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2023年 4月28日
「笹川(勝共連合の名誉 会長)は右翼団体では最高の幹部。部下に児玉誉士夫がいます。利用価値があるからです」68年3月3日
「日本政治、世界の実力者である岸首相、岸信介という人が日本で信望がよいので、この人を笹川のおじいさんと組ませ、私たちの計画通り踊らせたのです」69年5月12日
「今回は安倍が首相になるはずでした。中曽根も私(文)の世話になった人です。ところが1時間でひっくり返った。安倍が首相になることが公知の事実でした」87年11月1日
「日本の首相になろうとする人たちにも、私の力が必要です。安倍がならなければならなかった。安倍晋太郎。誓約書。誰と? 秘密です」同年11月15日
「日本で霊感商法という台風が吹いてくることはわかっていました。国家的な戦いをしなければならない。朝日、読売、赤旗や5大新聞が特集で取り上げ、自民党から共産党、社会党も合わせて統一教会を排除することに乗り出した。その戦いを私は一人でやりました」88年2月18日
「261人の国会議員を304人にしたのが私です。勝共議員が自民党内に180人います。一昨年の選挙当時に日本のお金で60億円以上使いました。統一教会は怖いです。40人なら1人当選させることができます。訓練された精鋭部隊。1人何軒訪問できるかといえば最低で300軒、最高の記録は1300軒です」88年2月18日
「国会内に教会を作るのです。そこで原理を教育することなど、すべてが可能になる。国会議員の秘書を輩出し、国会内で組織体制を形成する。自民党の安倍派などを中心に、久保木{日本教会の久保木修己(くぼきおさみ)会長(当時)}を中心として超党的に議員の数を徐々に増やしていかなければならない。ーー全国的な行動結束と挙国。ーー日本の中央の国会議員だけでなく、地方にはみなさんがいますよね」89年7月4日
「岸首相のときから私が手を出したのです。中曽根のときは130人の国会議員を当選させました」04年9月16日
「安倍が首相になったと聞いています」06年10月3日
「安倍晋三が首相ですよね。それは先生(文の自称)と近いですよ。安倍晋太郎を先生が日本の首相にすれば、漢南洞(ハンナムドン)を訪問すると約束していました」同年11月23日
「日本の統一運動が何よりも重点を置いたのは議員渉外と原理教育。後援会の結成を通じて多くの議員を支援し、統一原理セミナーで数多くの議員を教育した。16年の世界平和国会議員連合の日本での大会で、現役国会議員と議員秘書ら100人以上が集った。国会議員に真(まこと)の父母様(文鮮明・韓鶴子〈ハンハクチャ〉夫妻)のみ言(ことば)と理念、『原理』を教育し、天の願われる方向で政策を推進するようにします」宋龍天17年1月川崎市研修会
 自らを「再臨したメシア」と妄言する旧統一教会創始者文鮮明の「(御言〈みことば〉)選集」(615巻・韓国語)を検証する、毎日に続く朝日の記事からの文の言葉。
 笹川、児玉そして岸ら日本の右翼と結託してそれらを利用しながら、朝鮮半島だけでなく世界を統合するという野望のために、この国の政治と宗教に内政干渉どころではなく深く介入して霊感商法、高額献金さらに政権の私物化まで目論んだこの教団とこの国の政治の深い闇が、「教祖」自身の言葉で語られている。
 日本を「アダム国」韓国に奉仕すべき「エバ国」とする外国教団に岸信介以来骨の髄まで染み込まされた自民党こそ、徹底的にこのカルトとの関わりを検証すべき責任があるが、岸田政権は萩生田政調会長や加藤、高市、西村、岡田らの閣僚らと磯崎・木原官房副長官など副大臣、政務官を合わせ30人が旧統一教会と祝電、選挙支援、パーティー券購入などの接点があるにも関わらず、全て不問のまま。
 しかもその教団の解散命令すら、今年3月までの年度内に行わず質問権を行使するだけで、所管の文化庁合田哲雄次長は「週刊文春」の取材に対して、6回目の質問権行使にも「全く見通しが立っていない」とする現状。
 「夫婦別姓は家族の解体を意味する。左翼的かつ共産主義のドグマ」(安倍晋三)と骨の髄まで「統一教会」「国際勝共連合」の家父長制と冷戦思考に染まった自民党において、それらを何ら反省せず安倍派や日本会議など時代遅れの右翼思想に諂いながら、わずか5区の衆参補選の結果を国民の信任と解釈する岸田政権に、この国の未来を切り開くことなど出来はしない。
《世界平和統一家庭連合(旧統一教会)創始者の文鮮明(ムンソンミョン)氏が、日本の政界との関係強化を繰り返し信者に訴えていたことが、過去の発言録から明らかになった。発言には真偽不明な部分もあるが、特に自民党の岸信介氏、安倍晋太郎氏、安倍晋三氏の3代の政治家を重要視していたことが浮かび上がってくる。
自民党と旧統一教会、共鳴の半世紀 岸信介元首相から続く歴 史
 発言録は教団系の出版社が韓国で発行した「文鮮明先生マルスム(御言〈みことば〉)選集」。教団創設2年後の1956年から2009年までの約53年間に、文氏が信者らを前にした韓国での説教などで語った言葉が韓国語で記され、文氏が死去した12年まで計615巻が発行された。日本の教団広報は「文教祖が韓国で語った説教をまとめた内容。信者が拝読するが、信者の行動指針として特別に使われることはない」と説明している。
 選集は絶版になっているが、同内容とみられる文書が転載さ れたネット上のサイトで全文を確認できる。このサイトについて教団広報は「原本を不法にコピーして掲載しており、教団とは関 係がない。不法転載で著作権を侵害しているとして、韓国の教団がサイト側に対し、法にのっとった措置を促している」としてい る。安倍晋太郎氏への言及
 日本政治に関する発言で何度も文氏が言及したのが晋太郎氏の名前だ。 87年10月、中曽根康弘首相の後継を競った晋太郎氏と竹下登、宮沢喜一両氏の「ニューリーダー」3人が自民党総裁選に立候補したが、中曽根氏により竹下氏に一本化された。「中曽根裁定」と言われ、晋太郎氏はその後首相になることなく、91年に亡くなった。
 文氏は晋太郎氏の首相就任を強く望んでいたとみられ、裁定 への不満を繰り返し述べている。裁定後間もない87年11月1日(選集第169巻)には「今回は安倍が首相になるはずでし た。中曽根も私(文氏)の世話になった人です。ところが1時間でひっくり返った。安倍が首相になることが公知の事実でした」 と発言。 同年11月15日(170巻) には「日本の首相になろうとする人たちにも、私の力が必要です。安倍がならなければならなかった。安倍晋太郎。誓約書。誰 と? 秘密です」と、真偽不明の「誓約書」に触れた。発言録をたどると、文氏はその後も20年近くにわたり、中曽根裁定を批 判する発言を20回以上繰り返している。「安 倍派を中心に」
 89年7月4日(192巻)には、「(日本の)国会議員との関係強化」を説いた。「国会内に教会を作るのです」「そこで原理を教育することなど、すべてが可能になる」と述べた。
 さらに「国会議員の秘書を輩出し、国会内で組織体制を形成 する」とも語った。日本教会の久保木修己(くぼきおさみ)会長(当時)の名を挙げて「自民党の安倍派などを中心に、久保木を 中心として超党的に議員の数を徐々に増やしていかなければならない」と発言した。「全国的な行動結束と挙国」を強調し、「日 本の中央の国会議員だけでなく、地方にはみなさんがいますよね」と述べ、地方政治にも触れた。 晋太郎氏は88年、文氏が創設した政治団体「国際勝共連合」が東京 都内のホテルで開いた「新春の集い」に来賓として出席。当時の朝日新聞は「選挙や党活動への物心両面の協力に感謝を述べた」 と伝えている。 日本の国会議員に影響を 及ぼそうとしたことは、12年の文氏死去後もうかがえる。教団の機関誌「世界家庭」(17年3月号)によると、韓国人幹部で 関連団体のトップを務めていた宋龍天(ソンヨンチョン)氏は17年1月に川崎市で開かれた信者の研修会で、「日本の統一運動 が何よりも重点を置いたのは議員渉外と原理教育」「後援会の結成を通じて多くの議員を支援し、統一原理セミナーで数多くの議 員を教育した」と述べた。「16年の世界平和国会議員連合の日本での大会で、現役国会議員と議員秘書ら100人以上が集っ た」と報告した。「国会議員に真(まこと)の父母様(文鮮明・韓鶴子〈ハンハクチャ〉夫妻)のみ言(ことば)と理念、『原 理』を教育し、天の願われる方向で政策を推進するようにします」などと語った。
安倍晋三首相にも言及
 中曽根裁定から約20年後。晋太郎氏の次男、晋三氏が首相に就任した1週間後の06年10月3日(541巻)、文氏は「安倍が首相になったと聞いています」と発言している。同年11月23日(545巻)には「安倍晋三が首相ですよね。それは先生(文氏の自称)と近いですよ。安倍晋太郎を先生が日本の首相にすれば、漢南洞(ハンナムドン)を訪問すると約束していました」と述べた。文氏は87年以来、晋太郎氏が首相になればソウルの漢南洞にあった自宅を訪れる約束だったと、たびたび語っている。
岸、笹川両氏との関係
 文氏が日本の政治家との関係強化を求めたきっかけは60年代、晋三氏の祖父・岸氏の時代にさかのぼる。
 教団は64年7月、日本で宗教法人に認証された。同年11 月、本部教会を東京都渋谷区にある岸氏の自宅隣の建物に移転した。
 文氏は「共産主義に打ち勝つ」ためと して「国際勝共連合」を68年に韓国と日本で相次いで設立。勝共連合の機関誌「世界思想」(2012年11月号)による と文氏は67年、山梨県で日本船舶振興会会長の笹川良一氏らと開いた「アジア反共連盟結成準備会議」で日本での活動につ いて合意した。勝共連合の名誉会長には笹川氏が就いた。
 文氏は68年3月3日(159巻)の発言で「笹川は右翼団 体では最高の幹部。部下に児玉誉士夫がいます。利用価値があるからです」と評した。さらに69年5月12日(160巻)には こう語った。「日本政治、世界の実力者である岸首相、岸信介という人が日本で信望がよいので、この人を笹川のおじいさんと組 ませ、私たちの計画通り踊らせたのです」
 岸氏は笹川氏とともに戦後、起訴は免 れたがA級戦犯容疑者として収監された経緯もあって親しく、勝共運動を後押しした。

「霊感商法という台風」
 文氏が岸氏ら政治家に接近し始めた60 年代、原理研究会の勧誘活動で大学生の子どもを奪われたとする親たちが、父母の会を結成して反対運動を展開した。87年 には「霊感商法」を追及し被害救済に取り組む弁護士連絡会が結成された。
 霊感商法追及の動きに対し、文氏は88年2月18日(173巻)にこう語った。「日本で霊感商法という台風が吹いてくることはわかっていました。国家的な戦いをしなければならない。朝日、読売、赤旗や5大新聞が特集で取り上げ、自民党から共産党、社会党も合わせて統一教会を排除することに乗り出した。その戦いを私は一人でやりました」
「勝共議員が自民党内に180人」
 選挙支援についての発言も残されている。中曽根政権下で衆参同日選となった86年7月、自民党は追加公認も含め衆院で解散時より50議席以上多い304議席を獲得して圧勝した。
 文氏は88年2月18日(173巻)、選挙結果をこう振り返った。「261人の国会議員を304人にしたのが私です。勝共議員が自民党内に180人います」
 さらにこうも語った。「一昨年の選挙当時に日本のお金で60億円以上使いました」「統一教会は怖いです。40人なら1人当選させることができます。訓練された精鋭部隊。1人何軒訪問できるかといえば最低で300軒、最高の記録は1300軒です」
 04年9月16日(468巻)にも「岸首相のときから私が手を出したのです。中曽根のときは130人の国会議員を当選させました」と述べた。
 文氏が創刊にかかわった教団系の日刊紙「世界日報」は86年7月の衆参同日選の翌日、国際勝共連合の名で「勝共推進議員130人の当選を祝す」と題する全面広告を載せた。当選した自民党や民社党の衆参両院議員計117人の名を並べている。
金丸氏への銃撃
 文氏は他の自民党大物議員との深い関係についても述べている。
 文氏は92年3月26日に来日し、金丸信・元副総理と31日に会談した。文氏は84年、米国で所得税法違反などの罪で禁錮1年6カ月の有罪判決を受けて服役。日本の入管法令上は入国できなかった。ところが「国会議員の会との意見交換」の目的などで、法相が入国を特別許可した。
 働きかけたのが、実力者の金丸氏ら自民党の政治家だった。金丸氏は92年4月、朝日新聞の取材に「入国できないというので、私が便宜を図ってもらえるように法務省にかけあった」と認めている。
 金丸氏は会談前の3月20日、栃木県で演説中に右翼団体の男から銃撃された。3〜5メートルの至近距離から3発撃たれたが、弾がそれてけがはなかった。
 会談を終えた文氏は4月1日に韓国に帰国。3日(228巻)にこう語った。「金丸は私を招待した人です。5メートルの距離で3発撃った弾が体には一つもかすらず、どこかへ行ってしまいました」「神に守られました。文総裁に会わなければ日本とアジアの間に事故が起きてよくないので、文総裁のおかげで生かしてくれたのです」
旧統一教会元信者の仲正昌樹・金沢大教授(政治思想史)の話
 大学生時代から計11年半、信者だった。発言録の内容は、「お父様(文鮮明氏)のお考えはこうだ」と教団幹部から伝えられた内容とほぼ一致している。岸信介元首相の娘婿である安倍晋太郎氏の首相就任に期待したが、中曽根康弘氏に裏切られたという話も聞いたことがある。
 文氏は教団では「再臨したメシア(救世主)」と位置づけられ、その発言「御言葉(みことば)」は「神の啓示」や「摂理」(神の導き)と受けとめられている。文氏の説教を聞いた教団幹部は、内容の矛盾や過激な表現を整えて信者に伝えた。信者は「御言葉をノートに記録したり、外部にそのまま伝えたりしてはいけない」と指示されていた。
 文氏らが「反共」を旗印に日本の保守政治家との関係強化をめざしたのは、日米の有力政治家と結びつくことが、韓国内での教団の政治的影響力を強め、教団主導で南北朝鮮統一を果たすため必要と考えたからだ。文氏が日本統治時代に生まれて日本留学経験もあり、日本語を母語のように話せることも、日本との特別なつながりの背景にある。
 岸氏や安倍氏ら、教団が重視する自民党政治家の名は口頭で伝えられ、多くの信者も知っていた。しかし対外的にはまずいので、教団外で口外したり機関紙などの印刷物に書いたりしないよう指示されていた。
文鮮明氏と教団
 文鮮明(ムンソンミョン)氏は1920年に日本統治下の朝鮮北部・平安北道で生まれた。41年に来日し早稲田大付属早稲田高等工学校に入学。43年に朝鮮半島に戻り、54年に韓国で世界基督教統一神霊協会(旧統一教会)を設立。日本での布教は58年に始まり、64年に宗教法人の認証を受けた。
 共産主義に打ち勝つためとして68年に国際勝共連合を創設。東西冷戦の崩壊に伴い、91年に訪朝し金日成主席と会談した。2012年の死去後、教団は妻の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁が継いだが、息子らとの後継争いで分裂している。15年には「世界平和統一家庭連合」とする名称変更が文化庁に認められた。》
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2023年 4月27日
久しぶりの快晴。
 夙川からさくらやまなみバスで有馬に向かうが、白水渓での土砂崩れで同御苑は止まらず迂回ルートで初めての景色を眺めながら有馬着。
 海外客もいるが連休前だからか人出は多くなく、まさに名前通りのスプリングテラスでお昼をいただき二ヶ月ぶりに康貴の銀・金泉につかる。桜の開花は過ぎた川沿いを温泉駅まで歩き神鉄を経て三宮で食材買って帰宅。
 明日も晴れだが、残念ながらGWは曇天続きの予報。



