ。有事にみずからは絶対に最前線に立たないのに、制服を着て嬉しそうに戦車に乗る首相の、これも主権者である住民・国民騙しの醜悪な手法。こういう政権は退陣あるのみ。
《2021年12月。台湾のシンクタンクに依頼されたオンライン講演で、安倍晋三元首相が「台湾有事、それは日本有事です」と発言した。「すなわち、日米同盟の有事でもあります。習近平主席は、断じて見誤るべきではありません」と続け、口を一文字に結んだ。
 共同通信の石井暁(ぎょう)専任編集委員は講演内容を聞いて気付いた。「安全保障関連法は、台湾有事に日本が自動参戦する仕掛けだった。だまされた」
 防衛省、自衛隊を取材して30年近く。安倍氏が全力を挙げた15年の安保法成立も見届けた。当時、政府が例示したのは朝鮮半島や中東・ホルムズ海峡だったが、導入された二つの「事態」は今焦点化される台湾有事にあつらえ向きだ。
 中台の武力紛争が発生した場合、米海兵隊の小規模部隊が中国の艦船、航空機に対する攻撃に備え、南西諸島の島々に分散展開する。日本は「重要影響事態」と認定し、自衛隊が輸送や弾薬補給で支える。
 実際に日米共同作戦計画の原案がこうした前提で策定されたことを、石井氏は特報した。中国が日米一体の武力行使と見なせば、南西諸島など日本の領域を攻撃する可能性がある。
 米国が軍事介入に踏み切った場合は、日本は「存立危機事態」に認定を進める。集団的自衛権行使による参戦に道が開かれる。
 この二つの事態がなければ、日本は米国に参戦を迫られても応じる根拠がなかった。今は逆に断る理由が消えた。石井氏は「安保法は日本の存亡に関わる悪法だ」と批判する。
 岸田文雄首相はさらに反撃能力(敵基地攻撃能力)保有を決め、防衛費を大幅に増やす。安倍氏が戦争を「できる国」に変え、岸田氏が戦争を「する国」に変えた、と石井氏は表現する。
 この段階に来て、日本は、主権者はどう行動すべきか。石井氏はまず有事を起こさせない外交努力を説き、起きてしまった場合でも在日米軍基地からの出撃を安保条約に基づく事前協議で拒否する、たとえ政府が事態認定しても国会が承認しない、などの手段は残されていると強調する。
 「日本は『一つの中国』を認めている。冷たいようだが、台湾有事を内戦と捉えて線を引くことは可能だ。台湾有事は日本有事、と自明のごとく考えるのはおかしい」と指摘し、問いかける。「日米安保を至上のものとして守るのか、それとも国民の命を守るのか」