2023年 4月26日
「議席を増やしていただくことができた。与党・自民党が重要政策課題だと掲げたものについて、『しっかりとやり抜け』という叱咤(しった)激励をいただいたものであると受け止めている」24日午前
「現行の健康保険証を廃止し、「発行・交付義務」から「申請主義」に転換することは、国民皆保険制度の根幹を揺るがし、被保険者(国民)に大きな不利益をもたらします。国民のいのちや健康にかかわる重要法案を、徹底した審議を尽くさずに採決することは許されません」
「健康保険証の廃止ありきで、代理交付・申請補助や第三者によるカード管理を進めるとされていますが、協力を求められる医療・介護現場には負担と責任が課せられ、人手不足にも拍車がかかります。当会が行った高齢者施設への影響調査では、特養など高齢者施設の94%が「利用者・入所者のマイナンバーカードを管理できない」と回答しました。このまま健康保険証の廃止が強行されれば、利用者・入所者は医療へのアクセスに困難を抱えることになり、現場は大混乱に陥ります」
「政府は相次ぐ異論を受けて、健康保険証廃止の矛盾・問題を糊塗する弥縫策を逐次検討していますが、これまで同様、健康保険証は全員に交付した上で、マイナンバーカード利用は任意とすればよいだけのことです。
 国民皆保険制度を守るため、あらためて現行の健康保険証の存続を強く求めるとともに、マイナンバー法等一部「改正」法案は徹底審議の上、廃案とすることを求めます」「保険証廃止法案の衆議院特別委員会採決に抗議します」25日全国保険医団体連合会声明
「我々が同様の指摘をした2021年の法案(入管法改正案)と根本的に変わっておらず、国際人権基準を満たさない」「(新たな「監理措置」についても、保証金支払いや対象者の生活報告を求める内容が残っており、)差別的でプライバシーに反する」「このような状況において、移住者を拘束することは、日本が 1999 年 6 月 29 日に加入した拷問禁止条約(UNCAT)の第 1 条、第 2 条、第 16 条、および ICCPR(自由権規約)の第 7 条に抵触する」「今回の法案は、収容の期間の上限も、収容の継続についての定期的な司法審査も、定めていない」「庇護申請中あるいは難民もしくは無国籍者である子ども、同伴者のいない、あるいは分離された子どもを含む移民の子どもの身体の自由の剥奪は、禁止される」「同伴者のいない子どもと庇護申請中の子どもは、国民である子どもと同様の主要な子どもの支援制度にアクセスすることができ、子どもの保護に関する全ての保護措置(safeguards)を享受すべきである」「特に、子どもの基本的人権の侵害を引き起こすような送還はなされるべきではない」「子どもの収容を禁止しないなど、子どもの権利にも反している」
「国連理事会の専門家や副委員長 日本に入管法改正案の見直し勧告」
「遺体は、姉に似ていましたが、やつれきって、別人のようでした。私たちは、その遺体を姉だと認めたくなかった。姉が、どれほど苦しんだかと思うと、遺体をまっすぐに見ることもできませんでした」「あんなに残酷な状況で私の姉は死んでしまった。姉はずっと助けを求めていたのに。点滴も、病院も、求めていたのに。姉は死にたくなかったのに」「でも、私は、いま、日本に戻ってきました。裁判官と市民の皆さんに、どうしても、お話したいことがあったからです。裁判官と、すべての日本市民は、少しでも早く、姉のビデオを見てください。日本という国で、人間がどのように扱われて死んでしまったのか、見てほしいのです。すべての外国人とすべての日本人のために、出入国管理局には変わってほしい。日本政府は、姉のことで謝ってほしい」ウィシュマ・サンダマリの妹ワヨミさん2022年6月8日「ウィシュマさん2人の妹 意見陳述の全文」
 わずか5つの衆・参補選結果における1議席増を、防衛費倍増や原発再稼働・増設を柱にこの国の憲法と未来を蹂躙し崩壊させる「異次元」を連発しながら、自らが進める「重要政策」への国民の信任と受け止めるこの国の愚かしい首相。
 国民総背番号制のマイナンバーカード普及のために、健康保険証を廃止して国民にカード取得と使用をまさに強要する政権は、この国に支援を求める移民・難民にも国連難民条約、拷問禁止条約そして子どもの権利条約などに重大に抵触する入国管理政策を平然と続けようとする。
 地方自治体選挙では、例えば杉並区議会で自民公認の現職候補が16人中7人落選。トップ10人中7人が女性で女性議員の比率は50%。山口4区補選で安倍後継は得票を大幅減。
 国民を収奪するカルトと癒着し同性婚や夫婦別姓にすら反対する、世界の人権意識から乖離し続ける賞味期限切れ利権屋集団である自民党に未来はない。
《23日に投開票があった衆参5補欠選挙の結果について、岸田文雄首相(自民党総裁)は24日午前、官邸で記者団に「議席を増やしていただくことができた。与党・自民党が重要政策課題だと掲げたものについて、『しっかりとやり抜け』という叱咤(しった)激励をいただいたものであると受け止めている」と語った。
 衆参補選で自民党は現有3議席を維持し、野党系が議席を持っていた参院大分選挙区でも勝利した。ただ、衆院山口4区以外はいずれも接戦で、衆院和歌山1区では自民候補が日本維新の会の候補に敗れた。
 首相は、今回の結果を受けて衆院解散・総選挙について検討するかを問われ、「国民のみなさんの声を聞きながら、重要政策一つ一つを前進させる、結果を出す、これに尽きると思っている。いま、解散総選挙については考えておりません」と語った。》



2023年 4月23日
日記がわりに。
 仏2はロシアのウクライナ侵攻で人造湖が破壊されて荒地となり、広大な農地などの環境も爆弾とミサイルなどで有害物質により汚染されている状況を伝える。
 20日午後アシスト車で石屋川沿いを下り六甲乙女塚温泉と御影クラッセ往復。食材の重さで帰路は流石にバテる。
 昨日BBCは地震2ヶ月の世界からの支援も届かないシリア・イドリブ地域で戦火から逃れて避難しさらに地震で多くの家族を失った男性の姿を伝える。同じ公共放送のNHK報道部は何をしているのか。
 昼に一月ぶりにハーバーランドに出てテラス席でお昼と煉瓦のコーナーで100円コーヒーの後ドック沿いを散策。賑わうなかヒジャブ姿の女性も多く、観覧車の下で座って寛いだり私より流暢な日本語で会話しながら写真を撮る娘さんらも。
 今日は二週ぶりに神大を抜けてil ventoを訪ねると机が人工大理石になっていた。エスプレッソも頂いて阪急の線路を越え御影のスーパーLIFEで食材買い、そのまま降って御影大手筋からバスで帰宅。至る所でツツジが満開。明日からは天気は下り坂。
   




2023年 4月21日
・供託金は衆院選で戦後5千円だったのが、1975年に100万円、92年に300万円になった。衆院選小選挙区300万円、比例代表は600万円。違憲訴訟弁護団などによると、OECD加盟38カ国のうち、国政選挙で供託金制度を設けているのは日本など13カ国。英国は8万円余り。カナダやフランスは制度を廃止、米国やイタリアなど25カ国は設けていない。
・違憲判決によって制度が廃止された国もある。カナダでは下院選挙を巡り17年に違憲判決が出て廃止された。アイルランドでは違憲判決後、下院選挙の無所属候補者の場合、有権者30人の署名を提出することで供託金の代わりとすることができるようになった。
「立候補の自由を強く制約している。主要政党ばかりが候補者を出し、新しい声が届きにくくなっているのではないか。段階的に引き下げていくことが現実的だ。(国が説明する売名目的の立候補を抑止するという制度目的について)売名目的であっても、資金力があれば立候補できてしまう。一方でまじめに立候補しようとしても、資金力がなければ出られない。本来の目的が達せられているのか」一橋大 只野雅人教授(憲法学)
・国立国会図書館が20年6月に公表した資料によると、被選挙権年齢が判明した 195 の国・地域のうち、日本の衆院にあたる下院の被選挙権年齢は18歳が65カ国・地域と全体の33.3%で最多。21歳が57カ国・地域(29.2%)、日本と同じ25歳が55カ国・地域(28.2%)。経済協力開発機構(OECD)の加盟国(20年加盟のコロンビアを除く36カ国)に絞ると、18歳が21カ国(58.3%)で過半に達した。
・先進国は若者の政治参画を促す方向に制度変更する傾向がある。フランスは11年の法改正で下院の被選挙権年齢を23歳から18歳に、英国も06年の法改正で21歳から18歳に下げた。
・19年参院選で多くの政党が公約で被選挙権年齢の引き下げに言及。自民党は「引き下げの方向で検討する」と記し、立憲民主党は「20歳」、日本維新の会は選挙権年齢と同じ「18歳」を主張、国民民主、社民両党は衆院、参院など各選挙で「一律5歳下げる」と訴えた。
・現在の衆院補選で山口県は、安倍元首相の山口4区、林芳正外相の山口3区、岸信夫元防衛相の山口2区、高村正彦元外相の息子、高村正大氏の山口1区と世襲政治家がそろうが、弔い合戦のはずの山口4区の調査結果は安部後継の吉田氏が46、有田氏が36。2区で岸を引き継いだ長男の信千世候補はいきなりホームページで家系図を自慢して炎上し苦戦。
・世襲議員の比率はオーストラリア、韓国、イギリス、アメリカなどの民主主義国家では5〜8%に対して、日本は国会議員全体の約3分の1を占め、平成以降の総理大臣の7割が世襲政治家。同志社大学の飯田健教授によれば、
●政治家としての資質に欠けた者が議員や大臣など国の要職につく
●2世以外の政界への参入が難しくなる
●有権者の政治への参加意識を低下させる
●政治家の多様性がなくなる
●有権者の選択肢を減らす
●世襲議員と対抗するために、対立候補はより地元利益誘導型の選挙を行うようになる
 日本の国会議員報酬はシンガポール、ナイジェリアに次いで世界三位で、米国の1.5倍、イタリア、オーストラリア、ドイツの2倍。さらに毎月百万円の文書通信交通滞在費が議員に支給される。
 こうした高額報酬と優遇は、立候補に対する年齢制限と供託金による制約とともに政治の世襲を生む土壌となり、不勉強なだけではなく普通の市民の生活や思いを理解することができない、まさに「資質に欠けた者」が議員や大臣であり続けてこの10数年の政治と経済、社会のどうしようもない劣化をもたらした元凶。
 自らの主張を暴力で実現しようとする行為は決して容認できないが、今回の事件は大学生を含む全国各地の若者たちの「立候補年齢を引き下げるためのプロジェクト」の活動とはまったく別のもの。
 この社会で進む非正規雇用と経済格差、少子化と人口減少、軍縮とジェンダー、LGBT、環境と気候変動などへの対応の不十分さの原因は、政治が世襲化して政治に若者が直接参加する道が閉ざされているから。
 国会議員などの被選挙権年齢の引き下げと供託金の廃止もしくは低減は、防衛費倍増や原発新増設などの「異次元なんたら」にまして早急に取り組むべき課題。
《衆院補選の応援演説で和歌山市内を訪れた岸田文雄首相の近くに爆発物が投げ込まれた事件で、威力業務妨害の疑いで逮捕、送検された無職木村隆二容疑者(24)=兵庫県川西市=は、選挙制度への不満を繰り返し主張していた。年齢制限と高い供託金――。近年議論が盛んになっているテーマだけに、同様に制度改正を訴えてきた人たちが反発している。
 「同じ大人なのに、社会経験に基づく思慮が十分でないことを理由とした差別だ」
 木村容疑者は昨年6月、公職選挙法が定める参院の被選挙権(30歳以上)の年齢に満たないために立候補できず精神的苦痛を受けたとして、国に損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。
 立候補の際に、国や自治体に預ける供託金の制度も「財産や収入で差別してはならないと定めた憲法に反する」などと訴えていた。
世界の流れと異なる高額な供託金
 供託金は公選法で、衆参の選挙区や都道府県知事選は300万円などと定められている。得票が有効票の総数の10分の1など一定ラインを下回ると没収され、国や自治体のものになる。
 1925(大正14)年に英国にならって導入された制度で、候補者の妨害や遊び半分の立候補を防ぎ、選挙の経費を抑えるのが目的とされる。
 金額は物価の変動などに伴って上昇してきた。2021年に公表された国立国会図書館の調査によると、衆院選で戦後5千円だったのが、1975年に100万円、92年に300万円になった。先進国とされる経済協力開発機構(OECD)の加盟38カ国で制度があるのは日本を含む13カ国で、英国は8万円余り。カナダやフランスは制度を廃止した。
かつて問題提起、元日弁連会長のもとに届いた依頼
 世界の流れとは違う状況が憲法の保障する「立候補の自由」を侵害しているとして、ある男性が2016年に東京地裁に裁判を起こした。代理人を務めたのが、元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児弁護士(東京弁護士会)だ。最高裁で敗訴が確定したものの、盛んな情報発信で運動は広がり、日弁連も昨年11月、減額や「立候補にあたって有権者の一定の署名を必要とする」などの提言書を出した。
 そんな宇都宮弁護士の事務所に事件当日の今月15日、和歌山県警から電話がかかってきた。木村容疑者が「弁護を依頼したいと言っている」という内容だった。
 週明けの17日に留守電に気付き、「別の弁護士と会えた」と断りの電話も来た。宇都宮弁護士は、自身の活動を知った木村容疑者が「自分を頼ったのかも」と思う。だが、もし制度改革が目的で事件を起こしたのだとしたら、「民主主義社会でやる方法ではない。言論に訴える市民グループもあるのに」と話す。
学生らグループ 「司法や言論で実現すべき」
 事件の余波は実際に、市民運動の形で制度を変えようという団体にも及んだ。
 大学生を含む全国各地の若者たちが「立候補年齢を引き下げるためのプロジェクト」と銘打ち、集団訴訟の準備をしている。「若者も社会問題の当事者に」と訴え、ウェブサイトでは被選挙権の年齢が国政選挙でも20歳前後が多い主要先進国の事例を紹介している。
 提訴には「具体的な権利侵害」が必要なため、メンバー8人は今年3〜4月、あえて制限年齢に達していない各地の選挙に立候補届を出して不受理とされた。
 木村容疑者が起こした裁判のことが報じられると、「同じ行動」「公安はマークしろ」などとツイッターで中傷が相次いだ。
 これを受け、団体は事件の3日後、緊急声明を出した。木村容疑者と接点はないと明記し、年齢引き下げの主張は「司法の場における法に則(のっと)った手続きや、言論によって実現されるべきだ」と指摘。木村容疑者のこれまでの言動と事件を「拙速に結びつけることはあってはならない」としつつ、「当プロジェクトは、どのような主張であれ、暴力的な手段が用いられることには断固として反対します」と訴えた。
コメントプラス
本田由紀
(東京大学大学院教育学研究科教授)
2023年4月21日9時0分 投稿
【視点】年齢制限と高い供託金。戦前の投票権が一定額以上の税金を納める男性に限定されていたことを思い起こさせる仕組みである。国際的に見ても日本の供託金はずば抜けて高い。その正当性や変革の方向性について真摯な検討が必要であるのに、暴力的な事件が起きたことで議論が停滞するのは本末転倒である。
日弁連も昨年11月、減額や「立候補にあたって有権者の一定の署名を必要とする」などの提言書を出したとのことで、非暴力的に訴え続けている学生らのグループもある。
おそらく「議論を進めることは暴力に加担すること」といった筋違いの意見がこれからあふれることだろうが、それは間違っているということを強調しておきたい。》



2023年 4月19日
・改正案は、外部の有識者による会員候補者の「選考諮問委員会」を新たに設ける。諮問委は5人で構成。その顔ぶれは、首相が議長を務める内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の有識者議員らと協議し、学術会議の会長が決める。
・諮問委の委員の選び方には政府の意向が反映されるため、政府の意に沿わない人は会員になりにくくなる可能性があると指摘。2020年に菅義偉首相(当時)が6人の会員候補を任命しなかったようなことが繰り返される、との懸念が払拭できない。
・今年2月、白川英樹氏や野依良治氏らノーベル賞受賞者ら8人が連名で、政府の見直し方針に「熟慮を求める」声明を岸田文雄首相に送付。
   声明 「日本学術会議法改正につき熟慮を求めます」
 学術は人類が手にしている崇高な知的営みであり、その発展は人類の進歩と福利を実現するための不可欠の条件です。各国にはナショナルアカデミーが存在し、それぞれの国の学術を代表するとともに、世界の学術界と連携することにより、人類の福利に貢献する国際的公共財を構成しています。成熟した先進国の政府は、ナショナルアカデミーの活動の自律を尊重し、介入しないことを不文律にしてきました。
 一方、日本におけるナショナルアカデミーである日本学術会議については、2020年に内閣総理大臣による会員任命拒否が起こり、政府と学術界の信頼関係が大きく損なわれたままになっていることは、大変憂慮されます。さらに現在、政府において日本学術会議法の改正が検討されていると伝えられています。今回の法改正が、学術会議の独立性を毀損するおそれのあるものとなっていることに対し、私たちは大きな危惧を抱いております。これは単に内閣府と日本学術会議との二者の問題ではなく、学術の独立性といった根源的かつ重要な問題につながるものです。
 私たちは、日本が、学術を通じて人類に貢献し世界に知的な存在感を示す国であることを願っています。ナショナルアカデミーとしての日本学術会議がその任にふさわしいものとなるように、政府は性急な法改正を再考し、日本学術会議との議論の場を重ねることを強く希望します。
                令和 5 年 2 月 19 日
天野 浩 (2014 年ノーベル物理学賞受賞者)
大隅 良典 (2016 年ノーベル生理学・医学賞受賞者)
小林 誠 (2008 年ノーベル物理学賞受賞者)
白川 英樹 (2000 年ノーベル化学賞受賞者)
鈴木 章 (2010 年ノーベル化学賞受賞者)
野依 良治 (2001 年ノーベル化学賞受賞者)
本庶 佑 (2018 年ノーベル生理学・医学賞受賞者)
森 重文 (1990 年フィールズ賞受賞者)」
・この声明に各国の自然科学系ノーベル賞受賞者61人が賛同し、4月13日付で法改正を憂慮する共同声明を出した。
「私たち61人は、8人の日本人科学者が表明した憂慮と希望を共有する。科学は人類の崇高で知的な努力であり、その発展が人類の進歩と幸福の実現に不可欠。日本はアカデミアを通じて人類に貢献する国で、世界に知的存在感を示すだろう」
「国民から理解され続けるためには、透明性の確保が最低限必要。制度的な透明性の確保ができないと、(学術会議が)国の機関にとどまり続けることも難しい」笹川武・内閣府総合政策推進室長
「内閣府は学術会議に「透明性」とやらを求めているが、2020年に当時の菅首相が突然6名の会員候補者を任命拒否した際の根拠もまったく説明がなく、「不透明」なままであるということは繰り返し言っておきたい」本田由紀(東京大学大学院教育学研究科教授)
「これまで何とか独立性を保ってきた学術会議にまでも、政府や産業界が手を突っ込もうとするように見える今回の政府案。世界の研究者や学術界から、日本では自由な研究ができない、と見なされる恐れさえあります。
 研究力回復・イノベーションの創出を切望して巨額の予算を投じる一方で、そんなリスクがある組織改革を急ぐのは、やはり長期的視野がないということでしょう」増谷文生(朝日新聞論説委員=教育)
 日本学術会議の予算は年10億。それに対して2023年の政党交付金は9党に総額315億円、自民党には最も多いおよそ159億円が支給される。使途の報告は一応義務付けられてはいるが、政治活動などで使い道の報告がいらない「政策活動費」や「組織活動費」は、2019年自民党13億410万円。
 使途報告義務のない内閣官房報償費は、菅内閣は国庫から約13億3千万円を支出、このうち官房長官が管理し領収書も不要な「政策推進費」は約11億6千万円。岸田内閣は21年10月から22年末までの1年3カ月間に15億4200万円超の内閣官房機密費(報償費)、このうち97%14億9590万円は松野博一官房長官が自由に使える領収書不要「政策推進費」。
 総務省の「電波停止」恫喝によるテレビ局など報道への介入と抑圧の次は、学術会議への任命拒否と法改悪という政府による学問の統制と私物化。
 世界に向けては「自由と民主主義」「法の支配」を唱えながらこの10年の自公政権が行なっていることはまったくそれに逆行する愚かな企み。学術会議には会員選考の「透明性」を要求しながら、自分たちはその予算を遥かに超える政党交付金、内閣官房費はほとんど使途不透明なまま使い続ける。国民を収奪するカルト教団と自民党、政権の癒着の解明・透明性もゼロ。
 内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)はその構成の半分以上を首相以下の閣僚と産業界が占める政府の御用機関に過ぎず、初代議長(総合科学技術会議)は森喜朗でこれまでの答申のうち半数は6回の「ヒトES細胞の樹立」や「科学技術イノベーション総合戦略」に関するもので、ろくな成果もないままこの国の経済、教育、研究の衰退を招いた一因でしかない。
 愚かな政治家や産業人が学術、教育に介入し私物化することは、学術、教育を歪めその社会の発展を阻害し衰退させるだけ。法案は撤回あるのみ。
《日本を代表する科学者の組織「日本学術会議」の会員の選び方をめぐり、政府と学術会議が対立を深めている。17日にあった会議の総会で、政府側が「透明性を高めるため」に第三者を関与させる学術会議法改正案の内容を説明すると、会議側からは「独立性が損なわれる」と反発や批判が続出した。会議側は18日の総会で対応を協議する。
 学術会議の総会で、内閣府の幹部が、今国会への提出を検討する法改正案の内容について説明した。
 学術会議の会員は現在、会議が推薦した候補者を首相が任命する仕組みだ。
 改正案は、学術会議に外部の有識者による会員候補者の「選考諮問委員会」を新たに設けることや、会員以外からも候補者を推薦できるようにすることなどが柱となる。諮問委は5人で構成。その顔ぶれは、首相が議長を務める内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の有識者議員らと協議し、学術会議の会長が決める。内閣府は、諮問委の委員を経済界などから選ぶことを想定。会議は「諮問委の意見を尊重しなければならない」と定めている。
政府「透明性確保のため」
 諮問委設置の狙いについて、笹川武・内閣府総合政策推進室長は「国民から理解され続けるためには、透明性の確保が最低限必要」と、選考プロセスに外部の有識者が関わることへの理解を求めた。「制度的な透明性の確保ができないと、(学術会議が)国の機関にとどまり続けることも難しい」と強い姿勢もみせた。
 これに対し、学術会議側からは「学術の独立性を脅かす」「恫喝(どうかつ)に近い」と一斉に反発の声が上がった。
 会員の選考について笹川氏は「政府が介入することは一切考えていない。従来の推薦と任命の関係が変わるものではない」と明言したが、学術会議の会員は、CSTIの有識者が諮問委の選定に関わることなどに対し「政府の意向そのものではないか」と疑問を投げかける。諮問委の委員の選び方には政府の意向が反映されるため、政府の意に沿わない人は会員になりにくくなる可能性があると指摘。2020年に菅義偉首相(当時)が6人の会員候補を任命しなかったようなことが繰り返される、との懸念が払拭(ふっしょく)できないという。
 総会では、政府側の説明の前に梶田隆章会長が、海外からの「連帯」の動きを報告した。今年2月、白川英樹氏や野依良治氏らノーベル賞受賞者ら8人が連名で、政府の見直し方針に「熟慮を求める」声明を岸田文雄首相に送付し、この声明に各国の自然科学系ノーベル賞受賞者61人が賛同し、法改正を憂慮する共同声明を出したという内容だ。国内だけの問題ではなくなっているとみている。
 政府は月内にも改正法案を閣議決定し、今国会で成立させたい考えだ。一方、会議側は18日に、政府案に対する意見表明をする見込みだ。梶田会長は「法案の閣議決定前に、学術会議としてしっかりした意見を表明することは極めて大切だ。そしてそれが出せるのは、おそらくこの総会が最後の機会だ」と述べた。
背景に政府批判
 一連の問題のきっかけは2020年秋、当時の菅義偉首相が、学術会議が推薦した会員候補のうち、6人の任命を拒否したことだ。反発する学術会議に対し、菅氏は理由を説明せず、学術会議の組織批判に終始した。
 それに呼応するかのように、自民党内にはプロジェクトチーム(PT)が発足。20年12月、「学術会議は独立した新たな組織として再出発すべきだ」という提言を突きつけた。
 背景には、学術会議が声明を通じて政府の方針に異を唱えてきたことがある。17年には軍事研究を否定する過去の声明を継承すると発表。その後、防衛省が15年度から始めた研究資金制度で、大学からの応募が減った。
 政府の改正案では、学術会議を国の機関として残すが、第三者が会員の人事に介入したり、将来的に分離も含めた組織見直しをしたりする可能性を残す。政府幹部は「政府方針は学術会議を国に残すぎりぎりのラインだ」と話す。自民党PTメンバーの一人は、「政府が法案を断念するなら、学術会議の予算を削るしかない」と牽制(けんせい)する。
 一方の学術会議は、任命拒否の理由の説明や、拒否された6人の任命を棚上げにされたまま、一方的に改正案を進める政府・与党への不信感が根強い。
 学術会議自身も、「助言機能の低下」といった指摘を受け、21年4月に自己改革案を発表。国からの独立を「積極的理由を見いだすのは困難」と否定しつつ、「多様性への配慮が重要」とし、第三者の意見を聞く仕組みを設けるとした。
 内閣府も「改革の方向性は同じ認識」という。しかし、内閣府は今回の法案に自民党の提案を多く取り込んだ一方で、改革の当事者である学術会議への説明は後回しにしてきた。
 学術会議の梶田隆章会長は「現会長として重大な決意をもってこの問題にとりくむ」と繰り返してきた。進退をかける意向を示したと受け止められており、法改正を強行すれば、学術会議の幹部の退陣など、混乱が広がる可能性もある。(阿部彰芳、桜井林太郎)
コメントプラス
本田由紀
(東京大学大学院教育学研究科教授)
2023年4月18日7時36分 投稿
【解説】内閣府は学術会議に「透明性」とやらを求めているが、2020年に当時の菅首相が突然6名の会員候補者を任命拒否した際の根拠もまったく説明がなく、「不透明」なままであるということは繰り返し言っておきたい。
つまり政府の意図は「透明性」どころか、学術会議に対して政府や産業界の要請を受け入れろと求めていることに他ならない。
記事にあるように、国外の自然科学系ノーベル賞受賞者61名が、いまの日本政府の方針に憂慮を示している。政府が進めようとしている法改正は、学術の独立性という世界的な規範に抵触し、それは日本学術会議のみならず日本の学術全体、ひいては日本社会内部の仕組みや前提に対して海外からの不信を募らせ、国際的な協力や連携をいっそう阻害する。それにより、すでに低迷が指摘されている日本の学術や経済はさらに衰退するだろう。これが政府の望みなのか。
自分のしたいことを無理やりやることによって結局は自分の首を絞めるという、愚かなパラドックスに政府は陥っている。そんなことすら認識できない劣化ぶりである。
増谷文生
(朝日新聞論説委員=教育)
2023年4月18日11時57分 投稿
【視点】研究力強化のために巨額の予算を投じているのだから、政府の意向を尊重せよ。今月4日にあった政府が10兆円を投じた「大学ファンド」への応募大学発表とからめて、今回の政府案を考えてしまいます。
 国立大学が法人化された20年ほど前から、教職員の人件費や研究費をまかなってきた運営費交付金が減らされ、競争をして研究費を獲得する傾向が強まってきました。さらに現在では、基盤的経費である運営費交付金さえも1割近くが競争枠になっています。競争に勝つための書類作りなどに時間と労力をとられ、研究時間が減るというおかしな状況になっています。
 こうした「選択と集中」が日本の研究力低下につながったと、多くの関係者が指摘しています。予算を獲得するため、政府が重点を置く研究や、産学連携の相手を見つけやすい研究、成果が短時間で出やすい研究に流れる研究者が増えたとされます。
 コロナ禍、ウクライナ危機、ChatGPTの登場など、予想がつかないことで世界が翻弄されてしまう時代です。そんな時代に、政府や産業界が欲しがる短期的な結果を求めて、同じような研究にお金と人を集中させていていいはずがありません。人文社会系など多様な研究環境を維持していくことが、日本として何よりの危機管理につながるはずです。
 これまで何とか独立性を保ってきた学術会議にまでも、政府や産業界が手を突っ込もうとするように見える今回の政府案。世界の研究者や学術界から、日本では自由な研究ができない、と見なされる恐れさえあります。
 研究力回復・イノベーションの創出を切望して巨額の予算を投じる一方で、そんなリスクがある組織改革を急ぐのは、やはり長期的視野がないということでしょう。学術会議内にも政府との関係悪化を心配する声もあるようです。しかし、ここは勝負どころです。やはり受け入れてはいけない代物だと思います。》



2023年 4月17日
「9条には第2項で定めた『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』としてきたことに圧倒的な意味がありました。自衛隊があっても軍隊ではないというための柱が二つあります。まず、海外で武力行使をしない。つまり集団的自衛権を行使して米軍と一緒に戦うようなことはできないとしてきました。しかし、安倍晋三内閣が推し進めた安保法制で、この柱が一つ失われました」
――集団的自衛権を行使する場合、海外での武力行使も可能となったと。
 「その通りです。すでに瀕死(ひんし)といっていい9条でしたが、かろうじて『専守防衛』というもう一つの柱は生き残っていました。しかし国家安全保障戦略改定により、わが国が弾道ミサイルなどによって攻撃された場合、そのミサイル基地など、相手国への攻撃を行う能力を自衛隊に持たせることが決まりました。敵基地攻撃能力とよばれ、政府が反撃能力とよぶものです」
「政府は依然として『専守防衛』の防衛戦略は不変であると唱えていますが、これは詭弁(きべん)だと言わざるを得ません。なぜなら『専守防衛』の神髄は自衛隊が攻撃的兵器を持たず、敵国の領土、領海、領空を直接攻撃できる能力を持たない、すなわち役割と機能を『盾』に徹するという一点においてです」
「平生から攻撃的兵器を持つことが憲法の趣旨に反するのは、自衛隊が9条2項で保持を禁じた『戦力』そのものになってしまうからです。日米安保条約の下で強力な米軍部隊が駐留し続け、相当の攻撃力を持ち続ける中で、自衛隊にもこうした攻撃力を持たせることは、9条を死に追いやる行為以外の何ものでもありません。日本は自衛に徹する平和国家から、強力な戦力を有する普通の国になったといえます」
「安保法制の問題は、わが国が攻撃を受けていない、侵略されてはいないのに進んで戦争に参加することです。憲法改正のハードルが高いのはどの国も同じです。国民に必要性を説明し説得するのは政治家として当然の責務と思います。それをせずに、統治権者の意思で国のカタチを変えてしまうようでは、法治国家とよべず、北朝鮮のような独裁国家と同じになってしまいます」
 ――解釈変更でその都度、制度を動かしてきたことには、従来の内閣法制局にも重い責任があると思います。
「安保法制前の武力行使の三要件、つまり自衛隊は@外国からの武力攻撃が発生しない限り武力を行使せず、かつ、その場合であってもA他に手段のないときに限ってB必要最小限度の行使にとどめるといった枠の中でギリギリやってきたつもりです。そうした柱を守りながら国際社会の要請が高まる中で内閣に対してもろもろの知恵を出してきましたが、どれもこの大枠をはみ出さない仕組みでした。法制局は内閣の一部局ですから、何もできませんといって済ますことは無理です。それが今日にいたったということかもしれませんが、そうであっても、存立危機事態や反撃能力の保有と従来の知恵とではあまりに差があります」
「憲法の立法者が目指し、私たちが教わってきたあるべき姿と、現状は相当かけ離れてしまいました。平和国家になろうとした意志と誓いを忘れてはなりません。元に戻れないというのでは、いつか来た道になってしまいます。本来そうした努力を政治にしてもらいたいとずっと思っていました。せめて安保法制前に戻すことができないか。対米的には困難でしょうが、そうした旗を掲げて歯を食いしばって取り組むことがあっていいと信じています」
 岸田政権が進める「防衛費倍増」「敵基地攻撃能力保有」政策に関して元大蔵官僚・内閣法制局長官(2004~6年)阪田雅裕氏(79)に取材した記事から。
「平和国家になろうとした意志と誓いを忘れてはなりません」
 後段改憲の手続きについてなど一部賛同できないところもあるが、戦中生まれで日本国憲法の平和主義を骨身に染ませて自民党政権内で支えてきた法制局長官としての矜持と見識のある言葉。
 日銀も内閣法制局もそして国交省、総務省、文科省、法務省の官僚らも須く自身の使用人の如く扱った安倍内閣による憲法、法の支配の蹂躙と逸脱の結果としての岸田政権の敵基地攻撃能力保有=「戦力」保持。これは78年続いた「戦後」を、「戦前」そして瞬く間に「戦中」にする蛮行。
《昨年12月、岸田文雄内閣は安全保障の基本方針「国家安全保障戦略」を9年ぶりに改定した。日本が弾道ミサイルなどで攻撃を受けたとき、相手国のミサイル基地を攻撃できる能力を自衛隊が保有することを決めた。国是である専守防衛から逸脱する改定は、法治国家に何をもたらすのか。元内閣法制局長官の阪田雅裕さんに聞いた。
 ――昨年暮れ、岸田文雄内閣が国家安全保障戦略を改定した後、「憲法9条は死んだ」と話されています。どういうことですか。
 「9条には第2項で定めた『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』としてきたことに圧倒的な意味がありました。自衛隊があっても軍隊ではないというための柱が二つあります。まず、海外で武力行使をしない。つまり集団的自衛権を行使して米軍と一緒に戦うようなことはできないとしてきました。しかし、安倍晋三内閣が推し進めた安保法制で、この柱が一つ失われました」
 「すなわち『我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある』という『存立危機事態』に際しては、集団的自衛権を行使して良いと決めたのです。その結果、武力行使をする場所についても、わが国の周辺の公海、公空までという、地理的な制約が消え去ってしまいました」
 ――集団的自衛権を行使する場合、海外での武力行使も可能となったと。
 「その通りです。すでに瀕死(ひんし)といっていい9条でしたが、かろうじて『専守防衛』というもう一つの柱は生き残っていました。しかし国家安全保障戦略改定により、わが国が弾道ミサイルなどによって攻撃された場合、そのミサイル基地など、相手国への攻撃を行う能力を自衛隊に持たせることが決まりました。敵基地攻撃能力とよばれ、政府が反撃能力とよぶものです」
「専守防衛」の神髄とは
ここから続き
 「政府は依然として『専守防衛』の防衛戦略は不変であると唱えていますが、これは詭弁(きべん)だと言わざるを得ません。なぜなら『専守防衛』の神髄は自衛隊が攻撃的兵器を持たず、敵国の領土、領海、領空を直接攻撃できる能力を持たない、すなわち役割と機能を『盾』に徹するという一点においてです。自衛隊の武力行使は敵国の軍隊をわが方の領域外に追い払うのに必要な範囲内にとどまって外国の領域を攻撃することはしない、だから他国に脅威を与えることもない、というのがこれまでの『専守防衛』だったはずです」
 ――政府は今後、敵国を狙える米国の巡航ミサイル・トマホークなどを保有すると言っています。
 「平生から攻撃的兵器を持つことが憲法の趣旨に反するのは、自衛隊が9条2項で保持を禁じた『戦力』そのものになってしまうからです。日米安保条約の下で強力な米軍部隊が駐留し続け、相当の攻撃力を持ち続ける中で、自衛隊にもこうした攻撃力を持たせることは、9条を死に追いやる行為以外の何ものでもありません。日本は自衛に徹する平和国家から、強力な戦力を有する普通の国になったといえます」
 ――国民の多くは、日本が依然として平和国家と考えていると思います。
 「諸外国の受け止めは違うと思います。現に日本が攻撃的兵器を保有しだしたということは、いっていることとやっていることが違うと考えるでしょう。である以上、国民も覚悟を持って事態を受け止めなければ、いざ有事となって、聞いていない、では済みません。覚悟は政治にも迫られます。平和主義が時代にそぐわず、戦力たらざる自衛隊では国を守れないと考えるなら、正直にその実態を国民に訴え、憲法も実態を反映したものにしていくべきです」
 ――9条を改正するということでしょうか。
 「大切なのは法治主義の国であることを守っていくことです。憲法の拡大解釈ではなく、問題があるなら適宜、逐次改正して対応すべきです。方法はいくつかあるでしょう。まず、安保法制以前の姿に戻すという道。それが米国との関係など様々な理由で難しいなら、現在の条文はそのままとし、存立危機事態と反撃能力について、きっちりと何がどこまでできるのかを国民に説明して、それを書き加えるべきです。いってみれば限界を示す。政権が変われば、またぞろ解釈を変えて際限なき集団的自衛権、際限なき反撃能力になりかねません」
 ――改正しても、再び拡大解釈が横行する余地はありませんか。
 「改正を発議する際、しっかりと内容や目的を国民に説明することが不可欠です。あいまいさを残してはいけない。いったん、きちんとした手続き、合意を経て、改正が行われれば、何年かたって、状況の変化や問題が起きた時も、条文の改正という『王道』によることへのハードルは低くなるでしょう」
安保法制の問題点と政治家の責務
 ――安倍元首相の回顧録が出版され、「槍(やり)が降ろうが、国が侵略されて1万人が亡くなろうが、私たちは関係ありません、という机上の理論」「阪田雅裕元法制局長官は、集団的自衛権の行使を容認するならば憲法を改正すべきだ、と言っていましたが、憲法改正の方がはるかにハードルは高い」などと阪田さんや「法の番人」と呼ばれてきた内閣法制局にいた人たちを批判していました。
 「わが国が攻撃されたとき、自衛隊が応戦するのは当然です。槍が降ってきた時に、これを防いで国民を守るためにミサイル防衛システムやイージス艦を備えた自衛隊が存在するのです。安保法制の問題は、わが国が攻撃を受けていない、侵略されてはいないのに進んで戦争に参加することです。憲法改正のハードルが高いのはどの国も同じです。国民に必要性を説明し説得するのは政治家として当然の責務と思います。それをせずに、統治権者の意思で国のカタチを変えてしまうようでは、法治国家とよべず、北朝鮮のような独裁国家と同じになってしまいます」
 ――解釈変更でその都度、制度を動かしてきたことには、従来の内閣法制局にも重い責任があると思います。
 「安保法制前の武力行使の三要件、つまり自衛隊は@外国からの武力攻撃が発生しない限り武力を行使せず、かつ、その場合であってもA他に手段のないときに限ってB必要最小限度の行使にとどめるといった枠の中でギリギリやってきたつもりです。そうした柱を守りながら国際社会の要請が高まる中で内閣に対してもろもろの知恵を出してきましたが、どれもこの大枠をはみ出さない仕組みでした。法制局は内閣の一部局ですから、何もできませんといって済ますことは無理です。それが今日にいたったということかもしれませんが、そうであっても、存立危機事態や反撃能力の保有と従来の知恵とではあまりに差があります」
 ――9条は平和国家の「北極星」だから、なくせば秩序が壊れる、という意見もあります。
 「それは非常にエゴイスティックな平和主義でしょう。本来、9条は国際社会の中で輝くものであるべきなのに、現実には国民の精神安定剤のようです。小国から見れば、日本の戦力は強大なものに見えるでしょう。そのギャップを虚心坦懐(たんかい)に考えるべきです」
 ――従前の9条を残しつつ、存立危機事態などを書き込むというのはわかりにくい意見です。
 「憲法の立法者が目指し、私たちが教わってきたあるべき姿と、現状は相当かけ離れてしまいました。平和国家になろうとした意志と誓いを忘れてはなりません。元に戻れないというのでは、いつか来た道になってしまいます。本来そうした努力を政治にしてもらいたいとずっと思っていました。せめて安保法制前に戻すことができないか。対米的には困難でしょうが、そうした旗を掲げて歯を食いしばって取り組むことがあっていいと信じています」》