2023年 2月 1日
「全大臣に買ったと承知している。ポケットマネーで買った。具体的な内容は控える」岸田文雄首相
「プライベートのお土産を買うことは、首相秘書官の公務か。公私混同ではないか」立憲民主党後藤祐一議員
「政治家としての首相のお土産を購入するのは政務秘書官の本来業務に含まれうる。公務だ」31日衆院予算委員会
「ありえない。他の閣僚も外遊をするのに、なぜ閣僚への土産を買うために政務秘書官を走り回らせるのか」首相秘書官経験者
・ある閣僚の議員事務所では、外遊後の19日午後に首相の事務所に詰める秘書が訪れ、「岸田首相からこのたびの外遊のお土産です」と紙袋を手渡されたという。袋の中の箱には「内閣総理大臣 岸田文雄」の名刺が貼ってあり、イタリアの高級ブランド「ジョルジオ・アルマーニ」のネクタイが入っていた。
「政務の首相秘書官が税金を使って『私的な』土産を買いに行くことに、国民が疑問を抱くのは当然だ。首相秘書官に期待される仕事と言えるのかも疑念が残る。身内を首相秘書官に任命している時点で『公私混同』との批判があるのに、さらに批判が増すようなことが起きるのは、首相と国民の間に大きな感覚の隔たりがあるのではないか」法政大大学院 白鳥浩教授(現代政治分析)
 安倍の桜を見る会の私物化や管の長男秘書の民間企業との癒着に次いで、長男を政策秘書に任命した政治家業3代目岸田首相の政治の私物化と公私混同が無残極まる。
 みずからの内閣閣僚らへの「ボケットマネー」でのアルマーニ土産買いや、公用車を利用しての観光地巡りが、国家公務員法第二条で特別職公務員と規定される政務担当首相秘書官の公務では絶対にあり得ない。どうしても必要なら、勤務時間外に自費でするべきこと。就任時にも薄ら笑いしながら自衛隊戦車に乗り、コロナ感染死者最多を記録するなかで5類移行とマスク着用だけを論うこの人物は、まともに国民や国際社会の喫緊の課題に正対して尽力しようという気概は皆無。長男もろとも辞任すべし。
《岸田文雄首相は31日の国会質疑で、政務秘書官を務める長男の翔太郎氏(32)が外遊時に公用車を用いて土産を買い、観光地を訪れたことを「公務」と明言した。土産は閣僚に向けたものだと説明。中身は高級ブランドのネクタイとみられる。翔太郎氏の行動には「公私混同」との見方もあり、政権内から批判の拡大を懸念する声が漏れる。
 首相は31日の衆院予算委員会で、翔太郎氏が英国の高級百貨店「ハロッズ」で購入した土産の用途などを立憲民主党の後藤祐一氏に問われ、「全大臣に買ったと承知している」と語った。「ポケットマネーで買った」と強調しつつ、中身や金額など「具体的な内容は控える」とした。
 後藤氏は「プライベートのお土産を買うことは、首相秘書官の公務か。公私混同ではないか」とも質問。首相は「政治家としての首相のお土産を購入するのは政務秘書官の本来業務に含まれうる」「公務だ」と明言した。
 この日の閣議後会見では、質問を受けた閣僚13人のうち、10人が土産を受け取ったと説明した。だが、いずれも土産の中身は「プライベートに関すること」などとして回答を避けた。河野太郎消費者相は「他の閣僚が何をいただいているかわかりませんから、私が何をと言うのはちょっと避けたい」。高市早苗経済安全保障担当相は「内容を言ったら、角が立っちゃうんじゃないでしょうか」と述べた。
身内登用の批判はあるけれど 秘書官になった首相の息子はどんな人?
 一方、ある閣僚の議員事務所では、外遊後の19日午後に首相の事務所に詰める秘書が訪れ、「岸田首相からこのたびの外遊のお土産です」と紙袋を手渡されたという。袋の中の箱には「内閣総理大臣 岸田文雄」の名刺が貼ってあり、イタリアの高級ブランド「ジョルジオ・アルマーニ」のネクタイが入っていた。別の閣僚も取材に、土産がネクタイだったと明らかにした。
 首相は1月9〜15日にフランス、イタリア、英国、カナダ、米国を歴訪。このうち、現地時間の1月10日夕にロンドンに到着。11日にスナク首相と会談や視察などの日程をこなし、その日の夜には政府専用機で次の目的地であるカナダに向かった。時間的な制約や警備面からも、首相自身が土産を買う時間はなかったとみられる。
自民幹部「個人で判断」、秘書官経験者は「ありえない」
 首相秘書官には政務秘書官と事務秘書官がいる。翔太郎氏は政権運営や政治活動を中心にサポートする政務秘書官で、首相の最側近にあたる。
 首相は31日の予算委で、政務秘書官の役割を「(各省から派遣される)事務秘書官と役割を分担しながら首相を補佐する立場だ」と説明した。首相の土産購入については「誰がやるかを考えた場合、政務秘書官が対応するのが現実にあるのだと思う」と述べた。立憲の後藤氏は「空いた時間に土産を買うのは良いが、これを公務というのはいかがなものか」と疑問を示した。
 官房副長官や経済産業相を歴任した自民党の世耕弘成参院幹事長は31日の会見で、自身も閣僚時代の海外出張の際に、国会の日程調整を担う理事らに土産を買っていたとして、「個人で判断することではないか」と述べた。
 だが、自民党政権の首相秘書官経験者は「ありえない。他の閣僚も外遊をするのに、なぜ閣僚への土産を買うために政務秘書官を走り回らせるのか」と首をひねる。ある官邸幹部は、翔太郎氏の秘書官起用に「身内びいき」との批判があった経緯に触れ、「世論がどう思うかだ」と批判の広がりを懸念する。自民の梶山弘志幹事長代行は会見で「批判は真摯(しんし)に受け止めなければならない。いつも見られているという思いで行動しなければならない」と語った。
 外遊の全行程に同行した翔太郎氏の行動をめぐっては、日本大使館の公用車を利用して、パリやロンドンの観光名所を訪れていたと週刊新潮が報道。政府は対外発信に使うための撮影や、首相の土産購入などが目的で、観光や私用の買い物といった「不適切な行動はなかった」とする。しかし、撮影した写真はこれまで対外発信で使用されていない。
 法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)は、「政務の首相秘書官が税金を使って『私的な』土産を買いに行くことに、国民が疑問を抱くのは当然だ。首相秘書官に期待される仕事と言えるのかも疑念が残る。身内を首相秘書官に任命している時点で『公私混同』との批判があるのに、さらに批判が増すようなことが起きるのは、首相と国民の間に大きな感覚の隔たりがあるのではないか」と指摘する。
 翔太郎氏は慶大法学部を卒業後、大手総合商社の三井物産に勤め、20年に退職して岸田文雄事務所の公設秘書を務めた。昨年10月に首相の政務秘書官に起用されたが、与党議員からも「身内びいきと批判される」などと懸念の声が上がっていた。(楢崎貴司 小木雄太)》






                                                                                                                                                                 
  
     





























Copyright © 2014 fukupulio.org All Rights Reserved.