2023年 4月17日
日記がわりに。
 桜も少しだけ残り、11日はアシスト車で水道筋往復し灘温泉と食材買って帰宅。花粉と黄砂の隙に14日久しぶりに北野Mont Dorでピザ。座席は予約で満席と。小さなロシア正教会を経てこれも久しぶりに神戸クアハウスで硼酸泉、縦走泉に浸かり阪急地下を覗くとこれも久しぶりに手頃なカワハギあり。鮮度が良いのかすごく美味だった。
 土曜は荒天で昨日三宮乙仲通りDay's kitchenに行くと程なく満席。一歳未満の子も楽しそうに食事。kokosikaでコーヒー、食器の店で良さげなコーヒーカップ見つけ、これが最後の贅沢と二つ購入。六甲カトリック教会や街中でハナミズキが咲いている。
 今日はベランダの床とベンチなどを掃除。このところやはり対岸は見えない。




2023年 4月15日
「実際に同性婚が認められないことで権利を奪われている人たちがいるのですから、これは価値観の問題ではなく、人権問題です。ただ、今の社会で難しいのは「これは人権問題だ」「これは差別だ」と言うだけではもう、多くの人に響かなくなっていることかもしれません。「人権」とか「差別」という言葉が威力を持たない社会になってしまっている。そして差別された人が精いっぱい声を上げても、それを冷笑するような人物が人気を集めていたりする」
「(2021年LGBT理解増進法案は自民党内の一部の右派議員が法案の中に「差別は許されない」という文言があることを問題視し、根強い反対で国会に提出できなかったことに)差別は許されない、なんて当然のことなのに、国会議員が「差別は許されない」に反対したわけですね。ジェンダーの分野で、日本は「変わってしまう」どころか、むしろ「変われない」ように見えます」
「選択的夫婦別姓制度が典型的です。1996年に法制審議会の答申で、導入が提言されましたが、その後27年間、実現しません。実現に向けた動きが起こるたび、右派の激しい反対でつぶされてきました。20年の第5次男女共同参画基本計画では「夫婦別姓」という文言すら削除されました」
「同じく激しいバッシングを受けてきたのが性教育です。05年、安倍元首相や山谷えり子議員が中心となって自民党が「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を結成しました。性教育は「行き過ぎ」などと攻撃され、日本の性教育は世界に立ち遅れることになりました」
「私は、バックラッシュの担い手たちを実際にインタビューしてきました。選択的夫婦別姓の反対運動を中心的に担ってきたのは、神社本庁などの宗教団体や右派団体の参加する「日本会議」です。日本会議は先祖から子孫に続く「タテの関係」を重視し、イエ制度のような復古主義的な家族観を持っています」
「一方、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は特に性的少数者の権利拡大に反対してきました。彼らは教団の決めた異性の相手と「祝福結婚」し、出産することを重要とするからです。だから同性婚の阻止に力を注いでいるのです。特に、15年、米国で連邦レベルで同性婚が認められた後は、「米国のようになっていいのか」と盛んに米国などの海外情報を紹介し、論陣を張ってきました。安倍元首相襲撃事件以降、「政治と宗教」の癒着ぶりが注目されています。でも、単なる選挙応援だけではありませんでした。宗教右派と政権とが結びついた結果、具体的にどのような政策に影響が及んだかも、丁寧に見ていかねばならないと思います」
「一方で、宗教右派の影響下で推進されてきた政策も気になります。旧統一教会や他の右派団体などが保守系議員と連携し推進しているのが「家庭教育支援法」や「家庭教育支援条例」です。推進してきた勢力は、ジェンダーフリーや性教育バッシングを担った層とも重なります。伝統的な子育てに学ぶべきだ、という言説は一見、良いことのように見えて反対しづらい。しかし、「家庭教育推進」の名のもと、問題のない家庭にも公権力が介入することを可能にしたり、「保護者の責任」や「自助」が強調されたりもしています。母親が子育てを主に担うことが多い日本においては、結果として、母親を追い詰めることにもなりえます」
「日本で、男女共同参画に反対するのに「男女同室着替えになってもいいのか」とか、選択的夫婦別姓に反対するのに「子どもがいじめられてもいいのか」などと現実離れした極端な例を引き合いに出し、「こんなことになったら困るだろ」と不安をあおるのと同じ手法です。日本でも「トイレ問題」を持ち出したトランスジェンダーバッシングが目立ってきました。宗教右派や保守が、自分たちの主張を通すためにトランスジェンダーという存在を利用していると感じます」
「同性婚をめぐって、岸田首相は「社会が変わってしまう」と言いましたが、実は社会はすでに変わっています。ジェンダーをめぐる価値観も家族観ももっと多様になっています。きっと以前から本当は多様だったはずなのに、少数派はずっと抑圧され、人権を無視されてきたわけです。今もそう。法整備が遅れているせいで、一部の人たちが権利を踏みにじられ続けているのです」
「世論調査を見れば、選択的夫婦別姓や同性婚を支持する人は増えています。若い人ほどそうです。それなのに、宗教右派と深くつながった右派の議員たちが実権を握っているから、具体的な政策がどれも実現しない。そこから社会を変えていかねば、と思います」
 山口智美・米モンタナ州立大准教授に取材した、同性婚もLGBTなど性的少数者への差別禁止法もそして選択的夫婦別姓制度すらも、復古主義的・家父長的家族観と「差別は許されない」という文言があることを問題視する自民議員と、その背後にいる「日本会議」「神社本庁」そして旧統一教会というカルト集団によって、G7各国で唯一成立が阻まれているこの国の現状に警鐘をならす記事。
 同性婚の法制化を「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題」(2月1日の衆院予算委)と述べた岸田首相の人権意識は、その二日後首相秘書官だった荒井勝喜の「見るのも嫌だ。隣に住んでいたら嫌だ。人権や価値観は尊重するが、認めたら、国を捨てる人が出てくる。秘書官室は全員反対」との発言と、本質的に違わない。国民の意識はそれなりせ進んでいるのに、この国の制度が「変わってしまう」どころか、むしろ「変われない」のは、この国の歴史改竄と復古主義とカルトに塗れた自民党政権のため。
 次世代の巨大な負担となる1000兆円を超えた国債残高も、格差と貧困の拡大と著しい少子化も、福島を教訓にドイツが今日15日で全廃した原発に依存し増設すら進める姿勢も、多額の予算を費やして外交も憲法も蹂躙する防衛力増強も、五輪、万博そしてIRカジノにのめり込む愚かさも、根は同じ。まさに安倍晋三の如き「宗教右派と深くつながった右派の議員たちが実権を握っているから」人権や国民の幸福をより尊重する前向きな政策がどれも実現しないということ。
《5月に広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、日本は議長国として多様性の尊重を世界に発信する立場にある。しかしG7で、同性婚と夫婦別姓を法的に認めず、LGBTQなど性的少数者への差別禁止法を制定していないのは日本だけだ。岸田文雄首相は「(同性婚を認めたら)社会が変わってしまう」と国会で答弁したが、むしろ日本は変われないから国際社会で取り残されているのではないか。「変われない日本」の背後に何があるのか。山口智美・米モンタナ州立大准教授は、安倍晋三元首相襲撃事件以来、注目を集めているあの団体の影響力などを指摘する。【小国綾子・オピニオングループ】
価値観ではなく人権問題
 ――岸田首相が「LGBT理解増進法案」の国会提出を検討するよう自民党内に指示してから約2カ月。統一地方選への影響を懸念する党内の事情などから、いまだ法案提出のめどすら立ちません。G7サミットを前に、各国からも厳しい目が向けられています。岸田首相はかつて社会や価値観が「変わってしまう」と言いましたが……。
 ◆実際に同性婚が認められないことで権利を奪われている人たちがいるのですから、これは価値観の問題ではなく、人権問題です。ただ、今の社会で難しいのは「これは人権問題だ」「これは差別だ」と言うだけではもう、多くの人に響かなくなっていることかもしれません。
 「人権」とか「差別」という言葉が威力を持たない社会になってしまっている。そして差別された人が精いっぱい声を上げても、それを冷笑するような人物が人気を集めていたりする。
 LGBT理解増進法案は東京オリンピックを前にした2021年、自民党内の一部の右派議員の根強い反対で国会に提出できなかった経緯があります。右派議員たちは法案の中に「差別は許されない」という文言があることを問題視し、反対しました。
「変わらない」よりむしろ「後退」
 ――差別は許されない、なんて当然のことなのに、国会議員が「差別は許されない」に反対したわけですね。ジェンダーの分野で、日本は「変わってしまう」どころか、むしろ「変われない」ように見えます。
 ◆そうですね。選択的夫婦別姓制度が典型的です。1996年に法制審議会の答申で、導入が提言されましたが、その後27年間、実現しません。実現に向けた動きが起こるたび、右派の激しい反対でつぶされてきました。20年の第5次男女共同参画基本計画では「夫婦別姓」という文言すら削除されました。
 同じく激しいバッシングを受けてきたのが性教育です。
 05年、安倍元首相や山谷えり子議員が中心となって自民党が「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を結成しました。性教育は「行き過ぎ」などと攻撃され、日本の性教育は世界に立ち遅れることになりました。
 どちらも、変わらない、というより「後退」です。
 ――後退、ですか。
 ◆80年代は女性の時代と言われました。男女雇用機会均等法ができ、「セクハラ」という言葉が使われ始めた。95年の北京での世界女性会議の後、99年には男女共同参画社会基本法も施行されました。しかし、それ以降はむしろ、バックラッシュと呼ばれる反動の時代でした。
 「ジェンダーフリー」という言葉がターゲットにされ、「男女が同室で着替えることになる」など根拠のない攻撃を受けました。教育現場で地道に進んでいた男女混合名簿の導入なども批判を受け、逆戻りしたところもありました。
 各自治体の男女共同参画の動きも腰が引けてしまった。「男女共同参画」という言葉が部署名から消えたり、実際行われているのは男女共同参画川柳コンテストや婚活パーティーや少子化対策だったり。これも「後退」です。
宗教右派と政権が結びつき……
 ――そういえば法務省の人権冊子から「性自認」「性的指向」という言葉が削除され、問題になっています。
 ◆これも自民党右派の主張が反映された結果でしょう。これは03年の宮崎県都城市の「男女共同参画社会づくり条例」をめぐるバックラッシュを思い起こさせます。
 あの条例は、全国で初めて「性別または性的指向」という言葉を盛り込み、性的少数者の権利を明文化しました。しかし激しいバックラッシュに遭い、06年、これらの文言が削除されてしまいました。
 ――どんな人たちが反対しているのですか。
 ◆私は、バックラッシュの担い手たちを実際にインタビューしてきました。選択的夫婦別姓の反対運動を中心的に担ってきたのは、神社本庁などの宗教団体や右派団体の参加する「日本会議」です。日本会議は先祖から子孫に続く「タテの関係」を重視し、イエ制度のような復古主義的な家族観を持っています。同時に、政府や行政に頼らず、家族で助け合っていく、ネオリベラリズム的な「自助」も打ち出している。その中で、女性は家事や介護などあらゆるケアの担い手と考えられています。
 一方、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は特に性的少数者の権利拡大に反対してきました。彼らは教団の決めた異性の相手と「祝福結婚」し、出産することを重要とするからです。だから同性婚の阻止に力を注いでいるのです。
 特に、15年、米国で連邦レベルで同性婚が認められた後は、「米国のようになっていいのか」と盛んに米国などの海外情報を紹介し、論陣を張ってきました。
 安倍元首相襲撃事件以降、「政治と宗教」の癒着ぶりが注目されています。でも、単なる選挙応援だけではありませんでした。宗教右派と政権とが結びついた結果、具体的にどのような政策に影響が及んだかも、丁寧に見ていかねばならないと思います。
阻止されたジェンダー施策
 ――阻止されてきたのが、選択的夫婦別姓であり、LGBT理解増進法案であり、同性婚や同性パートナーシップなわけですね。しかもバックラッシュのような動きは現在進行形です。日本では経口妊娠中絶薬にも激しい反対がありましたね。
 ◆カトリック系の団体が経口中絶薬反対を訴えていて、その機関誌に日本会議と関係が深い人物のインタビューが掲載されたこともありました。旧統一教会も経口中絶薬には反対の立場を打ち出しています。日本の場合は、少子化問題が背景にあり、「とにかく産め」という風潮の中で、女性のリプロダクティブヘルスが軽んじられています。
 一方で、宗教右派の影響下で推進されてきた政策も気になります。旧統一教会や他の右派団体などが保守系議員と連携し推進しているのが「家庭教育支援法」や「家庭教育支援条例」です。
 推進してきた勢力は、ジェンダーフリーや性教育バッシングを担った層とも重なります。伝統的な子育てに学ぶべきだ、という言説は一見、良いことのように見えて反対しづらい。
 しかし、「家庭教育推進」の名のもと、問題のない家庭にも公権力が介入することを可能にしたり、「保護者の責任」や「自助」が強調されたりもしています。母親が子育てを主に担うことが多い日本においては、結果として、母親を追い詰めることにもなりえます。
 家庭教育の支援との関係が深いのが、民間で行われてきた、「親としての学び」「親になるための学び」を柱とする「親学」です。現場で何が行われているのか知る必要があると考え、私は「親学」講座を受け、「親学アドバイザー」の資格も取得しました。
広がる「親学」
 ――そこが山口さんの面白いところですね。男女共同参画やフェミニズムへのバックラッシュを遠くから批判するのではなく、バックラッシュの担い手とも対話しようとする。
 ◆外から見ているだけだと「トンデモ」な人たちに見えても、担い手一人一人は熱心で真剣で、いわゆる「いい人」も多いのです。実生活では必ずしも「男尊女卑」ではなく、妻も外で働くなど行動的な人も多い。
 バックラッシュの担い手は熱心な人が多いので、国会議員や地方議員の選挙運動を手伝い、パイプを作る以外にも地道な活動をしています。例えば、地方自治体の男女共同参画推進員をあえて引き受け、「子どもはたくさんが良い」「お年寄りは大切に」「介護は家族で」など自分たちの主張をじわじわと反映させている人もいます。
 私の参加した「親学」講座には、学生やカウンセリングの仕事をしている人、就職の役に立つと思った人、幼稚園や保育園、小学校の先生たちなど、実にさまざまな人がいました。いわゆる宗教右派にとどまらず、広範囲に支持され、草の根的に広がりを持っていると感じます。
気になるトランスジェンダー差別
 ――今一番気になるのは何ですか。
 ◆トランスジェンダーに対する差別です。これは日本だけでなく、世界で起きていることです。15年、米国の連邦最高裁判所で同性婚を認める判決が下りました。同じ年、日本では東京都渋谷区で同性パートナーシップ条例ができました。
 米国ではそれまで同性婚に反対していた層が、攻撃対象を同性婚からトランスジェンダーに変更し、激しいバッシングを始めました。しかも「体は男性のままのトランス女性が女子トイレや女子更衣室に入ってもいいのか」などと、トランス女性が実際に置かれている状況から大きくかけ離れている事例で人々を怖がらせ、共感を集めようとしたのです。
 日本で、男女共同参画に反対するのに「男女同室着替えになってもいいのか」とか、選択的夫婦別姓に反対するのに「子どもがいじめられてもいいのか」などと現実離れした極端な例を引き合いに出し、「こんなことになったら困るだろ」と不安をあおるのと同じ手法です。日本でも「トイレ問題」を持ち出したトランスジェンダーバッシングが目立ってきました。宗教右派や保守が、自分たちの主張を通すためにトランスジェンダーという存在を利用していると感じます。
 ――日本は、変わっていけるのでしょうか。
 ◆同性婚をめぐって、岸田首相は「社会が変わってしまう」と言いましたが、実は社会はすでに変わっています。ジェンダーをめぐる価値観も家族観ももっと多様になっています。きっと以前から本当は多様だったはずなのに、少数派はずっと抑圧され、人権を無視されてきたわけです。今もそう。法整備が遅れているせいで、一部の人たちが権利を踏みにじられ続けているのです。
 世論調査を見れば、選択的夫婦別姓や同性婚を支持する人は増えています。若い人ほどそうです。それなのに、宗教右派と深くつながった右派の議員たちが実権を握っているから、具体的な政策がどれも実現しない。
 そこから社会を変えていかねば、と思います。》




2023年 4月13日
「国が証拠提出し、裁判所で取り調べる映像の一部を、原告側が勝手に編集してマスコミに提供した」斎藤健法相7日閣議後記者会見
「公開すると監視カメラの撮影範囲や解像度、職員の巡回態勢や頻度が公になる。ウィシュマさんの名誉や尊厳の観点から慎重であるべきだ。自分がそういうことになれば、公開してほしくない」11日記者会見
「事実関係を述べただけであって、良いとか悪いとかそういうコメントは一切していません」12日衆院法務委
「(ウィシュマさんの監視カメラ映像を国側が一部公開にとどめている理由について)ウィシュマさんの名誉と尊厳を守るため」13日衆院本会議
「姉の尊厳を入管が考えてくれたら、姉が死ぬことはなかった」傍聴したウィシュマさんの妹ワヨミさん
 語学教師を夢見て来日したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんの名誉と尊厳そして生命を奪ったのは、病状に適切な対応をせず長期勾留中に死に至らしめた法務省入国管理局であり、法務大臣の一連の発言は、恥ずべき詭弁でしかない。
 この国の異常な入国管理・収容政策を問う弁護団による映像公開を、記者会見や国会で執拗に中傷するこの斎藤という人物に、法を遵守し広く市民の権利、生命を保護する法務大臣の資質はない。この改定案も難民申請を2回に制限するなど、より非人道的で排他的な難民認定制度をさらに歪めてこの国の名誉、尊厳も穢すだけ。
《外国人の収容・送還ルールを見直す入管難民法改正案は、13日の衆院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りした。難民認定の手続き中は送還を停止する規定に例外を設け、申請を原則2回までに制限する。長期収容を避けるため、入管施設外での生活を認める制度を導入。紛争避難民を「準難民」として保護する制度も創設する。
難民申請、原則2回まで 入管法改正案を閣議決定
 斎藤健法相は「保護すべき者を確実に保護しつつ、(強制送還の)手続きを適切かつ実効的なものとする」と強調した。
 現行法は、難民認定の申請回数に上限がない。送還逃れのため繰り返し申請するケースがあり、施設での収容長期化の要因となっている。改正案は、3回目以降の申請について、相当の理由がない限り送還対象とする。
 改正案はまた、全ての送還対象者を施設収容する仕組みを転換。出入国在留管理庁が選定した「監理人」の監督を条件に、施設外での生活を認める「監理措置」制度を導入する。施設収容の場合も、3カ月ごとに監理措置への移行を検討する。》



2023年 4月13日
・韓国軍合同参謀本部は13日、北朝鮮が同日午前7時23分ごろ、平壌から朝鮮半島東の東海上に向けて中距離級以上の弾道ミサイル1発を発射したと発表した。(聯合ニュース)
・「日本政府も北朝鮮から発射と発表」2023/04/13 07:36
防衛省は13日、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表した。(共同通信)
・「日本のEEZ外に落下と政府関係者」2023/04/13 07:52
日本政府関係者は、北朝鮮から発射された弾道ミサイルの可能性のあるものは、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられると明らかにした。(共同通信)
・「国民保護に関する情報:J−ALERT」(消防庁)2023/04/13 07:55
直ちに避難。直ちに避難。直ちに建物の中、又は地下へ避難して下さい。北朝鮮が弾道ミサイル発射 ミサイルが、08時00分頃、北海道周辺に落下するものとみられます。直ちに避難して下さい。 
作成部署 J−ALERT(政府) 
発表組織 J−ALERT(消防庁)
「国民の皆様の安全を最優先する、この観点から発出したものです。Jアラートの役割ということを考えたならば今回のこの判断は適切であったと政府としては考えています」岸田13日9時過ぎ
 一連の経過をmipokoさんのツイートで知ったが、 07:52 共同通信「日本のEEZ外に落下と政府関係者」の報道は、数分のうちに新潟日報、秋田魁新報、京都新聞、山陽新聞など全国のメディアが報じている。政府によるJ−ALERT発出は、すでにミサイルのEEZ外への落下確認から3分後。
 政府内における情報共有の齟齬を放置して、北海道でJR全線と新幹線、地下鉄の停止、学校授業繰り下げ、スクールバスや部活の停止と避難など、ひとびとを惑わせてその生活を混乱させ、ただ北朝鮮への恐怖を煽り防衛費増額を喧伝するだけの岸田首相。
 これら北朝鮮ミサイル開発を支えたのは、自民党政権が癒着したカルト教団による霊感商法や高額献金で国民から収奪した統一教会マネー4500億円。
 カルト集団との癒着など何も反省しない自民党とその総裁は、杜撰な情報管理で国民に迷惑をかけても何も反省しない。退陣あるのみ。
《岸田総理大臣は13日朝、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて政府が出し、その後、訂正したJアラートについて「今回の判断は適切であった」と述べました。
 岸田総理大臣:「国民の皆様の安全を最優先する、この観点から発出したものです。Jアラートの役割ということを考えたならば今回のこの判断は適切であったと政府としては考えています」
 朝、北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたことを受け、政府はJアラートを出し北海道周辺にミサイルが落下する可能性があると発表しました。
 しかし、その後、落下の可能性がなくなったとして訂正しました。
 岸田総理は訂正した理由について「落下する可能性がなくなったことが確認されたので改めて情報提供を行った」と説明しました。
 そのうえで「今後とも情報収集、警戒監視、日米、日米韓の連携を緊密にしていく」と強調しました。》



2023年 4月11日
「今回の文書を見ると、その頃、我々が仕事をしていて感じていたことと、まさに符合するような動きがあったんだなと思い、腑(ふ)に落ちた感じがしました」
・文書で礒崎は当時、TBS系報道番組「サンデーモーニング」を「けしからん」と敵視したほか、テレ朝系の番組「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターについても「気に入らない」と名指しで批判。
「報ステの人たちの顔がだんだん曇っていくというか、不自由さを感じて苦しんでいるのは、すぐ真横で見て感じていました」
・15年3月末、報ステの生放送中に当時の安倍政権への批判で知られ、コメンテーターを務めた元経済産業省官僚、古賀茂明さんが報ステ最後の出演の際に、自身の降板を巡る首相官邸からの圧力などを訴えた。古賀さんの降板と同じ頃、報ステのチーフプロデューサーも交代。
「その女性のチーフプロデューサーは政権を批判し、攻め込むタイプでした。その人が交代となり、『政権を批判すると飛ばされるのではないか』という空気が局内で強まりました。あの時期に、局内のスタッフだけでなく、骨太な政治の話題をずっとやってきた外部スタッフも交代させられたり、自ら番組を去っていったりしました。どんどん骨抜きにされました」
「ニュース番組は、制作サイドの意図だけで作れるものではありません。出演者やゲスト、記者、上層部の意向、それに社としての報道方針もあります。いろいろな人の信頼関係があってこそ、面白い内容になるのです。疑心暗鬼になって、恐る恐る作った番組は味気ない内容になり、スタッフも意欲を失います。精力的な取材が減り、攻めた原稿を書かなくなる。報ステは、どんどん悪いスパイラルにはまっていったのです」
・この頃、首相官邸以外に自民党側からもテレビ局への圧力が強まり、テレ朝だけでなく他の放送局でも萎縮が進んでいった。
「まさに安倍政権の思うつぼです。ある意味、政権側の思惑が功を奏したと言えなくもない。そこが、テレビ報道に関わってきた者として一番悔しいところです」
・当時は、安全保障関連法(15年9月に成立)などに反対する学生団体「SEALDs」が注目を集めていた。鎮目さんは、シールズの活動を紹介し、意見を聞くコーナーを作ろうと考えた。上司から「やめておけ。こういう時期に偏るようなことをするのは良くない。会社の上層部に説明がつかない」と言われ
「番組の統括責任者だった僕がやると決めたものを、ダメと言われるのは承服できず、ケンカになりました。それでも最後は押し切られ、実現しませんでした」
・安倍首相の後押しも受けて官邸側が、一つの番組で判断できるように事実上の解釈変更を総務省に迫り、こうした流れに沿うように当時の高市早苗総務相は15年5月に「一つの番組のみでも極端な場合は、一般論として政治的公平を確保しているとは認められない」と国会で答弁。16年2月には、総務省が「一つ一つの番組を見て、全体を判断する」とした政府統一見解を出した。
「テレビのニュースは、映像を付けて言葉で説明するので、時間的に1回の番組で多くのことを詰め込むわけにいきません。いろいろな番組で全体的なバランスを取るというのは、そういうテレビ制作の実態もあるのです。(政府の「一つ一つの番組を見て」という見解は)非常に不当で的外れ。(一つの番組内で政治的公平を保とうとすると)大事な情報や意見を視聴者にどう伝えるかを考える以前に、制作側は量的な形式的公平ばかり気にするようになっていきます」
「政権側を批判する報道でも、褒める報道でも、きちんと取材して論評することが大事です。異なる立場をきちんと取材し、ファクト(事実)に基づいて伝えることこそが公平ではないでしょうか」
・安倍政権は20年に終わり、菅義偉政権、岸田文雄政権と変わってきたが、テレビの政治報道の萎縮は今も続いている。
「やり方によってはまだ報道は復活できる。ーー時代に即した動画ニュースとしてネットでもきっちりとした報道ができるようにするには、作り手も若い世代にしないともう無理でしょう。テレビがやるべき若い人に向けた報道は、ニュースの背景や事情も分かりやすく説明し、理解してもらうことが大事です。政治家などどういうプレーヤーがいて、どういう思惑で動いて、現状に至っているかを、萎縮せずに事実に基づいてきちんと解説する。そのことを真剣に考え、変わっていくべきです」
 霊感商法や高額献金で国民を収奪するカルト集団と癒着しながら、政権への批判を「反日」呼ばわりする安倍政権以来のテレビ報道に対する政治介入問題についての、テレビ朝日元プロデューサー・鎮目博道氏の優れたインタビュー記事から。
 報道機関の政治的公平とは、政権に憚り、阿ることではない。報道機関の役割は、権力や権威に阿ることなく、事実を取材・究明して政治や外交を含むその国や世界の様々な問題、課題を社会に伝えること。ロシアや中国の国営放送など政府に支配された報道の凄まじく歪で虚偽に満ちた現状を見れば、報道機関の政治的公平、公正の意義はこの国だけではなく世界でより重要さを増している。
 「ウラジーミル。君と僕は同じ未来を見ている」とクリミヤ併合後のプーチンに擦り寄り媚を売る安倍元首相の「未来」は、自らの政策や行為を批判する報道機関と個人への凄まじい敵意と弾圧と介入という形で、まさに醜悪に「同じ」だということ。自らが治めた総務省の行政文書を自らに不都合と見るや「捏造」「怪文書」と言い募り、威丈高に国会で居直る高市はその縮小版の悪しきコピーでしかない。こんな政権とそれに阿る報道がこれからも続くなら、この国はますます衰退、崩壊していくだけ。
《放送法の「政治的公平」の解釈を巡り、第2次安倍政権内のやり取りを記した行政文書が公表され、1カ月がたつ。文書からは、安倍晋三首相(当時)の意を受け、首相官邸側が「けしからん番組は取り締まる」(当時の礒崎陽輔首相補佐官)方向で、放送法の事実上の解釈変更を総務省にさせた経緯が分かる。テレビ朝日に27年間在籍してニュース番組制作に携わり、その後に独立したプロデューサー・鎮目博道さん(53)に取材すると、「政権を批判したら飛ばされるのではないか」など、テレビ現場が安倍政権当時から萎縮していった様子を赤裸々に語った。【後藤豪】
「報ステ」のスタッフ 不自由な空気に
 立憲民主党の参院議員が3月初めに公表し、総務省も同省の文書と認めて開示した、2014〜15年の安倍政権内の文書。
 鎮目さんは当時、テレ朝系のニュース番組「スーパーJチャンネル」でニュースデスクを務め、その日のニュースの扱いを決め、政治部や社会部など各部とのやり取りなどをしていた。「今回の文書を見ると、その頃、我々が仕事をしていて感じていたことと、まさに符合するような動きがあったんだなと思い、腑(ふ)に落ちた感じがしました」
 文書によると、礒崎氏は当時、TBS系報道番組「サンデーモーニング」を「けしからん」と敵視したほか、テレ朝系の番組「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターについても「気に入らない」と名指しで批判していた。
 その報ステと、鎮目さんがいたJチャンはテレ朝の報道局フロアで、隣の部署だった。「報ステの人たちの顔がだんだん曇っていくというか、不自由さを感じて苦しんでいるのは、すぐ真横で見て感じていました」
生放送中に“事件”
 15年3月末、報ステの生放送中に“事件”が発生する。当時の安倍政権への批判で知られ、コメンテーターを務めた元経済産業省官僚、古賀茂明さんが報ステ最後の出演の際に、自身の降板を巡る首相官邸からの圧力などを訴えたのだ。古賀さんは、テレ朝幹部らの意向があるとも説明し、古舘さんが「テレビ側から降ろされるのは違う」と反論し、応酬になった。
 古賀さんの降板と同じ頃、報ステのチーフプロデューサーも交代した。鎮目さんは「その女性のチーフプロデューサーは政権を批判し、攻め込むタイプでした。その人が交代となり、『政権を批判すると飛ばされるのではないか』という空気が局内で強まりました」と振り返る。
受け継いでいた「Nステ」魂
 かつてテレ朝を代表する報道番組といえば、久米宏さんがキャスターを務めた「ニュースステーション」(1985〜2004年)だ。夜のニュース番組を変えたとも言われ、久米さんの軽妙なトークや歯に衣(きぬ)着せぬ発言もあり、人気を呼んだ。その後継番組が報ステだ。
 鎮目さんは04〜07年、報ステでディレクターを務めた。「報ステという番組には、脈々と『ニュースステーションイズム』が受け継がれてきました。スタッフもNステ時代からやっている人が多く、政権の問題点を是々非々で批判した。そのスタンスを売りにしてきた番組です」
 さらに、こう続けた。「しっかりした取材に基づくオピニオンを言っていく。スタッフとしては大変な部分も多いですが、『テレ朝のメインニュース』としての誇りを持ってみんなやっていました」
骨抜きにされ「安倍政権の思うつぼ」
 ところが、12年に第2次安倍政権が発足して以降、次第にモノを言えない空気が漂ってきたという。「(15年の)あの時期に、局内のスタッフだけでなく、骨太な政治の話題をずっとやってきた外部スタッフも交代させられたり、自ら番組を去っていったりしました。どんどん骨抜きにされました」
 鎮目さんは「ニュース番組は、制作サイドの意図だけで作れるものではありません。出演者やゲスト、記者、上層部の意向、それに社としての報道方針もあります。いろいろな人の信頼関係があってこそ、面白い内容になるのです」と強調する。「疑心暗鬼になって、恐る恐る作った番組は味気ない内容になり、スタッフも意欲を失います。精力的な取材が減り、攻めた原稿を書かなくなる。報ステは、どんどん悪いスパイラルにはまっていったのです」
 この頃、首相官邸以外に自民党側からもテレビ局への圧力が強まり、テレ朝だけでなく他の放送局でも萎縮が進んでいったと言う。「まさに安倍政権の思うつぼです。ある意味、政権側の思惑が功を奏したと言えなくもない。そこが、テレビ報道に関わってきた者として一番悔しいところです」
自身も上から「待った」
 鎮目さん自身も当事者にもなった。
 Jチャンのデスクの後、テレ朝に籍を置いたまま、16年4月のインターネットテレビ局「Abema(アベマ)TV」のサービス開始に関わった。
 アベマは、IT大手「サイバーエージェント」とテレ朝の共同運営で開局。鎮目さんは、平日夜に生放送するニュース番組のプロデューサーとなった。この番組は、政治を含めてさまざまなニュースを若者目線で取り上げるコンセプトで、多様な立場の人の意見を紹介する狙いがあった。
 当時は、安全保障関連法(15年9月に成立)などに反対する学生団体「SEALDs(シールズ)」が注目を集めていた。鎮目さんは、シールズの活動を紹介し、意見を聞くコーナーを作ろうと考えた。
 ところが、上司からストップがかかった。「やめておけ。こういう時期に偏るようなことをするのは良くない。会社の上層部に説明がつかない」と言われたのだ。「番組の統括責任者だった僕がやると決めたものを、ダメと言われるのは承服できず、ケンカになりました。それでも最後は押し切られ、実現しませんでした」
「一つの番組を見て」は不当
 放送法第4条では放送事業者に「政治的に公平であること」を求めている。この条文について政府は従来、「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との解釈を取ってきた。
 だが、今回明らかになった行政文書からは、14年11月に、前述のTBS「サンデーモーニング」に礒崎氏が強い不満を持ったことを発端に、安倍首相の後押しも受けて官邸側が、一つの番組で判断できるように事実上の解釈変更を総務省に迫り、押し切った過程が浮き彫りになった。
 こうした流れに沿うように、当時の高市早苗総務相は15年5月に「一つの番組のみでも極端な場合は、一般論として政治的公平を確保しているとは認められない」と国会で答弁。16年2月には、総務省が「一つ一つの番組を見て、全体を判断する」とした政府統一見解を出した。
 一連の経過を踏まえて、鎮目さんは説明する。「テレビのニュースは、映像を付けて言葉で説明するので、時間的に1回の番組で多くのことを詰め込むわけにいきません。いろいろな番組で全体的なバランスを取るというのは、そういうテレビ制作の実態もあるのです」
 その上で、政府の「一つ一つの番組を見て」という見解について、「非常に不当で的外れ」と批判する。一つの番組内で政治的公平を保とうとすると、「大事な情報や意見を視聴者にどう伝えるかを考える以前に、制作側は量的な形式的公平ばかり気にするようになっていきます」と指摘した。
 では、鎮目さんが考える政治的公平とは何か。「政権側を批判する報道でも、褒める報道でも、きちんと取材して論評することが大事です。異なる立場をきちんと取材し、ファクト(事実)に基づいて伝えることこそが公平ではないでしょうか」
政治報道の復活のために
 安倍政権は20年に終わり、菅義偉政権、岸田文雄政権と変わってきたが、テレビの政治報道の萎縮は今も続いていると言う。
 ただ、鎮目さんは、今回の安倍政権下での問題発覚をチャンスと捉えており、「やり方によってはまだ報道は復活できる」と見ている。それは、制作の実質的な権限を若い世代に委ね、若者向けの政治番組を作ることだと話す。
 「テレビニュースは、テレビにだけ流すものではなく、インターネットで配信しなければビジネスとして成り立たなくなってきています。時代に即した動画ニュースとしてネットでもきっちりとした報道ができるようにするには、作り手も若い世代にしないともう無理でしょう」
 その上で強調した。「テレビがやるべき若い人に向けた報道は、ニュースの背景や事情も分かりやすく説明し、理解してもらうことが大事です。政治家などどういうプレーヤーがいて、どういう思惑で動いて、現状に至っているかを、萎縮せずに事実に基づいてきちんと解説する。そのことを真剣に考え、変わっていくべきです」》



2023年 4月10日
・日本政府は強制動員の歴史的事実を認めるべき。
・ここ数年、この問題が注目されるようになってから、これに関連した日本政府の発言はいくつかある。だが、その中には、強制動員の史実について正確に語り、強制動員は反省すべき歴史的出来事だったとする認識は見られない。むしろ、問題はなかったとか、あるいはそもそも何があったのかをうやむやにして、聞く者を混乱させるだけの言葉を繰り返し発して来た。
・戦時期の朝鮮からの労務動員については、文科省の官僚も、1990年代には、「募集」を含めて「強制連行」であるというのが学界では一般的だと国会で答弁していた。
「一般的に強制連行は国家的な動員計画のもとで人々の労務動員が行われたわけでございまして、募集という段階におきましても、これは決してまさに任意の応募ということではなく、国家の動員計画のもとにおいての動員ということで自由意思ではなかったという評価が学説等におきましては一般的に行われているわけでございます」参議院予算委員会、1997(平成9)年3月12日政府委員(辻村哲夫君)
・例えば2021年には、「強制連行」「強制労働」という用語についての答弁書がある。これらの用語についての考えを明らかにせよという日本維新の会の馬場伸幸衆院議員の質問書に対して、日本政府は、「強制連行」ではなく「徴用」という語が適切であり、朝鮮人の労務動員は「強制労働」ではなかった、と説明。
・日本政府は一方で、彼らは徴用工ではない、という言い方もしてきた。2018年10月の大法院判決のあと、衆議院予算委員会で、安倍晋三首相は、原告らは「徴用工」ではない、募集に応じたのだ、「徴用工」ではなく、「旧朝鮮半島出身労働者」と呼ぶべきだと言っている。これは岸田文雄議員の質問に答えたものであり、岸田議員は、この答弁について「ありがとうございました」と述べて質疑を終えている。そして今も、日本政府や与党政治家はその語を用いている。
・また、「彼らは徴用工ではない」という主張も、岸田文雄と安倍晋三が、法律をよく確認していない、あるいは、あえて無視しているだけに過ぎない。実際には希望して軍需工場等に入った朝鮮人に対しても、ある時点から国家総動員法第4条に基づく徴用とする措置がとられていた、というのが事実なのである。
・そうした自分たちに都合の悪い史料や情報に触れない、出さないのが、日本政府である。そしてマスコミでも、そうした歴史的事実はほとんど伝えられない。となれば、日本の市民の多くが「強制労働はなかった」「自分たちで志望して職場に入ったので国家による動員ではない」と誤解するのは当たり前だ。
・戦時下の朝鮮の実情調査に赴いた内務省嘱託が、労務動員について「拉致同様」になっていると記した文書もある。戦後、日本の労働省が刊行した書籍のなかでも、戦前戦中には、土建工事や炭鉱には監獄部屋が多くあり、それは強制労働であったとする文章が確認できる。
・そもそも、自らの政策によって酷い人権侵害が起きたことに対して謝罪しない政府を持つ国民、つまり日本人こそ不幸である。ついでに言えば、自国政府が、自らが行って来たことについて場当たり的に支離滅裂な説明に終始し、何が史実か分からない状態を作り出す、都合の悪い行政文書は触れない、説明しない、という態度をそのままにしておいた場合、いいことは一つもない。
 「徴用工問題」=強制動員被害の問題についての4月5日、外村大東京大学大学院総合文化研究科、アジア・環太平洋地域文化講座所属教授のnote記事から。
 戦時下での朝鮮半島からの「募集」「官斡旋」そして「徴用」として計80万人(旧内務省「労務動員関係朝鮮人移住状況調」)に上る「徴用工」強制動員については、韓国大法院判決だけではなく外村教授が指摘する日本の学術研究とさらに一連の国内裁判判決で、「総合すると強制労働であったというべき」(名古屋高裁2007年5月31日)、「法令などの定めを逸脱した違法な行為」(広島高裁)などと、時効や日韓請求権協定を理由に原告らの請求は在韓被爆者訴訟を除き退けられたが、その違法性と強制性が確認されている。
「違法な国家権力の行使で犠牲や被害をこうむった者には、国家の責任で一定の補償をすることが世界の主要国の共通認識ーーー国政関与者には適切な立法措置を講じることが期待される」1998年東京高裁
「関係者が救済に向けた努力をすることが期待される」2007年最高裁
 こうした事実に背を向け、自らの偏狭な歴史認識と「日本会議」などのコアな支持層に迎合するために、従来の政権が保ってきた一定の反省と謝罪の姿勢すら転換させたのが安倍政権であり、その外相としてお先棒を担いだのが「広島出身」と自称しながら生まれも育ちも東京の現岸田首相だということ。
 ウクライナで隣国を残忍に侵略するプーチンを、ロシア政府とメディアが流すプロパガンダを信じて支持する多数のロシア国民と同じく、「自らの政策によって酷い人権侵害が起きたことに対して謝罪しない政府を持つ国民、つまり日本人こそ不幸」とはまさに正論。「強制連行」を「徴用」とし、今回は「募集」などと言葉を言い換えて歴史を封印して、さらに教科書検定でそれを教室に強制する姿勢はこの国を却ってみっともなく貶めるだけ。政府は歴史的事実をしっかり受け止めるべきだ。
《聞く者を混乱させる日本政府の見解
 日韓間の重要懸案であった「徴用工問題」=強制動員被害の問題について、政府間での決着の見通しについての報道がなされている。韓国の訴訟で確定している被害への慰謝料については、韓国政府系財団が支払う、日本政府は、これまで出された首相談話、日韓首脳の共同声明での植民地支配への反省を改めて確認する――ということらしい。
 「村山談話や小渕・金大中声明について、考え方は変わっていません」というのは悪いことではない。他方、「だから何?」という印象も受ける。別にそれがいったん反故にされているとか、失効していたとかいう話は聞いたこともない。それらは現在でも日本国外務省のサイトに掲載されていて、内容を確認したければ現在でも誰でもできる。
村山総理大臣談話
日韓共同宣言-21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ-
 つまり、「今までどおりです」とわざわざ言うだけに過ぎない。ここで考えるべきは、なぜ、「今までどおりです」と確認する必要が生じたかである。これは「日本政府が本当に植民地支配を反省しているのか」という疑念を、韓国側から持たれていることが一因だと考えられる。
 さらに、村山談話や小渕・金大中声明をもう一度確認したとしても、それが、強制動員問題、つまり炭鉱等への朝鮮人労働者の配置という被害についての日本政府の見解とどう関係するのかも不明である。つまり、日本政府が強制動員について史実としてどう認定しているのかという肝心のことが、この対応ではではよく分からない。
 ここ数年、この問題が注目されるようになってから、これに関連した日本政府の発言はいくつかある。だが、その中には、強制動員の史実について正確に語り、強制動員は反省すべき歴史的出来事だったとする認識は見られない。むしろ、問題はなかったとか、あるいはそもそも何があったのかをうやむやにして、聞く者を混乱させるだけの言葉を繰り返し発して来たと言ってよい。
 重要なのは、強制連行・強制労働があったのかどうかという点と、日本帝国政府が朝鮮人の労働に何らかの関わりをもっているのかどうか、である。もし「強制連行・強制労働はなかった」という認識に立つのであれば、日本政府も、被告企業も謝罪は必要ないことになる。また、1945年までの日本帝国政府の法令や行政施策と朝鮮人の労働の義務、労働条件等の監督責任が「無関係」だというのであれば、「動員をめぐる問題は私人同士、私人と民間企業との関係の問題である」ということになる。とすれば、日本政府は口出しできる立場ではない。
 ところが、これらの点についての日本政府の見解は、一度も整理した形で示されていない。相異なるような見解が断片的に述べられてきた感も否めない。
「強制労働」はあったのか、なかったのか
 まず、「強制労働」が史実としてあったのかどうかという論点を考えてみよう。戦時期の朝鮮からの労務動員については、文科省の官僚も、1990年代には、「募集」を含めて「強制連行」であるというのが学界では一般的だと国会で答弁していた(当サイト内『強制連行』は歴史研究の常識」と文科省が認める https://note.com/katazuketai7/n/n21b388522fc5 )。
 さらに、2015年の「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録に際して、日本のユネスコ大使は、いくつかの関連施設、つまりは炭鉱などで、1940年代に、労働を強いられた朝鮮人がいたという認識を語った。
 となれば、「強制労働」があったというのが日本政府の認識だと受け止めるのが自然だろう。ところが日本政府は、戦時下の朝鮮人労働に関して「強制労働はなかった」「強制労働ではない」という主張を、この間、何度もしている。
 例えば2021年には、「強制連行」「強制労働」という用語についての答弁書がある。これらの用語についての考えを明らかにせよという日本維新の会の馬場伸幸衆院議員の質問書に対して、日本政府は、「強制連行」ではなく「徴用」という語が適切であり、朝鮮人の労務動員は「強制労働」ではなかった、と説明している。
 さらにこれを受けて、日本政府によって歴史教科書の用語の書き換えが勧告され、実際に、教科書会社が「強制連行」「強制労働」を修正するといった動きも起きた。しかし、一方で、「強制連行」がなかったとも日本政府は言っていないし、「労働を強いられた」というユネスコ大使の説明は間違いでしたとも述べていない。
 日本政府が関係しているのか、民間レベルのみの問題なのかという論点はどうだろうか。日本政府は、戦時期の朝鮮人について、日本人と同様に徴用したのである、合法的に動員したのだ、ということもしばしば述べる。教科書記述でも前述のように、「徴用」という語を使うことが奨励されているようでもある。
 「徴用」という法律用語は、国家総動員法第4条に依拠して日本帝国政府が帝国臣民に対してある事業所で特定の業務に就くことを命令するということを指す。したがって就労先での労務管理や待遇についても日本帝国政府は監督することになる。とすれば、民間企業に配置された朝鮮がそこで虐待を受けたことなどについて日本帝国政府は責任を有するという議論が導き出される。当然にして日本帝国政府を継承した日本政府にも責任が生じる、ということになるはずだ。
 ところが、日本政府は一方で、彼らは徴用工ではない、という言い方もしてきた。2018年10月の大法院判決のあと、衆議院予算委員会で、安倍晋三首相は、原告らは「徴用工」ではない、募集に応じたのだ、「徴用工」ではなく、「旧朝鮮半島出身労働者」と呼ぶべきだと言っている。これは岸田文雄議員の質問に答えたものであり、岸田議員は、この答弁について「ありがとうございました」と述べて質疑を終えている。そして今も、日本政府や与党政治家はその語を用いている。
都合の悪い史料や情報には触れない日本政府
 日本政府の見解を調べてみようと考えた人は、混乱に陥るはずだ。強制労働はあったとも言っているし、なかったとも言っている、国家の命令で働かされた動員だとも認めているようであるし、そうではなく単なる私人と民間企業との契約だ、と言っているようでもある。結局、謝罪すべき史実があるのかないのか、日本政府がそれについて責任があるのかないのか、分からないのである。
 しかし、史実がどうであるのかを、アカデミズムの世界の歴史研究者に聞いたならば、強制労働はあったし、それは日本帝国政府と無関係ではない、という回答が返ってくることになる。拉致同様で連れて来られ、監禁され、脅されて労働させられていたケースが多発し、問題となっていたことを裏付ける史料や証言が存在するからである。
 また、「彼らは徴用工ではない」という主張も、岸田文雄と安倍晋三が、法律をよく確認していない、あるいは、あえて無視しているだけに過ぎない。実際には希望して軍需工場等に入った朝鮮人に対しても、ある時点から国家総動員法第4条に基づく徴用とする措置がとられていた、というのが事実なのである。
 さらに、本人の意思とは関わりなく連れて来られて、無理やり働かされていた状況を強制労働と言うのかどうかを、法律家に聞いたならば、それは強制労働に当たると言うはずだ。日本政府が「強制労働ではない」という論拠は、ILOの強制労働条約では戦時中の徴用等は除外されるということのようだが、そのような見解は、ILOの専門家委員会が否定している(当サイト内「朝鮮人の労務動員は『強制労働条約』違反ではない」という主張はなぜ間違いか https://katazuketai.jp/two/pg4309495.html )。
「徴用工」問題を考えるために「徴用工」問題を考えるために
「徴用工」問題=戦時強制動員問題をめぐる論議を、研究成果や判例などの「ファクト」に沿って、可能な限り交通整理しています。「
katazuketai.jp
 だが、そうした自分たちに都合の悪い史料や情報に触れない、出さないのが、日本政府である。そしてマスコミでも、そうした歴史的事実はほとんど伝えられない。となれば、日本の市民の多くが「強制労働はなかった」「自分たちで志望して職場に入ったので国家による動員ではない」と誤解するのは当たり前だ。
 では、今回、日本政府が改めて確認するという村山談話や小渕・金大中声明では、戦時動員について何か触れているだろうか。これらの文章では、戦時動員についての具体的な言及はまったくない。そこで述べられているのは、植民地支配が損害と苦痛を与えた、ということだけである。
 村山談話や小渕・金大中声明の文言がもう一回読み上げられたとしても、戦時動員についての日本の市民の認識は変わらない。むしろ、強制動員の問題に関係して、こうした声明が引っ張り出されることに疑問の声が上がるだろう。
 日本政府のこれまでの説明を真に受けてきた人びとが「謝るべき加害の事実がないのになぜ謝るのか」「日本政府の責任などないはずだ」と考えるのは、ごく自然なのである。仮に関係企業が、過去の動員に関連して、謝罪やなんらかの資金提供を検討したとしても、「なぜそんなことをするのだ」という日本の市民の批判が出るだろうから、実行に移すのは難しい。
 そうした日本社会の状況は、韓国にも伝えられるはずだ。となれば、韓国の市民は、「結局、日本人は史実を認めていないし、反省もしていない」と思うであろう。これもまた、当然のことである。かくして、日韓の国民間の対立はむしろ、激化する可能性すらある。
日本政府が強制労働の史実を認めるべき
 これを避ける方策はないだろうか? それは存在するし、実行もそう難しいことではない。
 強制労働はあったし、それは日本帝国政府の政策として行われていたという、歴史研究者や法律家であれば誰も否定しない事実を日本政府が明言すればいいだけである。
 特定の戦時期の被害について史実を述べる必要があるのか、という疑問を持つ人もいるかもしれない。だが1993年には、「慰安婦」の被害について、河野談話という形で、日本政府が確認した史実を明らかにしている。
 それを考えれば、むしろ、閣議決定された計画をもとにした日本内地の炭鉱等への労働者の配置で生じた問題について、何も見解を明らかにしない方が不思議であるし、バランスを欠いているとすら言える。
 「慰安婦」の史実をめぐっては、研究もあまりなされていなかったし、関連する行政文書も少なかったので、調査は困難だった。特にどのように被害者が集められたかは、証言に依拠せざるを得なかった。
 だが労働者の強制動員については、多くの記録がある。戦時下の朝鮮の実情調査に赴いた内務省嘱託が、労務動員について「拉致同様」になっていると記した文書もある。戦後、日本の労働省が刊行した書籍のなかでも、戦前戦中には、土建工事や炭鉱には監獄部屋が多くあり、それは強制労働であったとする文章が確認できる。つまり、これまでの日本帝国政府・日本政府自身の言葉を基に、史実について述べればよいだけなのだ。
 なお、朝鮮人強制動員の問題は日韓間の問題としてのみ考えられ、“反日の韓国人を利するようなことをするな”といきり立つ日本人も多いようだ。だがこの問題は、日本対韓国という枠組みでとらえて、どちらの利益になるとか、相手に譲歩するとかいったようなことで考えるような話ではない。
 そもそも、自らの政策によって酷い人権侵害が起きたことに対して謝罪しない政府を持つ国民、つまり日本人こそ不幸である。ついでに言えば、自国政府が、自らが行って来たことについて場当たり的に支離滅裂な説明に終始し、何が史実か分からない状態を作り出す、都合の悪い行政文書は触れない、説明しない、という態度をそのままにしておいた場合、いいことは一つもない。
 そうした自国政府の態度を改めさせることは、日本国民にとって損ではなく利益につながる。日本国民は、自分たちの置かれた不幸な状態から脱却するために、日本政府に対して、強制労働の史実、それについての日本帝国政府の責任認定、そのうえでの謝罪を、強く求めていくべきだろう。》



2023年 4月 9日
日記がわりに。
 裏手の桜も散り、通路も花びらの絨毯。昨日二週ぶりに神大前の桜を超えてil ventoのカッペリーニピザが美味しい。店長さんの先輩が訪れてラクビーの話が盛んだが、ラクビー好きが何故イタリアンでピザなのか、人生は複雑だ。
 これも二週ぶりに三宮に出てカワハギ探すが見つからず、食材買って帰宅。夕方報道特集は同い年、急逝した坂本龍一の沖縄、ふくしま、ウクライナに関わり続けた真摯な生き方を伝える。
 今日は西宮北口高松町で沖縄の島そば。その後元阪急球場のガーデンズの周りを一周。コーヒー飲みに屋上に行くと家族連れで賑わい、桜の木も。スーパーで地場野菜など買って帰宅後篠原台の上の投票所。急な坂でバテる。




2023年 4月 9日
――物価目標が達成できなかった理由にノルムを挙げていますが、そもそも異次元緩和はそのノルムを「2年で変える」と言って始めたものです。それが10年経っても変えられなかったということは、当初目的からすると異次元緩和は失敗だったのでは?
「そういうふうに全く思っておりません!」4月7日会見
――この10年間で国債500兆円、ETF(上場投資信託)35兆円を買い上げた。明らかに大きな負の遺産として植田日銀に引き継がれる。何か反省のようなものはないんでしょうか?
黒田総裁「何の反省もありませんし、負の遺産だとも思っておりません」3月10日会見
――国民の多くが望んでいない物価高が起きている。原因が何であれ物価の番人であるはずの日銀がこの事態に無策というのは、本来の使命を放棄しているのではないか。少なくとも物価を上げるための政策というのは、この際停止すべきタイミングではないか?
「全くそのように考えておりません」2022年10月28日会見
 異例の10年間も日銀総裁であり続けながら、まともに質問に答えることなく、何の反省の弁もせず逃げるように職を去った黒田東彦日銀総裁についての担当記者による憤りの記事。
 第二次安倍政権以来、通常5年(日本銀行法第二十四条(役員の任期))を超えて10年間も日銀総裁であり続けたこの黒田という人物は、安倍晋三、菅義偉と同じくまともな学びもせず、記者会見や国会答弁で記者や議員らの鋭い質問に真摯に答えず決まり文句をただ返すだけの、知性、教養そして人間性を著しく欠いた者であり、この10年間でこの国の国債発行残高は財政規律をまったく無視した1042兆4369億円、日銀の国債保有残高は576兆円と総裁就任前の6倍とし、自らは何の痛痒も責任も感じることなく退任した後、次世代に巨額の国債返済の負担と財政破綻というツケを残しただけ。
 日銀による低金利の持続と巨額の国債保有は、安倍・菅などいい加減な政権に国債依存に躊躇せず財政規律を遵守する意思を大きく衰退させた。やがて来る金利上昇によるこの国の財政破綻と超インフレは、南海トラフや首都直下地震より早くこの国の社会を激甚災害として襲うだろう。
《「そういうふうに全く思っておりません!」
 日本銀行の黒田東彦総裁が7日に開かれた最後の記者会見で、私の質問に対して放ったのはこの一言だけだった。説明にもなっていないのだが、これまでの会見で何度も聞かされてきたフレーズではある。ある意味で、この10年の黒田総裁会見を象徴する一言だった。
 10年続いた異次元緩和はかなり異常な金融政策だった。その間に日本は戦後最長に迫る景気上昇期もあった。にもかかわらず1度も金融を引き締めることがなかったのだ。
 欧米の中央銀行が近年も景気動向にあわせて、緩和と引き締めの切り替えを何度もやっていることを考えれば、おかしさが際立つ。
 黒田総裁は会見で、この10年やってきたことは正しかったと強調し、理解を得て任期を終えたいようだった。成功の根拠として説明した内容は、ざっと次のようなものだ。
 日本は1998〜2012年の約15年間、デフレだった。異次元緩和がしっかり効果を発揮したおかげで、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなった。女性や高齢者を中心に400万人を超える雇用が増加。若年層の雇用環境も改善。ベアが復活し雇用者報酬も増えた――。
 その説明は、まちがってはいない。ただし、「都合のいいとこ取り」の説明ではある。
ここから続き
 「15年間のデフレ」という歴史認識を日銀に初めて持ち込んだのは黒田総裁だ。ただ、消費者物価がマイナスといっても下落率は年率1%に満たないゼロコンマの水準だった。調査の誤差、調査対象の質の変化なども考慮すれば、ほぼゼロ%水準が続いたと言ってもいい程度のものだ。それを景気悪化や恐慌まで連想させてしまう「デフレ」という言葉を使うことが、どこまで適切だったのか。
 それに昨今の物価上昇で実質賃金が低下し、国民生活は苦しくなっている。その実情を考えると、当時と今とどちらの方が生活者としてはマシか、という比較もなされるべきだろう。
 「400万人を超える雇用改善」は安倍晋三元首相が生前、「アベノミクスの成果」を強調するのに持ち出していたデータだ。だがこれをアベノミクスや異次元緩和の成果と単純に評価するのには無理がある。
 有効求人倍率は実は、異次元緩和より前から上昇曲線を描いていた。リーマン・ショックから世界経済が復調するトレンドに、たまたま異次元緩和が乗ってきただけにも見える。
 さらに家計の構造が、専業主婦世帯の激減と共働き世帯の急増で変化していることも見逃せない。家計で1人しかいなかった働き手が2人になれば、統計上では雇用は増える。ただし、所得が単純に2倍になるわけではない。同じ所得を1人でなく、2人で稼ぐ「ワークシェアリング」が社会全体で行われているとも考えられる。
 失業率は改善しているが、その割にはそこまで生産が増えていないのが証拠だ。
 さらに、黒田総裁が成果にあげる「ベア復活、雇用者報酬の増加」も、それだけで異次元緩和の成功理由にはならない。物価も勘案した実質賃金でみると、今年2月まで11カ月連続で減少しているのだ。
 多少の賃上げがあっても、それ以上に物価が上がれば家計は実質的に貧しくなる。そのことへの言及がないのは誠実な説明とはいえない。
ノルムを「変えてみせる」のではなかったか
 黒田総裁のラスト会見で最もツッコミどころ満載だったのは、2%物価目標を達成できなかった理由として「ノルム」を何度も挙げたことだろう。
 ノルムとは、過去の経験から「物価は上がらないものだ」と思い込んでいる日本の社会通念を指す。
 総裁いわく、「長きにわたるデフレの経験から賃金や物価が上がらないことを前提とした考え方や慣行、いわゆるノルムが根強く残っていたことが影響し、2%の物価安定の目標の持続的安定的な実現までは至らなかった点は残念だ」。
 振り返れば、黒田総裁は2013年4月、「2年で2%物価目標を達成する」と高らかに宣言して異次元緩和に乗り出した。ところが2年を過ぎ、3年4年……7年8年と経っても2%目標はいっこうに達成できない。
 その間に日銀が持ち出した言い訳はいくつもある。原油価格の下落、携帯電話の値下げ……。それも使い尽くして最後に持ち出した言い訳が「ノルム」だった。
 だが、そもそもそのノルムを「変えてみせる」というのが異次元緩和の目的だったのではないか。
ようやく訪れた「一問限定」の質問機会
 会見でそれにあえて触れず「ノルム」の言い訳を繰り返す黒田総裁の答弁を聞いているうちに、その点を確認したくなった。会見終盤、「一問限定」の条件ながら、ようやく質問の機会が訪れ、こう質問した。
 ――物価目標が達成できなかった理由にノルムを挙げていますが、そもそも異次元緩和はそのノルムを「2年で変える」と言って始めたものです。それが10年経っても変えられなかったということは、当初目的からすると異次元緩和は失敗だったのでは?
 これに対する黒田総裁の答えが冒頭で紹介した一言だった。「そういうふうに全く思っておりません!」
 黒田総裁の、記者会見に対する向き合い方についても指摘しておきたい。一言でいえば、黒田会見は「大事なことを話さず、やりすごすための会見」だった。
 政策に疑問を呈したり批判的なニュアンスを含んだりする質問はできるだけ受け付けない。受けたとしても、まともには答えない。気に入らない質問をする記者はできるだけ指名せず、都合のいい説明だけをひたすら垂れ流す。その繰り返しだった。
 黒田会見では毎回十数人の記者が質問している。手をあげているのに私だけが総裁から質問者に指名されないことが、百回近い総裁定例会見のなかで何十回となくあった。
 この10年の間には、私以外にも批判的な質問をする記者は何人もいた。その記者たちも黒田総裁から指名されないことが続いて、やがて会見に姿を見せなくなった。「総裁から嫌われている」ということは、所属組織によっては、記者にとってリスクになりうる。
 私は質問の機会を得るため、総裁が会見を打ち切ろうとしているタイミングで「1問だけよろしいですか!」と叫んで強引に割り込んだこともある。会見を仕切る幹事社の記者が、取りなしてくれたことも少なくない。
 ただ、せっかく質問しても黒田総裁にまともに答えようという姿勢が見えないことが最大の問題だった。例えば最近こんなやりとりがあった。
 (3月10日会見)
 ――この10年間で国債500兆円、ETF(上場投資信託)35兆円を買い上げた。明らかに大きな負の遺産として植田日銀に引き継がれる。何か反省のようなものはないんでしょうか?
 黒田総裁「何の反省もありませんし、負の遺産だとも思っておりません」
 (2022年10月28日会見)
 ――国民の多くが望んでいない物価高が起きている。原因が何であれ物価の番人であるはずの日銀がこの事態に無策というのは、本来の使命を放棄しているのではないか。少なくとも物価を上げるための政策というのは、この際停止すべきタイミングではないか?
 「全くそのように考えておりません」
国民の多くが疑問に感じているはずであることを問うた
 私の問いは、国民の多くが疑問に感じていることでもあったはずだ。黒田総裁は、そこに誠実に向き合おうとしなかった。
 記者会見とは、民主主義のリトマス試験紙のようなものだ。ロシアや中国での記者会見では当局の都合のいい説明がまかり通っている。権力者に対して批判的な質問ができなくなったら自由民主社会は成り立たなくなる。
 そこではメディアが会見での表面的な言葉をなぞって国民に伝えるだけでは足りない。問題の所在を深く理解して解釈し、読者や視聴者にわかりやすく伝える。そこまでいって初めてメディアとしての役割を果たせたと言える。
 そのために私たち記者は不断の努力が必要だ。加えて、会見する側に最低限のルールを守ってもらうことも欠かせない。会見者が記者会見に真摯(しんし)に向き合い、うそは言わない、誠実に答える、というルールを守ることが実りある記者会見の前提となる。
 残念ながら黒田総裁会見でその条件は守られなかった。会見をないがしろにし、会見倫理ともいうべきものを踏みにじった。
 「説明責任という意味では一層高度なものになります」
 実は、日銀が2016年から金融政策決定会合と総裁定例会見の開催回数をそれまでの年14回から年8回に減らす際、黒田総裁はこんな説明をしている。記者側から、政策の透明性、情報公開の面で後退するのではないか、と懸念する声が出たことに対する答弁だ。
 「あらゆる面で透明性、情報発信については充実したものになると考えています」
 「対話や情報発信が少なくなる、内容が薄くなる、ということも全くありません」
 しかし、その後も黒田総裁は、会見時間を45分と区切って、まだ手を挙げている記者がいても途中で打ち切ったり、批判的な記者は指名しなかったり、といった運用を続けた。
 私は会見でそのことを指摘する質問を直接本人にしたこともある。黒田総裁の答弁もやはり、あの一言だった。
 「そういうふうには全く考えておりません」
 黒田総裁はそう言って、記者会見場を後にしていった。(編集委員・原真人)》



2023年 4月 7日
「急に突きつけられたのは防衛費の問題だけではありません。安保3文書は中国を名指しして『これまでにない最大の戦略的な挑戦』と書くなど、敵を特定しようとする性格が濃厚です。中国の軍拡への不安が高まっているのは事実だとしても、現状は中国が日本を主たる敵だと言っている状況ではなく、不自然な記述です。ほかにも北朝鮮の『脅威』を強調したり、ロシアを『安全保障上の強い懸念』と書いていたりするなど、事実上、複数の国を仮想敵国とみなす文書になっています」
「日露戦争のすぐあと、明治期の1907年に日本は『帝国国防方針』を作成しています。『用兵綱領』『所要兵力』と合わせた3文書からなり、仮想敵国や必要な兵力を決めていました。時代に応じて改定されながら、第2次世界大戦に至るまでの日本の国防政策を方向づけています」
「いえ。むしろ軍拡が進んでしまったと言えます。原因の一つは仮想敵国の多さです。国防方針は陸軍の主な仮想敵をロシア、海軍のそれを米国と規定する形で作成されました。しかし、当時ロシアが日本の主要な敵であったかは疑問です。そのときの具体的な安全保障環境に基づいて積み上げられた国防方針というよりは、組織としての陸・海軍がともに食べていけるようにという思惑の産物だったのです。抜け落ちていたのは、互いに協力して一致点を探し、国家として何をどう守るのかの戦略を一つにまとめる姿勢でした」
「世界最大級の陸軍国家・ロシアと世界最大級の海軍国家・米国。その両方と同時に競う方針なのですから『必要な軍備』には終わりがありません。身の丈を超えた軍事力を持とうとする国防方針だったのです。また、文書を作ったこと自体が軍拡を誘発した面もありました。『方針に書かれた目標を実現するために』との理由で軍拡を求める動きや、軍拡のために仮想敵国を増やそうとする発想が誘発されていったのです」
「(安保3文書の方針は、具体的な安全保障環境に基づいて積み上げられたものに)見えません。どれだけの防衛費がなぜ必要なのかを検討する前に、北大西洋条約機構(NATO)諸国並みの国内総生産(GDP)比2%に防衛費を増額するとの方針がまずあったからです。米国や欧州の国々に向けてアピールするための文書なのだからこれでいい、という考え方だったのかもしれません。ただ、防衛力を大幅拡充するという方針が中国に対する威嚇や脅しとして機能することには注意するべきです」
「1930年代前半の日本海軍の中には、自分たちが軍拡をしても米国は大規模な軍拡はしてこないだろうとの楽観がありました。しかし実際には米国は、対日戦争を想定した国防プランを持っており、40年と41年にはそれぞれ日本海軍に匹敵する規模の艦隊建造を図っています。日本は、自らの軍拡が相手の目に威嚇や脅しとして映ることや、相手が国力の点で無限に戦争を継続できる国であることを軽視していたのです」
「30年には、海軍軍令部が反対する中で浜口雄幸内閣がロンドン海軍軍縮条約に署名しています。重い軍事費負担にあえいでいた当時の経済状況から見れば妥当な選択でした。国防方針を盾に『それで米国と戦えるのか』との批判が出ましたが、本来、身の丈に合っていない国防方針の方を見直すべきだったのです。しかし実際には『政党政治は国防をないがしろにするものだ』と訴える勢力が優勢になり、民主政治が存在感を示した時代は32年ごろ終わりました」
「また日本政府は、米国政府と裏側で何をどうすり合わせているのかを国民の前に明らかにしていません。先月の国会でも、具体的な説明をしない姿勢に終始しました。軍事機密の部分はあるにしても、国民の税金を使うことの費用対効果がどうなっているのかを説明する方法はあるはずです」
――米国と中国の対立が深まり、台湾有事に備えるべきだという声が日本でも上がっています。
「米国と中国は、自国の領土内で戦争をしようとは思っていません。両国が衝突したら、火の海になるのは日本列島でしょう」
「戦争を違法化した不戦条約をはじめ、戦前期に達成されようとしていた国際秩序を、武力で踏みにじってしまった国が日本でした。その過ちを反省したことで戦後、日本は世界へ再参入する切符をもらったのです。急迫不正の侵害や存立が脅かされる事態が起きない限り武力行使をしない国として日本は歩んできました。そんな国家が、対立する中国と米国の間に3千キロの長さにわたって位置していることは、両国の平和にとっても大きな意味があるはずです」
 2020年に愚かで傲慢な菅政権が任命拒否した学術会議会員6名の一人、歴史学者加藤陽子東京大学教授のインタビュー記事。
 日本の戦争に関わる近現代史を俯瞰し、「仮想敵国」の想定と陸・海軍による国の経済力を逸脱した予算獲得競争に戦前の日本を導いた、日露戦争後の『帝国国防方針』『用兵綱領』『所要兵力』3文書と現在を比較しながら、岸田政権の「安保3文書」改定と防衛費増大、軍備拡大に突き進む姿勢を歴史的に検証、批判する。
 政権やそれを支持するものたちは、ロシアのウクライナ侵攻を挙げて「台湾有事」を喧伝するが、万一それに米軍と自衛隊が介入すれば、主戦場となるのは台湾と沖縄など南西諸島そして日本本土。軍備拡大は相手側の更なる軍拡をよぶだけ。
「国際紛争解決のために戦争に訴えることを非難し、かつ、その相互の関係において国家政策の手段として戦争を放棄する」ことを謳うパリ不戦条約(1928)を受け継いで「戦争放棄」「戦力の不保持、交戦権の否認」を定めた日本国憲法(1946)を有するこの国が、周辺三国を仮想敵と見做し軍備拡大に明け暮れるのは、この国と人類が歩んできたこの100年の歴史を根底から否定するもの。それは世界にもこの国にも夥しい悲劇と破壊しかもたらさない。そのことを肝に銘じるべきだろう。
《安全保障政策の大転換をうたい、防衛力の大幅増強を目指す岸田政権。その方針は今回改定された安保3文書に明記された。国民的議論がない中での大転換、大丈夫なのか。「戦前の3文書に立ち戻って考えてみては」と提案している歴史学者がいる。東京大学教授の加藤陽子さんだ。もう一つの3文書から何が見えるのだろう。
 ――政府は防衛政策の基本方針を示す安保3文書を改定しました。国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3点で、昨年12月に閣議決定しました。
 「3文書を読むと、5年間の防衛費を今の1・5倍以上にあたる40兆円超にまで増額すると書かれていますね。めまぐるしい政策転換です。しかもこの文書は、国会ではないどこかで議論され、国会ではない場で決定されました」
 「このような文書が天から降ってきて歩き出す。それはそもそも異様なこと、おかしいことなのだと認識する必要があります。方針が決められたあとに予算の議論をさせられている現実には何か逆転があると思うべきなのです」
 ――1・5倍以上も変化の幅があると、これまでの議論との連続性が見えにくくなります。
 「急に突きつけられたのは防衛費の問題だけではありません。安保3文書は中国を名指しして『これまでにない最大の戦略的な挑戦』と書くなど、敵を特定しようとする性格が濃厚です。中国の軍拡への不安が高まっているのは事実だとしても、現状は中国が日本を主たる敵だと言っている状況ではなく、不自然な記述です。ほかにも北朝鮮の『脅威』を強調したり、ロシアを『安全保障上の強い懸念』と書いていたりするなど、事実上、複数の国を仮想敵国とみなす文書になっています」
     ■     ■
 ――戦前の3文書について考えてみよう、と提案していますね。どんな文書を指すのですか。
 「日露戦争のすぐあと、明治期の1907年に日本は『帝国国防方針』を作成しています。『用兵綱領』『所要兵力』と合わせた3文書からなり、仮想敵国や必要な兵力を決めていました。時代に応じて改定されながら、第2次世界大戦に至るまでの日本の国防政策を方向づけています」
 ――なぜ今、昔の3文書を振り返ろうとするのですか。
 「不意打ちのように突きつけられた現在の3文書を、これまでの歴史の流れの中に位置づける手がかりがほしいからです」
 ――帝国国防方針を含む3文書は、なぜ作成されたのでしょう。
 「当時の国防上の深刻な課題は、日露戦争で陸・海軍の協同作戦が良好に進まなかったことでした。両軍の協同一致を促すために、天皇の裁可を受けた、両軍を統御できる最高基準として、3文書を作りました。平時からの連携を促す手法ではなく、上から文書で抑える手法を採ったのです」
 「帝国国防方針には、陸・海軍の軍備を大幅に拡充させる数値目標が盛り込まれていました。文書を両者に受け入れさせるためです。ただ、実は作成側の狙いの中には軍拡を抑制することも含まれていました。陸・海軍による予算獲得競争を3文書で抑えられれば、とも期待していたのです」
 ――狙い通りに進んだのでしょうか。
 「いえ。むしろ軍拡が進んでしまったと言えます。原因の一つは仮想敵国の多さです。国防方針は陸軍の主な仮想敵をロシア、海軍のそれを米国と規定する形で作成されました。しかし、当時ロシアが日本の主要な敵であったかは疑問です。そのときの具体的な安全保障環境に基づいて積み上げられた国防方針というよりは、組織としての陸・海軍がともに食べていけるようにという思惑の産物だったのです。抜け落ちていたのは、互いに協力して一致点を探し、国家として何をどう守るのかの戦略を一つにまとめる姿勢でした」
 「世界最大級の陸軍国家・ロシアと世界最大級の海軍国家・米国。その両方と同時に競う方針なのですから『必要な軍備』には終わりがありません。身の丈を超えた軍事力を持とうとする国防方針だったのです。また、文書を作ったこと自体が軍拡を誘発した面もありました。『方針に書かれた目標を実現するために』との理由で軍拡を求める動きや、軍拡のために仮想敵国を増やそうとする発想が誘発されていったのです」
 ――議論して一致点を探す作業がなぜできなかったのでしょう。
 「対立型の思考から抜け出せなかったことが一因です。実のある議論をするには自らの考えの長短を互いに示しあう必要があるのですが、相手に勝つことばかり意識していると、欠点や問題点を隠そうとしてしまいがちなのです」
     ■     ■
 ――安保3文書の方針は、具体的な安全保障環境に基づいて積み上げられたものに見えますか。
 「見えません。どれだけの防衛費がなぜ必要なのかを検討する前に、北大西洋条約機構(NATO)諸国並みの国内総生産(GDP)比2%に防衛費を増額するとの方針がまずあったからです」
 「米国や欧州の国々に向けてアピールするための文書なのだからこれでいい、という考え方だったのかもしれません。ただ、防衛力を大幅拡充するという方針が中国に対する威嚇や脅しとして機能することには注意するべきです」
 「1930年代前半の日本海軍の中には、自分たちが軍拡をしても米国は大規模な軍拡はしてこないだろうとの楽観がありました。しかし実際には米国は、対日戦争を想定した国防プランを持っており、40年と41年にはそれぞれ日本海軍に匹敵する規模の艦隊建造を図っています。日本は、自らの軍拡が相手の目に威嚇や脅しとして映ることや、相手が国力の点で無限に戦争を継続できる国であることを軽視していたのです」
 ――軍備拡大に抗しようとした動きはあったのでしょうか。
 「ありました。1907年に国防方針が制定されたとき、首相だった西園寺公望(さいおんじきんもち)は天皇にこう奉答(ほうとう)しています。複数の列強国に対して軍備で優越することは望みがたく、我が国の財政はそれを許せる状況にはありません、と」
 「国防方針は事実上、政府や議会には知らせずに軍が作成したものであり、西園寺は首相でしたが3文書のうち所要兵力しか閲覧を許されませんでした。しかし彼はその後、情報が自らに開示されていない現実を逆手に取り、自分は文書全てを認めたわけではないと主張するための足場にしました」
 ――民主的な仕組みは軍拡の抑制に力を発揮したのですか。
 「議会や政党が軍拡に反対した歴史は重要です。実際、二大政党が交代で内閣を組織した『憲政の常道』の時代には、国防方針に掲げられた軍拡目標の達成は実現しにくい状態になっていました。議会や政党が担ったのは、安全保障環境と国家の財政状況、国家予算をすりあわせる作業でした」
 「30年には、海軍軍令部が反対する中で浜口雄幸内閣がロンドン海軍軍縮条約に署名しています。重い軍事費負担にあえいでいた当時の経済状況から見れば妥当な選択でした。国防方針を盾に『それで米国と戦えるのか』との批判が出ましたが、本来、身の丈に合っていない国防方針の方を見直すべきだったのです。しかし実際には『政党政治は国防をないがしろにするものだ』と訴える勢力が優勢になり、民主政治が存在感を示した時代は32年ごろ終わりました」
     ■     ■
 ――日本は戦後、民主的な国家として再スタートしました。安保3文書のありようは民主的な社会にふさわしいものでしょうか。
 「いえ。安保3文書を読んでいて不安を感じるのは、誰がどう作成したのかが分からないところです。政府の有識者会議の一員を務めた国際政治学者の中西寛さんは、議事録によれば、最終回の会合で次のように発言しています。安保3文書の取りまとめについては、意思決定に誰がどういう形で関わっているのかについて必ずしも国民に見えない、と」
 「また日本政府は、米国政府と裏側で何をどうすり合わせているのかを国民の前に明らかにしていません。先月の国会でも、具体的な説明をしない姿勢に終始しました。軍事機密の部分はあるにしても、国民の税金を使うことの費用対効果がどうなっているのかを説明する方法はあるはずです」
 ――米国と中国の対立が深まり、台湾有事に備えるべきだという声が日本でも上がっています。
 「米国と中国は、自国の領土内で戦争をしようとは思っていません。両国が衝突したら、火の海になるのは日本列島でしょう」
 「戦争を違法化した不戦条約をはじめ、戦前期に達成されようとしていた国際秩序を、武力で踏みにじってしまった国が日本でした。その過ちを反省したことで戦後、日本は世界へ再参入する切符をもらったのです。急迫不正の侵害や存立が脅かされる事態が起きない限り武力行使をしない国として日本は歩んできました。そんな国家が、対立する中国と米国の間に3千キロの長さにわたって位置していることは、両国の平和にとっても大きな意味があるはずです」(聞き手 編集委員・塩倉裕)》




2023年 4月 4日
例年開花が遅い裏手の桜も無風でも散りだす。同じ辰年生まれだろう坂本龍一が亡くなったとの知らせは残念でならない。
 8日ぶりに岡本南(桜護)公園でお花見。大島桜や笹部ザクラなど多様な桜が散り出して花色が濃く、楽しい出会いもあったよう。駅近のコンビニ往復しコーヒーのあと久しぶりに住吉のうはら温泉に浸かり、御影クラッセのスーパーで食材買って帰宅。夕景も穏やか。


2023年 4月 3日
《うちのかかはちょっとへん。はじめにそうおもったのは、ねん中のときでした。
「いっしょにあそぼう。」
とさそうと、かかはいつもニコニコうなずいてくれます。でも、あそびはなかなかはじまりません。わくわくしてまっていると、そのうち、かかはこまったかおでゆれはじめました。右へ左へ、ゆーらゆら。そしてそのまま、手をはなしちゃったふうせんみたいに、ふわーっとどこかへとんでいってしまいました。≫
《でも、 「おままごとしよう」 とさそった日、かかはまたこまったかおをしました。
「かか、おひめさまやくね。 」
1ばんいいやくをあげたのに、ゆーらゆら。お人ぎょうをもったまま、ちっともしゃべりません。
「こんにちは、おひめさま。 」
わたしのくまちゃんがはなしかけたら、かかはしばらくかんがえて
「いらっしゃいませ、なににしますか?」
といいました。 ちがう、 ちがう。 そんなのおひめさまじゃありません。
「こんにちはくまちゃん、だよ。 」
「こんにちは、くまちゃん。 」
おしえたら、そのとおりにいってくれるけど、ずっとそればっかり。 これじゃあちっともおもしろくありません。≫
≪ASDの人のにがてなことは、たくさんの本やかみにかかれていました。よくかいてあったのは、「あいまいなこと」「あいてのきもちやばめんをわかること」「さわがしいばしょ」の3つです。この3つを、わたしはかかにインタビューしたり、かんさつしたりしてみることにしました。≫
 ≪わすれないのはいいことなんじゃないの?とおもったけど、きいてみたらぜんぜんよくありませんでした。かかの中にはたくさんのきおくがありすぎて、たまにそれがぶわーっとあふれてくるそうです。あふれるのは、だいたい、しっぱいしたりこわかった、いやなきおくだといっていました。≫
≪「かか、どんなときがたのしい?」
さくせんのもとにしようとおもって、わたしはききました。みんなであそびにいくときかな?おいしいごはんをたべるときかな?りょこうでおとまりするときかな?いろいろよそうしてたけど、かかはぜんぜんちがうことをいいました。
「かかがしっぱいしても、 おこらずわらってくれたとき。あと、 かかいがいがしっぱいして、 みんなでわらっちゃったとき。 」
え、そんなこと?とわたしはびっくりしました。だってそれは、いつもかぞくでやってることだからです。≫
 ≪かかは小さなたのしいを、だいじにだいじにあつめてるんだ。大きないやなきおくに、すぐにはかてないけど、それはとてもすてきなことだとおもいました。それに、しょうがいがあるからといってとくべつにおもわなくても、いつもしているみたいにふつうにすごすことも、えがおにつながるんだときづきました。≫
 ≪うちのかかはちょっとへん!だけどおもしろくて、わたしのじまんのおかあさん。あのへんなおままごとだって、うちだけのとくべつだとおもったら、なんだかとってもいいものにおもえてきました。ほかのしっぱいや、おともだちのおかあさんとちがうところだって、おもいだしてみたらわらえることばっかりでした。それに、かかのふしぎなところも、 いやなところも、 りゆうがわかったらちょっとすっきりしました。きっと、しょうがいのことをかいた本をよむだけじゃ、こんなきもちにはなれませんでした。
「あかちゃんがうまれたら、ぜんぶおしえてあげようとおもったけど、やーめた。 」≫
≪きょうだいにも、かかといっぱいはなして、いっぱいいっしょにすごして、そうやってかかをしってほしいとおもうようになったからです。もちろん、 こまったり、 いやなきもちになったり、ふしぎにおもっているときは、ちょっとおたすけマンになっておしえてあげます。りゆうがわからないまま、かかをきらいになったらもったいないからです。わたしはかかが大すきで、ずっとなかよしでわらっていたいから、しりたいし、たすけたいとおもいました。とともきっとそうです。あたらしいかぞくになるきょうだいも、おなじきもちになってくれたらうれしいです。≫
 小学校1年生の子が、少し他人とは違う母親との関わりとみずからの体験そして自発的な学習と思考によって体得した、ひとの最も大切な他者への愛と慈しみ、敬意と共感の本質が美しい言葉で語られている記事。
 この子が、生まれてくる弟妹に母親のことを「おしえてあげる」のはやめて、彼ら彼女らがみずから母親との関わりを通して学び体得することを願うようになったことに、教育や学習の根源的な本質と意味が明かされている。
 「教える」「育てる」「養う」「涵養する」などの言い方は一見尤もらしいが、すでに確立された定理や公式さらに道徳や愛郷心、愛国心などを、子どもたちに上から目線で注入することが公教育なのではない。特に道徳や公共心そして愛郷心、愛国心は、「徳育」などとしてああしろこうしろと大人から強いられるなら、子どもたちは従うふりをするだけで、心から体得できるものではあり得ない。
 政治や権力者に忖度・迎合する文科省、教委の役人らは、学校の教育活動に介入、統制することで同じように権力や社会に忖度する不寛容な国民を生み出すだけ。そのことをみずから学び直すべきだろう。
《うちのかかはちょっとへん。はじめにそうおもったのは、ねん中のときでした。
「いっしょにあそぼう。」
とさそうと、かかはいつもニコニコうなずいてくれます。でも、あそびはなかなかはじまりません。わくわくしてまっていると、そのうち、かかはこまったかおでゆれはじめました。右へ左へ、ゆーらゆら。そしてそのまま、手をはなしちゃったふうせんみたいに、ふわーっとどこかへとんでいってしまいました。
     ◇
 3月に発表された北九州市主催の第14回子どもノンフィクション文学賞で、小学生の部の大賞に名古屋市立八事東小学校1年生(当時)の藤本千尋さん(7)の作文「ゆらゆらゆれる、かかのこと」が選ばれた。
 千尋さんの母、有希那さん(33)は自閉スペクトラム症(ASD)という発達障害がある。そのため、ほかのお母さんとはちょっと違うところがある。千尋さんは近く生まれてくるきょうだいに、お母さんのことを説明してあげられるようになりたいと思い、ASDについて調べてみた。
     ◇
苦手なことを質問、予想外だった母の答え
 ≪ASDの人のにがてなことは、たくさんの本やかみにかかれていました。よくかいてあったのは、「あいまいなこと」「あいてのきもちやばめんをわかること」「さわがしいばしょ」の3つです。この3つを、わたしはかかにインタビューしたり、かんさつしたりしてみることにしました。≫
     ◇
 「あいまいなこと」が苦手なお母さんは、「一緒に遊ぼう」と言われても、何をすればいいのか分からなくて困ってしまう。掃除のときに「邪魔にならないところに置いておいて」と言われても、何をどうすればいいのか分からない。音がたくさんある場所だと、必要な声だけ聞き分けることができない。千尋さんはほかに苦手なことがないか聞いたところ「忘れること」という答えが返ってきた。
     ◇
 ≪わすれないのはいいことなんじゃないの?とおもったけど、きいてみたらぜんぜんよくありませんでした。かかの中にはたくさんのきおくがありすぎて、たまにそれがぶわーっとあふれてくるそうです。あふれるのは、だいたい、しっぱいしたりこわかった、いやなきおくだといっていました。≫
     ◇
 千尋さんは、嫌な記憶に襲われたお母さんにしてあげられることを考えて、「たのしいきおくだらけにしよう」と思いついた。千尋さんが「かか、どんなときがたのしい?」と尋ねると、予想外の答えが返ってきた。「かかがしっぱいしても、おこらずわらってくれたとき。あと、かかいがいがしっぱいして、みんなでわらっちゃったとき」
     ◇
 ≪かかは小さなたのしいを、だいじにだいじにあつめてるんだ。大きないやなきおくに、すぐにはかてないけど、それはとてもすてきなことだとおもいました。それに、しょうがいがあるからといってとくべつにおもわなくても、いつもしているみたいにふつうにすごすことも、えがおにつながるんだときづきました。≫
     ◇
 お母さんのことが分かってきて、千尋さんは、生まれてくるきょうだいにお母さんのことを教えてあげようという思いが逆になくなったと言う。
     ◇
 ≪きょうだいにも、かかといっぱいはなして、いっぱいいっしょにすごして、そうやってかかをしってほしいとおもうようになったからです。(中略)わたしはかかが大すきで、ずっとなかよしでわらっていたいから、しりたいし、たすけたいとおもいました。とともきっとそうです。あたらしいかぞくになるきょうだいも、おなじきもちになってくれたらうれしいです。≫
     ◇
 千尋さんの作文は、選考委員のあさのあつこさん、最相葉月さん、リリー・フランキーさんの全員一致で最高賞の大賞に選ばれた。3月18日、北九州市での表彰式に向かう新幹線の中で、千尋さんと父の和也さん(33)は吉報を受け取った。「じつはきょうのあさ、おとうとがうまれました。おとうとにあったら、このしょうのことをじまんしたいです」。千尋さんは表彰式で喜びを語った。
 千尋さんの作品を含む入賞作は、北九州市立文学館のホームページ(https://www.kitakyushucity-bungakukan.jp/)に掲載されている。(岩渕邦夫)》



2023年 4月 2日
今日も晴れ。
 阪急芦屋川から川沿いを歩き、昨年と同じ小公園でお昼を食べていると、「この先桜一杯やねん」という声が聞こえて上流を見ると奥の対岸に人が集まっている。食後に小道を歩くと、より広い公園に満開の桜並木とベンチに花見客。
 石伝いに対岸に渡り左岸を下ると、中心部はさすがに日曜、「桜まつり」で賑わう。お店はいずれも長蛇の列で、テイクアウトのコーヒーは買えた。7日連続弁当花見を達成。別に凄くないが。来た道を戻り3時前帰宅。



2023年 4月 1日
・小学校道徳での検定結果、「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」についての検定意見が13件、このうち7件は指摘された出版社が「国」「日本」という言葉を追加するなどして修正。
「今日、中国人民は歴史のどの時期よりも「中華民族の偉大な復興」に近づき、実現に向け自信と能力を持っている」「祖国の完全な統一は中国人民の共同の願いであり、中華民族の根本的な利益である」習近平2022年10月16日中国共産党第20回全国代表大会
「ロシアを全滅させようとする者がいるなら、それに応じる法的な権利が我々にはある。確かにそれは、人類と世界にとって大惨事だ。しかし私はロシアの市民で、国家元首だ。ロシアのない世界など、なぜ必要なのか」プーチン2018年
「彼(ピョートル大帝)がスウェーデンとの戦いで何かを奪ったかのような印象を受けるかもしれないが、何も奪っていない。奪い返しただけだ。欧州のいずれの国もその地をロシア領と認めなかった。誰もがスウェーデン領とみなしていた。しかし、はるか昔からそこではスラブ人がフィン・ウゴル系民族と共に暮らしていた。奪い返し、強くなる責務がわれわれにもある。わが国は歴史の中で後退を余儀なくされこともあったが、最終的には力を取り戻し、前進してきた」プーチン2022年6月9日
 小学生に人類の歴史や文明、世界中の国々や人びとそして自然環境を尊重し愛する態度ではなく、日本国の「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」を強いる文科省は、「大ロシア」復活を目指すプーチンのウクライナ侵攻という蛮行や「中華民族の偉大な復興」を唱える中国による国内の厳しい言論統制と台湾武力統一という野望とどう違うのか。
 文科省が発行する「小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説」の道徳教科指導内容は、「よりよく生きるための基盤となる道徳性を養う」、「道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てる」などと、何よりも生徒のそして教職員の自主性を封印し、それらしい言葉を羅列しただけで、学習内容を文科省、教委、校長に従うことを強いるまったくお粗末極まるものでしかない。
 この国も78年前の敗戦まで、愛国心を強いて「挙国一致」「大東亜共栄圏」などを唱えて無謀極まる侵略戦争に明け暮れたが、その反省は従軍慰安婦を慰安婦と、徴用工を労働者と言い換えて何処に消そうとするのか。このような教科書検定と学校における日の丸・君が代強制は、再びこの国を侵略戦争に導く愚行でしかない。
《文部科学省が28日公表した、2024年度から小学校で使用される教科書の検定結果では、小学校道徳で学習指導要領の「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」についての検定意見が13件あり、過去2回の検定と比べ大幅に増えた。このうち7件は、指摘された出版社が「国」「日本」という言葉を追加するなどして修正した。
 学習指導要領では、小学高学年の道徳で指導すべき22の内容項目(教えるべき価値)を示しており、「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」はその1つ。改正教育基本法に盛り込まれた、愛国心に関する条文に沿っている。
 小学校の道徳が正式な教科となったのは2018年度。その2年前の16年度にあった最初の検定では、「伝統と…」についての意見は3件。2回目の18年度検定では2件だった。
 今回の13件は、いずれも「伝統と…」について、学習指導要領に照らして、教科書の「全巻」を通して「扱いが不適切」という検定意見。どこが不適切か、などは示していない。
 ある出版社では小学5、6年の道徳で検定意見が付き、伝統的な技術について説明する文章に「日本古来のすぐれた」という表現を加筆したり、「郷土のほこり」を「国や郷土のほこり」にしたりして修正した。
 別の社は、検定意見を受け、「昔から、日本各地で大切にされているものがあるよ」という表現を、「君が思う日本のよさは、どんなものかな」と修正した。
 ある編集者は「一つの言葉に、たくさんの要素が含まれており、教材に反映させるのが難しい内容項目の一つ」と指摘する。
 文科省の担当者は「道徳は教科の歴史が浅い。初めて教材を入れ替えた発行社も多く、結果として検定意見が増えたのでは」と推測する。修正で「国」などを加筆した例が多いことについては「(『国』『郷土』などの)パーツを分割して指摘しているわけではない。どこで満たすかは発行社の判断」と説明する。(榎本哲也)
◆「愛国心教育をより強化しようという意図」
 「子どもと教科書全国ネット21」の鈴木敏夫事務局長の話 具体的な箇所を示さずに「学習指導要領に照らして扱いが不適切」とする検定意見は、「国」「日本」という言葉などの明記を、教科書会社の「自主的」に求めるもので、忖度そんたくを助長させかねない。いわゆる愛国心教育をより強化しようという意図を感じる。「国を愛する態度」は本来、内面からにじみ出てくるもの。学習指導要領は大綱的基準であるはずで、文部科学省はもっと教科書会社の創意工夫にゆだねるべきだ。
◆韓国が竹島の教科書表記めぐり抗議
 【ソウル=木下大資】韓国外務省は28日、小学校の教科書検定で、島根県の竹島(韓国名・独島)が「日本固有の領土」と明記され、日本政府が領有権の主張を強めていると批判し、熊谷直樹・駐韓次席公使を呼んで抗議した。
 植民地時代に多くの朝鮮人が動員された徴用を巡る歴史教科書の記述についても「強制性を薄めた」と問題視している。日韓関係の改善を目指す尹錫悦ユンソンニョル政権は今月、徴用工訴訟問題の解決策を打ち出したばかりだが、外務省当局は「(独島問題など)事案ごとの(韓国)政府の立場には一切変化はない」と強調した。》



2023年 4月 1日
神戸に戻った週末も好天。
 11時前アシスト車で下り、piza trackでプロシュート頂き善光寺(灘区)を経て天神山公園はまさに満開だが静か。家族連れ、高齢者(自分も)そして子どもたちが花見。食事後阪急御影近くのコンビニにコーヒー求めて往復。
 裏手の桜も微風で散り始め、ベランダに花びらが降る。ここ6日間お昼は桜の横で弁当という贅沢。明日はどうするか。


                                                                                                                                                                 
  
     





























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